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エクイティファイナンスとは?デットファイナンスとの違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

エクイティファイナンスとは?デットファイナンスとの違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

ファクタリングの基礎知識

エクイティファイナンスは、新しい株式を発行して出資者を募る資金調達の方法です。

中小企業庁も推進している資金調達方法で、実際に取り組んでいる中小企業も増えてきました。

この記事では、デットファイナンスとの違いやメリット・デメリットなどを含めて、エクイティファイナンスの概要を解説します。

あわせて手続きの流れや成功のポイントも説明します。

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目次

1.エクイティファイナンスとは何か

ノートに何か書いている女性

エクイティファイナンスとは、株式を発行することで株主資本を増加させて資金調達する方法です。

「エクイティ」は、株主資本を意味しています。

エクイティファイナンスは金融機関からの借り入れ(デットファイナンス)とは異なり、株主から出資を受けて資金を調達します。

小規模な企業は親族や知人などから出資を受けてビジネスに取り組むケースも多く、そのような資金調達も広い意味ではエクイティファイナンスの一種です。

エクイティファイナンスは、スモールビジネスを成長させるための資金調達に向いています。

そのため、中小企業庁もエクイティファイナンスの普及に向けた取り組みを積極的に展開しているところです。

具体的には、エクイティファイナンスの概要や投資契約書のひな型などをWebサイト上で公開しています。

中小企業者のためのエクイティ・ファイナンスの基礎情報|中小企業庁

2.エクイティファイナンスの4つの種類を解説

電卓と3色のペン

エクイティファイナンスは、4種類に大別できます。ここでは、それぞれの特徴を解説します。

2-1.種類1:株主割当増資

株主割当増資とは、新しい株式を発行し、開業時に出資してくれた既存の株主に割り当てる(出資してもらう)方法です。

ただし、割り当てるのはあくまでも新しい株式を取得する権利のみです。

株主が実際に権利を行使して株式の取得のために出資した場合、事業者が資金を調達できます。

株主が新しい株式の取得を希望しなければ、資金調達には至りません。

持株比率に応じて株式を発行するため、持株比率の変動がなく、株式発行後の株価の調整などが発生しないためスムーズな資金調達を実現可能です。

ただし、出資を募る相手は既存の株主のみであり、高額な資金調達は難しい可能性があります。

2-2.種類2:第三者割当増資

第三者割当増資とは、新しい株式を発行して特定の第三者に引き受けてもらい、資金調達する方法です。

第三者とは、たとえば取引先や業務提携先などです。

事業者との関係が深い相手に株式の引き受けを依頼するケースが多く、資金が集まりやすい傾向があります。

また、株式を割り当てる相手を選ぶことができるため、引き受け先の取引先や業務提携先との関係をより強化する目的でも利用されます。

ただし、新しく発行する株式が多いと既存の株主の持株比率が下がります。

既存の株主が損をして不満を抱く恐れがあるため、注意が必要です。

2-3.種類3:公募増資(時価発行増資)

