
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、売掛金を早期に資金化する資金調達の方法で、売掛金の未回収リスクを軽減することもできます。
ファクタリングを利用すると、取引先から売掛金が入金される支払期日よりも前倒しで資金が得られ、売掛金の未回収リスクも軽減できるので、資金繰りの改善に役立ちます。
経営者なら必ず知っておくべき資金調達の手段といえますが、ファクタリングを誤解して、ネガティブなイメージを持っている方も少なくありません。
そこで本記事では、ファクタリングとは何か、基本的な知識からわかりやすく解説します。
本記事のポイント |
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・ファクタリングとは何か基本から理解できる ・仕組みや費用など具体的な情報を網羅 ・ファクタリング利用の注意点や活用ポイントも解説 |
「ファクタリングとは何か知りたい」
「資金調達の手段を増やしたい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、「ファクタリングとは何か?」の基礎知識はもちろん、なぜ役立つのか、どうやればよいのか、体系的に理解できるようになります。
失敗しないための注意点も把握できるので、疑問や不安も解消できるはずです。
ファクタリングの知識を身につけて、資金繰りに余裕を持ち、健全な経営を実現していきましょう。


目次
1. ファクタリングとは?基本の知識

最初にファクタリングとは何か、概要から解説します。
1-1. ファクタリングとは売掛債権を買い取ってもらい資金化すること
冒頭でも触れましたが、ファクタリングとは売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、資金化する資金調達の方法です。
1-1-1.売掛債権とは?
売掛債権とは、商品やサービスを販売(納品)した後に、代金を請求する権利のことです。
簡単にいえば「売掛金を受け取る権利」が売掛債権となります。
売掛金は掛取引(信用取引)を行うと発生します。
掛取引とは、簡単にいえば「請求書による後払い」のことです。
事業者同士の取引の多くは掛取引で行われますので、事業を行っている方にとって掛取引はおなじみかと思います。
1-1-2.掛取引の問題点
掛取引の問題点は、商品やサービスを販売してから、その売上金が入金されるまで、タイムラグがあることです。
たとえば、支払サイトが「月末締め翌々月末支払い」の場合、4月10日に納品した商品の売上代金が入金されるのは、6月30日になります。
納品から入金までの間に、2か月以上のタイムラグが生じるわけです。
1-1-3.ファクタリングを利用すると売掛金の入金予定日より先に資金化が可能
「売掛金が入金されるのは6月30日だけれど、それよりも早く欲しい」
こんなときに利用されるのがファクタリングです。

売掛金の入金期日より前のタイミングで、ファクタリング会社に売掛債権(売掛金)を買い取ってもらうと、早期に売掛金を資金に換えることができます。
▼ ファクタリングのイメージ図

