「個人事業主が運転資金の融資を受けるにはどんな方法がある?」
「受けやすい融資の種類は?」
「融資以外にもおすすめの資金調達方法があれば知りたい」
そう思っていませんか?
結論からお伝えすると、個人事業主が運転資金の融資を受ける方法は5つあります。
具体的には、
・カードローンを利用する
・ビジネスローンを利用する
・公的融資を利用する
・信用金庫から融資を受ける
・銀行から融資を受ける
5つの方法にはそれぞれメリットとデメリットがあり、おすすめのケースも違います。
運転資金の融資で後悔しないためには、それぞれの特徴をよく理解して自社の要望に沿った方法を選ぶことが大切です。
そして、自社に合った方法を見つるために、融資を受ける際の審査ポイントを事前に把握しておきましょう。
融資の審査は誰でも不安になるものですが、特に個人事業主は企業などに比べて融資を受けにくいため、審査のポイントをしっかり抑えて十分な準備をすることが重要になります。
また、運転資金の融資を受ける場合は、借りた金額に利子が付いた分を毎月返済していくことになりますよね。
借りるのだから返すのは当たり前だとは言え、
「返済できるか不安」
「できれば返済のストレスは軽減したい」
と思っている人も多いのではないでしょうか。
そんな時は、お金を借りる「融資」以外の方法も検討してみることをおすすめします。
融資ではない方法で運転資金の資金調達ができれば、利子がつくこともなく返済の必要もありません。
もちろん、融資以外の資金調達方法にもメリットデメリットがありますから、こちらもそれぞれをよく理解して、自分には何が向いているのかを総合的に判断することが必要です。
そこでこの記事では
◎個人事業主が運転資金の融資を受ける方法
◎ケース別のおすすめ融資方法
◎個人事業主が運転資金の融資を受ける際のポイント
◎個人事業主におすすめの融資以外の資金調達法
について詳しく解説していきます。
この記事を最後まで読み終えると、個人事業主が運転資金の融資を受けるにはどんな方法があり、自分に向いているのはどの方法か、融資を受ける際のポイントなどについて理解でき、安心して融資を受けることができるでしょう。
この記事があなたの資金繰りのお役に立てることを願っています。
ファクタリングについては5-3.ファクタリングで資金調達するで解説しています。
目次
- 1.【融資を受けやすい順】個人事業主が運転資金の融資を受ける5つの方法
- 2.【ケース別】個人事業主におすすめの運転資金の融資方法
- 3.個人事業主が運転資金の融資を受ける際の審査ポイント
- 4.個人事業主が運転資金の融資を受ける際の3つの注意点
- 5.融資以外にも個人事業主ができる3つの資金調達方法
- 6.まとめ
1.【融資を受けやすい順】個人事業主が運転資金の融資を受ける5つの方法
冒頭でもお話した通り、個人事業主が運転資金の融資を受ける方法は主に5つあります。
具体的には、
・カードローンを利用する
・ビジネスローンを利用する
・公的融資を利用する
・信用金庫から融資を受ける
・銀行から融資を受ける
この中から自分がどの方法で融資を受ければ良いかを判断するには、それぞれどんな特徴があるのかを知っておく必要があります。
借りやすさ | 金利 | 借主の事業規模 | |
---|---|---|---|
カードローン | ◎ | 上限18%程度 | 問わない |
ビジネスローン | ◎ | 上限15%〜18%程度 | 問わない |
公的融資 | ◯ | 1%〜3%程度 | 個人事業主歓迎 |
信用金庫 | ◯ | 2%〜4%程度(会員優遇制度あり) | 個人事業主歓迎 |
銀行 | △ | 1%〜4%程度 | 中小企業以上向け |
そこで、融資を受けやすい順に、5つの方法のそれぞれの特徴について説明していきます。
じっくり読んでそれぞれの特徴を把握していきましょう。
1-1.【融資の受けやすさ★★★★★】カードローンを利用する
カードローンとは、クレジットカード会社や消費者金融、金融機関などが提供する個人向け融資サービスのことです。
金利は上限が18%程度と高めですが、ローンの利用目的は問われず審査もシンプルなので気軽に資金調達をすることが可能です。
担保や保証人は不要で、審査は簡単な年収の申告程度です。
最短即日で利用開始が可能なので、個人事業主が運転資金の融資を受ける方法の中で最もハードルが低い方法だと言えます。
カードローンは、申し込みをした際に利用者の限度額が設定され、限度額内であれば何度でも借り入れることが可能ですが、カードローンで借り入れできる限度額は、基本的には年収の3分の1までです。
金利は高いですが、インターネットやコンビニのATMでいつでも利用できる気軽さが大きな特徴です。
ただし、カードローンの中でも銀行系が提供するサービスは「事業性資金への使用は不可」としているケースが多いです。
利用する際は初めに申し込み要件をよく読むようにしましょう。
1-2.【融資の受けやすさ★★★★☆】ビジネスローンを利用する
ビジネスローンとは、銀行や信販・クレジットカード会社、消費者金融などさまざまな金融機関で提供する事業用資金専用のローン商品です。
事業用資金専用なので事業用以外の用途には利用できないほか、利用対象者も法人経営者か個人事業主に限定されています。
使い道や利用者が限定されているので審査のハードルは低く、担保や保証人が不要な場合が多いです。
銀行が提供するビジネスローンは、一部担保や保証人が必要な場合があるので確認しておきましょう。
ただ、ビジネスローンは借りやすい反面、全体的に金利が高い傾向にあり、銀行で上限が15%程度、ノンバンク系で上限18%程度です。
さらに融資可能額が他の融資方法よりも少額で、300万円〜500万円程度のところが多いです。
ビジネスローンについてさらに詳しく知りたい人は、ビジネスローン特徴やメリットデメリットについて書かれた「銀行借入金利の相場は1%〜15%!計算方法と低金利で借入れるコツ」の記事もチェックしてみてください。
