融資を受けたいなら知るべき、売掛金と未収金の違いとは

『売掛金』と『未収金』は、似ているようで実際には異なるものです。共通している点も多いですが、両方がどのように異なる特徴を持っているかを知っておくことで、融資を受ける際に有利に働く可能性があります。そこでこの記事では、売掛金と未収金の特徴や違い、それぞれの区別が必要となる理由などの情報を徹底解説していきます。

売掛金とは?

営業活動から生じる債権を指す

売掛金とは、本業として提供している商品やサービスの売上のなかで、取引先からまだ支払われていない入金予定の金額のことをいいます。
たとえば、あなたの企業であるA社が、取引先であるB社に100万円分の商品を売上げたとします。
その商品売買の決済方法として「掛け取引」を用いる場合、A社は今回売上げた商品の代金は期限日まで受け取る事ができません。
勿論、期限日になれば商品の売上代金は入金されるのですが、その代金を受け取る権利(債権)が売上債権(売掛債権)といい、そのうちの手形支払いでないものが「売掛金」といいます。

掛け取引とは?

そもそも売掛金のことを知るためには、掛け取引について知っておかなくてはいけません。
掛け取引とは、簡単に言うと「後払い」です。
掛け取引では商品の売買やサービス提供などで代金が発生した際に、その都度支払うのではなく、決められた期限日にまとめて決済を行います。
通常企業間取引では「前払い」や「現金払い」は一般的ではなく、多くの企業は「後払い」にて支払いをします。
ではなぜ企業は掛け取引を利用するのか。それは、取引をするたびにお金をやり取りするのは手間も時間もかかってしまうからです。
都度払いよりも一定の期間を決めてまとめて支払いを行ったほうが、当然ながら効率的となります。
ただし、掛け取引がメリット一辺倒かというとそうでもありません。
特に、支払いを受ける側の企業からすれば、一定期間現金が入ってこないという大きなデメリットがあり、尚且つ取引先の財務状況によっては、売掛金の回収が不可能となってしまうリスクも抱えてしまうこととなります。

売掛金と売掛債権の違い

一見同じ意味のように感じる『売掛金』と『売掛債権』ですが、その内容は若干異なります。
実は、売掛債権には「売掛金」と「売掛手形」の両方が含まれるのです。
売掛金と呼ばれるのは「手形以外の支払で商品・サービスの代金を受け取る権利」であり、受取手形は「手形の支払で商品・サービスの代金を受け取る権利」となります。

売掛金には時効がある

売掛金には時効があります。
そのため、もし取引先が返済を渋っていたとしても、誤って放置しておかないよう注意が必要です。
仮に時効が成立してしまうと、その売掛金を回収する権利が消滅してしまいます。
また、売掛金の時効の期間はサービスに異なり、商品や製品の販売は主に『2年』、建築代金の売掛金の時効期間は『3年』となるため知っておきましょう。
ただし、時効の期間が過ぎたとしても、勝手に売掛金の権利が消滅するわけではありません。
時効は、債務者が「この債権(売掛金)は時効です」と主張することで、初めて成立します。(これを「時効を援用する」と言う)
時効を中断させる手段としまして「債務の承認」や「裁判上の請求」「財産の差し押さえ」などがあるので、債権者としましてはなんとしても時効の成立だけはさけなくてはいけません。

未収金とは?

未収金とは?

未収金(未収入金)

未収金(未収入金)とは、営業活動ではない取引から生じた債権を指します。
たとえば、有価証券や固定資産の売却など、本業以外の取引で得た代金のうちまだ支払われていない金額が未収金にあたります。

仕訳時の注意点

未収金に計上できるのは決算期後1年以内に回収予定のものに限られており、1年以上のものは「長期未収金」など勘定科目が変わってしまいます。
未収入金は流動資産であるのに対し、長期未収入金は固定資産となるため仕訳時には注意が必要です。
また、未集金の財務諸表での正式な名称は『未収入金』であるため、場合によっては未収入金と表記されることもあります。