公募増資(時価発行増資)とは、市場価格に近い価格で新しい株式を発行し、相手を制限せず不特定多数から出資をしてもらう資金調達する方法です。

多くの相手に出資を呼びかけられるため、株式の引き受けを希望する人が多ければ多額の資金調達を実現できる可能性もあります。

知名度が高い企業は、公募増資(時価発行増資)でもスムーズに資金調達できるでしょう。

事業者の株式の時価が高い場合、新しく発行する株式が少なくても希望する金額の調達が可能です。

ただし、公募増資は多くの相手を対象とするため、配当金として支払う金額が増加し事業者が負担する費用が高くなることや望まない株主が増加するリスクがあります。

2-4.種類4:転換社債型新株予約権付社債

転換社債型新株予約権付社債とは、新しい株式が一定の価格に達したら、株式に転換できる社債を発行する方法です。

出資者は、株価が上昇しているタイミングで株式に転換すると利益を得られます。

株価が低迷している場合、そのまま社債として保有して満期を待てば額面金額が償還されます。

そのため、株価が下がっても出資者は損をしません。

また、転換社債型新株予約権付社債なら、企業価値評価の算定を先送りにして資金調達できます。

ただし、社債は負債であり、満期になると元金の返済が必要です。

なお、満期になるまで利息を支払い続ける必要があります。

3.エクイティファイナンスとデットファイナンスの違いを解説

ノートパソコンで作業する人

エクイティファイナンス以外の資金調達の方法として、デットファイナンスがあります。

デットファイナンスとは、借り入れにより資金調達する方法です。

具体的には、融資、ローン、社債などが該当します。

返済においては、元金とともに利息の支払いが必要となります。

借り入れをする相手は、たとえば投資家や金融機関などです。

エクイティファイナンスとデットファイナンスの違いをまとめると、以下のとおりです。

 エクイティファイナンスデットファイナンス
貸借対照表における分類純資産借入                           
返済・利息の支払義務なし(原則)あり

エクイティファイナンスとデットファイナンスの大きな違いは返済義務の有無にあります。

エクイティファイナンスは原則返済義務がない点が大きなメリットですが、株式を発行することによるデメリット・リスクも存在します。

一方デットファイナンスは返済義務があるものの、株主を増やすことなく資金調達ができ、銀行や日本政策金融公庫などから融資を受けることができれば、低コストで資金調達が可能です。