1-3.【融資の受けやすさ★★★☆☆】公的融資を利用する
先ほどお話したカードローンやビジネスローンは、借りやすいが金利の高さや借入額の上限がネックでした。
そこで次にご紹介したいのは、公的融資を利用するという方法です。
公的融資とは、国や自治体から融資を受けることです。
営利目的ではないので金利が低いことや、母体が倒産することもないので安心して利用できます。
個人事業主が運転資金の融資を受けたい際に利用できる公的融資は、次の3点です。
①日本政策金融公庫
②商工会議所
③信用保証協会
それぞれの特徴を具体的にお話しますね。
1-3-1.日本政策金融公庫
日本政策金融公庫とは国が100%出資する金融機関で、すべての株式を国が常時保有するという公的な組織です。
1%〜3%程度の金利で融資を受けることができます。
日本政策金融公庫の事業は営利目的ではなく、経済の発展や生活の安定などを目的に必要な事業を取り扱っています。
個人事業主を対象とした事業融資は、開業支援から通常支援、新型コロナ感染症支援など臨時的なものまで幅広く、平均融資額が1,000万円程度です。
ほとんどが無担保・無保証人で融資を受けられます。
また、日本政策金融公庫では、融資だけでなく経営サポートを行っている点も特徴です。
1-3-2.商工会議所
商工会議所は地域の事業者をサポートする公的機関です。
商工会議所は金融機関ではないので、商工会議所が直接融資を行うことはありませんが、利用者と金融機関の窓口になり融資を受けるための相談やサポートを行ってくれます。
商工会議所が窓口になってくれる融資は主に次の3つです。
①マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
日本政策金融金庫による融資です。
必要条件を満たせば商工会議所が推薦してくれます。
②メンバーズビジネスローン
商工会議所の会員限定のビジネスローンです。
加入する商工会議所が提携する金融機関から、低金利で融資を受けることができます。
③創業支援融資保証制度
商工会議所が次に説明する信用保証協会と提携して行っている融資制度です。
創業5年未満の法人、または個人であれば申込資格に該当します。
また、商工会議所が融資に必要な書類作成をサポートしてくれます。
1-3-3.信用保証協会
信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき、中小企業や小規模事業者の円滑な資金調達を支援することを目的に設立された公的機関です。
一般社団法人「全国信用保証協会連合会」が運営していて、全国47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市) に設置されています。
信用保証協会を利用する目的としては、融資を直接受けるのではなく「融資を受けやすくする」ためです。
分かりやすく言うと、融資を受けたい人の保証人になってくれる機関です。
具体的には、利用者が信用保証協会に一定の信用保証料を支払うことで、万が一返済できない事態に陥った場合に信用保証協会が弁済してくれる仕組みです。
大企業と比べて対外的な信用が低い個人事業主が信用保証協会を利用することで、金融機関にとっては貸倒れリスクがなくなるので融資を受けやすくなるという訳です。
1-4.【融資の受けやすさ★★☆☆☆】信用金庫から融資を受ける
信用金庫とは、地域の繁栄を図ることを目的とした金融機関です。
信用金庫を利用できるのは、地域の人や地域内で事業を行っている人(従業員300人以下)などで、外部の人や大企業は利用できません。
そのため、主な取引先は、中小企業や個人になります。
信用金庫の融資は、基本的に信用金庫に出資をしている会員向けですが、700万円以下の小口融資であれば会員でなくても利用できます。
金利は銀行と同じくらいで2%〜4%程度と低めです。
銀行と違うのは、信用金庫は地域の発展を優先させる機関であり、利益第一主義ではないという点です。
信用金庫では営業範囲が一定の地域に限定されており、信用金庫に預けられた資金はその地域の発展に活かされます。
そのため、事業発展や創業融資に力を入れているところが多く、個人事業主の運転資金についても積極的に相談に乗ってくれるのです。
組織の規模が小さいため銀行融資よりは金利が高めですが、個人事業者向けの融資相談窓口が設置されているなど、個人事業主の発展を全力でバックアップしてくれる金融機関だと言えます。
1-5.【融資の受けやすさ★☆☆☆☆】銀行から融資を受ける
最後にご紹介するのは、銀行からの融資です。
銀行融資は他の融資方法よりも金利が低く平均1%〜4%ですが、審査のハードルが高いのが難点です。
審査が長引く分、融資が実行されるまで1か月程度かかることもあります。
審査のハードルの高さについて具体的に説明すると、
・提出書類が多く、作成に時間がかかる
・担保や保証人が必要
・自己資金や他の借入状況の調査
などがあります。
ただし、もし銀行から借り入れできれば、他の融資方法よりも大きな額を調達できるでしょう。
銀行借入は金利が低いのが特徴ですが、さらに詳しく金利の相場を知りたい人は「銀行借入金利の相場は1%〜15%!計算方法と低金利で借入れるコツ」の記事を参考にしてみてくださいね。
2.【ケース別】個人事業主におすすめの運転資金の融資方法
次にお話したいのが、ケース別のおすすめ融資方法です。
ケース別のおすすめを知ることで、自分がどの融資方法を選べば良いのか、具体的なイメージを持つことができるでしょう。
ケースについて具体的に説明すると、
①融資スピードと手軽さ重視なら「カードローン」
②年収の3分の1以上の額を借りたいなら「ビジネスローン」
③事業を始めて間もないなら「公的融資の日本政策金融公庫」
④金利も審査ハードルも低い方が良いなら「信用金庫」
⑤時間がかかっても金利を抑えることを優先したいなら「銀行融資」
というように、5つのケースに分けられます。
これらの融資方法について、メリットとデメリットを踏まえておすすめな理由について詳しく解説していきます。
