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個人事業主が利用できる助成金一覧|利用できない場合の資金調達方法も解説

個人事業主が利用できる助成金一覧|利用できない場合の資金調達方法も解説

資金繰りの役立ち情報

個人事業主でも利用できる助成金はいくつもあります。

雇用に関する助成金も多く、条件を満たせば人材の雇い入れから人材育成まで幅広く助成金を受け取ることができます

本記事では、以下の内容を詳しく解説しています。

・個人事業主が受給できる助成金一覧
・雇用に関連する助成金の詳細
・助成金を利用できない場合の資金調達方法

この記事を読むことで、個人事業主が受給できる助成金はどのような種類があるのかがわかり、どれが受給できるかを判断できます

また、助成金の条件に当てはまらない場合の資金調達方法も解説していますので、最後までご覧ください。

1.助成金は国などから支給される支援金

助成金は国などから支給される支援金

助成金は、指定の条件を満たした場合に国や地方公共団体などから支給される支援金です。

受給希望者が申し込みをすることで受け取ることができます。条件に当てはまっていても自動的に給付されることはありません。

1-1.受給した助成金の税金

助成金を受け取る場合に覚えておきたいのが税金です。助成金は税金の対象となるものとならないものがあります。そのため、税金の対象となる助成金を受給した場合は、税金を考慮しなければなりません。

助成金は収入扱いになりますが、対価としての収入ではないので消費税はかかりません。

2.個人事業主が受給できる助成金一覧

個人事業主が受給できる助成金一覧

個人事業主が利用できる助成金にはどのようなものがあるか、種類と特徴を解説します。

個人事業主が利用しやすい順に紹介していきますので、参考にしてみてください。

2-1.人材開発支援助成金

人材開発助成金は、労働者の職業能力開発を促進するための助成金です。事業主が雇用している労働者に、職務に関連する専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練などを計画に沿って実施すると、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成してもらえます。

雇用する人材の能力を伸ばしたい場合に、活用したい助成金です。

詳細については3-1.人材開発支援助成金の条件・金額で詳しく解説しています。

2-2.トライアル雇用助成金

さまざまな理由により、安定して職につくことが難しい労働者を、ハローワークを通じて3か月以上の雇用をした場合に支給される助成金です。

助成金が支給される分、人を雇用するハードルが下がります。雇用を検討している人は、活用したい助成金です。

詳細については3-2.トライアル雇用助成金の条件・金額で詳しく解説しています。

2-3.特定求職者雇用開発助成金

高齢者や障がい者といった就職困難者を、ハローワークなどの紹介で労働者として継続して雇い入れる事業主に対する助成金です。

簡単な軽作業や短時間勤務の事務処理などで人手が欲しい場合に、即戦力として人材を迎えることができ、助成金も受給できます。

詳細については3-3.特定求職者雇用開発助成金の条件・金額で詳しく解説しています。

2-4.地域雇用開発助成金

雇用機会が不足している地域で、事業主が事業者を設置・整備し、さらにその地域に居住する求職者を雇用する場合に給付される助成金です。設置整備費用や対象となる労働者の増加数によって助成金は異なります。

地域の人を雇い入れ、地域の活性化に貢献したい事業主におすすめの助成金です。

詳細については3-4.地域雇用開発助成金の条件・金額で詳しく解説しています。

2-5.中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成

中小企業退職金共済(中退共)とは、中小企業や個人事業主を対象とした退職金制度です。独立行政法人勤労者退職金共済機構が取り扱っています。

名前に「中小企業」と入っていますが、従業員を雇用する個人事業主であれば加入できます。

中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成は、中退共に加入した場合に掛金の助成を受けることができるため、従業員の退職金積み立てを検討している個人事業主におすすめです。

詳細については3-5.中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成の条件・金額で詳しく解説しています。

3.個人事業主が利用可能な雇用に関連する助成金の詳細

個人事業主が利用可能な雇用に関連する助成金の詳細

個人事業主が受給できる助成金は、主に雇用に関係する助成金です。

・人材開発支援助成金
・トライアル雇用助成金
・特定求職者雇用開発助成金
・地域雇用開発助成金
・中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成

