株式会社ビートレーディング

資金ショートとは?黒字倒産を回避する方法と優先すべき支払いの順

コラム

2018.01.22

『資金ショート』は、会社の規模に関係なく突如訪れる可能性があります。
また、資金ショートは『黒字倒産』の原因にもなりえるため、数多くの経営者の皆様の頭を悩ませていることでしょう。
しかし、黒字経営なのになぜ、資金ショートや黒字倒産などが引き起こってしまうのでしょうか。
この記事では、そんな資金ショートや黒字倒産が一体どのように発生してしまうのか、その原因や、黒字倒産を回避する方法、優先すべき支払い順などの情報を徹底解説していきます。

資金ショートとはどんな状態?

資金ショートとは収支のバランスが狂い、手元に資金がなくなることです。

原因は多々ありますが、売掛金などの後払いや支払いが重なって集中したり、期待していた収入が突然入って来なくなったりした場合に発生してしまう事が多いです。

また、資金ショートは、黒字が出ている企業でも起こってしまう可能性があります。

そして、現金が手元にないことによって、仕入れ代または人件費等の支払いができない状態になるため、最終的に「黒字倒産」という結果となる原因になってしまうのです。

 

資金ショートが起きる原因

売り上げの不振

業績不振により売り上げが低下してしまった場合には、想定していた現金が入ってこなくなるため、結果的に資金ショートが起きやすくなってしまいます。

売り上げが伸びなければその分収入もありません。すると、当然ながら経費や借入返済をまかなえなくなってしまいます。

ただし、売り上げばかりに固執しすぎると、現金が不足し「黒字倒産」を引き起こしてしまう可能性も出てきてしまうため、キャッシュフロー計算書で実際のお金の動きを管理しておく事が資金ショートを防ぐポイントとなります。

売掛金回収のタイムラグ

前述の通り、どれだけ売り上げを伸ばしても、現金が不足すれば資金ショートを引き起こしてしまう可能性があります。

また、売り上げは長期の回収条件などですぐに現金化できないこともあるため、売掛金回収と買掛金支払いのバランスがとれていなければ、資金繰りの悪化を招いてしまう恐れもあるのです。

更に、売掛金は取引先の経営不振などが原因で回収不能となるケースもあるため、そのような不足の事態にも対応できるように、資金には余裕を持たせておかなくてはいけません。

売掛金を回収し、キャッシュができるまでのタイムラグには注意が必要となります。

コストが掛かりすぎている

借入金の返済などといった費用としては計上されない現金の支出が多いと、資金ショートは発生しやすくなります。

また、事務所や倉庫などの家賃、水道光熱費、月給制の人件費などの固定費の割合が多いと現金が不足してしまう可能性が高くなります。

急激な売り上げの増加に伴う運転資金の不足

売り上げが足りなさ過ぎても資金ショートを招いてしまう原因となりえますが、逆に急激に売り上げが伸びすぎた場合にも注意しなくてはいけません。

売り上げが伸びるということは、それに伴う事業拡大のための運転資金も必要となってくるということです。

そして、予想以上に運転資金がかかりすぎてしまえば現金が不足し、売掛金などが入金されるまでに資金繰りが悪化、結果的に「黒字倒産」といった結末になってしまう可能性も否定できません。

現金が不足しないように、しっかりとした事業計画の下売り上げを伸ばしていく事が資金ショートを引き起こさないポイントとなります。

税金負担による資金ショート

消費税の増税などの影響もあり、税金負担による資金ショートを引き起こしてしまう会社もあります。

また、近いうちに消費税は「10%」に引き上げられることも予想されますので、節税対策を施して資金ショートを回避しましょう。

 

資金ショートのリスク

「黒字倒産」の危険性

会社は、赤字だからといって倒産するわけではありません。会社に現金がなくなり、不渡りを起こしてしまうと倒産するのです。

むしろ、赤字でも資金が潤沢にある場合と、黒字で現金がなく、支払いに窮しているケースを比較すれば、後者のほうが倒産に近いといえます。

たとえ黒字で売り上げが伸びていたとしても、資金が不足し支払いが滞るようならば、やがては信用をなくして営業を継続していく事が難しくなります。

黒字倒産とは?