ご自分のニーズと照らし合わせて、ぜひ融資方法選びの参考にしてみてくださいね。
2-1.融資スピードと手軽さ重視なら「カードローン」がおすすめ
カードローンのメリットとデメリットは次のようになります。
メリット | デメリット |
◎最短数時間〜即日で資金調達が可能 ◎審査は年収や他社借入の申告程度で簡単 | ◎金利が平均18%程度と高め ◎借入限度額は年収の3分の1まで |
上の図からも分かるように、カードローンは融資のスピード感と手軽さに大きなメリットがあり、
「とにかく早く資金を調達したい」
「今すぐに運転資金が必要で、売掛金が入ればすぐに全額返済できるので金利は高くても構わない」
という人にはカードローンがおすすめです。
カードローンのメリットとデメリットについて、もう少し詳しく説明していきましょう。
2-1-1.カードローンのメリット
カードローンのメリットは次の3点です。
①審査のハードルが低く気軽に融資を受けられる
②申し込みから融資まで最短即日が可能
③限度額以内ならコンビニのATMやインターネットで24時間いつでも借り入れが可能
カードローンの審査は、名前や住所、生年月日、勤務先などの基本的な個人情報のほか、年収と他社借入の有無を伝える程度です。
銀行借入のように、事業計画書を準備したり、担保や保証人の用意は必要ありません。
申込みから融資の実行までのスピードも早く、審査状況にもよりますがほとんどが最短数時間〜即日で融資を受けられます。
その上、限度額以内であればコンビニのATMやインターネットで24時間いつでも借り入れが可能なので、「困った時にすぐにお金を借りられる」というサービスです。
2-1-2.カードローンのデメリットは上限18%程度という金利の高さ
先ほどのお話で、カードローンの利便性をお分かりいただけたかと思いますが、もちろんデメリットもあります。
それは、金利が高いことです。
銀行系のカードローンなら年4.5%〜18%、ノンバンク系のカードローンなら年15%〜18%が相場です。
例を挙げて説明すると、100万円を1年間借りたとしたら、銀行系のカードローンで45,000円〜18万円、ノンバンク系のカードローンで15万円〜18万円の金利が付くことになります。
カードローンは今回ご紹介するおすすめ5つの融資方法の中でも金利が高いので、長期利用する場合にはおすすめできません。
また、借入できる金額は基本的に年収の3分の1までになるため、より多くの資金が必要な人には不向きといえます。
2-2.年収の3分の1以上の額を借りたいなら「ビジネスローン」がおすすめ
ビジネスローンのメリットとデメリットは次のようになります。
メリット | デメリット |
◎最短即日で資金調達が可能 ◎審査の手続きが簡単 ◎総量規制の対象外 | ◎金利が15%〜18%程度と高め ◎銀行の場合は通常融資より上限額が低い |
この表からも分かるように、審査のハードルが低いことや融資が早い点は先ほどのカードローンと同じメリットですが、ビジネスローンの他の融資方法にないメリットとしては「総量規制の対象外」だという点があげられます。
総量規制とは、貸金業法で定めている「個人が借り入れできる金額は年収の3分の1まで」というルールで、無理な借り入れを防ぐために設けられています。
つまり「総量規制の対象外」ということは年収に関係なく借り入れができるということです。
そのためビジネスローンは、年収の3分の1以上の金額を借り入れたい人におすすめです。
例えば、
「年収は600万円程度だが、事業拡大のため300万円の融資を受けたい」
「運転資金としてカードローンで年収の3分の1まで借りているが、追加で融資を受けたい」
という場合に利用できるでしょう。
ビジネスローンのメリットとデメリットについて、さらに詳しくお話ししていきます。
2-2-1.ビジネスローンのメリット
ビジネスローンのメリットは次の3点です。
・用途が限定されている分審査に通りやすい
・最短即日〜5営業日程度の融資のスピード感
・年収に関係なく融資を受けられる
ビジネスローンは、そもそも金融機関で融資が受けられない個人事業主や企業でも借り入れができるようにと誕生した金融商品です。
そのため審査は通常の銀行融資や公的融資などと比べてハードルが低く、担保や保証人が必要ないものが多いです。
さらにカードローンほどではないものの、最短即日で資金調達可能という融資のスピード感も魅力です。
そして先ほどもお話しした通り、ビジネスローンは総量規制の対象外なので、カードローンでは借り入れできない額の融資を受けられる可能性が高い融資方法です。
2-2-2.ビジネスローンのデメリット
ビジネスローンのデメリットは次の2点です。
・金利が高く上限は15%〜18%程度
・銀行の場合は通常融資より上限額が低い
メリットのところでもお話した通り、ビジネスローンは審査のハードルが低く融資のスピード感もあるので、その分金利は高く設定されています。
具体的には、銀行系で15%、ノンバンク系で18%程度です。
金利が高いので、長期間の借り入れには注意する必要があります。
さらに、銀行の通常融資と比べると融資額の上限が低く設定されていて、高額な融資は受けられない点もデメリットです。
融資額の上限は金融機関や個人の状況によって変わってきますが、相場は300万円〜500万円程度、最大でも1,000万円程度です。
銀行融資の場合は数千万円〜億単位の融資を行っていますので、多額の融資を受けたい場合には大きなデメリットになるでしょう。
2-3.事業を始めて間もないなら「公的融資の日本政策金融公庫」
公的融資の日本政策金融公庫のメリットとデメリットは次のようになります。
メリット | デメリット |
◎開業前、開業したばかりでも利用できる ◎金利の相場は1%〜3%程度と低め ◎長期返済が可能 | ◎事業計画書の作成、提出が必要 ◎審査には2週間〜1か月程度かかる |
この表からも分かるように、日本政策金融公庫はまだ事業を立ち上げていない場合や創業間もない場合でも利用できる融資を提供しています。
