「工事の入金、まだなのかな・・・手持ちの資金が足りなくなってしまう」
「出費ばかり先行して、資金繰りが本当に大変!」
と思ったことはありませんか。
建設業は、受注後入金されるまでの期間が平均3か月半と長く、卸売業、小売業、製造業に続いて手形取引が多いのが特徴です。
そのため、入金までの間に資金ショートしてしまう会社も多いと言われています。
また、建設業の資金繰りが難しい理由としては、以下が挙げられます。
人件費や材料費などの先行出費が多いことや、利益が出ない状態でも工事を受注する会社が多いこと、銀行融資の審査に通りにくいことなどが、資金繰り悪化の理由です。
この記事では、以下についてお伝えしていきます。
・建設業の資金繰りの特徴 ・建設業の資金繰りが難しい理由 ・建設業の資金繰りを改善するためのポイント ・建設業の資金調達方法 |
また、本記事後半では、売掛金がある場合に資金を調達できる「ファクタリング」という方法についてもお伝えしていきます。
ほかの業種と比べると建設業は資金繰りが難しいのは事実ですが、事業を継続していけるように問題改善に取り組んでいきましょう。
目次
1. 建設業の資金繰りの特徴
「建設業は資金繰りが難しい」
とよく言われますが、その理由について知る前に、まずは建設業の資金繰りに見られる大きな特徴について理解していきましょう。
以下の2点が、建設業ならではの特徴です。
・入金されるまでの期間が平均3か月半と長い ・ほかの業種と比べて手形取引が多い |
以下で、詳しく解説していきます。
1-1. 入金されるまでの期間が平均3か月半と長い
建設業の特徴として、工事を受注してから入金されるまでの期間が長く、平均3か月半もかかります。
これはあくまで平均値ですので、1か月で入金される場合もあれば、半年以上かかる場合もあるわけです。
どのような業種でも、取引を行う場合は商品やサービスの販売後に請求書を発行し、入金してもらうスタイルが主流となっていますが、建設業はほかの業種と比べても回収までの期間が長くなっているのが特徴です。
中には、工事の進捗に応じて支払いが行われたり、施工前に一部を支払ってもらえるケースもありますが、ほとんどの場合は工事の完了後に支払いが行われるため、回収までの期間が長くなることを理解しておいてください。
1-2. ほかの業種と比べて手形取引が多い
中小企業庁が発表した「約束手形に関する論点について」によると、以下のように卸売業、小売業、製造業、建設業の順で手形取引が多くなっています。
手形取引は廃止の方向に向かっているため1990年前後をピークに減少していますが、依然として建設業では、2兆円ほどの手形残高があります。
また、大企業同士よりも下請け、孫請けなどの中小業者が手形の受取手となっていることが多いです。
手形取引は、発注元が支払時期を引き延ばすために使用しています。
そのため、受け取り側は実際に入金されるまでの期間、手持ちの資金でやりくりする必要があるのです。
2. 建設業の資金繰りが難しい3つの理由
前章で、建設業は売上金の回収までに時間がかかる特徴があるとお伝えしましたが、入金が遅くなるほかにも、資金繰りが難しくなる理由がいくつかあります。
以下で、ひとつずつ解説していきます。
2-1. 先行出費が多いから
建設業の場合、まず初めに以下のような先行出費がかかるため、資金繰りが難しくなる傾向があります。
・建築資材などの材料費
・作業員に支払う人件費
・外注費
・仮事務所や足場の設置費用
・重機調達費用
上記の費用を支払い、売上が入金されるまでには平均3か月半ほどかかるため、手持ちの資金では足りなくなる場合があるのです。
また、諸事情で追加の工事が発生した場合は工期が延長となるため、さらに人件費などの出費が必要です。
資金に余裕のある会社でなければ、資金繰りが難しくなるのは避けられないでしょう。
2-2. 工事原価の管理ができていない会社が多いから
資金繰りが難しい理由として、受注した工事で利益が出るかどうか、原価管理ができていない会社が多いことが挙げられます。
会社として利益を上げていくためには、見積りの段階で赤字になる案件は受注しないのが原則ですが、現実には売上を上げるために、赤字になる案件を受注しているケースが多く見られます。
赤字案件が増えれば確実に資金繰りを圧迫するため、受注の前に工事原価の管理をしっかり行い、利益が出ないものに関しては断ることが大切です。
2-3. 銀行融資の審査に通りにくいから
建設業は銀行融資の審査に通りにくいため、資金調達がうまくいかず、結果として資金繰りが苦しくなる傾向があります。
前述したように、建設業は先行出費が多く赤字案件を受注している会社も多いため、利益が出ていないケースが多いことを銀行側も把握しています。
融資をしても返済が滞る可能性があるため、融資の審査にも通りづらくなっているのです。
銀行は建設業者に対し、工事代金の回収と同時に返済を行う紐づけ融資を行っていますが、これは短期間の融資となります。
