事務用品や備品などを後払いで購入した結果、一時的に未払金が増加するケースがあります。
未払金は継続的な営業活動とは直接関係のない費用ですが、未払金が一時的に多くなれば資金繰りが困難になる可能性もあるでしょう。
未払金の増加により資金繰りに問題が生じたときは、ファクタリングの利用がおすすめです。
この記事では、未払金の概要に触れた上で、仕訳方法やファクタリングが未払金の解消におすすめな理由、メリットなどを解説します。
ぜひ参考にしてください。
目次
1.そもそも「未払金」とは
未払金は買掛金や未払費用とは異なり、単発的に発生する費用です。
また、未払金は支払いまでの期間によっても呼び方が変わります。
ここでは、未払金の概要とともに、関連する費用との違いについて解説します。
1-1.未払金は勘定科目の一つ
未払金とは、通常の営業活動における取引とは別に発生した費用を処理するための勘定科目です。
未払金は企業が取引先などに対して支払う金額ですが、まだ支払いが完了していないものを指します。
その中でも、継続的な取引ではなく単発で発生した取引が該当します。
例えば、事務用品や備品などを後払いで購入した場合、一旦は未払金として処理します。
また、割賦購入、分割払い、クレジットカード払いなどで購入して代金を後から支払う予定の場合も、未払分は未払金として扱わなければなりません。
1-2.買掛金や未払費用との違い
未払金に似た勘定科目として、買掛金や未払費用などがあげられます。
買掛金とは、営業活動に直接関係する仕入のために費用を支払った場合に使用する勘定科目です。
例えば、商品や原材料などを掛取引で購入したら、未払分を買掛金として処理する必要があります。
一方、未払金は営業活動に関連せず、一時的に発生した費用が該当します。
未払費用とは、買掛金や未払金に該当しない費用のうち、継続的な取引でまだ支払期日が過ぎていない費用を処理するための勘定科目です。
例えば、賃借料や水道光熱費などの未払分は、未払費用として処理します。
それに対して未払金は継続的な取引でなく、すでに支払いが確定している費用に対して使用します。
1-3.未払金と長期未払金の違い
通常の営業活動における取引とは別に発生した費用は、支払期日に応じて未払金と長期未払金のいずれかで処理します。
未払金は、支払期日が決算の翌日から1年以内にある費用を計上するための勘定科目です。
それに対して長期未払金は、支払期日が決算の翌日から1年より先にある費用を計上する際に使用する勘定科目です。
例えば、1年以上支払いが滞っている債務や、分割払いにより1年以上かけて支払いを完了させる予定の債務などは、長期未払金として計上します。
また、未払金は流動負債であるのに対し、長期未払金は固定負債です。
会社の財務状況や業績を判断するための財務指標にも影響を与えるため、適切に処理する必要があります。
2.未払金の仕訳方法
未払金の仕訳は、消耗品の購入やサービスの受領などの際に発生します。
支払義務が発生したタイミングで「未払金」として計上し、後日支払いを行ったら「未払金」を取り消す作業が必要です。
ここでは、具体的な仕訳方法の例を紹介します。
2-1.消耗品を購入した場合の仕訳
事務用品の購入は通常の営業活動に関係しない取引であり、かかった費用は未払金として処理する必要があります。
また、事務用品は消耗品費に該当します。
例えば3万円の事務用品を後払いで購入した場合、借方には消耗品費として計上し、貸方には流動負債の未払金として計上しましょう。
以下は事務用品を3万円分購入し、「未払金」として計上した際の仕訳例です。
| 借方 | 貸方 | ||
| 消耗品費 | 30,000 | 未払金 | 30,000 |
2-2.未払金の支払いを行ったときの仕訳
後払いで購入した事務用品の支払期日がきて支払いをしたときは、改めて仕訳する必要があります。
代金を普通預金から支払った場合、借方に未払金3万円、貸方に普通預金3万円と記載して計上します。
未払金の支払いにより流動負債が減少するためです。
以下は、事務用品3万円分の代金を普通預金から支払った場合の仕訳例になります。
| 借方 | 貸方 | ||
| 未払金 | 30,000 | 普通預金 | 30,000 |
3.未払金や買掛金などが多いことで生じる問題
未払金や買掛金などが多いと、一時的に資金繰りが苦しくなる可能性があります。
特に、支払わなければならない費用が多いにもかかわらず、売掛金の支払期日が未払金などの支払日よりも遅い場合は注意が必要です。
ここでは、未払金や買掛金などが多いことで生じる問題を挙げていきます。
3-1.資金繰りが苦しくなる可能性がある
未払金や買掛金が多くあると、資金繰りが苦しくなる恐れがあります。
特に、未払金や買掛金が多い一方で売掛金も多い場合、一時的に手元の資金が少なくなって支払いが困難になるリスクがあります。
企業によって資金の流れは異なりますが、売掛金が入金される期日が未払金や買掛金などの支払期日の後場合、資金繰りがショートする可能性が高いでしょう。
売掛金が多い場合は帳簿上では黒字になるものの、実際には未払金や買掛金を支払えないために倒産に至るパターンを想定できます。
黒字倒産は多くの企業にとって大きなリスクです。
そのため、未払金や買掛金については金額や支払期日などを注意深く管理し、資金繰りに問題が発生しないように注意する必要があります。