また、国が100%出資する機関ですので営利目的ではなく、金利も相場が1%〜3%程度と低めに設定されているほか貸出条件も優れているので、
・事業を始めて間もなく、まだ業績や信用力が低い個人事業主
・できるだけ金利は低く、かつ借りやすい融資を選びたい
という人におすすめです。
日本政策金融公庫のメリットとデメリットについて、さらに詳しく説明していきましょう。
2-3-1.日本政策金融公庫のメリット
日本政策金融公庫のメリットは次の3点です。
・事業を始めて間もない個人事業主でも融資を受けられる
・金利が1%〜3%程度と低めに設定
・返済期間は5年以上だから1回あたりの返済額を抑えられる
先ほどもお伝えした通り、日本政策金融公庫は営利目的ではなく、個人事業主や企業経営者を支援するための機関です。
新規事業者、女性、若者、シニア起業家などを対象にさまざまな融資を展開しているので、一般の金融機関では融資を受けにくい状況にあっても、借り入れをすることができる可能性があります。
その上、営利目的ではないので金利が低く、1%〜3%です。
そして返済期間が5年以上と長いのも大きなメリットです。
1回あたりの返済額を抑えられるので収入が少ない個人事業主でも負担のない返済計画を立てることができます。
2-3-2.日本政策金融公庫のデメリット
日本政策金融公庫のデメリットは次の2点です。
・事業計画書の作成が必要
・審査に2週間〜1か月程度の時間が必要
銀行の融資と比べて審査のハードルが低く借りやすいものの、事業の将来性を見極めるために事業計画書の提出が必要です。
これまでご紹介してきた「借りやすい」カードローンやビジネスローンにはなかった書類なので、少し面倒な気がしてしまう場合もあるでしょう。
特に事業を始めて間もないという人は、「事業計画書ってどう書けば良いの?」と不安に感じるかもしれませんがその点はご安心ください。
日本政策金融公庫では事業計画書の書き方もレクチャーしてくれるので、不安な場合は気軽に相談できます。
デメリットの2つ目は、審査に時間がかかることです。
融資にあたっては利用者の返済能力をしっかり審査するので、早くても2週間、遅くても1か月程度は必要です。
2-4.審査ハードルは低く、強力サポートも受けたいなら「信用金庫」
信用金庫のメリットとデメリットは次のようになります。
メリット | デメリット |
◎地域の個人事業主へのサポート体制が強力 ◎会員になれば金利が優遇される | ◎保証協会付きの場合は信用保証料が必要 ◎地域外に移転した場合は利用できない |
この表からもお分かりのように、信用金庫は地域密着型、地域第一主義の金融機関です。
利益を優先しないため金利は低く、大企業のような大きな信用力がない個人事業主にも前向きに融資を検討してくれます。
そのため、低い審査ハードルに加え、強力サポートも受けたいなら信用金庫がおすすめです。
信用金庫のメリットとデメリットについてさらに詳しく説明していきましょう。
2-4-1.信用金庫のメリット
信用金庫のメリットは次の2点です。
・地域の個人事業主へのサポートに前向きなので融資が受けやすい
・会員になれば金利を優遇される
先ほどもお話しした通り、信用金庫は地域の中小企業や個人事業主の発展を第一に考えています。
そのため、銀行では融資が厳しいような業績や財政状況でも、信用金庫なら事業計画書などを元に前向きに検討してくれることが多いのです。
さらに個人事業主専用の窓口が設けられていることも多いので、信用金庫は個人事業主に優しい金融機関だと言えます。
また、信用金庫の融資は金利の相場が2%〜4%程度です。ですが、会員になれば優遇金利で融資が受けられます。
会員になるには当該信用金庫への出資が必要なので、詳細については各地域の信用金庫のHPを確認してみてくださいね。
2-4-2.信用金庫のデメリット
信用金庫のデメリットは次の2点です。
・保証協会付きの融資は信用保証料が必要
・地域外に移転した場合は利用できない
信用金庫の融資は、ほとんどが保証協会付きの融資です。
保証協会付き融資とは、前に説明した「信用保証協会」に保証人になってもらうことで、万が一借主の返済が滞った場合は信用保証協会が代位弁済するというものです。
信用保証を付けることで融資の審査に通りやすくなるわけですが、借主は信用保証協会に信用保証料を支払わなくてはなりません。
信用保証料は借入金額や信用保証率、保証期間などに応じて決まります。
そして信用保証率は経営状況などに応じて次の9区分に分けられます。
信用保証料率 | ||||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
1.90 | 1.75 | 1.55 | 1.35 | 1.15 | 1.00 | 0.80 | 0.60 | 0.45 |
(参考:東京信用保証協会)
経営状況が良いほど数字の大きい区分に分類され、信用保証率が低くなる(信用保証料が安くなる)という訳です。
デメリットの2つ目は、地域外に居住地や事業拠点を移した場合は利用できなくなるという点です。
何度もお話ししている通り、信用金庫を利用できるのは、その地域に住む個人や事業を営む個人事業主や中小企業の経営者だからです。
地域が変わっても新たな地域の信用金庫との取引を始めることは可能ですが、手続きを何度も行うことになり負担がかかるでしょう。
2-5.とにかく金利を抑えたいなら「銀行融資」
銀行融資のメリットとデメリットは次のようになります。
この表からも分かるように、銀行融資は金利が低く多額の融資が可能であることがメリットです。
そのため銀行融資は、
・手間や時間がかかってもとにかく金利を抑えたい
・数千万〜億単位の大きな額の融資を希望している
という人におすすめの融資方法です。
銀行融資のメリットとデメリットについてさらに詳しく説明していきますね。
2-5-1.銀行融資のメリット
銀行融資のメリットは次の2点です。
・他の融資方法と比べて金利が低い
