株式会社ビートレーディング

運転資金とは?融資を受けるポイントや設備資金との違い

コラム

2017.11.24

会社を運営していくためには資金が必要です。
しかし、資金には『運転資金』や『設備資金』などいくつかの種類があることをご存知でしょうか?
それぞれの資金の特徴や違いは、各金融機関で融資を受ける際に非常に重要な知識となります。
この記事では、そんな運転資金の融資を受けるポイントや、設備資金との違いを徹底解説していきます。

運転資金とは?

運転資金とは、通常の業務を続けていくうえで必要となる資金です。

また、ビジネスを展開していくためには開業するための『開業資金』と、経営を継続していくための『運転資金』が必要となります。

運転資金はなぜ必要

通常、会社を運営していく中で、売り上げが入金されるタイミングと仕入れ代金を支払うタイミングは異なります。

基本的には、掛け売買にて取引を行うためです。

例えば、1月に100万円分の仕入れを行い110万円を売り上げたとしても、その支払いが行われるのは翌月である2月となります。

そのため、この間の仕入れ代金や諸経費の支払いに対して運転資金が必要となるのです。

また、業務を行っていく上で必要となる車両や機械などの購入のためにも、運転資金が必要となるケースもあります。

 

運転資金・運転資本と設備資金の違い

設備資金とは?

設備投資とは、土地や建物、機械など長期的に使用する固定資産購入のために用いられる資金であり、場合によっては開業時に必要となる事もあります。

また、設備資金は「数千万円」といった多額の資金が必要になるケースもあるため、その点も考慮しておきましょう。

運転資金と設備資金の違い

設備資金とはスポット的に発生する資金であり、運転資金とは異なり設備資金は「見積書・契約書」が必要となります。

見積書と契約書を作成するのは、正確な金額で融資を申し込み、融資を受けた後の資金不足などを防ぐためです。

また、設備資金は以下のようなケースで用いられます。

1.車や機械の購入

2.店舗内装

3.事務用品の購入

4.自社ホームページの作成

5.事務所などの店舗賃貸にかかる不動産初期費用

など。

逆に、運転資金とは継続的に発生する経費であり、以下のようなケースで必要となります。

1.商品の仕入れ

2.消耗品

3.広告費

4.外注費

5.人件費

6.地代家賃

など。

銀行などで融資を受ける場合に提出する「創業計画書」を作成するためには、「設備資金」と「運転資金」の内訳を知っておく必要があります。

 

運転資金の計算方法

設備資金は必要な金額がハッキリしていることが多く、そのため融資金額も的確に提示することができます。

しかし、運転資金の場合はそうはいきません。

自身で計算を行い、必要な運転資金の金額を算出する必要があります。また、運転資金を計算する「ベース計算式」は以下の方法を用います。

運転資金ベース計算式

運転資金=売掛債権残高(売掛金・受取手形)+棚卸資産残高-仕入れ債務残高(買掛金・支払手形)

売掛債権残高は売掛金や受取手形など、売上金ではありますが、その中でも現金化されていない売り上げのことを指します。

棚卸資産残高とは、仕入れを行った後のまだ売り上げていない在庫などの金額です。

この「売掛債権残高」と「棚卸資産残高」を足した金額から、入金予定である「仕入れ債務残高(買掛金・支払手形)」を差し引いた金額が『運転資金』となります。

各回転率の計算

会社が使っている資金がどれだけ効率よく流れているかを知るためには「資金の回転率」を算出します。

今利用している資金がどれくらいの売り上げを上げているかを知るためにも、資金の回転率の計算方法を知っておきましょう。

各回転率の計算方法は以下の通りとなります。

①売掛債権回転率:計算方法
売掛債権回転率=売上高÷売掛債権(売掛金・受取手形等)

売掛債権回転率は、売上債権が少ないほど回転率は向上し効率的となります。

例で言いますと、

「売上高2,000÷売掛債権1,000=売掛債権回転率2」「売上高2,000÷売掛債権400=売掛債権回転率5」

となり、売掛債権の少ない右記の方が、売掛債権回転率が高い事が分かります。

②棚卸資産回転率:計算方法
棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産

棚卸資産回転率の場合、棚卸資産が少ないほどその回転率は向上します。

例で言いますと、

「売上高2,000÷棚卸資産1,000=棚卸資産回転率2」「売上高2,000÷棚卸資産400=棚卸資産回転率5」

となり、こちらも売掛債権回転率と同様、棚卸資産が少ない右記の計算式の方が回転率が高い事が分かります。

③仕入債務回転率:計算方法
仕入債務(買掛債務)回転率=売上原価÷仕入債務(買掛金・支払手形)