※詳しい仕組みは後ほど「3. ファクタリングの仕組み」にて解説しますので、続けてご覧ください。
1-2. 違法でも怪しい手法でもなく経営者なら知っておくべき資金調達の手段
ファクタリング自体は以前からある手法ですが、悪いイメージを持っている人も少なくありません。
その理由は、悪質な業者が目立っていたためです。
たとえば暴利ともいえる高額な手数料を取る、ファクタリングと偽って実態はヤミ金融、といったケースもありました。
しかし近年(とくに2010年代以降)には、デジタル技術やクラウド契約などを活用する、クリーンで新しいフィンテック系のファクタリング会社が主流になっています。
昔のネガティブなイメージは払拭され、低コストで活用できる新しい資金調達の手段として、ファクタリングの実用性が高まっているのです。
ファクタリングは、違法でも怪しい手法でもありません。
経営者なら知っておくべき資金調達の重要な手法といえます。
※ファクタリングの法的な解説は【「ファクタリングは違法ではなく合法」ただし違法業者には注意が必要】の記事で詳しく解説しています。
あわせてご覧ください。
1-3. コロナ禍などの有事を乗り越える手法としても注目
フィンテック系のファクタリング会社の台頭とともに、ファクタリング会社に注目が集まった出来事として「コロナ禍」がありました。
誰も想定し得なかった有事にあって、銀行融資や助成金の支給を待っていては、会社が潰れてしまう——。
そんな資金繰り悪化の緊急事態を、ファクタリングによって乗り越えることができた経営者は、少なくありません。
実際に、日経新聞などの大手メディアでも、ファクタリングが頻繁に取り上げられています。
- 日経新聞 2021年1月28日「新型コロナ: 中小の資金繰りに新手法 受注時に売掛債権を資金化」
- 日経新聞 2021年12月8日「「補完金融」コロナで急増 売掛債権売却で資金調達」
1-4. 売掛債権の買取以外にもあるファクタリング
さて、ここまで一般的に「ファクタリング」といったときに意味する「売掛債権の買取型のファクタリング」について、ご説明してきました。
一方、ファクタリングには売掛債権の買取以外の手法も存在します。
ここで整理しておきましょう。
1-4-1.保証型ファクタリング
保証型ファクタリングとは、売掛債権を買い取ってもらうのではなく、売掛債権の保証をファクタリング会社に依頼することです。
簡単にいえば「売掛債権にかける保険」のようなものです。
ファクタリング会社に保証料を支払って「保証契約」を締結し、万が一売掛先企業の倒産などで売掛債権を回収できなかった場合に、ファクタリング会社から保証金額が支払われます。
同じファクタリングという用語で呼ばれますが、売掛金を早期に資金化することが目的の買取型ファクタリングとは根本的に異なるものです。
混同しないように注意しましょう。
※詳しくは「保証ファクタリングの仕組み!メリットと買取型との違いを解説」をご覧ください。
1-4-2.注文書ファクタリング
注文書ファクタリングとは、すでに請求書を発行済みの売掛債権ではなく、これから着手する予定の将来債権をファクタリング会社に買い取ってもらうファクタリングです。
通常のファクタリングは「請求書」を売却するイメージですが、注文書ファクタリングは「注文書」を売却するイメージになります。
※詳しくは「注文書ファクタリング(注文書買取)」をご覧ください。
1-4-3.診療報酬ファクタリング
診療報酬ファクタリングとは、医療機関が保有する診療報酬債権をファクタリング会社に買い取ってもらうファクタリングです。
診療報酬とは、診療所や病院、薬局が行った医療サービスに対して「国民健康保険団体連合会」や「社会保険診療報酬支払基金」から支払われる報酬のことで、報酬が発生してから支払いまで2〜3か月かかります。
この診療報酬債権を早期に資金化できるのが診療報酬ファクタリングです。
診療報酬ファクタリングは、通常のファクタリングよりも低い手数料で利用できます。
診療報酬債権は請求先が「国民健康保険団体連合会」や「社会保険診療報酬支払基金」のため、未回収リスクが少ない優良債権だからです。
※詳しくは「診療報酬ファクタリング」をご覧ください。
1-4-4.介護報酬ファクタリング
介護報酬ファクタリングとは、介護事業者が保有する介護報酬債権をファクタリング会社に買い取ってもらうファクタリングです。
介護報酬とは、介護施設や事業者が行う介護サービスに対して介護保険制度により支払われる報酬のことです。
前述の診療報酬に準じて介護報酬と呼ばれます。
介護報酬の支払いには約60日かかりますが、介護報酬ファクタリングを利用することで早期に資金化できます。
介護報酬の請求先は「国民健康保険団体連合会」のため、前述の診療報酬ファクタリングと同様に低額の手数料で利用できます。
※詳しくは「介護ファクタリングとは!メリットとおすすめな会社を比較」をご覧ください。
1-4-5.補助金・助成金ファクタリング
補助金・助成金ファクタリングとは、補助金・助成金の交付決定を受けた企業が利用できるファクタリングです。
補助金・助成金の交付決定から入金までは通常3〜4か月かかりますが、ファクタリングを利用することで入金サイトを大幅に短縮できます。
※ファクタリングの種類について詳しくは「ファクタリングの種類を解説|2契約6種類の特徴とメリットデメリット」の記事で詳しく解説しています。
2. 何のためにファクタリングを利用する?その目的

さて、通常のファクタリング(売掛債権の買取型ファクタリング)に話を戻しましょう。
「ファクタリングとは、どんなもの?」のイメージは、ここまでの解説でつかめてきたところかと思います。
ここからは、何のために、なぜファクタリングが使われるのか、具体的な活用シーンについて解説していきます。
2-1. 入金サイトを短縮して資金繰りを改善するために利用する
何のためにファクタリングを利用するのか一言でいうなら、
「入金サイトを短縮して資金繰りを改善するため」
です。
とくに、ファクタリングが真価を発揮する活用シーンとして挙げられるのが「黒字倒産の危機が迫っているとき」です。

