ファクタリングと手形割引の違いとは

企業が資金を調達できる手段は決して少なくありません。また、その中でも『ファクタリング』と『手形割引』はシステムが似ているので、かなり間違えやすいです。
しかし、実際のところ両者は特徴の異なる資金調達方法となっています。
ここでは、理解を深めていただくために、手形割引とファクタリングの概要を述べつつ、違いについて徹底解説していきます。

手形割引とは?

手形割引とは、支払期日(最短で受け取れる期日)が先の約束手形を金融機関(銀行・手形割引業者)で資金化(換金)することです。
手形取引は掛取引よりも法的拘束力が強く、なおかつ支払企業にとっては支払いサイトを伸ばしやすいメリットがあるため、現在でもよく使用されている取引方法です。
しかしながら、受取企業は支払期日までにその分の資金が手元にない状況に置かれるため、資金繰りに困窮した時によく利用されるのが、期日前であっても約束手形を資金化できる『手形割引』です。

約束手形とは

約束手形とは、手形で決済する際に取引先企業と「いつまでにお金を支払う(受け取る)」ということを約束した有価証券です。
たとえば、とある宝石店がメーカーから4月1日に100万円の宝石を仕入れたとしましょう。
しかし、この宝石店には現在100万円の宝石を仕入れる資金がなく、できればその購入した宝石を販売したあとに発生する売上で仕入れ費用を払いたいと考えています。
そこで登場するのが、『約束手形』です。
宝石店が、仕入れた日から3ヵ月後である7月1日に100万円を支払うことを確約した約束手形を振り出すことで、メーカーはその手形を期日に銀行に持っていくことにより、その売上金である100万円を引き出す事が可能となります。
手形を振り出した振出人(宝石店)が手形代金を受け取る受取人(メーカー)に対し、一定期日に支払いをすることを約束した証券が約束手形です。

約束手形は受取人の了承が必要

一部上場企業など、資金を潤沢にもっている企業は約束手形を必要とするケースが少ないです。
しかし、その他の自転車操業にて経営を行っているような中小企業は、資金繰りもギリギリであるため、約束手形を利用する機会が多くあります。
ただし、約束手形には「受け取った側(受取手形)は、期日を迎えるまで現金が手に入らない」というデメリットもあるため、今回の例で言えばメーカーにもある程度の経済的体力が必要となるため、場合によっては約束手形を了承されない場合もあります。

手形割引の仕組み

上記の例でいえば、100万円分の約束手形を金融機関に持ち込むことにより、期限を持たずとも資金を調達する事が可能となります。
ただし、受け取れるのは手数料や利息などが差し引かれた(割引された)金額です。
仮に100万円の約束手形を銀行に持ち込み、年利が5%とするならば、受け取れる金額は「100万円-5%=95万円」となります。
また、手形割引には審査があるため、金融機関では割引を受けられないケースもあります。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に買い取ってもらう金融サービスです。

手形と同様に、売掛金も支払期日が到来するまではその分の資金が手元にないため、不測の事態が起きた際や資金繰りに困窮した時に、よく利用される調達方法です。
また手形割引と同様にファクタリングをする際も、ファクタリング会社が買い取った売掛金から手数料が差し引かれることになります。
ファクタリングを依頼した企業は、手数料が差し引かれた金額を受け取ることになります。

ファクタリングと手形割引が混同されてしまうのは?

ファクタリングと手形割引が混同されるのは、システムがある程度似通っていることが挙げられます。
例えば、売掛金と約束手形(受取手形)は売掛債権に該当しますし、双方とも該当する金融機関や業者(会社)にて期日前に資金化することができます。
また、どちらも手数料(手形割引は利息なども込み)が差し引かれた金額分が資金化されますし、売掛先の審査も必要とされるからです。
このように似通った点が多いため、ファクタリングと手形割引は混同されてしまうのです。

ファクタリングと手形割引の違い

手形割引とファクタリングは、支払期日前に資金化される共通点があるため、混同して語られることが多いです。
以下では、手形割引とファクタリングの違いを詳しく解説していきます。

リスクの有無

手形割引とファクタリングでは、それぞれを利用するにあたって負ってしまうリスクの有無という違いがあります。
以下では、どういうリスクを負うことになるのかを詳しく解説していきます。