仕入れ債務回転率は、仕入れの支払いにどれくらいの時間がかかるのかを表します。

回転率が低ければ、それだけ仕入れの支払いに時間がかかるということなので、回転率は高い方が望ましいです。

また、仕入れ債務回転率は、1年などの短い期間の仕入れ債務などで計算すると経営判断を見誤る恐れがあるため、極力過去の2~3年程のデータから分析を行うことをおすすめします。

各回転期間の計算

①売上債権回転期間:計算方法
売上債権回転期間(月)=(売掛金+受取手形残高)÷(売上高÷12)

売上債権回転期間は、商品を販売してから売上債権を回収するまでにかかる期間を、月数または日数で示した指標です。

当然ながら、回収するまでの期間が短いほど望ましいです。

例としまして、売上高2,000、売掛金300、受取手形残高200という状況を仮定し、期間を計算してみましょう。

(売掛金300+受取手形残高200)÷(売上高2,000÷12)=売上債権回転期間3.0

上記の状況である場合、売上債権回転期間は、約3.0ヶ月となる事が分かります。

②棚卸資産回転期間:計算方法
棚卸資産回転期間(月)=棚卸資産残高÷(売上原価÷12)

棚卸資産回転期間は、期間が短ければ短いほど在庫である期間が短いことを表します。

また、逆に過剰在庫が存在している場合だと、棚卸資産回転期間は長くなってしまいます。

例としまして、売上原価1,000、棚卸資産200という状況を仮定し、期間を計算してみましょう。

棚卸資産残高200÷(売上原価1,000÷12)=棚卸資産回転期間(月)2.4

上記の状況である場合、棚卸資産回転期間は約2.4ヶ月である事が分かります。

③仕入債務回転期間:計算方法
仕入債務回転期間(日)=365÷仕入債務回転率

仕入債務回転期間は、仕入債務回転率を期間で表している指標です。仕入債務回転期間を見れば、仕入れ債務が売上高の何日分あるのかということがわかります。

また、仕入れ債務回転期間を算出する場合、まず仕入債務回転率を計算し、日数である365で割ります。

すると、仕入れ債務回転期間を割り出す事が可能です。

 

運転資金はどこで受けられる?

銀行

銀行では、様々な運転資金を融資してもらう事が可能です。

営業活動を継続的にするために必要な資金は勿論のこと、役員賞与や納税のために必要となる資金に関しても融資の相談を行うことができます。

ただし、銀行もビジネスでお金を貸し付けているため、誰でもお金を融資するわけではありません。

運転資金を借り入れるためには、融資を受ける理由や適切な融資金額、返済期間などを銀行へしっかりと伝える必要があります。

また、返済が長引けば、その分金利などのコストもかかってくるので注意が必要です。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、政府系の金融機関です。

融資の相談がしやすく、仮に融資を断られたとしても、事業のアドバイスなどを受けることも可能となっています。

また、銀行などと比較し、金利が圧倒的に低いのが日本政策金融公庫の大きな魅力です。

その金利は、最大でも「2.8%程度」とかなりの低さとなっています。

ただし、日本政策金融公庫は保証人を必要としたり、審査に時間がかかったりするデメリットもあるので、メリットばかりというわけでもありません。

融資を受ける際のリスク

運転資金は、調達できたところがゴールではありません。

受けた融資はその後しっかりと完済する義務があるため、運転資金は計画的に利用していく必要があります。

また、融資を受けたことによって発生するリスクもあります。例えば、売り上げの増加です。

売り上げが増加するということは、売掛債権の回収リスクが高まることとなります。

そのため、しっかりと資金の流れをコントロールしなければ現金が不足し、資金繰りが行き詰まってしまう可能性もあるのです。

他にも、仕入れの増加に伴って起こりやすい在庫過多になるリスクもあるので、それらのリスクにもうまく対応しつつ、会社は運営していかなくてはいけません。

 

