ファクタリングは資金調達方法の1つとして広く利用されていますが、審査方法はファクタリング会社によって異なります。
ファクタリング会社の中には審査をAIが行っているところもあります。
ファクタリングのAI審査は、具体的にどのように行われているのでしょうか。
この記事では、AIによる審査が可能なファクタリングの特徴とともに、AI審査のメリット・デメリットを解説します。
AI審査と人による審査の違いを知りたい場合は、ぜひ参考にしてください。
「ファクタリングとは」のコラムではファクタリングの仕組みや審査について解説しています。
目次
1.AI審査によるファクタリングとは
ファクタリングのAI審査には、人による審査とは異なる特徴があります。
そのため、AI審査でファクタリングを利用する際は、どのような審査なのか把握しておくと良いでしょう。
ここでは、AI審査によるファクタリングの基本について解説します。
1-1.人ではなくAIが審査をする
AI審査によるファクタリングとは、人ではなくAI(人工知能)が審査を行うオンライン完結のファクタリングです。
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社へ譲渡して資金を確保する方法です。
ファクタリングの申し込みをすると、ファクタリング会社が売掛債権や売掛先企業などに関する情報を審査して問題がないかチェックします。
ファクタリングの審査はファクタリング会社の担当者が個別に行っている場合が多いですが、AI審査ではAIが人の代わりに審査を実施します。
AI審査は、あらかじめ設定された基準に基づいてAIが売掛債権をスコアリングし、ファクタリングを利用できるか判断する仕組みです。
必要な作業のすべてにAIが対応するため、スピーディーな審査を実現できます。
1-2.サービスによっては店舗を持たない
ファクタリング会社の中には、AI審査に特化しているところもあります。
AI審査に特化しているファクタリングの場合、Web上で申し込みや審査の依頼が可能です。
利用者がファクタリング会社へ出向いて対相談や審査をするプロセスがないため、店舗を持たないサービスも少なくありません。
Web上で完結するAIファクタリングでは、必要書類の提出もWeb上で済ませられます。
そのため、手続きのために電話や対面で人と話さなくてもファクタリングによる資金調達を実現できます。
1-3.入金スピードまでの日数が短い
AI審査によるファクタリングでは、人が関わらないため審査にあまり時間がかかりません。
審査を開始してから結果が出るまでの時間が短めです。
申し込み時に登録された情報をAIが自動的にスコアリングして審査の結果を出すため、最短10分程度で審査が完了します。
そのため、AIファクタリングは、入金までの日数が短い傾向です。
ファクタリング会社によっては、AIによる審査の結果が出てから入金までの時間が数時間で済むところもあります。
1-4.オンラインだけで資金調達が完了する
すでに触れたとおり、AI審査に特化したファクタリング会社は店舗を持たず、オンラインで手続きが完了することがほとんどです。
そのため、全国どこでも、同じ条件でファクタリングの申し込みから契約、資金調達まで可能です。
地域によって審査や入金にかかる時間に差が生じる心配は少ないでしょう。
すべてのやり取りにオンラインで対応できるため、書類を郵送する手間もかかりません。
ファクタリング会社が少ない地域の方や事業で忙しい方でも、気軽に利用できます。
オンライン完結のファクタリングについて詳しくは「オンラインファクタリングとは?ネット完結で即日資金調達したい場合におすすめ 」の記事をご覧ください。
1-5.2者間ファクタリングのみ取り扱っている
AIファクタリングで利用できるのは、基本的に2者間ファクタリングのみです。
ファクタリングには、2者間ファクタリングと3者間ファクタリングがあります。
2者間ファクタリングは利用者とファクタリング会社のみで契約するため、売掛先への通知は必要ありません。
2者間ファクタリングは、利用者、売掛先、ファクタリング会社で契約する3者間ファクタリングと比較しても、手続きがシンプルで簡単です。
そのため、AI審査を導入しやすく、手続きもスムーズに進みます。
2.AI審査によるファクタリングを利用するメリット
AI審査によるファクタリングには、さまざまなメリットがあります。
特に、少額の資金を短期間で調達したい場合に向いているでしょう。
ここでは、AI審査によるファクタリングのメリットについて解説します。
2-1.即日資金調達できる可能性がある
すでに解説している通り、AIの審査で利用できるファクタリングは、人が審査するファクタリングと比較して審査にかかる時間が短い傾向があります。