たとえば、上の図では、売上はしっかり立っていて入金予定があるものの、資金繰りがうまくいっていません。
会計帳簿上は黒字なのに、手元資金が不足して倒産する「黒字倒産」の危機です。
黒字倒産とは? 帳簿上の損益計算では利益を計上しているにもかかわらず資金繰りが困難になり、資金(キャッシュ)不足により債務の支払いができなくなって会社が存続できなくなること。 |
「9月30日に入金予定の資金が、早く手に入れば助かるのに……!」
と思うところですが、それを叶えるのがファクタリングです。

9月30日に入金予定だった売掛金を、ファクタリングによって早期に資金化することで資金ショートを防ぎ、黒字倒産の危機を脱することができました。
2-2. 融資にはない「利便性」と「安心感」
資金調達の方法といえば「銀行融資」が最も一般的です。
銀行融資ではなく、あえてファクタリングを利用する価値は何か?
といえば、融資にはない利便性と安心感が挙げられます。
2-2-1.ファクタリングの利便性
ファクタリングは、銀行融資と違って自社の決算書や事業計画書、資金繰り表などを提出する必要がありません。
ファクタリングの審査対象は自社ではなく売掛債権で、売掛債権に問題がなければ(たとえ自社に問題があっても)審査に通るからです。
回収が遅れている不良債権や売掛先企業の支払能力に信頼性がない場合などを除いて、通常の売掛債権であれば、買い取ってもらえます。
ファクタリングは、申し込みから入金まで最短即日ですから、利用者から見て使い勝手のよいサービスです。
2-2-2.ファクタリングの安心感
ファクタリングは、借入金ではない(負債を抱えない)という安心感があります。
「借金はしたくないけれど、キャッシュが必要」
というニーズに合うのがファクタリングです。
負債ではありませんから、決算書の貸借対照表(B/S)で負債の部(借入金)が増えることもありません。
決算書を銀行や投資家などに提出する予定があり、決算書の数字をよい状態にしておきたいとき、悪影響のないファクタリングは安心して利用できます。
また、借入は負債ですので、売掛先が倒産して売掛金が回収できない場合であっても、返済期日に返済が必要になりますが、ファクタリングは負債ではありませんので、弁済の必要がないことがほとんどです。
こういった売掛金の回収リスクを軽減できることも借入にはない安心感といえます。
※ファクタリングのメリットについて詳しくは「ファクタリングのメリット・デメリットとは?適したケースや注意点も解説」の記事で解説しています。
あわせてご覧ください。
2-3. 法人だけでなく個人事業主も利用しやすい
ファクタリングは、法人だけでなく個人事業主も利用しやすい利点があります。
というのは、数万円〜の少額でもファクタリングは可能だからです。
買取可能金額はファクタリング会社によっても異なりますが、ビートレーディングの場合は、買取可能金額は無制限です。
これまでに【3万円〜7億円まで】の買取実績があります。
「銀行融資を受けるほどではないけれど、少額の資金を調達したい」
といったときにファクタリングが役立ちます。
※個人事業主の利用について詳しくは「ファクタリングを個人事業主で利用できる3つのケースとおすすめ8選」の記事で解説しています。
あわせてご覧ください。
3. ファクタリングの仕組み

ファクタリングの仕組みはどうなっているのか、具体的な中身を見てみましょう。
3-1. ファクタリング会社と「債権譲渡契約」を締結
ファクタリングを利用するためには、ファクタリング会社とファクタリング契約を締結しますが、その中身は「債権譲渡契約」です。

自社が持っている売掛債権を、ファクタリング会社に譲渡する契約を結びます。
有償での譲渡なので、締結する債権譲渡契約は売買契約でもあります。
※ファクタリングの契約について詳しくは「ファクタリングの契約は必須!契約書の内容・確認ポイントを徹底解説」の記事で解説しています。
あわせてご覧ください。
3-2. 売買代金の決まり方
「売掛債権をいくらで売買するか?」
の売買代金は、自社とファクタリング会社の双方合意のもとに定められます。
売掛債権(売掛金)の金額から、ファクタリング会社に支払う手数料を差し引いた金額になることが一般的です。
手数料は、ファクタリング会社や売掛債権の内容によって【1%〜30%】と、幅があります。
※詳しくはこの後「4-3. ファクタリング会社に支払う手数料の金額」で解説しますので、続けてご覧ください。
たとえば、300万円の売掛金を、手数料10%で譲渡する場合を計算してみると、以下のとおりです。
- 譲渡する売掛債権:売掛金300万円
- ファクタリング会社に支払う手数料:10%
- 売買代金:売掛金 300万円 − 手数料 30万円=【270万円】
3-3. 2者間ファクタリングの仕組み
ファクタリング会社とファクタリング契約(債権譲渡契約)を締結したら、その後はどんな流れになるのか見てみましょう。
ファクタリングには「2者間」と「3者間」があり、契約の時点でどちらかを選びます。
2者間ファクタリングでは、売掛先企業にはファクタリングのことは知らせずに、自社とファクタリング会社だけでやり取りします。