自社の状況やそれぞれのメリット・デメリットを理解し、資金調達方法を選択するようにしましょう。

デットファイナンスについて詳しくは「デットファイナンスとは?種類やメリット・デメリットまで詳しく解説」の記事をご覧ください。

3-1.アセットファイナンスとの違いを解説

アセットファイナンスとは、事業者が保有している資産を売却して資金調達する方法です。

不動産等の有形資産の売却による資金調達や、資産を売却した後に賃借して使用するリースバックなどが該当します。

また、売掛金を活用した「ファクタリング」もアセットファイナンスの一種です。

ファクタリングは売掛金(資産)を売却し、資金を得る方法です。

ファクタリングについて詳しくは「ファクタリングとは?仕組みや種類・意味・注意点を簡単に解説!」の記事をご覧ください。

アセットファイナンスは、返済の義務がなく、資産があれば利用できる可能性があるため、融資を受けにくい中小企業や個人事業主でも利用しやすい点がメリットです。

ただし、アセットファイナンスで調達できる金額は資産の価値や信用度に左右され、手数料も発生するため、必ずしも希望する金額を確保できるとは限りません。

希望額が調達できない場合は別の資金調達方法を検討する必要があります。

アセットファイナンスについて詳しくは「アセットファイナンスとは?導入ケースやメリットを分かりやすく解説」の記事をご覧ください。

4.エクイティファイナンスにおける5つのメリットとは

紙に赤字でMERIT、黒字でDEMERITと書かれている

エクイティファイナンスには、さまざまなメリットがあります。

ここでは、5つのメリットについて解説します。

4-1.返済の義務がない

エクイティファイナンスで資金調達すれば、原則として返済は必要ありません。

金融機関からの借り入れでは、元金だけでなく利息の支払いも求められます。

しかし、エクイティファイナンスは株式を発行して資金調達するため、事業が成功した場合のみ得られた利益を配当金として還元します。

4-2.中期的にサポートしてもらえる

スタートアップ企業がエクティファイナンスを行うと、出資者となる事業会社やベンチャーキャピタルなどから中長期的なサポートを受けられる可能性があります。

資金面のサポートに加え、事業を成長させるための具体的な経営のアドバイスも受けられる場合も多いです。

豊富なノウハウや知見を取り入れられ、スムーズに事業の成功を目指せるでしょう。

4-3.専門性のある人材を確保できる

エクイティファイナンスにより事業会社から出資を受ける際は、事業をサポートするための人材が派遣されるケースもあります。

その場合、専門的な知識やスキルなどをもつ人材の確保につながります。

ただし、既存の従業員が不満をもつ恐れもあるため、配慮が必要です。

4-4.財務体質の強化につながる

エクイティファイナンスを実施すると自己資本を増加させられるため、自己資本比率が上がります。

そのため財務体質を強化でき、金融機関から安定性のある優良企業としての信用も高められます。

また自己資本比率が高いと、安定性のある企業だと判断されやすいため、投資家から信用も得られ、出資してもらえる可能性も高まります。

4-5.金融機関からの信用度が上がる

自己資本比率が上がって財務が安定しているとみなされると、金融機関からの信用度が高まります。

デットファイナンスの融資やローンでの資金調達を希望する場合、審査で有利になる可能性があります。

まずはエクイティファイナンスで資金を確保し、さらにデットファイナンスで資金調達するのも1つの手です。

5.エクイティファイナンスの6つのデメリットとは

紙に赤字でDEMERITと書かれている

エクイティファイナンスには、デメリットもあります。

ここでは、6つのデメリットについて解説します。

5-1.経営権の自由度が下がる

経営者以外の株主が保有する株式が増加すれば、経営者自身の持株比率が低下します。

その結果、経営権の自由度が下がったり経営権を失ったりするリスクもあるため、要注意です。

経営者以外の持株比率が50.0%を超えた場合、経営者の意向に関係なく単独で決議される恐れもあります。

株式を発行する際は株主の持株比率等を配慮しながら、行うようにしましょう。

5-2.配当金の支払いが必要

事業で利益が発生すれば、株主に対しても配当金を支払う必要があります。

利益が出ているにもかかわらず無配当を継続していると、株主との間にトラブルが生じる恐れがあります。

なお、配当金は損金算入できず、法人税等が課税されるため節税の効果は期待できない点にも注意が必要です。

5-3.出資者が少ない

エクイティファイナンスは中小企業庁が推進しており、取り入れる事業者や出資者も少しずつ増えている状況です。

ただし、スモールビジネスに取り組む事業者に対して出資する人はそれほど多くありません。

エクイティファイナンスを実施しても、出資者が少なければ求める額の資金調達を実現できない可能性があります。

5-4.株式買い取りのリスクがある

何らかの理由により、株主から株式の買い取りを希望される場合もあります。

株式の買い取りをした結果、事業者の財務状況によっては事業を運営するための資金が不足する恐れもあります。

株式の買い取りによるリスクを抑えるには、エクイティファイナンスの特徴を出資者が事前に深く理解できるよう促す必要があるでしょう。

5-5.事業売却時のトラブルが懸念される

エクイティファイナンスで出資者を広く募った場合、創業者や親族など事業者と関係が深い人に限らず、さまざまな人で株主が構成される可能性があります。

たとえば、経営権と発言力をもつ人もいれば、事業についてよく理解していない人もいるかもしれません。

将来、事業を売却する際、それぞれの株主が異なる要求を出すと考えられます。

意見が合わず、トラブルになる恐れもあります。

5-6.優遇税制の対象外になる可能性

エクイティファイナンスを実施して自己資本が増えれば、中小企業の定義から外れる可能性もあります。

その結果、中小企業が対象である法人税率の軽減や欠損金の繰越控除などの優遇税制も受けられなくなるため、注意が必要です。

6.エクイティファイナンスを実施する際の手続きを解説

メモ帳と赤緑青の色鉛筆

エクイティファイナンスを実施する場合、一般的な手続きの流れは以下のとおりです。

1.出資金額や出資条件を協議する
2.定款の内容を確認する
3.株主総会を開催する
4.引き受けの募集と申し込みを開始する
5.取締総会を開催する
6.出資金の払い込みを受ける
7.登記申請を行う
8.書類の更新などに対応する

