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債権譲渡の通知が来た時の対応とは?二重譲渡の場合や時効について

コラム

2017.11.24

債権譲渡の通知が来た場合、対応を間違えると二重弁済などを起こしてしまう危険性もあります。
そのような失敗をしないよう、債権の最低限の知識として債権通知が来た時の正しい対応や、二重譲渡、時効などがあることを知っておかなくてはいけません。
この記事では、そんな債権譲渡や譲渡通知の情報を徹底解説していきます。

債権譲渡とは?

債権譲渡とは、債権者が保有する債権を第三者に有償・無償で譲渡することです。

また、債権の譲渡は債務者の意向は関係なく、債権者の裁量にて執行する事が可能となっています。

債権譲渡の発生原因には、

  1. 売買
  2. 代物弁済
  3. 贈与
  4. 譲渡担保
  5. 信託

などが挙げられます。

債権譲渡のメリット・デメリット

メリット

①債務者が所有する債権の譲受

債務者に弁済能力がない場合、債務の弁済として取引先が所有する債権を譲渡してもらう事ができます。

また、譲渡された債権に関しましては、第三債務者へ直接取立を行う権利も発生します。

 

②取引先の債権を担保にできる

売掛金の回収ができる保証がない場合、万が一の「債務不履行」に備えて、取引先の会社が所有している債権を担保に入れてもらう事が可能であり、これを「譲渡担保」といいます。

通常、担保をとる場合会社の資産(不動産)などを担保に入れるケースが多いです。

しかし、資産は既に抵当にかけられていることも多いため、その際には債権を担保とすることができます。

 

③未回収の債権の売却

一見、譲受人のメリットが大きくみえる債権譲渡ですが、譲渡人にもメリットがある場合もあります。

例えば、「債権があるけど回収する見立てがない」という場合には、債権を譲渡したほうが損失を抑える事が可能です。

 

④不動産を所有していなくても債権を担保にすることによって資金調達が可能

融資を受ける場合、不動産などの担保を求められるケースが多くみられます。

しかし、誰しもが不動産を所有しているわけではありません。そこで、登場するのが債権です。

債権は担保にすることも可能なので、債権を保有していればその分資金を調達できるチャンスも広がります。

 

デメリット

①債権者の債権を管理するための事務負担が増える

債権譲渡を行う場合、第三者にたいして対抗要件を持つため債権譲渡登記が必要となる場合があります。

また、その際には登記申請書の作成や、譲渡人代表者の資格証明書、印鑑証明書などの書類の用意も必要となるため、事務負担が増えるというデメリットがあります。

 

②顧客への承諾が必要となる場合がある

債権譲渡契約は、基本的に譲渡人と譲受人の間にだけ有効です。

そのため、譲受人が債権を施行するためには顧客への承諾が必要となる場合があります。

 

ファクタリング・債権譲渡・ローンパーティシペーションの違い

 

ファクタリング

ファクタリングは、売掛債権と引き換えにして即座に現金化することを可能にする資金調達手段です。

債権譲渡との違いは、金融的な資金繰りの手法として用いられることとなります。

ただし、ファクタリングは現金を調達できる代わりに、大きな手数料(5~25%程度)を取られてしまうというデメリットもあります。

急場をしのぐためには有効ですが、多用は禁物です。

 

債権譲渡

債権譲渡は、申し込み企業がファクタリング会社に売掛債権を買い取ってもらうという点ではファクタリングと同義です。

しかし、ファクタリングと異なる点もあります。それは、債務者からの支払いがない場合です。

譲渡をされた債権は、万が一債務者からの支払いがない場合、裁判所を通じて法的に差し押さえなどの強制的な手段を取ることも可能となっています。

 

ローンパーティシペーション

ローンパーティシペーションとは、貸出債権の利益とリスクを、原債権者からローン購入者へ移転させる契約です。

また、ローンパーティシペーションは債権流動化の方法であり、貸付債権を他の金融機関へ売却することが可能です。

形式上は債権流動化と同じであり、商業上では、債権流動化の手法として広く利用されています。

他にも、ローンパーティシペーションには、

  1. 譲渡リスクやコストがない
  2. 原債権者は売却損を経費計上することが可能なため、節税効果に期待できる
  3. 債権譲渡禁止特約がある場合でも債権譲渡が可能

などといったメリットがあります。

 

債権譲渡の時効はいつまで?