自社の視点から、時系列でプロセスを整理すると、以下のとおりです。
- (1)ファクタリング会社とファクタリング契約を締結する
- (2)ファクタリング会社から売掛債権の売買代金が入金される
- (3)売掛先企業から予定どおりに売掛金が入金される
- (4)入金された売掛金をファクタリング会社に振り込む
2者間ファクタリングのメリットとして、売掛先企業に知られないことが挙げられます。
デメリットとは、この後にご紹介する3者間ファクタリングよりも、ファクタリング会社に支払う手数料が割高になることです。
その理由は、ファクタリング会社から見ると、売掛先企業に売掛債権の存在等を直接確認できない分、未回収リスクが高くなるためです。
※2者間ファクタリングについて詳しくは「2者間ファクタリングとは?メリット・デメリットとやり方・注意点を解説」の記事をご覧ください。
3-4. 3者間ファクタリングの仕組み
もうひとつの3者間ファクタリングは、売掛先企業にファクタリングのことを知らせて、自社・ファクタリング会社・売掛先企業の3者でやり取りします。

3者間でやり取りするといっても、ファクタリング契約には売掛先企業は関知しません。
ファクタリング契約自体は、売掛債権の保有者である自社と、売掛債権の譲渡先であるファクタリング会社の2者間で締結されます。
ここまでは2者間ファクタリングと同じです。
違いはその後の動きで、3者間ファクタリングでは、売掛先企業に対する売掛債権が、ファクタリング会社に譲渡されたことを、売掛先企業に通知します。
売掛先企業の視点から見ると、
「買掛金を支払う義務のある相手が、ファクタリング会社に代わりました」
という通知を受けるわけです。
▼ 債権譲渡通知書の文例

自社の視点から、時系列でプロセスを整理すると、以下のとおりです。
- (1)ファクタリング会社とファクタリング契約を締結する
- (2)売掛先企業に債権譲渡の通知をする
- (3)ファクタリング会社から売掛債権の売買代金が入金される
3者間ファクタリングのメリットは、手数料が(2者間ファクタリングに比較して)割安になることが挙げられます。
手数料が割安になるのは、ファクタリング会社の視点から見ると、売掛債権の存在等を売掛先企業に直接確認できるため、未回収リスクが低くなるからです。
デメリットは、売掛先企業にファクタリングの利用が知られることです。
知られても問題がない関係性であればよいのですが、場合によっては「経営悪化しているのでは?」と勘ぐられて信用に悪影響を与えるリスクがあります。
※3者間ファクタリングについて詳しくは「3者間ファクタリングとは?依頼者・売掛先双方のメリット・デメリット」の記事をご覧ください。
4. ファクタリングを利用するために必要な時間と費用

ファクタリングの仕組みが把握できたところで、具体的にかかる時間と費用を見ていきましょう。
4-1. ファクタリングの申し込みから入金までにかかる時間
ファクタリングの申し込みから入金までにかかる時間はファクタリング会社によって異なります。
一例として、ビートレーディングをご利用いただく場合は、
- お申し込みからご契約が【最短5時間】
- 契約締結後は【原則即日】お振込(契約締結が15時以降の場合は翌日着金のケースあり)
…となります。
4-2. 申し込みから契約までの流れ
より具体的に所要時間をイメージできるよう、申し込みから契約までの流れをご紹介します。
▼ ビートレーディングをご利用いただく流れ
やること | やり取りの手段 | 補足 | |
Step-1 | 見積依頼のお申し込み | ・Webフォーム ・電話 ・メール |
所要時間1分程度 |
Step-2 | 必要書類のご提出 ・売掛先からの入金が確認できる通帳のコピー(表紙付2か月分) ・売掛債権に関する資料(契約書・発注書・請求書など) |
・メール ・FAX ・LINE |
必要書類のご提出から最短30分以内に買取金額提示 |
Step-3 | ご契約 | ・オンライン ・来社 ・訪問 |
見積依頼から契約までオンラインで完結できるので、その場合であれば【最短5時間】で完了します。
ファクタリング会社に送付する書類準備に時間がかかる場合、来社(または訪問)での対面契約を選んだ場合などは、所要時間が長くなります。
※より詳しくは「ご利用の流れ」にてご確認ください。
4-3. ファクタリング会社に支払う手数料の金額
ファクタリング会社に支払う手数料の金額を正確に知るためには、見積依頼をするのが確実です。
売掛債権の内容やファクタリング会社によって、手数料には幅があるためです。
その前提のうえで、弊社ビートレーディングの例をご参考までにご紹介すると、以下が目安となります。
▼ 手数料の目安
2者間ファクタリング | 4%~12%前後 |
3者間ファクタリング | 2%~9%前後 |
上記は弊社の目安ですので、実際には20%〜30%の手数料が必要なファクタリング会社もあります。
※ファクタリングの手数料について詳しくは「ファクタリング手数料の相場はどれくらい?安く抑える3つの方法!」の記事で詳しく解説しています。
5. ファクタリングを使う際の注意点