審査時間が短ければ申し込みから入金までのスピードも早まる可能性が高いため、素早く資金調達したいと考えている企業には特におすすめです。
また、AIファクタリングに対応しているサービスはファクタリング会社と利用者のやり取りがオンラインで完結するため、手続きもスムーズに進みます。
ファクタリング会社によっては、必要書類も少なく審査を受けるための準備も簡単です。
もちろん、書類を封入したり郵送したりする手間もありません。
可能な限り早く資金を調達したいなら、AI審査を行っているサービスを選ぶと良いでしょう。
2-2.ファクタリング会社が近くになくても利用できる
ファクタリング会社の所在地は都市部に集中していますが、AI審査を行っているオンライン完結のファクタリング会社を選べば地域を問わず利用できます。
AI審査によるファクタリングは、パソコンやスマートフォンなどから申し込みが可能です。
また、チャットツールや会計アプリなど、もともと利用していたアプリから申し込めるサービスもあります。
オンラインなら申し込みや審査のためにファクタリング会社の店舗へ行く必要がないため、たとえファクタリング会社が近くになくても支障はありません。
都市部以外の地域にはファクタリング会社の店舗が少ないですが、AIファクタリングならどこからでも同じ条件で利用できます。
会社はもちろん、自宅からでも申し込みや審査の手続きに対応可能です。
2-3.手数料が安くなるケースがある
ファクタリングを利用するには、一定の手数料がかかります。
手数料はファクタリングの対象となった売掛債権の金額から差し引かれます。
そのため、ファクタリングを利用する際は、なるべく手数料を安く抑えたほうが良いでしょう。
AIが審査するファクタリングは、人が審査するファクタリングと比較して手数料が安くなる可能性があります。
AIファクタリングに対応しているファクタリング会社は店舗を持たない場合が多く、コストを抑えて運営できるためです。
サービスの運営にかかるコストが低いため、通常のファクタリングよりも手数料を安くできます。
一般的に、2者間ファクタリングについては、3者間ファクタリングよりも手数料を高く設定しているファクタリング会社が多い傾向です。
少しでも手数料を抑えるためには、AIファクタリングの利用を検討するのも1つの方法です。
2-4.少額のファクタリングにも対応している
AIファクタリングは、少額のファクタリングに対応しているケースが少なくありません。
ファクタリング会社にもよりますが、AI審査なら1万円程度の売掛債権でもファクタリングを利用できる可能性があります。
売上規模が小さい中小零細企業や個人事業主の場合、売掛債権を保有していたとしても少額になりがちです。
しかし、法人向けのファクタリング会社の場合、最小買取額が100万円程度に設定されていることもあります。
そのため、ファクタリングを利用する際には、買取額の下限を確認しておかなければなりません。
AIファクタリングなら、少額のファクタリングに対応していることが多いため、売上規模が小さい事業者でも利用しやすいでしょう。
2-5.幅広い業種に対応している
AIによる審査が行われるファクタリングは、幅広い業種に対応している傾向があります。
AI審査であれば、さまざまな情報を含むデータベースを活用して審査ができるためです。
人が審査している場合、過去に取引がない業種については審査が困難なケースも少なくありません。
過去に取引がない業種のファクタリング審査は時間がかかる上に、慎重な判断が必要になります。
結果的に審査に通らない可能性もあるでしょう。
しかし、幅広い業種に対応できるAIファクタリングなら、ニッチな業種や新しい分野の業種についても審査を受けやすいでしょう。
個人事業主やフリーランスを対象としているサービスも多く、ファクタリングを利用できる可能性がより高くなります。
3.AI審査によるファクタリングを利用するデメリット
AIが審査するファクタリングには、デメリットといえる部分もあります。
AIファクタリングの利用を検討する上では、デメリットもよく理解しておくことが大切です。
ここでは、AI審査によるファクタリングを利用するデメリットを解説します。
3-1.機械的な審査で柔軟性がない
AIファクタリングは、人が審査するファクタリングと比較すると審査が機械的になりがちです。
通常のファクタリングは人が1件ずつ審査するため、利用者からのヒアリングも踏まえた上で審査結果を出します。
利用者の個別の事情や人柄なども踏まえて、柔軟に審査をすることが可能です。
しかし、AIによるファクタリングでは、あらかじめ設定された基準に基づいて審査が行われます。
少しでも基準を下回っていれば、基本的に審査に通りません。