・数千万円以上の高額融資も可能
銀行は基盤が大きく安定しているので、これまで説明してきた融資方法の中で最も金利を抑えられる方法です。
さらに高額な融資にも対応していて、数千万円以上の高額な融資を希望する人には銀行融資が大きなメリットになるでしょう。
2-5-2.銀行融資のデメリット
一方、銀行融資のデメリットは次の2点です。
・信用力が低いと審査に通りにくい
・審査に1か月程度必要
金利が低く高額融資も可能な分、銀行融資では返済能力を裏付ける信用力を厳しく審査します。
具体的には、
・財務状況(自己資金、決算書、確定申告書、資金繰り表など)
・事業の展望(業歴、事業計画書など)
これらの提出が必要です。
そのため、開業間もない人や業績の伸びがゆるやかな人、財務状況が思わしくない人は審査に通りにくいでしょう。
銀行の取引先は主に企業なので、個人事業主の場合は企業に匹敵するような業績や信用力を得ていることが必要になります。
さらに、厳しく審査が行われる分、審査期間も長引きます。
長くて1か月程度は見ておいた方が良いでしょう。
「すぐに運転資金が必要」だという人にとっては、大きなデメリットになってしまいます。
3.個人事業主が運転資金の融資を受ける際の審査ポイント
先ほどの説明で自社にとっておすすめの融資方法が分かったら、次はそれぞれの融資を受ける際のポイントを知っておきましょう。
融資を受けるためには審査が必要で、誰でも審査に通るわけではありません。
そこで、事前に審査のポイントを抑えておき、しっかり準備をしておくことが大切です。
今回は最初にお伝えした「個人事業主が運転資金の融資を受ける5つの方法」ごとに審査ポイントをご紹介していきます。
①カードローン
②ビジネスローン
③日本政策金融公庫
④信用金庫
⑤銀行
気になる融資方法の審査ポイントをしっかり読んでいただき、審査の際の参考にしてくださいね。
3-1.カードローンで融資を受ける際の審査ポイント
カードローンの審査は5つの融資方法の中でも最もハードルが低く、それほど身構える必要はありません。
とは言え、もちろん誰でも融資を受けられるわけではありませんので審査ポイントをしっかり押さえておきましょう。
カードローンの審査ポイントは次の2点です。
①確実に毎月返済できるか
②総量規制に該当していないか
それぞれについて詳しく説明していきましょう。
3-1-1.確実に毎月返済できるか
カードローンに限らずどの融資でも、「確実に返済してもらえるか」という点は貸主にとって外せないポイントです。
カードローンでは所定の申し込み用紙に必要事項を入力しますが、その中でも
・本人年収
・家族構成
・職業
という点がポイントになります。
本人の年収が高ければそれに越したことはありませんが、開業したばかりで収入が低い場合でも家族構成によっては融資が認められる場合があります。
具体的には、結婚している場合や生計が同じ同居家族がいる場合です。
ご主人や奥様が正社員で、収入が安定している場合であれば「毎月返済できる」とみなされる可能性が高いのです。
3-1-2.総量規制に該当していないか
本人年収や家族構成の他に、もう一つポイントになるのは他社からの借り入れの有無や金額です。
これは、貸金業法の「総量規制」に該当していないかを判断するためです。
前にも説明しましたが、総量規制とは「個人の借入総額が年収の3分の1を超えてはならない」とする貸金業のルールで、過剰な借り入れを防ぐことが目的です。
そのため、融資を行う際は必ず他社からの借り入れがチェックされ、他社からの借入も含めて年収の3分の1以上は融資を受けられません。
3-2.ビジネスローンで融資を受ける際の審査ポイント
次に、ビジネスローンで融資を受ける際の審査ポイントをご紹介しましょう。
ビジネスローンで融資を受ける際のポイントは次の2点です。
・提出書類に不備はないか
・事業計画書は明確に分かりやすく書かれているか
それぞれについてもう少し詳しく説明していきましょう。
3-2-1.提出書類に不備はないか
これはビジネスローンに限ったお話ではありませんが、提出書類が複数ある場合は不備がないか、記入漏れがないかをしっかり確認しておくことが大前提です。
提出書類は利用する会社によって違いますが、一般的には
・本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
・収入証明書(確定申告書)
・事業計画書
であることが多いです。
「一つや二つのミスくらい大目に見てもらえるでしょ」とお考えなら、危険です。
融資を受けられるかは信用力が重要なポイントになりますので、できるだけ不備はなくし「信用できる」ポジションでいるように心がけましょう。
3-2-2.事業計画書は明確に分かりやすく書かれているか
ビジネスローンは事業用途に限定した融資ですので、それを証明するために事業計画書の提出が必要です。
「事業計画書」は、開業したばかりの人や今回の融資が初めての人にとっては聞き慣れない言葉だと思いますが、事業内容や企業の戦略、収益見込みなどを説明するものです。
では、事業計画書は何の用紙にどのように記載するのかと言うと、特に用紙やテンプレートに決まりはありません。
Web上で「事業計画書 テンプレート」と検索すると、ダウンロードして利用できるテンプレートがたくさん掲載されているので参考にしてみると良いでしょう。
事業計画書に記載する内容は主に次の通りです。
・事業主のプロフィール
・経営理念
・事業内容
・サービスの特徴や魅力
・経営戦略
・売上と利益に関する計画
・資金計画
という内容が重要視されます。
これらの内容をふまえて、「自分が提供しているサービスにはどのような魅力があり、現在の利益はどうで、今後はどのくらい上がる見込みがあり、今後の事業拡大のためにはどのくらいの資金が不足している」
といったように、できるだけ相手に分かりやすく具体的に、熱意を込めて伝えることが必要です。
事業計画書は融資を受けるためのプレゼンです。
ただ「500万円ください」と言っても相手には何も響きません。