「これからファクタリングを利用してみたい」
という方へ、事前に知っておきたい注意点を3つ、お伝えします。
- 回収が遅れている不良債権のファクタリングはできない
- ファクタリングを常態化させるのは危険
- ファクタリングを装ったヤミ金融にだまされないようにする
以下で詳しく見ていきましょう。
5-1. 回収が遅れている不良債権のファクタリングはできない
1つ目の注意点は「回収が遅れている不良債権のファクタリングはできない」です。
ファクタリングは、売掛債権の入金予定日よりも前に、売掛債権を売却することで、入金サイトを早める手法です。
支払期日を延滞されている不良債権の売却は、ファクタリングの範疇ではありません。
そもそも、不良債権は債権回収会社(サービサー)しか買い取ることができませんので、不良債権をファクタリングの審査に出しても、審査落ちとなりますのでご注意ください。
5-2. ファクタリングを常態化させるのは危険
2つ目の注意点は「ファクタリングを常態化させるのは危険」です。
本記事でも解説してきたように、ファクタリングは一時的な資金繰り悪化を緊急手当するうえでは、とても優れた資金調達法です。
しかし、ファクタリングには手数料がかかります。
「毎月ファクタリングを利用し続ける」
といった自転車操業的な使い方では、手数料の負担が利益を圧迫し、根本的な資金繰り改善にはつながりません。
ファクタリングは必要性の高い場面に絞ってピンポイントで活用し、日頃の資金繰りは通常の支払サイトでやり繰りするのが理想です。
※不良債権の回収について詳しくは「債権回収代行とは?代行を依頼する先の選び方【ケース別フローチャート付】」の記事で詳しく解説しています。
5-3. ファクタリングを装ったヤミ金融にだまされないようにする
3つ目の注意点は「ファクタリングを装ったヤミ金融にだまされないようにする」です。
「ファクタリング」という名称を使ってはいるものの、実態は違法な高利で貸付けを行うヤミ金融業者が問題となっています。
前述のとおりファクタリング契約は「債権譲渡契約」で「金銭消費貸借契約(貸付け)」ではないのが重要なポイントですが、近年問題となっているのが“実態は貸付け”の「偽装ファクタリング」です。
▼ 偽装ファクタリングとは? 高額な手数料を差し引いて売掛債権の買い取りを行うものの、買主(業者)は債権回収リスクを負わず、売掛金を回収できない場合は買い戻しを強いられます。 実態はヤミ金融による貸付けで、正規のファクタリングではありません。 参考:日本貸金業協会 |
▼ 偽装ファクタリングの可能性が高いケース ・償還請求権がついている(売掛金回収ができなかったときに支払義務がある) ・申込人の通帳・銀行印・キャッシュカードを預かる ・金銭消費貸借契約を締結し、代表者や家族に保証人になることを求める ・売買代金の受け取りが、銀行などからの送金ではなく手渡しでされる ・契約書の写し・領収書などの書類が渡されない 参考:日本貸金業協会 |
違法な業者にだまされないために必要な知識は【「ファクタリングは違法ではなく合法」ただし違法業者には注意が必要】の記事にまとめています。
ぜひご一読ください。
6.ファクタリングをうまく活用するポイント

