買掛金と未払い金の違いとは?

買掛金と未払金についてよく知らない人

経営者にとって、資金繰りは非常に重要な課題です。資金調達をする際にもまず資金繰りをしっかりしておく必要があり、そして資金繰りのためには、会社の収支を正しく把握する必要があります。この記事では、会社の財務状況を把握するための基本となる、買掛金と未払金についてご紹介していきます。

買掛金とは?

買掛金とは、営業取引上で生じる債務のことをいいます。

たとえば、販売業において商品を仕入れる際に「掛け」(代金を仕入れ時ではなく後日まとめて支払う方法)にすると、仕入れ側は「その代金を後日支払わなければならない」という義務を負います。

この義務が、買掛金です。

なお、仕入れのほかに、外注費などの役務(サービス)も買掛金の対象になります。

未払金とは?

未払金とは、営業取引以外で生じる債務のことをいいます。

建物・土地・機械・車両などの固定資産や、有価証券、光熱費、消耗品など、営業上の商品ではない物を購入する際、代金後払いにすると、購入者は「その代金を後日支払わなければならない」という義務を負います。

この義務が、未払金です。物の購入のほかに、スポットで依頼した弁護士費用や税理士費用などの役務も未払金に該当します。

未払金と未払費用は異なる

未払金と未払費用は、どちらも営業取引以外で生じる債務をいいます。

このうち、建物の購入など非継続的な取引で生じる債務が未払金。

給料、賃金、家賃、利息、地代、保険料など、毎月・毎年など継続的な取引で生じる債務が未払費用です。

なお、未払費用は以下3つの要件すべてを満たす場合のみが対象になります。

  • 営業取引外であること
  • 継続的な取引であること
  • 支払い期日前であること

継続的な取引で生じる債務であっても、支払い期日を過ぎても支払われていない場合、その債務は未払費用ではなく未払金になります。

買掛金と未払金の共通点

買掛金と未払金は、どちらも後日返さなければならない債務であるという点が共通しています。

買掛金と未払金の違い

買掛金と未払金は、営業取引上で生じる債務かどうかで区別されます。

営業取引上で生じる債務が買掛金、営業取引以外で生じる債務が未払金です。

また、買掛金は流動負債として貸借対照表に計上されるのに対し、未払金は、1年以内に支払期限が到来するものは流動負債、1年を超えて支払期限の到来するものは長期未払金(固定負債)として計上されます。

なおここで注意したいのは、買掛金は支払い期限が1年以上先であっても流動負債として計上されるということ。

これは、正常営業循環基準(正常な営業取引上で生じた資産や負債は流動資産・流動負債とすると定めた基準)に基づいているもので、正常な営業取引上で生じる債務である買掛金は、支払い期限が1年以上先であっても流動負債として計上することになっています。

買掛金の仕訳方法

ここからは、債務の仕訳について解説します。

はじめに、買掛金である仕入高と外注費の仕訳についてご紹介していきます。

仕入高とは、商品の仕入れに要する費用のことをいいます。

商品の代金のほか、運搬費用や購入手数料、引き取り費用、関税などの付随費用も仕入高として計上されます。

仕入高の仕訳は、以下の通りです。

10万円(税別)の商品を仕入れ、代金を掛けとした場合の仕訳(支払い前)

借方 貸方
仕入高 100,000円 買掛金 100円
仮払消費税等 8,000円 ーー

10万円(税別)の商品を仕入れ、代金を掛けとした場合の仕訳(普通預金から支払い後)

借方 貸方
買掛金 100,000円 普通預金 108,000円

外注費とは、業務の一部を他社や個人事業主に委託するときの費用をいいます。

なお、製造業や建設業において、材料を無償で支給して製造工程や工事の一部を外部業者に委託する場合は、その費用は外注加工費として計上され、外注費と区別されます。

外注費の仕訳は、以下の通りです。

外注費10万円(税別)を掛けとした場合の仕訳(支払い前)

借方 貸方
外注費 1000,000円 買掛金 108,000円
仮払消費税等 8,000円 ーー

外注費10万円(税別)を掛けとした場合の仕訳(普通預金から支払い後)

借方 貸方
外注費 100,000円 普通預金 108,000円

未払金の仕訳方法

次に、未払金である決算賞与、未納の税金、社会保険料、労働保険料の仕訳について解説します。

決算賞与とは、会社の業績が良かったときに、業績に応じて支給される臨時の賞与のことです。

以下3つの要件すべてを満たすことで、当事業年度の損金として計上することが認められています。

  • 事業年度終了の日(期末)までに、各人別の支給額を全従業員に通知をしていること
  • 事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に全額を支払っていること当事業年度の決算において、通知した金額を未払金または未払費用として計上していること

決算賞与の仕訳は、以下の通りです。

決算賞与の仕訳(支給前)

借方 貸方
決算賞与 1,000,000円 未払金 1,000,000円

決算賞与の仕訳(現金で支給後)

借方 貸方
未払金 1,000,000円 現金など 1,000,000円

納税額が確定したが、まだ納付していない未納の税金の仕訳についてご紹介します。

租税公課には、損金の額に算入されるものとされないものがあり、損金の額に算入されるものは未払税金、算入されないものは未払法人税等として計上されます。

消費税(税込方式)、事業所税、固定資産税、自動車税などが未払税金、法人税、都道府県民税、市町村民税などが未払法人税等の対象になっています。

それぞれの仕訳は、以下の通りです。

消費税(税込方式)の仕訳(納付前)

借方 貸方
租税公課 1,000,000円 未払消費税等 1,000,000円

消費税(税込方式)の仕訳(現金で納付後)

借方 貸方
未払消費税等 1,000,000円 現金 1,000,000円

未払法人税等の仕訳(納付前)

借方 貸方
法人税住民税及び事業税 1,000,000円 未払法人税等 1,000,000円

未払法人税等の仕訳(現金で納付後)

借方 貸方
未払法人税等 1,000,000円 現金 1,000,000円

社会保険料とは、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料などをいいます。

社会保険には会社の負担分と社員の負担分があり、社員の負担分については、当月分を翌月の給与から天引きし、翌月末までに納付します。社会保険料は、以下のように仕訳されます。

社会保険料の仕訳(当月末)

借方 貸方
法定福利費 40,000円 未払費用 40,000円

社会保険料の仕訳(翌月給与支払い時)

借方 貸方
給与 300,000円 普通預金など 260,000円
ーー 預り金(社会保険料本人負担分) 40,000円

社会保険料の仕訳(翌月末納付時)

借方 貸方
預り金(社会保険料本人負担分) 40,000円 普通預金 80,000円
未払費用 40,000円 ーー

労働保険料は、労働者災害補償保険料(労災保険料)と雇用保険料のことをいいます。

労働者災害補償保険料は会社が全額負担し、雇用保険料は会社と社員が折半するのが一般的です。

労働保険料は、4月1日から翌年3月末日までの一年分を概算し、年3回にわけて納付します。過不足は翌年度に確定保険料として清算します。

労働保険料の仕訳方法は複数ありますが、一例をご紹介します。

労働保険料の仕訳(概算納付時)

借方 貸方
法定福利費 900円 普通預金 900円

労働保険料の仕訳(給与支払い時)

借方 貸方
給与 300,000円 普通預金など 299,950円
ーー 法定福利費 75円

労働保険料の仕訳(清算時)

借方 貸方
法定福利費 100円 未払費用 100円

買掛金と未払金は、どちらも債務ですが異なるものです。

資金繰りをしていくなかで非常に重要になるため、きちんと理解しましょう。

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