人を雇用したい・人材の育成をしたい・待遇を良くしたい場合などに役立つ助成金ですので、雇用について検討している個人事業主の人は、把握しておきましょう。

3-1.人材開発支援助成金の条件・金額

人材開発支援助成金を受給するには、職業訓練などを受けさせる労働者が以下のような条件を満たす必要があります。

・2か月を超えて雇う者
・週当たりの所定労働時間が事業主に雇用される通常の労働者と同程度

コースによっても条件は異なりますので、詳細はコースごとに確認が必要です。

人材開発支援助成金には9コースあります。

コース内容
特定訓練コース10時間以上の効果が高い特定の訓練や、OJT(職場内訓練)とOFF-JT(社外研修)を効果的に組み合わせた訓練として認定を受けた場合に助成
一般訓練コース職務に関連した知識・技能を習得させるために20時間以上のOFF-JT訓練(特定訓練コースに該当するもの以外)をおこなった場合に助成
教育訓練休暇付与コース事業主以外がおこなう教育訓練等を受けるために必要な有給の休暇 (労働基準法39条の規定による年次有給休暇を除く)を被保険者に与え、自発的職業能力開発を受ける機会の確保等を通じた職業能力開発及び向上を促進する場合に助成
特別育成訓練コース正社員経験の少ないパート・アルバイトなどの有期契約労働者等の正社員転換、または処遇改善を目的として、事業主が有期契約労働者に対し、計画に沿って訓練を実施した場合に訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成
建設労働者認定訓練コース認定職業訓練または指導員訓練のうち建設関連の訓練を実施した場合や、建設労働者に対して認定訓練を受講させた場合に助成 
建設労働者技能実習コース若年者等の育成と熟練技能の維持・向上を図るため、キャリアに応じた技能実習 を実施した場合に助成
障害者職業能力開発コース訓練対象障害者が、 厚生労働大臣が定める教育訓練の基準に適合する障害者職業能力開発訓練事業をおこなうために、訓練の施設、設備の設置・整備、更新をする場合、もしくは障害者職業能力開発訓練事業をおこなう場合に助成
人への投資促進コースデジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成
事業展開等リスキリング支援コース新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成

助成金額もコースによって大きく異なりますので、各コースの詳細を確認しましょう。

3-2.トライアル雇用助成金の条件・金額

ハローワークなどを通じて一定期間以上従業員を雇用した場合に支給されるトライアル雇用助成金の受給条件は、以下の条件をすべて満たす必要があります。

①対象労働者がハローワーク・地方運輸局・職業紹介事業者の紹介日に、以下の5つに該当しないこと

• 安定した職に就いている者
• 自ら事業を営んでいる者
• 役員に就いており、1週間の実働時間が30時間以上の者
• 学校に在籍している者(卒業年度の1月1日を経過しており、卒業後の就職内定がない場合は除く)
• トライアル雇用期間中の者

②以下の4つのいずれかに該当すること

• 紹介日以前2年以内に離職、または転職を2回以上繰り返している者
• 紹介日以前の離職期間が1年以上のもの
• 妊娠・出産・育児を理由に離職し、紹介日以前の1年間安定した職に就いていない者
• ニートやフリーター等で55歳未満の者

③就職支援にあたり、特別な配慮を有する以下のいずれかに該当すること

• 生活保護受給者
• 母子家庭の母
• 父子家庭の父
• 日雇労働者
• 季節労働者
• 中国残留邦人等永住帰国者
• ホームレス
• 住居喪失不安定就労者
• 生活困窮者

④ハローワークや紹介事業者等の紹介により雇用すること

⑤原則3か月のトライアル雇用をすること

⑥1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度であること

助成金額は、支給対象者1人につき月額4万円です。母子家庭の母・父子家庭の父の場合は、月額5万円が支給されます。

3-3.特定求職者雇用開発助成金の条件・金額

就職困難者を継続して雇い入れるための特定求職者雇用開発助成金は、以下の条件をすべて満たす必要があります。

・ハローワークや紹介事業者等の紹介により雇用すること
・雇用保険一般被保険者として雇用し、継続して雇用することが確実であると認められること(対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続雇用し、当該雇用期間が継続して2年以上であること)

助成金額は、雇用した人材によって金額や期間が異なります

出典:厚生労働省|特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

個人事業主の場合、上記表のカッコ内の数字を参考にしてください。

3-4.地域雇用開発助成金の条件・金額

雇用機会が不足している地域に居住する求職者を雇用する地域雇用開発助成金は、以下の条件をすべて満たす必要があります。

①同意雇用開発促進地域等の事業所における施設や設備の設置・整備および、地域に居住する求職者等の雇用に関する計画書を労働局長に提出

②事業の用に供する施設や設備を計画日から完了日までの間(最長18か月間)に設置・整備(※)すること

※設置・整備費用は1点あたり20万円以上で、合計額が300万円以上である場合のみが助成対象

③地域に居住する求職者等を計画日から完了日までの間に、常時雇用する雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者(短期雇用特例被保険者および日雇い労働被保険者を除く。以下同じ。以下「被保険者」)として、ハローワーク等の紹介により3人(創業の場合は2人)以上雇い入れること