黒字倒産とは、売上が順調にもかかわらず倒産してしまうことです。

黒字とは収入が支出を上回っている状態のことをいうため、黒字倒産とは矛盾した言葉だと感じる方もいらっしゃると思います。

しかし、倒産とは借入金や仕入代金といった債務の支払ができなくなり、会社としての活動を続けていけなくなった状態になることを指すため、売り上げがあってもキャッシュ(現金)が不足すれば倒産する危機は訪れるのです。

黒字倒産の原因

では、売り上げがあるにもかかわらず、なぜ現金が不足し黒字倒産を引き起こしてしまうのか、その原因をみていきましょう。

売掛による売り上げの入金は、通常ならば「1ヶ月~3ヶ月程度」の期間を要します。

そのため、たとえその期間に利益が損益計算書に計上されたとしても、実際には現金はすぐに入金されないのです。

また、その間に仕入れなどの「支払い」が重なってしまうと、結果的に現金が不足してしまい『資金ショート』となってしまう可能性があります。

企業の財政状態を把握できる貸借対照表(バランスシート)ですが、貸借対照表では入金と出金のタイムラグがあるため、「口座や金庫にお金がない」という状況が見抜けないのです。

ですので、このような場合に黒字倒産の危険を避けるため、貸借対照表において倒産の度合いを測ることができる『自己資本比率』に注目することをおすすめします。

負債が少なく自己資本比率が高い企業であればあるほど倒産する確率は低いとされていて、自己資本比率が40%を維持できる企業は優秀であるといわれています。

「不渡り」で実質的な倒産

赤字でも倒産しない、では会社はどのような状況になると倒産するのでしょうか。

会社は現金がなく、手形の支払いができないと「不渡り」が起きます。

そして、その手形の不渡りが半年間で2回発生してしまうと銀行との取引が停止されるので、会社を経営する事が困難となり、実質的に「倒産」となるのです。

たとえ会社の経営状況が赤字だとしても、現金さえあれば手形は落ちます。

逆に黒字経営であったとしても、売掛金のタイムラグが原因で現金が不足し資金繰りが悪化すれば、手形の不渡りを起こしてしまう可能性が高まり、倒産してしまう危険性があるということです。

 

資金ショートを回避する方法

コストを削減する

資金ショートを回避する対策としまして、まず取り掛かるべきなのが「コストの削減」です。

コストの削減を検討する際には、月の固定費の中から大きな割合を占めるものを優先的に削減していきます。

中でも「人件費」や「役員報酬」などが挙げられるでしょう。

また、事業年度の途中での役員報酬の減額は基本的には認められていませんが、「経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情」がある場合は『業績悪化改定事由』に該当するため、減額を認められ損金に算入する事が可能です。

変動費の削減

変動費とは、売り上げ(生産量・販売量)に比例して増減する経費のことを言います。原材料費や仕入原価などがそれに挙げられるでしょう。

変動費を削減する場合は、一時的に変動費率を下げられないか検討します。

仕入れを減らすと、その分売り上げも減少してしまう可能性がありますが、余剰在庫があるケースなどは仕入れを減らす、もしくは停止することで、変動比率を下げる事が可能となります。

コスト削減のリスクについて

コストを削減する際には、そのリスクも考慮した上で検討しなくてはいけません。分かりやすい例でいいますと、「社員のモチベーションの低下」が挙げられます。

コストの削減でありがちなのが『人件費』の削減ですが、給与を減らせばその分従業員のモチベーションは下がり、結果的に売り上げの低下に繋がる可能性があります。

資金ショートの対策としてコストを削減するのに、人件費削減の影響で売り上げが低下し、結局は会社の経営が行き詰るならば本末転倒です。

そうならないためにも、できるだけモチベーションの低下を防げそうな給料の遅配や、シフト表などを活用した業務効率化(余剰人員の活用)などを検討してみることをおすすめします。

その他にも、「出張費削減のための金券ショップや新幹線の回数券、格安航空券などの活用」「出張費の支給を実費精算」など、比較的リスクの低いコスト削減から実施してみるといいでしょう。