そのため、工事期間が長期にわたる場合は、さらに融資を受けづらくなり、資金繰りが苦しくなる原因となるのです。
3. 建設業の資金繰りを改善するための3つのポイント
建設業は資金繰りが難しい理由を説明してきましたが、事業を継続するためには何とかして資金繰りを改善していかなくてはなりません。
そのためには、以下のポイントを意識して業務改善に取り組んでいきましょう。
以下で、ひとつずつ解説していきます。
3-1. 資金繰り表を作成して入出金管理をする
資金繰りを改善するためには、資金繰り表を作成して入出金の時期を管理することが必要です。
いつ入金と支払いがあるのか、時期と金額をはっきりさせることで、いつまでに運転資金がいくら必要なのかが明確になります。
入出金の把握ができていないと、資金繰りの悪化に気づかず支払いが滞り、売掛先の信頼を失ってしまうかもしれません。
資金繰り表は自分でエクセルを使い作成しても構いませんが、freeeなどの会計ソフトを利用している場合は、自動で資金繰り表を作成してくれる機能が付属しています。
納税額の試算や借入金の支払予定も表示してくれるため、入出金の管理にとても便利です。
売上が入金されるまでの期間、資金不足に陥らないように、資金繰り表を作成して入出金管理を行っていきましょう。
3-2. 赤字になる工事は受注しない
資金繰りを改善するためには、赤字になる工事は決して受注しないようにすることが大切です。
売上が大きくても、人件費や材料費の出費が大きいと赤字になってしまいます。
赤字にしないためには、「2-2. 工事原価の管理ができていない会社が多いから」でもお伝えした通り、見積りの段階で利益が出るかどうか、きちんと確認することが重要です。
また、工事期間中に発生する人件費や材料費などの支払いが問題なくできるかも合わせて確認し、赤字になる場合は受注しないようにしましょう。
3-3. 早期に代金を回収できる工事を受注する
工事の入金時期が、施工後ではなく施工中や前払いの案件を受注することで、早く代金を回収でき、資金繰りの改善につながります。
建設業界では、まだ多くの場合、工事完了後の入金となっていますが、工事の進捗に合わせて入金される形態も増えつつあります。
下請けや孫請けとして工事を受注している場合、自社に有利な条件で契約するのは難しいと思うかもしれませんが、一部でも工事の進捗に応じて1か月ごとに入金してもらうなど、交渉することが大切です。
できるだけ、早期に代金を回収できる工事を増やしていくことで、資金繰りの改善につなげていきましょう。
4. 資金繰りを改善するための3つの資金調達方法
資金繰りの改善ポイントが理解できたところで、実際にどのような方法で資金調達を行えばよいか、以下の3つの方法について解説していきます。
・オンライン融資
・日本政策金融公庫
・ファクタリングサービス
4-1. オンライン融資
オンライン融資は、すべてパソコンやスマホなどを利用して、オンライン上で申し込みから入金まで完結します。
以下が主な特徴です。
・対面でのやり取りが不要で、申し込みから入金までオンラインで完結する ・申込者の会計データをもとに、AIが融資可否の判断を行う ・必要書類も少なく審査時間も短い(即日~数日) ・担保や保証人が不要なケースが多い ・融資限度額は1000万円程度 |
オンライン融資はすぐに借り入れができるのが大きな特徴ですが、AIが融資判断をするため、借入金額が最大でも1,000万円程度となっています。
また、直近数か月の取引データをもとに融資可否や融資金額を判断するため、「最近赤字が続いていて・・・」という場合はおすすめできない方法です。
逆に直近の経営状態に問題がなく、1,000万円以下で良いので早く融資してほしい場合は、オンライン融資はおすすめの方法と言えるでしょう。
4-2. 日本政策金融公庫
日本政府が100%出資している日本政策金融公庫で融資を受け、資金調達する方法もあります。
必要書類が多かったり、借入実行まで時間がかかったりしますが、日本政策金融公庫は営利目的ではないため、金利も銀行やオンライン融資と比べると低く、担保や保証人なしで借り入れができるのが大きな特徴です。
また、すでに事業を行っている場合だけでなく、創業時に利用できる「新創業融資制度」も用意されているため、これから建設業を始めようとしている場合も資金調達の手段として検討できます。
オンライン融資では思うような条件で借り入れができなかった、あるいは創業して間もなく実績がない、これから創業するなど、会社として歴史が浅い場合にもおすすめの方法です。
4-3. ファクタリングサービス
ファクタリングとは、売掛金を売却して資金化するサービスのことです。
手数料がかかりますが、売掛金があればすぐに資金化できるため、資金繰りの改善に大きく役立ちます。