売掛金と未収金の共通点

売掛金と未収金の共通点

売掛金と未収金の回収方法は同じ

売掛金と未収金の共通点の一つに、「回収方法が基本的に同じ」という点が挙げられます。
基本的に、どちらも債務者が支払う意思を見せないと回収は難しいです。そのため、債権者も様々な手段を用いて債務者が支払いを行うように促します。
たとえば、「交渉」や「内容証明郵便による回収」です。
内容証明郵便とは、「差出人が受取人に対し、いつ、どのような内容の郵便を出したか」を日本郵便が証明してくれるものです。
「支払いの催促を行った」という証拠が残るため、債務者へ圧力をかける事ができ、場合によってはその後の交渉に有利に働く可能性もあります。
ただし、いずれの手段を用いたとしても、債務者が任意の支払いに応じてくれなければ回収までにはつながりません。
ですので、時効が迫っているなど猶予がない場合には、最終的に「訴訟」といった法的手段をとる必要性もでてくるでしょう。
しかし、法的手段はその効果が大きい反面、時間やコストがかかってしまうデメリットもあります。
そのため、買掛金があるならば『相殺』を行い回収できる金額を増やすなど、売掛金も未収金も極力コストや時間のかからない手段で回収できるのが望ましいといえます。

売掛金と未収金の区分

売掛金と未収金は、どちらも後々現金に変わるものです。また、両方とも資産であり、金銭債権にあたるものとなります。
そのため、仮に間違えたとしても法人税額や所得税額などに影響を及ぼすなど、財務上に問題をきたすわけではないのですが、それぞれをしっかりと区別する必要がないかといえば、決してそうではありません。
特に、事業拡大や財務状況の悪化などで金融機関から融資を受けようとする場合には、その対策のために売掛金と未収金を区別する事が重要となります。

売掛金と未収金の区別が必要な理由

売掛金と未収金の区別が必要な理由

「売掛金」や「未収金」の区別の重要性

たとえば銀行から融資を受ける場合、決算書を提出しそのデータを元に審査を受けることとなります。
そして、その決算書には「売掛金」や「未収金」なども表記されており、その内容次第で評価は変わってきます。

一般的には、売掛金が多く、未収金が少ない状態が良い

では、売掛金や未集金がどのような状態だと評価が高まるのか。
一般的には売掛金が多く、未収金が少ない状態が良いとされています。売掛金が多いと、営業利益が多いと判断されるメリットがあるためです。
営業利益は銀行が最も重要視する評価であるため、営業利益が多いとみなされることは、融資を受ける上で大きなプラスポイントとなります。

未収金が多いと、金融機関の決算書の評価が下がる

では逆に、なぜ未収金が少ないほうが望ましいのかを見ていきましょう。
実は、未収金が不当に多いと『不正会計』を疑われることがあり、その影響で金融機関の決算書の評価が下がる可能性があるのです。
そのため、基本的に未収金の計上は少ないほうが望ましいとされています。
当然ながら、売掛金が多いほうがいいといっても不正に多く計上することはできません。
しかし、知識を持っていないために、本来売掛金として計上できるところを未収金として計上してしまう方はいらっしゃいます。
融資を受ける事ができる可能性を少しでも上げるためにも、売掛金と未集金との違いは知っておくべきです。

売掛金が多すぎて評価が下がるケースもあり

前述の通り、営業利益を高く見せるために売掛金を多く計上することは、評価を上げるための大事なポイントとなります。
しかし、場合によってはそれが裏目に出てしまうこともあります。それは、「売掛金が月の売上を上回っている」といったケースです。
売掛金が月の売上を上回ってしまうと、銀行から「回収不可能な不良債権を抱えているのでは?」という疑いをかけられ、その影響で評価が下がってしまう可能性があります。
売掛金は回収できなければ利益とならないため、いくら売上を上げていたとしても、不良債権を抱えていることは当然ながらマイナスポイントとなるのです。
また、前期と比べて同じ取引先と金額が計上されていた場合、こちらも不良債権とみなされる可能性があるため、事前にしっかりと説明しておくことをおすすめします。

融資審査に落ちたあとに後悔しないためにポイントを抑えておく!

融資審査に落ちたあとに後悔しないためにポイントを抑えておく!
売掛金と未収金の違いが分からないからといって誰かに罰せられたり、追徴課税などの税金が課せられるわけではありません。
しかし、融資を受けるならばその区別の違いは重要なポイントとなりえます。
また、会社を経営していく上で、融資を受けない企業などほぼないでしょう。
そう考えた場合、売掛金と未収金にどのような違いがあるのかは把握しておくべきことだといえます。
融資審査に落ちたあとに後悔しないためにも、売掛金と未収金の特徴や仕訳区分などは抑えておきましょう!

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