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ファクタリングと利息制限法の関係とは?判例や手数料の決まり方を解説

ファクタリングと利息制限法の関係とは?判例や手数料の決まり方を解説

ファクタリングの基礎知識

ファクタリングはファクタリングを利用した場合に、利息制限法が適用されるかどうか気になる方もいるのではないでしょうか?

本記事では、ファクタリングと利息制限法の関係を詳しく解説します。

例外的に利息制限法が適用されるケースや判例も紹介しているので、記事を最後まで読めば利息制限法について理解を深められます。

ファクタリングについて詳しくは「【図解】ファクタリングとは?仕組みや種類・注意点を簡単に解説! 」の記事をご覧ください。

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1.利息制限法とは何か

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利息制限法とは金利の上限を定めた法律です。

金融取引に関する法律の一つで、金銭の貸し付けをした際に適用されます。

利息制限法が適用される範囲は、法人はもちろん個人も含まれます。

利息制限法には具体的な罰則が定められていないため、金銭を貸し付けた業者が法外な利息を利用者に請求したとしても罰則は科せられません。

元本上限金利                                       
10万円未満20%
10万円以上~100万円未満18%
100万円以上15%

上限金利を超えた利息を業者から請求された場合、利息制限法に則り、上限を超えた分の利息は無効になるため支払う必要がありません。

また、上限を超えた利息をすでに支払った場合は、過払い金請求を行うことで過払い分の利息を取り戻せます。

2.金融取引に関する法律:貸金業法・出資法とは何か

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金融取引に関する法律には、貸金業法出資法と呼ばれる法律があります。

利息制限法と同様に、金利の上限を取り締まる項目が定められていますが、法律の内容は異なるため本章で各法律の違いを確認しておきましょう。

2-1.貸金業法とは

貸金業法とは、金銭の貸し付けを事業とする業者を管理するための法律です。

貸金業者に法律の範囲内で適正な貸金業務を行わせる目的で設けられています。

貸金業を営業するには貸金業の登録が必要で、登録せずに金銭の貸し付けを行った業者は貸金業法に定められた罰則が適用されます。

貸金業法の第47条によると、10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金が科せられます(※)。

原則として、貸金業を無登録で営業する貸金業者は貸金業法に背いて事業を行っているので、悪徳業者と判断されます。

貸金業法で規制されている取り立ての例は、次のとおりです。

● 正当な理由なく、午後9時~午前8時の間に取り立てを行う
● 第三者に弁済を要求する
● 年金受給証を徴収する
● 本人の承諾なく、口座に入金して利息の支払いを要求する

貸金業者から金銭を借り入れする際は、高金利の貸し付けをしていないかを確認してから契約しましょう。

※参考:e-Gov法令検索|貸金業法

2-2.出資法とは

出資法とは、出資や金利に関することを取り締まる目的で作られた法律です。

金利の上限が定められており、高金利で貸し付けを行った業者は刑事罰が科せられ、逮捕される場合があります。

出資法の第5条によると、年利109.5%を超える利息の契約をした業者に科せられる刑罰は、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金です。

また、上限金利を超える利息の受領や支払いを要求した場合も同様の刑罰に処せられます。

出資法には貸金業者に特則が定められており、年利20%を超える金利で貸し付けした場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金が科せられます。(※)

※参考:e-Gov法令検索|出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律

3.ファクタリングに利息制限法は適用されない

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ファクタリングは融資(貸金)に当たらないため、利息制限法が適用されることはなく、貸金業法や出資法も適用されません。

ファクタリングは売掛金を資金化(現金化)するサービスで、金銭を借り入れる融資とは仕組みが異なり、利息は発生せず手数料がかかります。

またファクタリングの審査では、ファクタリング会社は利用者の信用力よりも売掛先の信用力を重要視するので、利用者が複数社から融資を受けていても借入金がいくらあっても、ファクタリングを利用することは可能です。