手形割引

手形割引は金融機関(銀行・業者)が手形を買い取って現金化しているため、厳密に言えば手形の売買なのですが、手形を割り引く際に、金融機関と割引依頼人(約束手形の保持者)の間で銀行取引約定書などの特約を交わしています。
そのため、割り引いた手形が不渡りになった際には、割引依頼人に不渡手形の買い戻しを請求します。
つまり、割り引いた手形が不渡りになった時には、振出人(支払企業)の代わりに負債を抱えることになり、その分を弁済しなければならないのです。

ファクタリング

ファクタリングは、依頼した企業が債権の譲渡をして資金化した後に売掛金を売掛先から支払われずに、結果としてファクタリング会社が売掛金を回収できなくても、依頼した企業がファクタリング会社に代わりに弁済する必要がありません。
ですが、これはあくまでノンリコース(償還請求権なし)の2社間ファクタリングの契約を交わしたときにだけで、なおかつノンリコースは手数料が高くなるデメリットがあります。

担保・保証人の有無

ファクタリングと手形割引では、担保や保証人の有無も違いの1つとなります。
以下では、手形割引とファクタリングを利用する際に担保や保証人が必要なのか、その詳細を見ていきます。

手形割引

リスクの有無でご紹介したような性質を持つことから、手形割引は融資と見られていて、実際に金融機関にとっては融資方法の1つとされています。
そのため、銀行によっては手形割引を依頼する際には、保証人や担保、保証協会への保証料を求められることがあります。
手形割引業者であれば担保や保証人、保証料が不要の場合が多いですが、一方で割引率が高くなってしまう特徴があります。

ファクタリング

ファクタリングはあくまで債権の譲渡であるため、利用するのに担保や保証人は一切不要です。
ですので、もしも担保や保証人を求められたら、十中八九悪徳業者と言えるでしょう。
また、仮に売掛債権を担保にした貸付の話をファクタリング会社が持ちかけたら、その場合も十中八九悪徳業者の可能性が非常に高いです。
そういった場面に遭遇したら、すぐに手を引くようにしましょう。

審査

手形割引とファクタリングでは、審査する対象が異なります。
以下にて、どういうところに審査の重点が置かれているのかを見ていきます。

手形割引

銀行の場合の審査対象は、割引依頼人と振出人(支払企業)のそれぞれの信用力です。
銀行にとっては、通常の融資方法よりも手形割引の方がリスクは低いとされていますが、それでも審査は厳重に行うため、審査は非常に厳しいと言わざるを得ません。
銀行は、振出人が支払期日までにきちんと代金を支払えるのか、そして仮に不渡りになったとしても、割引依頼人に弁済能力があるのかを調査し、総合的に手形を割り引くのかどうかを判断します。
割引依頼人と振出人、一方でも債務超過や税金の未払いなどが原因で信用力がないと判断されれば、審査に落ちることになります。
一方で手形業者の主な審査対象は売掛先の信用力のため、銀行の審査よりも通りやすいと言われていますが、手数料は高いです。

ファクタリング

ファクタリングの審査は、売掛先の信用力に重点が置かれています。
売掛先が売掛金をきちんと支払ってくれるのかどうかを調査し、確実に回収できる確率が高いほど、ファクタリング審査に通りやすくなり、なおかつ手数料が低くなる一因にもなります。
また、そもそもとしてファクタリングの方が審査に通りやすいとされています。
しかしながら、さすがに売掛先の信用力があまりに低いと判断されたら、買い取ってくれません。よしんば買い取ってもらったとしても、掛け目が低く手数料が高いという結果になるかもしれません。
もしも売掛債権を複数保有していたら、売掛先の信用力が高い債権を選定した方が無難でしょう。

資金化までのスピード

資金化までのスピードも、手形割引とファクタリングでは異なります。
それぞれの方法を利用することで、どのくらいの期間で資金を得ることができるのか、その詳細を解説します。

手形割引

銀行の場合は1週間程度、業者の場合は最短即日で資金化することができます。
担保の有無や審査対象の違い、そして銀行の場合は手形割引に慎重を期しているため、銀行と業者で資金化までのスピードに開きがあることを考えられます。
手形割引の場合、銀行にお願いして断られたとしても、業者に依頼することで資金化できる可能性があり、二段構えで臨むことができます。
ですが、その場合だと早期に資金調達できないので、すぐに資金が欲しい場合には、二段構えではなく最初から業者に依頼した方が良いかもしれませんが、銀行の方が手数料は安いので、判断に迷うところかもしれません。

