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ファクタリングで二重譲渡をしたら犯罪!?発覚したときの最悪のケースは?

ファクタリングで二重譲渡をしたら犯罪!?発覚したときの最悪のケースは?

ファクタリングの基礎知識

二重譲渡とは、1つの売掛債権(売掛金)を複数のファクタリング会社へ譲渡することです。

1つの売掛債権を譲渡できるのは1社のみであり、二重譲渡は犯罪行為にあたります。

そのため、資金調達の目的で同じ売掛債権を複数のファクタリング会社へ譲渡することは絶対に行わないようにしましょう。

この記事では、ファクタリングで売掛債権を二重譲渡するとどうなるのか解説します。

二重譲渡は犯罪であり絶対に避けなければならないことを理解するために、ぜひ参考にしてください。

ファクタリングの仕組みを詳しく知りたい方は、「ファクタリングとは?仕組みや種類・注意点を簡単に解説!」の記事をご覧ください。

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1.ファクタリングにおける債権の二重譲渡は犯罪

100万円札の束を持ったビジネスマン

ファクタリング利用者の中には、二重譲渡であることを認識しないまま行っているケースもあるでしょう。

債権の二重譲渡とは、どのような行為なのでしょうか。

ここでは、債権の二重譲渡の概要とともに、目的や発生しやすいケースなどについて解説します。

1-1.そもそも債権の二重譲渡とは

二重譲渡とは、1つのものを複数の相手に譲渡する行為です。

売掛債権(売掛金)の譲渡は、商品のように目に見える物を引き渡すわけではないため、1つの売掛債権を複数のファクタリング会社と譲渡する契約を結ぶことも不可能ではありません。

しかし、そのような契約が行われても、実際の売掛債権そのものは1つです。

二重譲渡が発生すると、売掛債権の所有権をどのファクタリング会社がもっているのかが問題になります。

売掛債権を譲渡されたにもかかわらず、売掛金を受け取れないファクタリング会社が発生すればトラブルになる可能性が高いでしょう。

そのため、債権に限らず二重譲渡は犯罪行為になります。

1-2.債権を二重譲渡する目的

ファクタリングにおける売掛債権(売掛金)の二重譲渡の目的は、不正に多くの資金を確保するためです。

ファクタリングは、企業が譲渡できる売掛債権を保有しているという前提で行われます。

ファクタリング会社が売掛債権の譲渡を受けると、売掛債権の額面の範囲で資金を渡します。

譲渡された売掛債権の債権者はファクタリング会社になり、将来的に売掛金を受け取ることで資金を回収する仕組みです。

例えば、1つの売掛債権を2つのファクタリング会社へ二重譲渡した場合、利用者は各ファクタリング会社からそれぞれ売掛債権の額面の範囲で資金を受け取れるため、2倍の資金調達が可能になります。