ただし、ファクタリングに関する法整備は十分に行き届いていないため、ファクタリングではなく実際は融資だとみなされ、利息制限法や出資法が適用される場合もあります。

ファクタリングが貸金ではない根拠について詳しくは「ファクタリング会社の取り立ては厳しい?悪質な偽装ファクタリング業者に注意! 」の記事をご覧ください。

4.例外的にファクタリングで利息制限法などが適用されるケースとは

カフェで読書をするビジネスマン

ファクタリングは利息制限法が適用されないのが原則であるものの、例外的に適用されるケースがあります。

4-1.ケース1:買戻特約が付いている

買戻特約とは、第三債務者(売掛先)が債務を不払いにした場合に利用者がファクタリング会社に売却した売掛金を買い戻しするという契約内容です。

不払いの例は次のとおりです。

● 支払いの遅延
● 倒産
● 夜逃げ

ファクタリングの契約で買戻特約が付いていると、売掛先が上記に挙げた理由で売掛金を支払わなかった場合、売掛先の代わりに利用者がその責任を負わなければなりません。

利用者が責任を負うことは、売掛金を担保にした金銭の貸し付けとみなされます。

法的には、金銭消費賃借と認識されるため、ファクタリングによる取引であっても利息制限法や出資法が適用されます。

ファクタリングを利用する場合は、ファクタリング会社が貸金業者でないかを確認しておきましょう。

また、契約内容に買戻特約が付いていないかを確認することが重要です。

ファクタリングの契約に買戻特約が付いていなければ、売掛金の売却後に不払いが起こっても利用者が責任を負う心配がありません。

ただし、利用者が契約違反したことにより売掛金を回収できない場合は売掛先の不払いにはならないため注意が必要です。

4-2.ケース2:利用会社の財産が引き当てになっている

引当財産とは、第三債務者(売掛先)が不払いを起こした場合に取り立ての対象にする財産です。

つまり、融資における担保のようなものです。

契約通りに債務が支払われれば財産が没収されることはありませんが、債務が不払いになると財産が没収されます。

ファクタリングの契約内容に引当財産が設定されている場合は、契約したファクタリングは金銭消費賃借(貸金)とみなされる恐れがあります。

通常の債権譲渡契約を結んだ場合、利用者からファクタリング会社へ売掛金が譲渡されるだけで、売掛先が不払いを起こしても利用者が責任を問われることはありません。

しかしファクタリング会社は売掛金を回収できなくなり、大きな損失を被ります。

引当財産を設定した契約をすれば、ファクタリング会社は未回収リスクを避けられますが、ファクタリングではなく貸金に該当する恐れがあるため契約書の内容を必ず確認しましょう。

4-3.ケース3:給与ファクタリングを利用している

ファクタリングには法人向けのサービスと、会社員やフリーランスなどの個人向けのサービスがあります。

たとえば給与ファクタリングは、個人向けのファクタリングに含まれます。

給与ファクタリングとは、勤務先の会社から受け取る給料を債権としてファクタリング会社に譲渡し、資金化(現金化)する資金調達方法です。

給与ファクタリングを利用すると利息制限法が適用される理由は、ファクタリングとついているものの仕組みは消費者向けのローンと変わらず貸金に該当するためです。

給料の支払いは労働基準法によって勤務先の会社から労働者へ支払うことが義務付けられており、給料債権を譲渡することは想定されていません。

給与ファクタリングは通常のファクタリングとは特徴が異なり、貸金業の登録が不可欠です。

貸金業に無登録の業者が給与ファクタリングを行った場合、貸金業法に違反します

給与ファクタリングは利息制限法が適用されることを理解した上で、ファクタリング会社が貸金業に登録していることを確認してから利用しましょう。

給与ファクタリングについて詳しくは「個人で利用できる給与ファクタリングとは?おすすめの選び方や注意点を解説 」の記事をご覧ください。

5.過去に利息制限法がファクタリングに適用された判例がある

裁判所の入り口

ファクタリングを利用して利息制限法が適用された判例があります。

2017年(平成29年)3月3日に、判決が下された大阪地方裁判所の判例を紹介します。

こちらの判例では、原告のファクタリング利用者が、被告のファクタリング会社に対して過払い金を請求し、裁判所から認められました。

訴訟に発展した経緯は、利用者は毎月ファクタリングを利用していたものの、契約内容は実質的に金銭消費賃借契約とみなされる取引であったことに気付いたためです。

ファクタリングにおける売掛金の未回収リスクは、ファクタリング会社が負うのが原則であるにもかかわらず、ファクタリング会社が売掛金の未回収リスクを回避し、利用者に負担させる内容の契約を締結していました。

売掛先で不払いが起こった際の責任を負うのが利用者だった場合、紛れもなく金銭消費賃借契約と認識されるため、利息制限法が適用されるに至りました。

ファクタリング会社は利用者に対し、313万円及び2015年(平成27年)1月1日から支払いが完了するまでの年6分の割合にあたる金銭の支払いを請求しました。

これらの経緯を踏まえた結果、大阪地方裁判所はファクタリング会社に対し、467万4,182円及びこれに対する2014年(平成26年)11月1日から支払いが完了するまでの年5分の割合による金銭の支払いを命じました。

※参考:裁判所|裁判例結果詳細

6.ファクタリングの手数料はどうやって決まるのか

ペンをもって書類に記入する人

ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社が自由に設定できます。

手数料がどのように決まるのかを解説します。

6-1.決まり方1:売掛先の信用力

ファクタリング会社は、売掛先の信用力を審査した結果を踏まえてファクタリングの手数料を決めています。

売掛先の信用力で手数料を決める理由は、売掛先が倒産やキャンセルなどの理由で売掛金を回収できなくなるリスクがあるためです。

例えば、ファクタリング会社が売掛先の信用力が高いと判断した場合は、売掛金が未回収になるリスクは下がるので手数料は安くなります。

一方で、信用力が低いと判断した場合は売掛金が未回収になるリスクが上がるため、手数料は高めに設定されるのが一般的です。

経営に不安がある、経営規模が小さいなどの売掛金をファクタリング会社に売却する場合は売掛先の信用力が低いと判断されやすいので、手数料を安く抑えたい場合は信用力が高い売掛金を選びましょう。