ファクタリング

2社間ファクタリングであれば最短即日〜3日、3社間ファクタリングであれば最短2日〜5日ほどで、資金化することができます。
2社間ファクタリングでは、申し込み企業とファクタリング会社とのやり取りになるので、必要な提出書類などを揃えるのに手間取らなければ、早期に資金調達をすることが可能です。

3社間ファクタリングでは、売掛先の承諾だけでなく、必要書類も提出してもらうなどの工程を踏まなければならないため、2社間と比較すると資金化までのスピードは遅いと言わざるを得ません。
ですが、手数料が低い上に1週間以内に調達することができます。
これだけのスピードを実現できるのは、審査のスピードが早いということが主な要因として挙げられます。

手数料

ファクタリングおよび手形割引は、利用するにあたって必ず手数料(手形割引には利息も込み)が発生してしまいます。
以下では、手数料(手形割引では割引率)の相場を比較していきます。

手形割引

手形割引率の相場は、

都市銀行 1.5~3.0%
普通銀行 2.0〜3.5%
信用金庫 2.5〜4.5%
信用組合 3.5〜5.5%
手形割引業者 3.0〜20.0%

上記のようになるのですが、銀行と業者で差があるように思われるかもしれません。
先程ご紹介したように銀行の場合は特に審査が厳しいのですが、それだけ手形を割り引くことに慎重を期していると言えます。
反面、上述したように手形業者の審査は比較的通りやすいのですが、手数料はどうしても高くなってしまいます。

ファクタリング

ファクタリング手数料の相場は、

  • 2社間ファクタリング:10%〜30%
  • 3社間:1%〜10%

になります。
2社間と3社間で手数料の相場が上記のように異なるのは、リスクの大小が関係しています。
ですが、どちらのファクタリングであっても、先述したように資金化までのスピードは早いので、売掛先の承諾が取れるかどうかが焦点になってくるでしょう。

ファクタリングと売掛金のどちらが良いのか?

そもそもとして、ファクタリングは売掛金を、手形割引は約束手形を資金化する資金調達方法です。そのため、同じ土俵で比較することはできません。
ですが、上述したような違いは、それぞれのメリットを示す内容であります。
それぞれのメリットを理解した上で、取引先(売掛先)との関係にもよりますが、今後の取引は掛取引や手形取引のどちらが良いのかを、状況によって判断する材料になるのではないでしょうか。

両方を持っていたら

もしも売掛金と約束手形の両方を保有していたら、どちらを資金化するのが良いのでしょうか。
その時の状況にもよりますが、審査に通る自信があれば、コスト面から言っても手形割引がオススメです。
しかしながら、手形は売掛金よりも支払いサイトが長く設定されているため、その間に売掛先の経営が悪化してしまう恐れがあるため、不渡りのリスクは常に付きまとうことになります。

資金の調達はリスクの少ないファクタリングがおすすめ!

ファクタリングは、

  • リスクを負いたくない
  • いつでも早期に資金調達できる体制を整えておきたい

などの企業にオススメです。
手形割引は、そもそもとして支払いサイトが売掛金よりも長めに設定されていますし、自社の信用調査も審査対象になるため、そもそもとして資金化できる確率が低いです。
また、業者に依頼したとしても不渡りリスクは付きまとうため、最悪の場合は、自社の倒産も覚悟しなければなりません。
ですが、債還請求権のない(ノンリコース)ファクタリングは、手形割引と比べれば非常にリスクの少ない資金調達方法です。
そして、ファクタリングの手数料は高く感じるかもしれませんが、手形割引の審査はそもそもファクタリングと比較するときびしめであり、金融機関を頼らず審査のゆるい民間の手形割引専門会社を利用する場合は、20%程度の手数料を取られるケースもあります。
低リスクで資金を調達することを望むならば、ファクタリングを活用しての資金調達がおすすめになります。

まとめ

ファクタリングは売掛金を、手形割引は約束手形を資金化する方法なので、一概に比較することはできませんが、ご紹介したことが具体的な違いになります。
どちらも保有している際には、状況によってファクタリングにするのか、もしくは手形割引にするのか選定しましょう。
ぜひ、参考にしていただきたいです。

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