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債権譲渡の通知法とは?対抗要件の成立条件や通知された際の対応

コラム

2017.12.26

債権譲渡がなされた場合、譲渡人は債務者へその旨を通知します。なぜなら、債権譲渡通知を行うことによって、対抗要件を満たすからです。
債務者から債権を円滑に回収する有効な方法として、対抗要件が必要不可欠であるといえるでしょう。
この記事では、そんな債権譲渡の通知法や対抗要件の成立条件、債権譲渡通知を受けた際の反応などの情報を徹底解説していきます。

債権譲渡とは?

ここでは、債権譲渡とはどのような定義なのか、そしてどのような目的があるのかをご紹介していきます。

債権譲渡の定義

『債権譲渡』とは債権を他人に譲り渡すことです。

また、過去では債権を譲渡することが認められていませんでしたが、現在では民法466条一項にて「債権は原則として譲り渡すことができる」と記されており、同一性を保ちつつ、その主体だけを変更することを認められています。

債権譲渡の目的

債権譲渡がなされた場合、譲受人は第三債務者へ直接取り立てを行うことが可能となります。

たとえば自社であるA社が、B社に対して未回収の債権a(売掛金・貸付金)が発生していたとします。

このときB社に返済力がない場合、A社は債権aの回収が難しくなってしまうでしょう。

そこで、返済が滞っている債権aの代わりに、B社が保有している債権bを譲渡してもらうのです。

すると、A社は債権bの取り立てを債権の効力を持ったまま行うことが可能となります。

その債権bの第三債務者に支払い能力があるならば、A社はB社から返済してもらうよりも高確率で債権の回収ができるようになるのです。

債権譲渡は信用不安を招く恐れもある

対抗要件を満たすためには、第三者へ債権譲渡した事実を通知する必要があります。

しかし、突然第三者である債権譲渡通知を受け取った取引先からすれば、「資金繰りが厳しいのか?」などと不安になる方もいらっしゃるでしょう。

債権譲渡は信用不安を招き、今後の取引に影響を及ぼしてしまう可能性もあるのです。

 

債権譲渡の通知とは?

第三者への取り立ては債権譲渡通知を実行しないと行えません。ここでは、その債権譲渡通知についての情報をご紹介していきます。

元の債権者から債務者へ譲渡の通知が必要

債権譲渡がなされたからとはいえ、その時点では譲受人は債権を回収するのは難しいです。

なぜなら、対抗要件が満たされていないからです。

対抗要件とは、債務者に対し未回収の売掛金や貸付金の返済などを促す条件の事をいいます。これが満たされていなければ、たとえ債権譲渡がなされていた事実があったとしても、第三債務者へ債権の取り立てを行なうことはできません。

また、債権の譲渡通知は「元の債務者」から第三債務者へ行う必要があります。

 

債権譲渡の通知と承諾の違い

ここでは、「債権譲渡の通知とは何なのか?」そして、「債権譲渡通知と承諾の違い」などの情報をご紹介していきます。

債権譲渡における通知とは?

債権譲渡における通知とは、債権の譲渡人(旧債権者)から債務者へ債権が譲渡された旨を知らせることです。

債権が譲渡された事実を債務者が把握していない場合、債務者は誤って旧債権者へ支払いを行ってしまう可能性があります。

そのような二重支払いなどのトラブルを防ぐためにも、債権譲渡通知は行われます。

また、債権の譲渡人(旧債権者)が対抗要件を満たすためにも、債務者の承諾(または確定日付を得られる債権譲渡通知)が必要となります。

債権譲渡における承諾とは?

債権譲渡における承諾とは、債務者から債権譲渡に関する承諾を得ることをいいます。

またそれは、債権譲渡通知以外の対抗要件を満たす方法でもあり、債務者、譲受人、譲渡人の三者が公証人役場で公正証書を作成することで、承諾を得ることが可能となります。

「通知」と「承諾」の違い

債権譲渡通知は、債権の譲渡人(旧債権者)から債務者へ内容証明郵便などの確定日付が得られる方法で通知されます。

債権譲渡の承諾は、債務者、譲受人、譲渡人の三者が公証人役場で公正証書を作成する必要があります。

債権譲渡の承諾と債権譲渡通知を比較した場合、前者の方が手間も時間もかかりません。

また債権譲渡の承諾は、債務者が複数存在する場合もあるため、かなりの労力を必要とする場合もあります。

そのため、一般的に対抗要件を満たす方法としては、債権譲渡通知が選択されることが多いです。

 

債権譲渡と時効

債権(借金)には、消滅時効があるため注意が必要です。ここでは、その時効の期間や時効の援用についてご紹介していきます。

債権譲渡と時効について

時効の期間

原則5年で債権は時効となることが決められています。

では仮に、債権譲渡がなされた場合は時効の期間はどのようになるのでしょうか?

