
企業経営において、資金繰りは重要な課題です。資金が足りない場合、売掛金があれば、売掛債権担保融資を利用できる可能性があります。今回は売掛債権担保融資について、ご紹介します。
目次
売掛債権担保融資とは?
売掛債権担保融資制度は平成13年12月に創設されたもので、中小企業が対象の制度で、中小企業が売掛先に対して保有する売掛金を担保にして、金融機関から融資を受けられる仕組みです。
もし中小企業が借入金などの返済ができなくなった場合、信用保証協会が貸付残高の8割を上限として代位弁済します。
そしてこの代位弁済した分は売掛債権から回収されます。
売掛債権担保融資とファクタリングの違い
売掛債権担保融資とファクタリングの違いは以下の通りです。
契約形態
売掛債権担保融資は貸付の契約であるのに対し、ファクタリングは売掛金の譲渡契約になります。
契約の種類が異なるため、契約書の内容も変わります。
融資契約の場合、借入金額、金利、支払回数、支払額が記載されます。
譲渡契約の場合、売買契約の一種なので、売掛金、売買金額、売買代金の支払い日が記載されます。
支払い方法の違い
売掛債権担保融資の場合、融資契約なので、支払方法を取り決める必要があります。
分割支払いにも対応していますが、その場合、契約書に毎月の支払額や支払日を明記します。
ファクタリングのような譲渡契約の場合、売買代金のみが記載されます。
利息と手数料の違い
売掛債権担保融資は融資であるため、利息が発生します。
利息制限法に基づき金利が決められます。
ファクタリングの場合、ファクタリング会社に手数料を支払います。
手数料はファクタリング会社によって異なります。
登記原因の違い
売掛債権担保融資は、売掛金を一定期間担保にするわけですから登記原因には「譲渡担保」として登記する必要があります。
一方ファクタリングの場合、請求書を発行して金額の確定している売掛金をそのたびに登記します。
登記原因は「債権譲渡」と記載するのが一般的です。
売掛債権担保融資を実施している金融機関
売掛債権担保融資を実施しているのは、主に銀行とノンバンクです。
それぞれに異なる特徴がありますから、自社の用途によりマッチする金融機関を探しましょう。
銀行
銀行の特徴は経営基盤がしっかりしている点です。
銀行の担当者から経営面でのアドバイスを受けられるケースもあります。
ただし、銀行の審査は厳しく、融資が受けられない可能性があります。
メガバンクと比較するとネット銀行のほうが、若干審査のハードルは低くなる傾向があります。
ノンバンク
銀行と比較するとノンバンクの審査はそこまで厳しいわけではありません。
赤字決済や税金滞納があると銀行から融資を受けるのは困難ですが、ノンバンクなら審査通過できる可能性もあります。
また審査のスピードも銀行に比べて早いのが特徴です。
ただし、銀行と比較すると金利が高めに設定されていることが多く、返済負担が大きくなる可能性があります。
売掛債権担保融資のメリット
売掛債権担保融資のメリットは以下の通りです。
売掛金を担保に現金が手に入る
売掛債権担保融資のメリットとして大きいのは、売掛金が支払われる前に、現金が手に入ることです。
うまく活用することで、資金繰りが改善します。
大型の資金調達ができる
金額が大きい売掛債権を担保とした場合、大型の資金調達ができる可能性があります。
仮に大型の資金調達ができれば、投資にも大きな金額が使えます。
その結果、受注が増加する可能性もあります。
そして、ビジネスチャンスが増えると、人件費や材料費などのコストが大きくなります。
そうなった場合の資金調達手段としても売掛債権担保融資は有効です。
売掛債権担保融資の注意点
売掛債権担保融資に申し込んだ際、売掛債権の評価をするための審査が実施されます。
この審査には、多少時間がかかります。
無担保で融資を受けられるビジネスローンの場合、即日融資が可能なケースもありますが、売掛債権担保融資の場合、即日融資に対応するケースはありません。
融資までに一定の日数がかかるため資金が必要になる前に、余裕をもって申し込むとよいでしょう。
ファクタリングであれば即日対応、翌日現金化が可能
早期に資金調達をしたい場合、ファクタリングであれば即日対応、翌日現金化が可能となります。
また、ファクタリングは売掛金を買い取ってもらうことで資金を調達するサービスであり、融資ではありません。
売掛金の回収をする前に、必要な資金を捻出しなければならない場合、有効な手立ての一つに売掛債権担保融資があります。
しかし、審査が厳しく、時間がかかるケースも多々あります。
早期に資金調達をしたい場合は、ぜひファクタリングをご検討ください。