建設業では支払いが工事完了後1か月~3か月半となるケースが多いですが、ファクタリングサービスで請求書を買い取ってもらうことで売掛金の支払期日より前に資金化できるため、資金がショートする心配もなくなるでしょう。
ファクタリング会社は事前に売掛金の回収に問題がないかどうか、売掛先を念入りに調査して判断し、リスクが低いと判断した場合のみ債権(=売掛金)の譲渡を行います。
そのため、万が一売掛先の会社が倒産して売掛金の回収ができなくなった場合でも、ファクタリング会社から償還を求められること(=償還請求権)はなく、売掛金が未回収になるリスクも軽減できるため安心です。
銀行融資などとは異なり、債権の売却という形式のため借り入れともみなされず、信用情報に残らないのもメリットです。
入金までの期間が長い建設業は、ファクタリングサービスとの相性がとても良いと言えるでしょう。
建築業の資金調達におすすめの「ファクタリング」について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
5. ファクタリングが資金繰り改善におすすめな3つの理由
前章でファクタリングが、建設業にとっては相性の良い資金調達方法であることをお伝えしました。
改めて以下で、ファクタリングがおすすめの3つの理由をまとめていきます。
・借金ではないので、信用情報に記録が残らない ・すでに借り入れができない状態でも、売掛金があれば利用可能 ・申し込みから入金までは最短即日 |
5-1. 借金ではないので、信用情報に記録が残らない
ファクタリングは、企業が保有している売掛金をファクタリング会社へ売却することで資金化するため、借金ではなく信用情報に記録も残りません。
金融機関では、他社で借り入れがある場合は融資を受けられないことがほとんどですが、ファクタリングの場合は借金ではないため、金融機関での借り入れにも影響しないというメリットがあるのです。
5-2. すでに借り入れができない状態でも、売掛金があれば利用可能
金融機関などですでに借り入れがあり、新規で融資を受けられない場合でも、売掛金があればファクタリングの利用ができます。
企業が保有している売掛金をファクタリング会社へ売却して資金化するという仕組みのため、売掛金さえあれば問題ないのです。
建設業など、売掛金の入金まである程度の期間待たなくてはならない業種の場合には、すぐに資金化できるため特におすすめと言えます。
5-3. 申し込みから入金までは最短即日
ファクタリングは、申し込みから入金までが最短即日で可能です。
スピードを求める場合におすすめできる方法です。
上記のように、売掛金を売却して資金化するファクタリングは、手数料が高いというデメリットはありますが、それを上回るメリットがあります。
急ぎで資金調達が必要という場合は、以下のようなファクタリング会社の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
資金調達でお困りなら、ビートレーディングに一度ご相談ください。
■特徴 ・最短2時間で審査、即日入金も可能 ・資料提出から最短30分以内に買取金額を提示 ・パソコンもしくはスマホからオンライン契約 ・用意する書類は通帳のコピーと売掛債権に関する資料(契約書・発注書・請求書など)のみ ビートレーディングは、建築業、食品業、アパレル小売業などで月間1,000件の豊富なファクタリング実績があります。 納税資金や仕入資金など、法人が抱える資金調達の問題解決が必要でしたら、ぜひお問い合わせください。 |
6. まとめ
本記事では建設業の資金繰りの特徴や、資金調達方法、資金繰り改善方法などについてお伝えしてきました。
まず初めに、ほかの業種とは異なる、建設業ならではの資金繰りの特徴について理解することが必要です。
・入金されるまでの期間が平均3か月半と長い ・ほかの業種と比べて手形取引が多い |
◎建設業は資金繰りが難しいと言われていますが、主な理由は以下の3つです。
◎事業を継続するためには、資金繰りが苦しかったとしても改善していかなくてはなりません。
そのために意識すべきポイントは以下の通りです。
◎資金の調達方法としては、以下の3つが挙げられます。
・オンライン融資 ・日本政策金融公庫 ・ファクタリングサービス |
◎上記の調達方法の中でも、特にファクタリングが建設業にとって相性の良い方法です。
ファクタリングがおすすめの理由は以下になります。
・借金ではないので、信用情報に記録が残らない ・すでに借り入れができない状態でも、売掛金があれば利用可能 ・申し込みから入金までは最短1日 |
そして最後に、月間契約件数1,000件のファクタリング実績があるビートレーディングについてお伝えしました。
この記事を参考に建設業の方の資金調達、資金繰りが上手くいくことを願っています。
筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者