債権譲渡が時効の中断事由となる場合、債務者は消滅時効の援用を行う事が可能となります。

債権譲渡は時効の中断事由になりません!

債権譲渡は、時効の中断事由にならない為、債権譲渡がなされた場合にも時効は中断されずに計算されます。よって、債務者は債権譲受人に対して消滅時効を援用することが可能となっています。

また、債権が譲渡される旨について債務者が意義を述べない場合、民法には「債権譲渡人に主張できる事由を譲受人に主張できない」と規定されています。しかし、消滅時効の援用については譲渡人に主張できる事由に該当しませんので、仮に債務者が債権譲渡に異議を述べていない場合でも、消滅時効の援用はできるのです。

時効の援用

時効の援用とは、相手に時効制度を利用する旨を伝えることです。

時効の援用は、最後の返済から5年が経過していれば申し立てすることができます。ただし、この5年間は一切の返済を行っていない事実が必要となります。

また、規定の期間が過ぎでも勝手に消滅時効となるわけではないため、5年経過後、債権回収会社に消滅時効の援用通知を送付しなくてはいけません。

 

債権譲渡の通知方法

債権譲渡通知は、対抗要件を満たすために必須となります。そんな債権譲渡の通知方法について、ここでは詳しくご紹介していきます。

必要な書類

債権譲渡通知書

債権譲渡通知書は、債権譲渡を債務者以外の第三者に主張する対抗要件を取得するために必要となります。また、債権譲渡を譲渡人が債務者へ通知するために債権譲渡通知書を送ります。

民法で定められたとおりに通知

対抗要件を満たすためには、民法で定められたとおりに通知しなくてはいけません。

公的に債権譲渡が行われたことを示す『確定日付』を得るために、「内容証明郵便」にて通知するのが一般的です。

債権譲渡通知書を制作する時の書式

1.直筆とパソコンはどちらでもOK

債権譲渡通知書の制作は、基本的にパソコンでも手書きでも問題ないとされていますが、住所と署名は直筆にします。

2.タイトル名

タイトルは『債権譲渡通知書』に設定し、書き出していきます。

3.押し印の種類に注意

押し印はシャチハタ印などではなく、実印を押しましょう。

債権譲渡通知書に含めるべき内容

1. 譲渡した事実

「平成〇〇年○月○日付けの債権譲渡契約によって、譲受人に譲渡した」といった内容を記載します。

2.譲渡人の氏名

譲渡人の氏名や住所、企業名を記載します。

3.譲渡する債権

譲渡する債権の情報を記載します。

また、債権が発生した期日、債権額、契約の内容、債権の種類、振込口座などを記載します。

4.譲受人の氏名

譲受人の氏名や連絡先、企業名や住所を記載します。

5.日付

譲渡通知書を郵送した日付を記載します。(例:平成〇〇年○月○日)

雛形

債権譲渡契約書

債権譲渡契約書とは

債権譲渡契約書は、債権を受け取る譲受人の利益・権利を守るための書類です。

また債権譲渡契約書は、

1.債権を担保とする「債権譲渡担保」
2.債務(借入金等)の返済の代わりとして、債権を譲渡する「代物弁済」
3.債権の取り立てを第三者へ委託する場合

など言った様々な状況で利用されます。

債権譲渡契約書を作成する際の書式

1.直筆とパソコンはどちらでもOK

債権譲渡契約書の作成は、債権譲渡通知書と同様手書きでもパソコンでも問題ありません。住所と署名は直筆にします。

2.タイトル名

タイトルは『債権譲渡契約書』とします。

3.押し印の種類に注意

押し印はシャチハタ印などではなく、実印を押します。

雛形

手続きの流れ

債権譲渡の通知方法

複数人に債権譲渡されている場合、それらの債務者以外の第三者よりも優先的に支払いを行ってもらうためには、対抗要件を取得する必要があります。

対抗要件の取得には確定日付がいるので、局印が確定日付になる内容証明郵便を利用し通知します。

債権譲渡の手続きの流れ

1. 債権譲渡契約の締結と通知・承諾

まずは、譲受人と債務者との間で『債権譲渡契約』を取り交わします。その後、承諾処理や債権譲渡の通知を行っていきます。

2. 内容証明便の作成

内容証明郵便の作成は、文字数の制限、用紙のサイズや種類の統一などのルールもあるため注意しなくてはいけません。

まず文字数ですが、横書きの場合は1行あたり13文字以内、1枚40行以内または26字以内20行以内、縦書きの書式の場合は1行あたり20文字以内、1枚26行以内に収める必要があります。

用紙の種類やサイズは基本的に何を使用しても問題ないとされていますが、内容証明郵便は自分用と郵便局での保管用を準備する必要があり、その両方の紙は統一する規定があるため気をつけましょう。