しかし、すでに触れたとおり、どちらかのファクタリング会社が資金を回収できなくなる恐れがあるため、売掛債権の二重譲渡は違法行為とされています。

1-3.二重譲渡が起こるケース

2者間ファクタリングは、契約の際に債権譲渡登記を行うのが一般的です。

債権譲渡登記とは、売掛債権(売掛金)を譲り受けるファクタリング会社が債務者以外の第三者に対抗要件を備えるための手続きです。

債権譲渡登記が行われていれば、登記情報の照会により債権譲渡の事実を把握できます。

債権譲渡登記が行われていない状況では第三者が債権譲渡の事実を知る術がなく、他のファクタリング会社にも同じ売掛債権が譲渡され二重譲渡が起こる可能性があります。

債権譲渡登記について詳しくは「ファクタリングにおける債権譲渡登記とは?目的や手続きの方法などを解説」の記事をご覧ください。

2.ファクタリングで二重譲渡がバレる理由

空に×マークの棒をかざす手

ファクタリングで売掛債権(売掛金)を二重譲渡すると、ほぼ確実にバレるでしょう。

基本的に、ファクタリングの契約前に確認が行われるからです。

たとえ契約前に二重譲渡が発覚しなくても、支払期日がくればバレてしまう可能性が高いでしょう。

ここでは、ファクタリングで二重譲渡がバレる理由を詳しく解説します。

2-1.審査の際に登記情報を確認するため

すでに触れたとおり、2者間ファクタリングを行う際は、一般的に債権譲渡登記が行われます。

ファクタリング会社へ見積りを依頼すれば、ファクタリングが可能な売掛債権(売掛金)かどうかを確認するために登記情報の照会が行われます。

売掛債権がすでに他のファクタリング会社へ譲渡されて債権譲渡登記が行われていれば、二重譲渡をしようとしているとバレる可能性が高いでしょう。

この場合、売掛債権の金額や売掛先の信用度にかかわらず、ファクタリングの契約を断られます。

つまり、ほとんどのケースでは、債権の二重譲渡でファクタリングを利用することは不可能ということです。

ファクタリングを利用できないだけでなく、二重譲渡しようとした事実により利用者としての信用を失うことになります。

2-2.支払い期日になっても送金できないため

最初の契約で債権譲渡登記を行っていない場合、他のファクタリング会社が二重譲渡の事実に気付かずファクタリングを実行する恐れがあります。

2者間ファクタリングは、ファクタリングを利用する企業が売掛金を回収し、ファクタリング会社へ送金する契約です。

売掛金の支払期日が到来して売掛先から売掛金が振り込まれたら、そのままファクタリング会社へ送金する必要があります。

二重譲渡を行えば、契約した各ファクタリング会社へそれぞれ送金が必要です。

例えば、同じ債権で2つのファクタリング会社と契約した場合、売掛金の額目の金額をそれぞれに送金しなければなりません。

もしどちらかのファクタリング会社へ送金できなければ、その時点で二重譲渡の事実が発覚するでしょう。

2-3.経理担当者が問い合わせする可能性があるため

すでに触れたとおり、二重譲渡をすれば各ファクタリング会社へ売掛金の送金が必要です。

その際、自社の経理担当者が不審に思い、送金先となるファクタリング会社へ問い合わせを行うパターンも考えられます。

問い合わせがきっかけとなり、売掛債権(売掛金)の二重譲渡が明るみになる可能性があるでしょう。

また、経理担当者が問い合わせをする前に不正に気付く可能性もあります。

企業の不正が内部通報により明るみになるケースもゼロではありません。

不正が明るみになった場合、企業としての信用は失墜します。

売掛債権の二重譲渡による不正な資金調達を行っても最終的な段階でバレることになり、不正を行ったことで結果的に利用者自身が困ることが予想されます。

3.ファクタリングで二重譲渡した場合のリスク

頭を抱えるビジネスマン

ファクタリングで売掛債権(売掛金)を二重譲渡すると、企業にはさまざまなリスクが生じます。

その後の事業の継続にも影響が出る恐れがあるため、二重譲渡は絶対に避けましょう。

ここでは、ファクタリングにおける二重譲渡にどのようなリスクがあるのか解説します。

3-1.売掛金の支払いができない

すでに触れたとおり、ファクタリングで売掛債権(売掛金)を二重譲渡すれば、支払期日に2倍の売掛金を送金する必要があります。

しかし、ファクタリングは資金繰りが厳しい状況で利用する企業が多いため、2倍の売掛金を用意できない可能性が高いでしょう。

借り入れや新たなファクタリングなどにより資金を確保する方法もありますが、資金繰りがさらに悪化する原因になります。

ファクタリングで調達した資金は事業の運営費に回せますが、売掛金は支払期日後にファクタリング会社へ送金しなければならないことを認識しておきましょう。

3-2.売掛先へ通知される

支払い期日までにファクタリング会社へ売掛金を送金できないと、ファクタリング会社から売掛先に対して債権譲渡通知が行われます。