コストを削減するためには、いずれにしてもリスクが伴ってしまう可能性が高いため注意が必要です。

コストの削減は融資審査に影響を与える

資金不足に伴い金融機関に借入の申し込みを行なう場合、十分にコストの削減が実施されているかが大事なポイントとなります。

融資する側からすれば「まずは自社の身を削る努力をしろ」と思うのは当然です。

資金の借入は、できる限り自社のコストを削減した上で検討しましょう。

資産を売却して、資金化する

遊休資産などを売却することにより現金を調達することも資金ショート対策方法の一つとして挙げられます。

遊休資産とは、企業が事業目的で取得した資産のうち稼働していない資産のことであり「投資用の不動産」「ゴルフ会員権」「リゾート会員権」などが該当します。

また、不動産などは固定資産税などの管理費がかかるため、活用しなければ負債と同じです。

これらの遊休資産の売却は、当然ながら資金ショートを防ぐ方法として真っ先に取り組むべき手段であるといえます。

不動産価格の下落時には注意が必要

遊休資産である不動産を売却する際には、注意すべき点があります。それは、不動産価格が低下していた場合の対処です。

不動産価格が低下し「売却損」が生じてしまうと、会社の業績が悪化し、リスケジュールの交渉時に影響を与えてしまう可能性があります。

基本的に、遊休資産の売却は真っ先に取り組むべき資金ショート対策ですが、リスケを検討している場合は、不動産の売却相場を調べておくなどの対策を施しておくことをおすすめします。

金融機関の借入金返済スケジュールを変更する

今現在借入金の返済が苦しいことを金融機関に相談し、今後の返済計画を一定期間変更してもらうことを「リスケジュール」といいます。

たとえば、毎月100万円返済していたものを、1年間その半額である50万円に減額してもらい、その差額である600万円(50万円×12ヶ月)で経営を改善していくことを目的とします。

当然ながら全ての意見を取り入れてもらえるわけではないですが、銀行としても融資先が倒産してしまい、貸付金の回収が不可能となると困るので、できる限りの相談は受け付けてくれるのです。

ただし、銀行などの金融機関はあくまで営利企業であるため、「リスケを行うことで返済できる可能性が上がり、そちら(金融機関)にも利がある」という事を、今後の事業計画などを通じて分かってもらう必要があります。

取引先の支払いを遅らせてもらう

仕入先への支払いを延期することで、一時的な支出を減らす事も一つの手段です。

実施する場合は、支払いを待ってもらっても事業の継続に影響がなさそうな取引先から交渉していくといいでしょう。

仮に、財務内容のいい取引先とそうでない取引先ならば、前者の方が事業に影響を及ぼす可能性も少なく、交渉もしやすいです。

ただし、支払いを待ってもらうということは、相手の取引先としては「デメリット」でしかないということを知っておかなくてはいけません。

そのため、いつどのように支払いができるのか、それ相応の説明は必要となります。

資金繰り表を用いて、相手が納得できるように交渉しましょう。

リスクが伴うためできれば避けたい手段

支払いを待ってもらうということは信用を損なってしまう可能性もあるので、できれば避けたい手段でもあります。

取引先からすれば「資金繰りが悪化している会社」と捉えられてもおかしくないため、今後の取引に影響を与えてしまうことも考えられます。

今その場をしのぐだけでなく、経営が改善された後のことも考慮しながら資金ショートの対策は施しましょう。

ファクタリングを行う

手っ取り早く現金を調達する方法として『ファクタリング』を利用する方法もあります。

ファクタリングとは、ファクタリング会社に売掛債権を譲渡(買い取り)し現金を手にする方法です。

融資よりも審査が早く、数日程度で現金が手に入るため、短期的な資金ショート対策としてかなり有効な手段であるといえます。

融資ではないので担保・保証人が不要!

前述の通り、ファクタリングは融資ではなく債権の譲渡(買い取り)になります。そのため、担保や保証人なしで資金を調達することが可能です。

また、万が一譲渡した売掛債権の企業が倒産し返済が不可能となったとしても、その責任が自社へ追及されることはありません。

赤字でも現金を調達可能

経営状況の悪化が原因で、資金ショートに陥っている企業も多いです。また、そのような状況では、金融機関からの借入も望み薄となります。

しかし、ファクタリングの審査は申し込み会社ではなく売掛先の会社に対し行われるので、仮に赤字経営だったとしても、すぐにでも現金が調達することができます。

 