また、郵便局の局印か公証人役場の日付印が確定日付となるため、いずれかが必要となります。

 

債権譲渡の通知は代理人でも可能

代理人でも債権譲渡の通知は可能です。しかし、そこには注意点も存在するのでご紹介していきます。

債権譲渡の通知における代理人

債権譲渡がなされた場合、基本的には譲渡人から債務者へ通知を行います。

しかし譲渡人の心情からすれば「既に自分の手から離れている債権の通知をわざわざするのは面倒」と考えるのが通常であり、譲受人からすれば「譲渡債権を確実なものとしたい」と思うでしょう。

そのため、債権譲渡通知は譲受人の代理人でも行うことが可能となっています。

注意点もあり

代理人によって行われるのはあくまで『通知』のみであって、債権者代位権はありません。

よって代理人が債権譲渡の通知を行ったとしても、それは対抗要件を満たさないので注意が必要です。

連帯保証人付き債権の譲渡

債権譲渡の対抗要件は、債務者の承諾または債務者への通知が原則となります。

そのため、たとえ譲渡される債権が連帯保証人付きであったとしても、連帯保証人へ通知する義務はありません。

債務者へ通知を行えば問題ありません。

 

債権譲渡通知が来た場合の対応

突然債権譲渡通知が来た場合、債務者からしてみれば不安にかられてしまうことでしょう。そこで、債権譲渡通知が来た場合の対応を、ここでは詳しくご紹介していきます。

債権譲渡通知が来た場合の対応

譲渡通知がないのに債権の返済を求めてきた場合

債務者の知らないところで債権譲渡がなされていた場合、債権譲渡の通知が来ない限りは債務の支払い義務は発生しません。

たとえ債権の返済を譲受人から求められたとしても、債務者は応じる必要はないのです。

通知書が来たら、今すぐ対処する

債権譲渡の通知が来た場合、債務者にはその債権の譲受人へ返済を行う義務が生じます。

また、返済の催促を放置した場合裁判に発展する可能性もあり、財産が差し押さえられるケースも想定できますので、極力すぐに対処することを推奨します。

対応する場合の手順

通知書が来たら早期対応が望ましいですが、中には詐欺まがいの通知書が送られてくるケースもあるため注意が必要です。

そのため、通知書が届きましたらまずは書類差出人が債権者であること、そして内容証明郵便で通知書が送られているか否かを確認します。

それらと異なる場合は詐欺の可能性も高まるため、自己処理しようとせず弁護士事務所へ相談することをおすすめします。

 

債権譲渡の対抗要件

債権譲渡は一人になされているとは限らないので、債権を優位に回収するために、対抗要件を満たす必要があります。ここでは、その対抗要件についてご紹介していきます。

債権譲渡の対抗要件とは

対抗要件とは

対抗要件とは「債権を譲渡した事を主張できるかどうか」です。

2つのパターンの対抗要件

1. 債務者への対抗要件

対抗要件を満たしていれば、債務者へ返済の催促を行うことが可能となります。

債務者も、通知があることにより返済の義務が生じるため、譲受人からの対応に応じざるをえなくなります。

2. 第三者への対抗要件

債権はどこで誰の手に渡っているか分かりません。

そのため、第三者に対し債権を譲渡したことを主張するために、対抗要件を満たす必要があります。

債務者への対抗要件

譲渡人からの通知を行うことによって、債務者への対抗要件を満たすことが可能です。

民法第467条(引用)に「第四百六十七条 指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない」

と明記されているためです。

代理人からの通知では対抗要件は満たされないので注意が必要です。

第三者への対抗要件

第三者への対抗要件につきましては、以下のように民法で明記されています。

民法第467条(引用)

第四百六十七条  指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
第四百六十七条 第二項 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

よって、債務者以外の第三者に対する対抗要件は、以下のいずれかを行うことにより満たされます。

1.確定日付のある証書による譲渡人の債務者に対する通知
2.確定日付のある証書による債務者の承諾

また譲渡された債権が、二重譲渡されていたという場合、確定日付の早いほうではなく、内容証明郵便が先に債務者へ到達した方が優先的に返済されることとなります。

 

債権譲渡通知は超重要

債権譲渡が行われた場合には、譲渡通知を一日でも早く行う必要があります。

譲渡通知が完了しなければ債務者からの返済は勿論、第三者への対抗も出来ないためです。内容証明郵便がどれだけ早く到着するかで返済の優先順位も変わってきます。

逆に、たとえ債務者の元に突然譲渡通知が来たとしても焦ることはありません。落ち着いて対処すれば、理不尽な被害に合うことないです。

会社を運営していく上で債権譲渡の機会は少なくありません。債務者も債権者もしっかりと要点を押さえ、最善の手段をとりましょう。

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