④設置・設備事業所の完了日における被保険者数が、計画日の前日の人数に比べ3人(創業の場合は2人)以上増加していること

第2~3回目は、以下の条件をすべて満たすことで受給できます。

①被保険者について、第2回目の支給基準日(完了日の1年後の日)および第3回目の支給基準日(完了日の2年後の日)の人数が、完了日における人数を下回っていないこと
②第2回目~3回目の支給基準日における対象労働者数が、完了日の人数を下回っていないこと
③第2回目~3回目の支給基準日までの離職者数が、完了日時点の対象労働者の2分の1以下、または3人以下であること

助成金額は以下の表を参考にしてください。創業と認められる場合のみ、1回目の支給はカッコ内の額が支給されます。

出典:厚生労働省|地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

3-5.中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成の条件・金額

中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成を申請するための条件は、以下の通りです。

• 新たに中退共制度に加入した事業主
• 掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額する事業主

助成金額は、加入か掛金の変更かで異なります。

【新たに中退共制度に加入した場合】

• 掛金月額2分の1(従業員ごとに上限5,000円)を加入後4か月目から1年間助成
• 短時間労働者の特例掛金月額(掛金月額4,000円以下)加入者は、上記掛金に上乗せして助成

短時間労働者の特例掛金月額加入の場合、掛金に応じて上乗せ額が異なります。掛金月額が2,000円なら300円、3,000円なら400円、4,000円なら500円の上乗せです。

【月額変更助成の場合】

掛金月額が18,000円以下の従業員に対する掛金を増額する場合、増額分の3分の1を増額した月から1年間助成されます。

4.助成金が利用できない場合の資金調達方法

助成金が利用できない場合の資金調達方法

助成金は条件を満たしていなければ受け取ることができません。特に個人事業主の助成金は雇用関係に偏りがあるため、人を雇用していない場合はなかなか利用できないのが現状です。

しかし、時にはすぐにでも資金調達が必要になるケースもあるでしょう。

そのような場合、個人事業主は以下のような方法で資金調達することができます。

資金調達方法内容
日本政策金融公庫からの融資政府が100%出資して創設された機関で、銀行で融資を受けられない個人事業主や中小企業向けの融資を中心に取り扱っている。
金利は低いが審査は厳しく時間がかかる傾向がある。
各自治体で用意されている「制度融資」地方自治体と金融機関、信用保証組合が連携して提供する融資制度。長期・低金利で融資を受けられ、比較的審査は通りやすい。
信用金庫や信用組合からの融資地域密着型の金融機関であるため、地域で開業している場合には融資を受けやすい。ただし、上記2つの融資と比べると多少金利が高くなる傾向にある。
銀行融資一般的な銀行から融資を受ける方法。大手企業などは銀行から融資を受けることが多いが、個人事業主からするとハードルが高い。ただ、絶対に資金調達できない訳ではなく、ある程度の実績があれば審査に通る可能性がある。
ビジネスローン「事業に使うためのローン」のことで、消費者金融やクレジットカード会社が主に提供している。
審査が比較的厳しくなく、審査にかかる時間も1週間程度と、スピーディーに資金調達ができるが金利は10%程度と高い。
カードローン消費者金融やクレジット会社が提供している貸付のことで、ビジネスローンと金利の高さなどは似ているが、使用目的が限られていない点が大きな違い。生活費にも使える。
クラウドファンディング一般の人から広く少額ずつ資金を集め、事業を実現する方法。商品やサービスの提供はあっても、金銭での返済が発生しないのが、これまでの融資と大きく違う。魅力的な商品やサービスでないと資金を集めるのは難しい。
ファクタリング売掛債権をファクタリング会社に譲渡して、早期に資金化する方法。売上が発生していなければ使えないが、万が一、売掛先が倒産したとしても、個人事業主が弁済する必要はなく、ファクタリング会社が負担してくれる。

助成金が利用できない場合に検討したい「ファクタリングについて」はこちらのコラムをご覧ください。

個人事業主の資金調達について詳しくは「個人事業主の資金調達方法を一挙紹介!資金調達を成功させるコツ」の記事をご覧ください。

まとめ

助成金は、国や地方公共団体から支給される支援金です。条件を満たしていれば申請することで受給できます

個人事業主が利用できる助成金には以下のようなものがあります。

【雇用に関連する助成金】

・人材開発支援助成金
・トライアル雇用助成金
・特定求職者雇用開発助成金
・地域雇用開発助成金
・中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成

このように、雇用に関連する助成金ばかりであるため、人を雇用していない個人事業主は利用することができません

助成金を利用できず資金調達が必要な場合は、融資やファクタリングなどを検討してみましょう。

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監修者

株式会社ビートレーディング 編集部編集長

筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。

<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者