銀行で運転資金の融資を受けるには

ポイント

①いくら必要なのかを説明できるようにする

運転資金の融資を受けるために、まずはどの程度の融資が必要かを説明できるようにしましょう。

この際に注意しなくてはいけないのは、漠然とした金額ではなくより正確な金額を提示することです。

必要な運転資金は一般的な業種である場合(建築業以外)、「在高方式」という計算式で算出する事が可能です。

経営運転資金=(受取手形+売掛金+棚卸金)-(支払手形+買掛金

在高方式で必要な運転資金を算出して、その数値を目安としましょう。

②なぜ必要なのかを説明する

運転資金は、

1.経営運転資金

2.増加運転資金

3.減少運転資金

4.季節運転資金

5.設備未払い金決済運転資金

などに分けられます。

会社がどのような運転資金を必要としているかを説明できるようにしましょう。

③いつまでに借り入れが必要になるか

借入がいつまでに必要となるか、しっかりと明示することも融資の可否に繋がります。

はっきりと「○○のための運転資金が、□月△日までに必要」と伝えることができるようにしましょう。

④いつまでに返済できるか

受けた融資は、計画的に返済を行う必要があります。ただ漠然と最長の返済期間に設定することは、コストなどの面でもあまりおすすめできません。

また、運転資金の使い道が賞与支払いなどの「季節運転資金」ならば、次回以降も融資を受けることを考えた場合、返済期間は「6ヶ月」または「12ヶ月」に設定する必要があります。

返済計画は完済することだけを考えるのではなく、今後も融資を受けることを考慮したうえで立てるようにしましょう。

事業計画書の必要事項

①損益計画及び資金繰り計画が必要

事業計画書には『損益計画』と『資金繰り計画』を盛り込む必要があります。

また、計画は半年~1年間の計画を用意しましょう。

②返済の見通し

事業計画書には、融資を受けたあとの返済の見通しも記載します。いつ、どこから入金があるのかを明記しておくことが重要です。

③必要運転資金額

必要な運転資金の内訳を記載します。

運転資金借り入れ可能の目安

運転資金の融資を受ける場合は、申し込みを行うタイミングによって借入可能額の目安が異なってきます。

例えば、創業時に融資の申し込みを行う場合は、創業資金額の9割程度が目安となります。

事業を継続していく上では月商を目安とし、借入総額は月商の3ヶ月から4か月以内に抑えるのが健全です。

「運転資金が不足しているから」といって、目安を無視した融資金額を提示しないよう気をつけましょう。

 

日本政策金融公庫から運転資金の融資を受けるには

ポイント

日本政策金融公庫から運転資金の融資を受けるには、

1.いくら必要か

2.なぜ必要か

3.いつまでに借り入れが必要か

4.いつまでに返済できるか

といった内容を「書面」で説明する必要があります。

また、場合によっては日本政策金融公庫から保証人を立てるようアドバイスを受ける可能性もあるので、保証人が必要となる点は融資を申し込むうえで予め考慮しておきましょう。

 

銀行・日本政策公庫に融資を断られたら?

 

ビジネスローンの利用

銀行や日本政策公庫以外にも運転資金を調達する手段はあります。そのうちの一つが『ビジネスローン』です。

ビジネスローンは、銀行や日本政策金融公庫に比べて審査に通りやすいという特徴があります。

そのため、銀行または日本政策金融公庫の審査に落ちてしまった方でも、ビジネスローンならば審査に通過できる可能性があります。

しかし、その反面ビジネスローンは金利が高く、更に返済を伴うため、長期的にみるとキャッシュフローに影響が出る可能性もあるため、利用時にはそれらのデメリットも考慮した上で利用しなくてはいけません。

ファクタリング業者の利用

ファクタリング業者とは、売掛債権を買い取る業者です。

ファクタリング業者を利用すれば、支払い期限を待たずとも売掛債権を引き取ってもらうことにより、最短ならば即日で売掛債権を現金化することができます。

また、ファクタリングは融資に比べて審査が甘く、自社の業績があまり審査に影響することもないので、短期的な資金の調達には効果的な手段です。

ただし、ファクタリングは手数料が高め(相場は約5~25%)であるため、あまり多用しすぎないことをおすすめします。

 

経営を継続していくために運転資金を知る

会社を経営していくにあたり、運転資金は必要不可欠です。

しかし、運転資金の融資を受けるには、運転資金の内容や最適な計算方法、設備投資との違いなどを知らなくてはいけません。

ただ漠然と「運転資金」と一括りにするようであれば、融資を受けることができる可能性は低くなってしまうでしょう。

大事なのは、融資を申し込む金融機関に対し、運転資金が必要な理由と金額をはっきりと提示できるようになることです。

まずは、今回ご紹介した計算方法を利用し、必要な運転資金を算出してみましょう。

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