 

債権の時効

企業間の取引による債権の基本時効は5年、売掛債権の基本事項は2年です。

ただし、債権の時効中断により、消滅時効の進行を遅らせることもできます。

 

債権譲渡の時効

基本的に、債権譲渡のみだと時効中断は発生しません。

そのため債務者から受ける債権の時効には注意を向ける必要があります。また、場合によっては時効中断の手続きを取るなどの対処を行わなくてはいけません。

 

債権譲渡の対抗要件

対抗要件とは?

対抗要件とは債権譲渡の際に、新たに債権者になった譲受人が債務者に対して権利者であるということを主張することです。

対抗要件を満たさなければ、新しく受け取った債権に関して譲受人は権利者であることを主張することができません。

債務者に対する対抗要件

①譲渡人の債務者に対する通知

債務者に対し、債権譲渡した旨を通知します。

 

②債権譲渡通知書で通知を行う

債権の内容や、譲渡人、譲受人の情報、債権譲渡を行った真実を記載した「債権譲渡通知書」を債務者へ内容証明郵便にて送ります。

 

③債務者以外の第三者に対する対抗要件も満たしていないと不十分

対抗要件は、債務者だけではなく第三者に対しても満たしている必要があります。

仮に、1つの債権に対して複数の譲受人が発生した場合、債務者は「誰に返済すればいいかわからない」という状況にもなりえます。

しかし、第三者に対する対抗要件を満たしておけば、誰に対して返済すべきか迷うこともありません。

第三者に対しての対抗要件を満たすためには、債権に関する確定日付を先に取得する必要があります。

確定日付とは、債権者としての立場が確定した日付のことをいいます。確定日付を先に取得すれば、法的にも第三者に対する対抗要件を満たしたと認められます。

確定日付を取得するためには、

  1. 内容証明郵便
  2. 公証人役場における公証印

上記二つの方法が挙げられます。

内容証明郵便にて債務者へ通知を行うと、郵便局からの局印が確定日付の取得を証明するものとなります。

または、債権譲渡契約書へ譲渡した債権の債務者の承諾印を受け、その後公証人役場で「公証印」を貰えば確定日付の証明となります。

債務者の承諾

対抗要件を満たすためには、債務者が債権を譲渡されたという事実の承認や同意が必要となります。

そのため、内容証明郵便などで郵送されるのが一般的です。

確定日付のある証書が必要

対抗要件を満たすためには、以下のいずれかの証書が必要です。

  1. 確定日付のある証書による譲渡人の債務者に対する通知
  2. 確定日付のある証書による債務者の承諾

二重譲渡がなされた場合は?

二重譲渡がなされたら?

二重譲渡とは、同一物を複数のものに譲渡することをいいます。

債権が二重に譲渡された場合、いかに早く債権譲渡通知書が債務者へ到達したかによって優劣がきまります。

また、万が一確定日付のある各譲渡通知が、同時に債務者に到達した場合、各譲受人は債務者に対して、それぞれの譲受債権全額の弁済を請求することが可能です。

 

債務者はどちらに支払うべき?

債務者は、基本的に債権譲渡通知書が早く到達した方に支払いを行います。

また、債権譲渡通知書が同時に到達した場合は、どちらか一方に支払えば問題ありません。

ただし、その場合は二重弁済を行ってしまう危険性もあるため、そうならないためにも法務局へ供託する事がおすすめです。

法務局へ供託した場合、債権の管理を供託所へ委ねる事ができるため二重弁済のリスクはなくなります。

 

債権譲渡の通知

債権譲渡の通知とは?

債権の譲渡をした場合、元の債権者から債務者へ債権譲渡の通知を行わなければいけません。

債権譲渡の通知は第三者に対する対抗要件を満たすために必要となります。逆に言えば、債務者は譲渡通知がない債権の返済請求には応じる義務はありません。

債権の譲渡通知は、譲渡された債権の支払いを求める上で必須なことなのです。

 

債権譲渡の通知をする方法

①確定日付を得られる内容証明郵便で通知する

債権譲渡の通知を行う場合、確定日付を得られる「内容証明郵便」にて、発送するのが一般的です。

内容証明によって得る確定日付は、第三者に対する対抗要件を満たすために必要となります。

 

②通知の手続き方法

まずは、債権を譲る人と譲り受ける人で「債権譲渡契約」を行い、その後債権譲渡の通知や承諾の処理を行います。

また、債権譲渡の通知では確定日付の債権譲渡通知の証書を作成し、内容証明郵便にて発送します。

 

債権譲渡の通知が来たら?

そもそも対応する必要があるのか?