「◯◯だからどうしても500万円が必要なのです!」と熱意を伝えることがポイントです。
3-3.日本政策金融公庫で融資を受ける際の審査ポイント
日本政策金融公庫は営利目的ではない公的機関であることや、個人事業主にも間口が広いことから、「審査に通りやすいのでは」と軽く考えてしまう人も多いのです。
ですが、実は約4割〜5割が審査に通らないという実態があります。
なぜ半数も審査に落ちてしまうのかと言うと、「審査が緩いから」と審査ポイントを事前に把握せず準備不足にあるからです。
だからこそ、しっかり準備をすることが大切なので、まずは次の審査ポイントをチェックしましょう。
・金融事故や税金の滞納はないか
・事業計画書に矛盾がないか
・面談への対策ができているか
それぞれについて詳しく説明していきましょう。
3-3-1.金融事故や税金の滞納はないか
融資の審査ポイントの大前提として、金融事故や税金の滞納の有無はしっかりと確認しておきましょう。
金融事故とは、銀行や消費者金融への返済やクレジットカードの支払いなどが遅れたり、滞ったことがあるかという点です。
この場合は信用情報機関に載ることになるので、他の融資方法でも借り入れは難しいでしょう。
また、税金の滞納にも注意しましょう。
何度も繰り返し滞納している、滞納額が増えている、という状態になると「融資しても返済が滞るだろう」とみなされてしまうからです。
3-3-2.事業計画書に矛盾がないか
先ほどの「ビジネスローン」の話にもあったように、融資を受ける際は「事業計画書」が非常に重要視されます。
どれだけ相手の心を動かせるかということはもちろん、内容に矛盾があれば不信感を抱かれてしまうので注意しましょう。
3-3-3.面談への対策ができているか
日本政策金融公庫では、カードローンやビジネスローンとは違い、融資の申し込みをした後に融資担当者との面談があります。
面談で聞かれる項目は、創業計画書または事業計画書にある内容です。
具体的には
・創業の動機
・取扱商品やサービス
・事業の見通し
・必要な資金
これらについて質問された際に具体的に根拠を添えて説明することができるように準備しておくことが重要です。
商品の実物がある場合は、面談時に持参して実際に担当者に見てもらいながら説明するのもおすすめです。
面談の際にしどろもどろになったり、書類と異なる内容を話してしまわないよう、しっかり対策して面談に臨みましょう。
3-4.信用金庫で融資を受ける際の審査ポイント
信用金庫で融資を受ける際の審査ポイントは、次の2点です。
・地域密着型を最大限にアピール
・信用金庫の会員になる
もちろん他の融資方法と同じように資金使途や事業計画を明確にしておくことは大前提ですが、信用金庫で融資を受けたいのなら、今お話したように「信用金庫と親しくなり意向に沿える立場である」ということをアピールする必要があります。
それぞれのポイントについて、さらに詳しく説明していきますね。
信用金庫の目的は、地域に密着し地域の経済発展をサポートすることです。
そのため、あなたの事業が地域に密着したものであることをアピールできれば、前向きに融資を検討してくれるでしょう。
とは言え、ただ単に「◯◯地域で10年事業を行っています」程度ではあなたの事業が地域にどの程度の利益をもたらしてくれるのかは分かりません。
例えばフリーランスのカメラマン10年目で、これまで地域の雑誌に飲食店や風景写真を継続して掲載していたとします。
この度、これまで撮り溜めていた写真に加えて新たな取材・撮影を行い、地域の観光パンフレットを作成するための運転資金が必要になったとしましょう。
この場合、あなたの事業が成功して多くの人の目に留まれば、地域の発展と活性化につながる可能性があります。
そこで、その点を最大限にアピールしましょう。
「◯◯地域で10年以上フリーランスカメラマンとして地域の風景や人物、店舗などの撮影を行ってきました。今回作成する観光パンフレットでは、これまでの写真に加え、新たな観光スポットやまだ知られていない美しい風景などを取材・撮影し、掲載します。100ページ全てカラーで、地域外でも販売される予定です。多くの人をこの地域に呼び込み、活性化の起爆剤になることが期待されます」
といったように、自社の事業がいかに地域の発展につながるような事業を行っていることを具体的にアピールすることがポイントです。
3-4-2.信用金庫の会員になる
信用金庫の融資は、原則会員向けです。
ですが、700万円以下の小口融資であれば会員以外でも利用できます。
とは言え、信用金庫はそもそも地域の人々の相互扶助を目的に作られた組織で、会員からの出資で財源を賄っているという特性があります。
そのため、会員になることで信用金庫のサポートをしていることになり、融資の際に金利面で優遇される特典があります。
会員になれば必ず審査に通るというわけではありませんが、地域の人々の暮らしと事業を活性化させたいという目的が信用金庫にある以上、会員でないよりは会員になっておいた方が良いでしょう。
会員になるためには
・信用金庫のある住所内に事業所または住所を有するもの
・信用金庫のある住所内で勤労をしているもの
・信用金庫のある住所内に事業所を有するものの役員
・従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者
・暴力団や反社会的勢力と関わりがないこと
・一定額以上の出資をすること
という要件が必要です。
詳細は各信用金庫によって異なるので、住所がある信用金庫のHPなどをチェックしてください。
3-5.銀行で融資を受ける際の審査ポイント
個人事業主が銀行で融資を受けるのは、簡単ではありません。
なぜなら、銀行の融資は他の融資方法よりも財務状況や事業計画、返済計画などを厳しくチェックされるからです。
そのため、もし銀行から融資を受けたいのなら事前に審査ポイントをしっかり把握しておくことが必要です。
銀行で融資を受ける際の審査ポイントは次の3点です。
・自己資金が一定額あること