資金ショート時に優先すべき支払い順

①手形

万が一資金がショートしてしまった場合、真っ先に優先すべきは『手形』と『小切手』です。

なぜならば、これらが半年間で2回不渡りになると銀行取引停止となり、実質的に「倒産」となるためです。

また、不渡りは理論上1回出しただけでは倒産するわけではないとされています。

しかし、実際には信用力に大きな影響が残るため、今後の会社経営に不安を残すのは間違いありません。

上記の理由から、手形・小切手の決済は最優先で行うべきといえます。

②社員の給与

削るべきコストとして、真っ先に「人件費」を挙げる方も多いかもしれませんが、それでは大きなリスクが伴います。

なぜならば、給与の低下により社員のモチベーションが下がることで、さらに業績が下がる可能性もあるからです。

「人件費を払えなければ、事業運営はできない」と考えるべきです。

③仕入れ・外注費

仕入れができなければ、そもそも事業を運営していくことは不可能です。

また、仕入れや外注費の支払いが滞れば資金繰りの悪化が取引先にばれてしまい、信用不安を生んでしまうかもしれません。

ただし、ある程度信頼関係がある取引先であれば支払いを延ばしてもらえる可能性もあるため、相手企業によって支払い順は検討しましょう。

④家賃などの経費

家賃などの経費は、多少支払いを先延ばしにしても影響は少ないです。

勿論、通常ならば期日通りに支払いを行うべきなのですが、仮に家賃を多少滞納したとしても、すぐに退去を求められることはありません。

ですが、連絡もなくただ遅延する行為は、今後のことを考えた上で望ましくないです。

遅延する場合は事前に連絡し、いつまでには支払いができるかを伝えておくようにしましょう。

 

資金繰り改善には「日繰り表」がおすすめ

資金ショートは繰り返す

一度資金ショートが起こると、複数回の資金ショートに見舞われる場合が多いです。

なぜならば、初回はコスト削減や資金調達で乗り切れたとしてもその後資金ショートを繰り返すことで社内の体制はギリギリとなり、だんだんと経営の継続が困難になっていくためです。

また、財務状況が悪化している事が流布すれば会社の信用も著しく低下し、取引にも影響します。

当然ながら金融機関からの借入も難しくなるため、改善も難しくなっていくのです。

初回の資金ショートを回避する方法が大切

資金ショートは繰り返してしまうため、資金ショートから回復するためには初回の判断が重要となります。

初めて資金ショートになった時点で、その後に影響がない資金調達の方法を選択すれば、資金ショートを繰り返す可能性は低くなるのです。

また、NG例としまして以下のような対処があります。

1.悪徳金融業者からの借入

銀行などの金融機関から借入が行えないからといって、闇金などの法外な金利がかかってしまう悪徳金融業者から資金を調達する方法は絶対にNGです。

仮に急場をしのげたとしても、その後の返済に苦しみ、再び資金ショートが起こってしまう可能性が高いです。

借入ができない場合は悪徳金融業者に頼るのではなく、『ファクタリング』などで資金を調達できないか検討してみましょう。

2.優秀な社員を解雇する

優秀な社員には高い給与を支払っている可能性が高いです。しかし、だからといって、安易にコスト削減のために解雇すべきではありません。

優秀な社員を解雇するということは、それだけの売り上げが減ってしまうということです。

また、優秀な人材というのは簡単に育つものではありません。目先のコストに縛られて、人材を簡単に解雇するのは避けましょう。

中小企業の資金繰りには「日繰り表」が役立つ

日繰り表とは、その名の通りその日のお金の動きを記している表です。

月次資金繰り表だけでは月内の資金不足に気づけないことも多いため、日繰り表を記すことにより更にお金の動きを把握し、資金ショートを防げるようになります。

また、短期的な資金繰りの計画を基に、長期的な経営計画を立てることも資金ショートを防ぐ重要なポイントとなります。

 

資金ショートは繰り返す!そうならないための対策や資金の調達

資金ショートは黒字経営でも起こってしまう可能性があり、それが倒産の原因となる可能性もあります。

大事なのは、日々のキャッシュの流れを把握しておくことです。日繰り表などを活用し、資金不足になるのを防ぎましょう。

また、資金ショートは繰り返してしまう可能性が高いため、そうならないための対策や資金調達方法を選択する必要があります。

何かを削減するにもそれぞれリスクが伴うということを知り、資金繰りが改善されたあとの業務にできるだけ影響を与えないようにしなくてはいけません。

その場の状況だけに捉われず、計画的に資金の調達や支払いを行っていきましょう。

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