債権譲渡通知とは、債権者が第三者に変更された事実を通知する方法です。

2者間ファクタリングの場合、契約時に売掛先から承諾を得る必要はありません。

しかし、支払い期日を過ぎてもファクタリングを利用した企業から入金されなければ、売掛債権(売掛金)の保全と入金状況の確認のために売掛先へ通知が行われます。

債権譲渡通知が行われると、ファクタリングを利用した事実を売掛先に知られてしまいます。

経営状況が厳しいと思われ、その後の取引にも影響が出る恐れがあるでしょう。

二重譲渡で不正に資金を調達しても、状況が改善されるどころか、売上が減ってさらに状況が悪化する可能性が高いといえます。

3-3.損害賠償請求される

支払い期日を過ぎても売掛金を支払わないままにしていると、ファクタリング会社から損害賠償請求を受けるリスクがあります。

損害賠償請求では、もともと支払う必要があった売掛金だけでなく、遅延損害金や訴訟費用なども上乗せして請求される恐れがあります。

売掛金を送金できず損害賠償請求に発展すれば、支払う総額が大幅に高くなる可能性が高いでしょう。

損害賠償請求に応じられない場合は、資産の差し押さえが実行される恐れもあります。

また、未払いや損害賠償請求などの事実が周囲に知られ、社会的な信用を失うかもしれません。

そのような状況に陥れば、企業としての事業継続が困難になります。

3-4.刑罰の対象になる

ファクタリングの二重譲渡は犯罪であり、罪に問われるリスクが高いでしょう。

ファクタリングの二重譲渡で不正に資金を得た場合に該当する可能性がある刑罰は、詐欺罪や横領罪です。

状況によっては両方の罪に問われる可能性もあります。

3-4-1.詐欺罪

不正な資金調達を目的とし、本来は譲渡できない売掛債権(売掛金)を譲渡する行為は、詐欺に該当します。

詐欺とは、人を欺いてものや金銭を交付させる行為です。

詐欺罪と認められた場合、10年以下の懲役が科される可能性があります。

なお、二重譲渡しようとしている事実が発覚したタイミングが契約前であっても、詐欺未遂罪として罰せられる恐れがあります。

そのため、軽い気持ちで二重譲渡を試してみようとするのは、絶対に避けましょう。

ファクタリングで詐欺になるケースについて詳しくは「ファクタリングで詐欺になるケースとは?トラブルにならないための対策も解説」の記事をご覧ください。

3-4-2.横領罪

ファクタリングの二重譲渡により売掛金を送金できなければ、横領罪に問われる可能性もあります。

横領とは、他人のものや金銭を不当に自分のものにしようとする行為です。

ファクタリングを利用すると、売掛金は債権者であるファクタリング会社のものとなります。

売掛先から振り込まれたはずの売掛金をファクタリング会社へ送金できない場合、売掛金を使い込んだとみなされて横領に該当します。

一般的な横領は5年以下の懲役です。

しかし、ファクタリングの二重譲渡は業務上横領に該当するため、10年以下の懲役が科される恐れがあります。

3-5.最悪の場合は懲役刑を科される

ファクタリングの二重譲渡により詐欺罪や横領罪が成立した場合、すでに触れたとおり懲役刑を科される恐れがあります。

詐欺罪と横領罪が同時に成立するケースもあり、状況によっては10年以下の懲役が科されることも考えられます。

また、被害が高額であるほど罪が重く、実刑判決を言い渡される確率も高くなるでしょう。

ファクタリングの二重譲渡を行った結果として実刑判決を受ければ、社会的信用は大きく失墜します。

当然、企業として事業を存続させるのが困難になる可能性が高いでしょう。

二重譲渡の事実が発覚すると取り返しのつかない事態になると考えられるため、どれほど資金繰りに困っているとしても二重譲渡は避けるべきです。

4.まとめ

ファクタリングで資金調達した後は、回収した売掛金をファクタリング会社へ送金しなければなりません。

そのため、ファクタリングで売掛債権(売掛金)の二重譲渡を試みても、その事実が発覚する可能性は高いといえます。

そもそもファクタリングの二重譲渡は犯罪です。

二重譲渡が明るみになれば詐欺罪や横領罪に問われるリスクがあります。

最悪の場合、懲役10年以下の実刑判決を言い渡されるケースもあるのです。

社会的信用を失えば、事業の存続さえ危うくなります。

ファクタリングは、ルールをよく理解した上で適切に利用しましょう。

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監修者

株式会社ビートレーディング 編集部編集長

筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。

<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者