・税金の滞納がないこと
・事業計画、返済計画を明確にすること
それぞれについてさらに詳しく説明していきましょう。
3-5-1.自己資金が一定額あること
銀行から融資を受けるためには自己資金が必要です。
どのくらいあれば良いのかというと、明確な決まりはありませんが、一般的には融資希望額の3分の1以上の自己資金があった方が良いでしょう。
例を挙げると、600万円の融資を受けたいのなら、200万円程度の自己資金があった方が良いということですね。
ここで自己資金について補足すると、自己資金とは必ずしも「今手元にある資金か貯金」というわけではありません。
例えば生命保険の解約金や学資保険の返戻金、退職金なども、受け取れる時期や金額が明確であれば自己資金としてみなされます。
一方、もし他社から借り入れがあり、その残額が通帳に残っていたとしても、それは返済が必要な資金なので自己資金とはみなされませんので注意しましょう。
3-5-2.税金の滞納がないこと
他の融資方法でも同様の説明をしましたが、銀行融資でも税金の滞納があれば審査がかなり厳しくなります。
「支払わなければならない税金を延滞するのであれば、ローンの返済も滞るだろう」という印象を与えてしまうからです。
ただ、滞納後すぐに支払っている場合や、滞納している理由が納得できるものであった場合は、面談で担当者に説明すれば理解を得られることもあります。
3-5-3.事業計画、返済計画を明確にすること
銀行の融資では、事業計画と返済計画の提出が必須です。
そして、他の金融機関よりも厳しく審査されるので、十分な準備をしておく必要があります。
ただ、熱意を伝えようとするばかりに自分本位になってしまうのは逆効果です。
事業計画書は客観的な視点を基本に作成することが大切です。
特に
・経営理念が明確に記載されているか
・正確な数値、具体的で説得力がある目標が記載されているか
・実行可能であるか
という点は非常に重要です。
事業計画書を作成する際には何度も推敲し、可能であれば信頼できる第三者にも確認してもらうなど、十分な準備が必要です。
そして、面談で内容について尋ねられた際は、しっかりと根拠ある説明ができるようにしておきましょう。
4.個人事業主が運転資金の融資を受ける際の3つの注意点
個人事業主が運転資金の融資を受ける際には3つの注意点があります。
後悔しないように融資を受けるために、事前に注意点をしっかり把握して融資に申し込むことが大切です。
個人事業主が運転資金の融資を受ける際の注意点は次の3点です。
・融資限度額が高くても必要な分だけ借りる
・現実的な返済計画を立てる
・書類に不備がないか何度も確認して提出する
それぞれについてもう少し具体的に説明していきますね。
4-1.融資限度額が高くても必要な分だけ借りる
個人事業主が運転資金の融資を受ける際の注意点の1つ目は、融資を受ける際は限度額が高くても必要な分だけ借りるという点です。
融資を受ける際は相手側から融資限度額が提示されますが、財務状況や信用度によっては、想像以上に高い限度額になる可能性もあるでしょう。
「やった!そんなに借りられるなら借りておこう」
と考えるのは非常に危険です。
当然ですが、融資を受けたお金には利子が付き、利子と元金の合計を返済していかなければなりません。
そのため、必要以上に借りすぎると今後の資金繰りを圧迫してしまうことになるので注意しましょう。
4-2.現実的な返済計画を立てる
返済計画については、銀行や信用金庫などで融資を受ける際に提出する事業計画書にも記載する内容ですが、必ず現実的な計画を立てるようにしましょう。
・300万円融資を受けて、毎月10万円ずつ返済すればすぐに終わるだろう
というような楽観的な考え方では、またいずれ資金繰りに困ってしまう可能性があります。
個人事業主は仕事量が一定ではないことが多く、時期によって収入の増減があるため、仕事量が少なく収益が低い時期でも確実に返済できる計画を立てることが重要です。
4-3.書類に不備がないか何度も確認して提出する
融資の審査を受ける際は、書類に不備があるとかなり不利に働きます。
貸主の気持ちを想像してみるとお分かりになるかと思いますが、多額のお金を貸すなら信頼できる人を選びたいですよね。
・書類に書かれている内容が事実と違う
・ミスが多い
・記入されていない箇所が多い
となると、「この人は信頼できないな」「本当にお金を貸して大丈夫だろうか」という印象を与えてしまいます。
融資を受けたいのなら、「このぐらいの間違いは許されるだろう」という楽観的な考えは捨てて、不備がないかを何度も確認してから提出するように注意しましょう。
5.融資以外にも個人事業主ができる3つの資金調達方法
個人事業主が運転資金の資金調達をするには、融資だけが方法ではありません。
もし、まだ事業が安定していなく、「融資を受けても滞りなく返済できるか不安」という人は、融資以外の資金調達方法も視野に入れて検討してみることもおすすめです。
融資以外の資金調達方法は次の通りです。
・補助金や給付金を活用する
・クラウドファンディングを利用する
・ファクタリングで資金調達する
それぞれについて、さらに詳しく説明していきますのでぜひ参考にしてみてくださいね。
5-1.補助金や給付金を活用する
国や自治体、商工会などではさまざまな補助金や給付金で個人事業主をサポートしています。
補助金や給付金は融資よりも少額になることが多いですが、給付された金額は返済する必要がないので、ぜひ検討すべき資金調達方法です。
例えば、全国商工会連合会で実施している「小規模事業者持続化補助金(一般型)」は、小規模事業者や個人事業主の販路開拓や事業効率化の仕組みを支援するために設けられた補助金です。
審査に通れば上限50万円(通常枠)まで補助されます。
そのほか、新型コロナウイルス症関連の補助金や特別貸付なども多く提供されています。
詳しく知りたい人は、経済産業省が運営する「ミラサポ plus」というwebサイトで補助金や支援制度を検索できますのでぜひ活用してみてください。