利用者の個別の事情や人柄などは一切配慮されないため、柔軟な審査を希望する場合は向いていないでしょう。
基準ギリギリの状態であれば、人による審査が受けられるファクタリング会社のほうが審査に通る可能性があります。
3-2.AIを利用したファクタリングは少ない
ファクタリング会社は多く存在しますが、AI審査に対応しているファクタリング会社はそれほど多くはありません。
AI審査にこだわりすぎると、選べるファクタリング会社は少なくなります。そのため、複数の会社を比較して選びたい場合、どうしても選択肢が少なくなるでしょう。
AIファクタリングでなくてもオンラインでの申し込みや即日入金などに対応しているファクタリング会社はあるため、希望に合わせて探してみてください。
なお、AIを利用したファクタリングは、まだ新しいサービスです。
そのため、ファクタリング会社が採用しているAIの精度によっては、正確な審査結果が出ない場合も想定されます。
AIファクタリングで審査に落ちても人が審査する他のサービスなら利用できる可能性があるので、申し込みを検討してみましょう。
3-3.高額なファクタリングには対応していないケースもある
AIファクタリングの場合、高額な売掛債権の譲渡には対応できない可能性があります。
すでに触れたとおり、AIファクタリングは少額取引には対応していますが、そもそも高額な取引に対応していないサービスも存在します。
高額なファクタリングは利用者とファクタリング会社の双方にとって慎重な判断が必要です。
そのため、対面で詳しく相談しながら、申し込みや契約などの手続きを進めたほうが安心感があるでしょう。
AIファクタリングはAIによる機械的な審査やオンラインでの効率的な手続きが可能で便利ですが、高額な取引には向いていないため高額な取引を希望するなら、人が審査を行い、対面で手続きを進めるファクタリング会社を選びましょう。
3-4.3者間ファクタリングの利用ができない
前述のとおり、AIファクタリングで扱っているのは、基本的に2者間ファクタリングのみです。
そのため、3者間ファクタリングを利用したい場合は、AIによる審査は選択できない可能性があります。
3者間ファクタリングは利用者(利用会社)、ファクタリング会社、売掛先で契約する必要があり、2者間ファクタリングよりも手続きが複雑になります。
売掛先が関わる分、審査にも時間がかかることが一般的です。
一方、2者間ファクタリングは手続きがシンプルで入金までのスピードが早いものの、手数料は一般的に3者間ファクタリングのほうが安くなります。
そのため、3者間ファクタリングを利用したほうが良いケースもあります。
3者間ファクタリングの利用を希望する場合は、AI審査以外のファクタリング会社への申し込みを検討しましょう。
4.AIファクタリングを利用する際の流れ
AIファクタリングは、どのように利用するのでしょうか。
よりスムーズに利用するには、全体の流れをあらかじめ理解しておくことが大切です。
ここでは、AIファクタリングを利用する際の一般的な流れについて解説します。
4-1.アカウント登録
AIファクタリングは基本的にオンラインで手続きをするので、まずはファクタリング会社のWebサイトからアカウント登録を済ませる必要があります。
登録の際はメールアドレスの入力や本人確認書類のアップロードなどを行うため、事前に用意しておきましょう。
なお、アカウントを登録するだけなら、基本的には無料です。
早めにアカウントの登録をしておけば、ファクタリングを利用したいタイミングで素早く申し込みの手続きができます。
4-2.申し込み
作成したアカウントを使用し、Webサイトやアプリからファクタリングの申し込みをしましょう。
申込の際は、売掛債権を証明するための請求書、銀行口座の入出金明細、決算書などの書類をWebサイトからアップロードする必要があります。
必要な書類についてはあらかじめ提示されているため、事前に用意しておくと手続きをスムーズに進めることができます。
必要書類を提出して申し込みが完了すれば、すぐにAIによる審査が実行されます。
4-3.審査・入金
申込内容と提出書類をもとにAIによる審査が行われ、結果がメールで通知されます。
審査に通過すれば契約内容が示されるため、よく確認しましょう。
特に、手数料や入金時期、償還請求権の有無などの重要事項は、しっかり確認することが大切です。
契約内容を確認し、条件に問題がなければ契約を締結します。
その後、あらかじめ指定していた口座に資金が入金される流れです。
AIファクタリングは入金までのスピードが早く、サービスによっては申し込みから数時間で入金される場合もあります。
5.AI審査によるファクタリングを利用する際のポイント
スムーズかつ適切にファクタリングを利用するには、どうすれば良いのでしょうか。