株式を増やすには会社法に基づいて手続きする必要があるため、出資状況や定款の内容を改めて確認しましょう。

そのうえで株主総会を開催し、新しい株式の発行について協議する必要があります。

また、引き受けの募集と申し込みにより出資者を集め、取締総会で承認を行います。

期日までに出資金が支払われたら、登記申請や書類の更新なども必要です。

7.エクイティファイナンスを成功させるポイントとは

ミーティングする女性

エクイティファイナンスを成功に導くには、どうすればよいのでしょうか。

ここでは、成功のポイントを解説します。

7-1.成長が見込めるときに実施する

エクイティファイナンスで資金調達を行うタイミングは、企業としての成長が見込める時期利益の拡大を期待できる時期が向いています。

既存の株主に対し、新しい株式の発行が必要である理由を合理的に説明する必要があるからです。

客観的にみて納得できる説明ができなければ、既存の株主が離れる恐れがあります。

その結果、一時的に株価が下がる可能性もあるため、注意しましょう。

7-2.メリットとデメリットを把握したうえで判断する

エクイティファイナンスを実施して資金調達するには、煩雑な手続きを着実に進める必要があります。

新しい株式を発行するだけでなく、既存の株主にも配慮が求められるため、時間もかかります。

そのため、急ぎの資金調達には向いていません。

エクイティファイナンスがうまくいくと、金融機関からの信用度が高まるというメリットもあります。

しかし、デメリットも少なからずあるため、メリットとデメリットを比較したうえで実施するか決めましょう。

7-3.株主側のリスクを理解する

株主から見ると、出資はリスクのある投資です。

その分、高いリターンを見込んでいるため、事業がうまくいかなければ、株式の売却も検討する可能性があります。

エクイティファイナンスで資金調達するなら、そのことをよく理解したうえで取り組みましょう。

利益を出し、株主が期待している以上のリターンを配当金として支払えるようにする必要があります。

8.エクイティファイナンスが向いている企業の特長

青空とビル

エクイティファイナンスが向いている企業には、特長があります。

以下で具体的に解説します。

8-1.成長性が見込める状態である

エクイティファイナンスは、成長が見込める企業に向いています。

成長により利益が増える可能性が高ければ株主に対する配当金も増やしやすく、株価の上昇も見込めるため、多くの人が出資を検討してくれる可能性があるからです。

8-2.新規マーケットの創出を目的としている

投資家は、新規マーケットの創出に取り組もうとする企業に注目しています。

現在の市場に無いにもかかわらずニーズがあり、大きな利益を予想できる分野なら、株主も高額なリターンを期待できるからです。

そのため、新規マーケットを創出できそうな事業を展開している、展開しようとしている会社は出資者を集めやすく、エクイティファイナンスに向いています。

8-3.上場を目指している

将来的に上場を目指している場合、株主はそのタイミングに合わせて株式を売却すると、大きな利益を得られる可能性があります。

そのため、上場を目指す企業は、投資家にとって魅力的で、エクイティファイナンスでの資金調達が成功しやすい傾向にあります。

9.まとめ

エクイティファイナンスは、返済義務がなく、財務体質の強化にもつながる資金調達の方法です。

ただし、場合によっては経営権の自由度が下がったり、配当金の支払いが必要になったりします。

メリット・デメリットの両方を理解し、自社に適しているか判断しましょう。

なお、負債を増やさずスピーディに資金調達したい場合は、エクイティファイナンスよりもアセットファイナンスが向いています。

アセットファイナンスの中でも特にファクタリングは、売掛金を売却することで最短即日で資金調達ができる場合もあります。

たとえば、ビートレーディングは、取引社数や買取金額など豊富な実績のあるファクタリング会社です。

審査にかかる時間は最短2時間で、即日入金にも対応しています。

ファクタリングで資金調達するためにぜひ相談してください。

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監修者

株式会社ビートレーディング 編集部編集長

筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。

<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者