5-2.クラウドファンディングを利用する
融資以外の方法で運転資金の資金調達をお考えなら、クラウドファンディングも候補の一つに挙げると良いでしょう。
クラウドファンディングについて簡単に説明すると、インターネット上で事業を支援してくれる不特定多数の人から資金を調達する方法です。
クラウドファンディングは商品やサービスを提供する前に資金を調達することができるので、事業に失敗するリスクを抑えることができます。
クラウドファンディングには6つの形式があり、「寄付型」、「購入型」、「融資型」、「株式投資型」、「ファンド型」、「ふるさと納税型」です。
個人事業主が利用するなら、
・プロジェクトに対して支援者がお金を寄付をする「寄付型」
・プロジェクトに対して支援者がお金を支援し、支援者はそのリターンとしてモノやサービスを得る「購入型」
が一般的でしょう。
クラウドファンディングを行うためには、掲載したいクラウドファンディングサイトを探し、商品(サービス)の特徴や事業の将来性などを記載したプロジェクトページを作成して資金を調達します。
購入型の場合は、リターン品についても考案し準備する必要があります。
5-3.ファクタリングで資金調達する
運転資金に困っている個人事業主の中には、売掛債権を持ちすぎているケースもあるのではないでしょうか。
そんな時はファクタリングを利用して運転資金を調達する方法もおすすめです。
ファクタリングとは、売掛金をファクタリング会社に譲渡して、本来の売掛金の入金よりも早く資金化するサービスです。
※2者間ファクタリングの仕組み
ファクタリングには
・利用者とファクタリング会社の2者でやり取りをする「2者間ファクタリング」
・利用者とファクタリング会社、売掛先の3者でやり取りをする「3者間ファクタリング」
の2種類の方法があり、2者間ファクタリングの場合は最短即日で資金化できるケースもあります。
ファクタリングを利用するメリットとしては次の通りです。
・融資ではないので返済の必要がない
・補助金の申請やクラウドファンディングのように準備や手続きに時間がかからない
一方、デメリットとしては、手数料がかかることです。
ファクタリング会社やファクタリングの種類によって異なりますが、一般的には次の通りです。
・2者間ファクタリングで8%〜18%
・3者間ファクタリングで2%〜9%
手数料がかかるので長期利用や常時利用はおすすめできませんが、売掛債権を持ちすぎていて運転資金をすぐに準備したい人には、すぐに資金化できるファクタリングがおすすめです。
個人事業主の運転資金の調達に便利な「ファクタリング」の基礎知識はこちらをご覧ください。
【ファクタリングならビートレーディングがおすすめ】 |
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「安心して利用できるファクタリング会社を選びたい」 そうお考えなら、取引先実績が5.8万社、累計買取額は1,300億円(2024年3月時点)の弊社ビートレーディングがおすすめです。 ビートレーディングの特徴は次の4つです。 ①時代のニーズに合わせたオンライン契約に対応 ②最短2時間のスピード審査、即日の資金調達も可能 ③審査資料は2点のみ ④月間契約数1,000件 請求書と通帳のコピー(2か月分)の2点で申し込みができ、最短2時間で審査が完了します。 「すぐに運転資金が必要」という場合でも、ビートレーディングならお待たせしません。 また、オンライン契約に対応しているので来社不要です。 地方に住んでいる場合や、業務に忙しい時期、出張や外出先からでも気軽に申し込むことができます。 「初めてだから審査に通るか不安」 「自分でも利用できるのか心配」 という人でも気軽に利用できるファクタリング会社です。 ビートレーディングのファクタリングが気になる人は、ぜひHPをチェックしてみてください。 |
6.まとめ
いかがでしたか?個人事業主が運転資金の融資を受ける方法について詳しく説明してきました。
最後にこの記事をまとめると、
◎個人事業主が運転資金の融資を受ける5つの方法
・カードローンを利用する
・ビジネスローンを利用する
・公的融資を利用する
・信用金庫から融資を受ける
・銀行から融資を受ける
◎ケース別のおすすめ融資方法は
①とにかく早く手軽に融資を受けたいなら「カードローン」
②年収の3分の1以上の額を借りたいなら「ビジネスローン」
③事業を始めて間もないなら「公的融資の日本政策金融公庫」
④金利も審査ハードルも低い方が良いなら「信用金庫」
⑤金利を抑えたいなら「銀行融資」
◎個人事業主が運転資金の融資を受ける際のポイントは
①カードローンは
・確実に毎月返済できるか
・総量規制に該当していないか
②ビジネスローンは
・提出書類に不備はないか
・事業計画書は明確に分かりやすく書かれているか
③日本政策金融公庫は
・金融事故や税金の滞納はないか
・融資希望額の10分の1以上の自己資金があるか
・事業計画書に矛盾がないか
・面談への対策ができているか
④信用金庫は
・地域密着型を最大限にアピール
・信用金庫の会員になる
⑤銀行
・自己資金が一定額あること
・税金の滞納がないこと
・事業計画、返済計画を明確にすること
◎個人事業主が運転資金の融資を受ける際の注意点は
・融資限度額が高くても必要な分だけ借りる
・現実的な返済計画を立てる
・書類に不備がないか何度も確認して提出する
◎個人事業主が運転資金の調達をする際の融資以外の方法は
・補助金や給付金を活用する
・クラウドファンディングを利用する
・ファクタリングで資金調達する
となります。
個人事業主が運転資金の融資を受ける方法にはさまざまな特徴やメリットがあることがお分かりになったでしょうか。
また、融資以外の方法もぜひ選択肢に入れ、あなたにとって最適な資金調方法を選んでください。
この記事が、あなたのこれからの事業拡大のお役に立てることを願っています。
筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者