AI審査によるファクタリングを利用する上で、押さえておきたいポイントがあります。
ここでは、ポイントを具体的に解説します。
5-1.複数社から見積りを取って手数料を確認する
ファクタリングの利用時は、複数社から見積りを取って手数料を比較しましょう。
AIファクタリングは手数料が安い傾向がありますが、実際の手数料は審査を受けなければ分からない場合がほとんどです。
また、AIファクタリングのサービスの中には、一律の手数料を設定しているところもあります。
しかし、売掛債権の金額や売掛先の信用力によっては、他のサービスを選ぶと手数料がより安くなる可能性もあります。
複数社から見積りを取って検討すれば、手数料を抑えて利用できるファクタリング会社を選択しやすいでしょう。
5-2.買取可能な金額を確認する
すでに説明したとおり、AIファクタリングは少額の取引に対応している場合が多く、高額な取引には対応できない可能性があります。
ただし、実際の買取可能額は、ファクタリング会社がそれぞれ個別に定めています。
そのため、AIファクタリングの利用を希望する際は、それぞれのファクタリング会社の買取可能額を確認しましょう。
特に少額または高額なファクタリングを希望する場合は対応していないケースもあるので、複数のファクタリング会社を調べておく必要があります。
5-3.必要書類を確認する
スピーディーな資金調達のためには、必要書類の確認も早い段階で済ませておく必要があります。
AIによる審査が可能なファクタリングは審査から入金までの時間が短く、即日入金にも対応しています。
しかし、利用者自身が必要書類を提出するまでは審査を開始できません。
書類の提出が遅れるとその分だけ入金までの時間も遅くなるため、注意しましょう。
必要書類はファクタリング会社によって異なるので、あらかじめ確認して準備しておくとスムーズです。
5-4.入金までの日数を確認する
早期の資金調達を重視しているなら、申し込みから入金までの日数を確認しておきましょう。
ファクタリング会社によって、AIファクタリングの入金までの日数は異なります。
また、「最短即日」で入金可能だとしても、申し込みのタイミングによっては1日以上かかる可能性もあるため要注意です。
特に、土日祝日は営業していないファクタリング会社もあるので、申し込む曜日によっては入金までに時間がかかる恐れがあります。
5-5.審査に落ちた場合の対応を考える
前述のとおり、AIファクタリングの審査は柔軟性に欠ける可能性があり、少しでも基準を下回っていると審査に落ちる恐れがあります。
そのため、審査に落ちた場合にどう対応するかを事前に考えておいたほうが良いでしょう。
AIによる審査に通過できなかった時は、人が審査する通常のファクタリングへの申し込みを検討してみることもおすすめです。
オンラインや対面で相談できるサービスなら、利用者の人柄や事情を踏まえた柔軟な審査を期待できます。
6.ファクタリングのAI審査と人による審査の違い
AIファクタリングはオンラインだけで手続きが完了するため、便利で気軽に利用しやすいサービスです。
しかし、人による審査とは異なり、細かい相談や柔軟な対応はできません。
利用者の人柄や事情に対する配慮も難しいでしょう。
ファクタリングでは資金のやり取りをするため、慎重に相談した上で利用したいという人も少なくありません。
特に高額な取引や3者間ファクタリングの利用を検討しているなら、担当者とオンラインや対面で直接やりとりでき、人による個別の審査が行われる通常のファクタリングのほうが安心できます。
通常のファクタリングでも、オンラインで担当者に相談できるサービスがあります。
事前にしっかり相談した上でファクタリングを利用したいなら、窓口やオンラインで相談してから利用できるファクタリング会社がおすすめです。
7.まとめ
AIによる審査が行われるファクタリングのメリットは、オンラインで手続きが完結し、審査結果がすぐに出るところです。
また、少額取引に対応しており、個人事業主やフリーランスでも気軽に利用できます。
ただし、一定の条件に基づいて審査が行われるため、利用者の人柄や事情を考慮した柔軟な審査はできません。
高額取引や3者間ファクタリングにも対応していない可能性が高いでしょう。
状況に応じて慎重にファクタリングを利用したい場合や事前に相談したい場合は、通常のファクタリング会社の利用も検討しましょう。
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契約方法は、オンライン、来社、訪問から選択できます。
ファクタリングの利用を検討している場合はぜひご相談ください。
筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者