6-2.決まり方2:利用者の信用力

ファクタリングの審査では第一に売掛先の信用力が調査されますが、少なからず利用者の信用力も手数料の設定に影響を及ぼすことがあります。

例えば、利用者の態度が悪い、提出書類に漏れがあるなどの利用者に対する印象が悪いと、手数料を高めに設定するケースが少なくありません。

特に、2者間ファクタリングを利用した場合は、利用者が信頼できる相手でなければファクタリング会社は売掛金が入金されないというリスクを抱えます。

売掛先の信用力が高くても利用者の印象が悪すぎると、ファクタリング会社に不信感を与えてしまい審査にすら通らない恐れもあるため、契約が完了するまでの対応の仕方に注意しましょう。

6-3.決まり方3:売掛金の額

ファクタリング会社の手数料は、ファクタリングに利用する売掛金の額によって変動します。

一般的には、売却する売掛金の額が高くなるほど手数料は安くなる傾向にあります。

売掛金の額が高いほど手数料が安くなる理由は、売掛金の額が高くなるほどファクタリング会社の利益が増えるためです。

例えば、100万円の売掛金を手数料10%で買い取った場合、ファクタリング会社の利益は10万円です。

一方で、1億円の売掛金を手数料3%で買い取ると、ファクタリング会社の利益は300万円となり、前述した取引よりも大きな利益を得られます。

また、売掛金の額が増えても手続きにかかる手間や費用は変わらないため、売掛金の額が大きいほどファクタリング会社が得られるメリットは増えます。

手数料を抑えて利用したい場合は大きい金額の売掛金を売却するようにしましょう。

6-4.決まり方4:支払期日までの日数

ファクタリング会社は、支払期日までの日数によって手数料を設定する場合があります。

支払期日までの日数が長くなるほど売掛先で倒産やキャンセルなどが起こる可能性が高まります。

売掛先が不払いになると、ファクタリング会社は売掛金を回収できなくなるリスクが高まり、大きな損失が出るかもしれません。

そのようなリスクを少しでも避けるために、支払期日までの日数が長い売掛金を買い取る場合はファクタリングの手数料を高めに設定しています。

一方で、支払期日までの日数が短い売掛金を買い取る際は、売掛金の未回収リスクが低くなるため手数料は安く設定されるのが一般的です。

できるだけ手数料を安く抑えたい場合は、支払期日までの日数が短い売掛金を選ぶことをおすすめします。

6-5.決まり方5:契約形態

ファクタリングには、2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの2つの契約形態があります。

手数料の相場は2者間ファクタリングが8%~18%、3者間ファクタリングは2%~9%です。

3者間ファクタリングよりも2者間ファクタリングの方が手数料は高く設定されているため、手数料を安く抑えたい場合は3者間ファクタリングの利用がおすすめです。

ただし、3者間ファクタリングを利用するには売掛先から承諾を得なければなりません。

承諾を得られない場合や、ファクタリングの利用を売掛先に隠したい場合は手数料が高くなりますが、2者間ファクタリングを利用することをおすすめします。

6-6.決まり方6:利用実績

ファクタリング会社の手数料を決める要因の一つが、ファクタリングの利用実績です。

ファクタリングの利用頻度の高さは利用者や売掛先の信用力が大きく、ファクタリング会社から信頼されていることを指すため、低めの手数料が設定される可能性があります。

手数料だけでなく、審査にかかる時間が短くなる、利用できる売掛金の額が上がるなどのメリットも得られます。

7.まとめ

ファクタリングは融資と異なるため、利息制限法は適用されません。

ただし、契約内容に買戻特約や売掛先による不払いに備えた引当財産の設定がある場合は金銭消費賃借契約とみなされ、利息制限法が適用されることがあります。

ファクタリング会社の中には、ファクタリングを装い高金利で金銭を貸し付ける悪徳業者も潜んでいるため信頼できる会社かどうかを見極めてから契約を交わしましょう。

ビートレーディングは累計取引者数5.8万社、月間契約件数1,000件、累計買取額1,300億円と豊富な実績があるファクタリング会社です。

手数料は2%~と低手数料から利用でき、買取金額に下限上限はありません。

オンライン契約が可能で、全国のどこからでもファクタリングを利用できます。

信頼できるファクタリング会社を探している方は、まずはご相談ください。

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監修者

株式会社ビートレーディング 編集部編集長

筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。

<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者