債務者からすると、いきなり債権譲渡の通知がくれば「どのような人が取り立てに来るのか?」と不安になる事もあるでしょう。

しかし、債権譲渡の通知が来たとしても、すぐに厳しい取り立てが開始されるわけではありません。

法に則り手順を踏んだ上でしか取り立ては行われません。

ですが、譲受人から債権譲渡の通知がきている場合、勝手に譲受人を名乗って送っている可能性があるので注意が必要です。

その際には譲受人に対して譲渡人の印鑑証明書を請求してみてください。もし印鑑証明書を持っていない場合は注意が必要です。

債権譲渡通知は基本的に譲渡人が行いますが、場合によっては代理人として譲受人が通知するケースもあります。

ただし、代理人ではなく債権者代位によってする通知は、対抗要件としては認められないとされています。

いずれにせよ、譲渡人からの通知は本人からの通知であるため間違いはありません。

若干の違いはありますが、譲受人から債権譲渡の通知が届いた際には必ず債務の有無などの返答は行う必要があります。

また、裁判所からの訴状や督促状は無視してしまうと一方的に判決が出てしまうため、いかなる場合でも、必ず答弁書の提出等の対応をとるようにしましょう。

 

対応する場合の方法

債権を回収する方の中には暴力団まがいの方がいないわけではありません。

ごく稀にそういう方もいらっしゃるので、債権譲渡の通知や取立てなどが発生した場合は、

まず弁護士に相談することが最も円満に解決する方法となります。

また、安易に債権譲渡の通知に応じてしまうと、見に覚えのないものでも債務が発生してしまう可能性があるため、そうならないためにも法務局へ供託することがおすすめです。

 

債権譲渡の登記

債権譲渡登記とは?

通常資金を借り入れる場合、返済不能となる可能性を考慮して、担保として所有不動産に抵当権を設定します。

しかし、その他にも取引先との売掛金債権などを担保とする場合もあります。

その際に債権譲渡登記を行うことで、他の債権者に対して優先配当権を主張することができるようになるのです。

ただし、登記の対象となるのは「指名債権」の譲渡のみに限定されているので注意が必要です。

また、譲渡登記を嫌う方の中には「取引先や銀行などに情報が漏れるのでは?」という方もいらっしゃると思いますが、決してそのようなことはありません。

債権譲渡登記は、商業登記や不動産登記と全く異なるものです。

債権譲渡登記概要記録証明書を確認することによって登記があることは分かりますが、

概要証明書には、

  1. 譲受人(ファクタリング会社)の住所や商号
  2. 債権譲渡日
  3. 登記原因

しか記載されていません。

そのため自社に不利になるような情報は掲載されないのです。

債権譲渡登記が不安で、これまでファクタリングなどのサービスに抵抗があった方は、これを機会に債権譲渡登記の内容を知っておきましょう。

債権譲渡の登記にかかる費用

①債権譲渡登記
  1. 債権個数5,000個以下の場合:1件につき7,500円
  2. 債権個数5,000個以上の場合:1件につき15,000円
②延長登記

・1件につき3,000円

③抹消登記

・ 1件につき1,000円

 

登記の変更・抹消を行うのは

①登記の変更を行うとき

債権譲渡登記の変更は、譲渡人または譲受人の称号・名称または本店・主たる事務所に変更が生じ、延長登記もしくは抹消登記を申請する場合に行います。

また、その際には変更を証する証明書(履歴事項全部証明書等)を添付して申請をする必要があります。

 

②抹消登記を行うとき

譲渡された債権は、弁済などが済めば効力は消滅します。また、その他にも債権の時効などによって債権の効力がなくなった場合、抹消登録を行います。

 

登記の閲覧方法

登記事項の確認は、「登記情報提供サービス」にてインターネットで簡単に行うことができます。

ただし、登記情報提供サービスでは登記事項証明書は交付されないため、登記事項概要証明書の取得を希望する場合、法務省のホームページから請求する必要があります。

 

債権譲渡通知がきても慌てることはない

突然債権譲渡通知がきた場合でも、決して慌てることはありません。

紳士に誠意を持って、落ち着いて対処すれば「突然財産が差し押さえられた」なんてことにはならないでしょう。

また、二重譲渡がなされた場合は、二重弁済を行わないよう注意が必要です。債務者は、最も早く債権譲渡通知書届けた債権者へ支払えば問題ないことを覚えておきましょう。また、心配であれば法務局へ供託するようにしてください。

いずれにせよ債権譲渡通知が届いたり、取立てがあった場合には、まずは弁護士へ相談することをおすすめします。

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