最後に、ファクタリングをうまく活用するポイントを2つ、お伝えします。
- いざというとき依頼するファクタリング会社を決めておく
- オンラインファクタリングで手数料を抑える
6-1. いざというとき依頼するファクタリング会社を決めておく
1つ目のポイントは「いざというとき依頼するファクタリング会社を決めておく」です。
先にも述べたとおり、資金繰りの緊急時には非常に有効な打ち手となるファクタリングですが、緊急時に慌ててファクタリング会社を探すところから始めていては、入金が遅れるリスクがあります。
そこでおすすめなのは、平時の余裕があるときに
「いざというときに依頼するファクタリング会社」
を調べて決めておくことです。
6-1-1.良心的なファクタリング会社を選ぶチェックポイント
良心的なファクタリング会社をどう選べばよいか?となったときには、以下のポイントをチェックしてみてください。
▼ 安全なファクタリング会社を選ぶ5つの条件
- 条件1:契約数の実績が月間100件以上
- 条件2:手数料が最大で20%以下
- 条件3:顧問弁護士が公開されている
- 条件4:社内のコンプライアンス体制が整備されている
- 条件5:契約書に不審な点がない
※詳しくは【「ファクタリングは違法ではなく合法」ただし違法業者には注意が必要】の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
また、おすすめのファクタリング会社について詳しくはこちらの記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
「【2023年最新版】厳選!ファクタリングおすすめ優良16社比較」
「【2023最新】ファクタリング会社10選|目的別におすすめを紹介」
「【厳選8社】即日対応のファクタリング会社はこれ!選び方まで徹底解説」
6-1-2.少額で平時にお試し利用しておくと安心できる
候補のファクタリング会社が絞れたら、少額でお試し利用しておくと安心できます。
実際に利用することで対応の良し悪しが判断できます。
手続きの流れを経験しておくことで、いざというときも慌てずに落ち着いて行動できます。
6-2. オンラインファクタリングで手数料を抑える
2つ目のポイントは「オンラインファクタリングで手数料を抑える」です。
10年ほど前までは、ファクタリング会社の実店舗に出向くなどして、対面で契約するのが主流でした。
家賃や人件費のコストが手数料に上乗せされていたために、20%〜30%の手数料がかかることも珍しくありませんでした。
その状況を大きく変えたのが「オンラインファクタリング」で、オンライン上ですべての手続きが完結。
オンラインファクタリングを導入しているファクタリング会社は手数料が低く抑えられている傾向にありますので、活用しましょう。
詳しくは「オンラインファクタリングとは?メリット・デメリットと注意点を解説」の記事もあわせてご覧ください。
※なお、ビートレーディングは買取可能金額が無制限ですから、数万円の売掛金でも買取できます。
オンラインファクタリングを導入していますので、手数料を低く抑えることが可能です。
「見積依頼」のページからお気軽にご相談ください。
7. まとめ
本記事では「ファクタリングとは?」をテーマに解説しました。
簡単に要点をまとめます。
ファクタリングとは 「売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に買い取ってもらい、本来の入金予定日よりも早く資金化する資金調達の手段」であり、「売掛債権(売掛金)の未回収リスクを軽減できるサービス」です。 |
単に「ファクタリング」といったときには、一般的に売掛債権の買取型のファクタリングを指しますが、ほかに以下の種類のファクタリングもあります。
▼ 売掛債権の買取型ファクタリング以外のファクタリング
・保証型ファクタリング ・注文書ファクタリング ・診療報酬ファクタリング ・介護報酬ファクタリング ・補助金・助成金ファクタリング |
ファクタリングをなぜ利用するのかといえば「入金サイトを短縮して資金繰りを改善するため」です。
銀行融資などの他の資金調達手段と比較して「利便性」と「安心感」という魅力があります。
ファクタリングは、ファクタリング会社と「債権譲渡契約」を締結して行い、「2者間ファクタリング」「3者間ファクタリング」の2パターンがあります。
ファクタリングの申し込みから入金までにかかる時間は「最短即日」で、手数料は2%〜12%程度です(ビートレーディングの場合)。
ファクタリングを使う際は、以下の点にご注意ください。
・回収が遅れている不良債権のファクタリングはできない ・ファクタリングを常態化させるのは危険 ・ファクタリングを装ったヤミ金融にだまされないようにする |
ファクタリングをうまく活用するポイントとして2点、お伝えしました。
・いざというとき依頼するファクタリング会社を決めておく ・オンラインファクタリングで手数料を抑える |
ファクタリングは、経営者の方々にとって知っておいて損はない、優れた資金調達法です。
「自社にとってファクタリングが良いのか悪いのか、メリットとデメリットを比較して検討したい」
という方には、「ファクタリングのメリット・デメリットとは?適したケースや注意点も解説」の記事がお役に立てるかと思います。
ぜひ続けてご覧ください。