黒字倒産については「黒字倒産とは？5つの原因と回避する方法を徹底解説」の記事をご覧ください。
3-2.支払先から督促や法的措置を受ける
未払金や買掛金などの支払期日に支払いが間に合わなかった場合、メールや電話などで支払先から催促の連絡がくることが一般的です。
連絡を受けても支払いができなければ、督促や法的措置が行われる可能性があります。
仮に裁判所に対して民事訴訟が提起されると、未払いになっている費用に対して財産の差押えが行われるかもしれません。
そのような状況になれば、取引先だけでなく世間からの信用も著しく低下します。
それまで取引していた複数の企業が取引を停止する可能性も出てくるでしょう。
未払いが発生している状況では、金融機関から融資を受けることも困難です。
支払いに必要な資金を確保できなくなり、事業の継続が難しくなる恐れがあります。
そのため、未払金の支払いが難しくなる前には資金調達を検討する必要があります。
4.未払金の解消にはファクタリングの利用が有効
ファクタリングは、企業が保有している売掛金をファクタリング会社に売却することで支払期日より前に現金化(資金化)できる方法です。
売掛金が入金される期日が未払金や買掛金などの支払期日の後である場合も、ファクタリングを利用すれば未払金や買掛金などの支払期日より前に売掛金を現金化でき、未払金や買掛金などの支払いにあてることが可能です。
一時的に資金繰りが苦しくなりそうなときも、ファクタリングを利用すれば資金繰りの問題解決に繋がります。
ファクタリングの仕組みや特徴について詳しくは、「ファクタリングとは？仕組みや種類・意味・注意点を簡単に解説！」の記事をご覧ください。
5.未払金対策としてファクタリングを利用するメリット
ファクタリングは資金繰りが厳しくなっている企業でも、利用しやすい資金調達方法です。
未払金をスムーズに支払うためにファクタリングを利用すると、さまざまなメリットが期待できます。
具体的にどのようなメリットがあるか解説します。
5-1.早期の資金調達を実現できる
ファクタリングは他の資金調達方法に比べ早く資金調達を実現することができます。
ファクタリング会社によっては、申し込みをした当日に資金調達できる場合もあります。
また、近年はオンラインで手続きや契約も可能なファクタリングサービスもあり、手間や時間がかからず利便性の高い資金調達の方法だといえるでしょう。
未払金の支払期日が迫っていて急ぎ資金調達したいという場合でもファクタリングであれば、すぐに資金調達ができ、未払金の解消に役立ちます。
5-2.資金使途に縛られずに利用できる
融資では、審査の際に資金使途を詳しく確認される場合がほとんどです。
資金使途についての説明が適切でない場合、審査に通らない恐れがあります。
自社が希望する資金使途では借り入れが認められない可能性もあるでしょう。
しかし、ファクタリングなら資金使途にかかわらず資金調達が可能です。
そのため、一時的に資金不足が発生しそうなときも、保有している売掛金の売却によりスムーズに資金を確保できます。
未払金の支払いをはじめとし、自社が必要なタイミングで自由に資金を活用できます。
5-3.債務が増えない
ファクタリングは売掛金を現金化(資金化)する方法のため、銀行やビジネスローンによる融資とは異なる資金調達の方法です。
売掛金を支払期日の前に現金化するだけなので、帳簿上の債務は増えません。
信用情報などにも影響しないため、ファクタリングの利用後に融資を利用したい場合でも審査に影響する心配はありません。
ファクタリングと融資の違いについて詳しくは「ファクタリングと融資の違いとは？比較してわかるメリット・デメリットを解説！」の記事をご覧ください。
6.未払金解消のためにファクタリングを利用する際の注意点
ファクタリングで資金調達すると、売却した売掛金の額面から手数料が引かれます。
手数料の相場は、2者間ファクタリングなら8％～18％、3者間ファクタリングなら2％～9％です。
実際の手数料はファクタリング会社によっても異なりますが、手数料が高過ぎると未払金の解消をできてもその後の資金繰りが悪化する恐れがあります。
ファクタリングを利用するなら、なるべく手数料が安いファクタリング会社を選んだほうがよいでしょう。
また、ファクタリングは利用するタイミングも重要です。
例えば、売掛金が入金される期日が近ければ、ファクタリングを利用するメリットが小さくなります。
取引先への交渉により入金日を調整してもらえる場合もあるため、一度相談してみてもよいでしょう。
ファクタリングを利用するタイミングについて詳しくは、「ファクタリングを利用するタイミングとは？向いていないケースも解説」の記事をご覧ください。
7.まとめ
未払金は通常の営業活動の取引以外で発生した費用のうち、支払いがまだ終わっていない費用を処理するための勘定科目です。
未払金が一時的に多くなると、資金繰りが困難になるケースもあります。
特に未払金の支払期日が売掛金の入金日よりも早ければ、資金がショートする恐れもあります。
未払金の支払いに困らないようにするためにも、計画的な資金管理が必要です。
それでも、一時的に未払金の支払いが多くなり、支払いが難しくなった場合は売掛金を活用したファクタリングによる資金調達がおすすめです。
ビートレーディングなら、問い合わせから資金調達まで最短2時間です。
審査に必要な書類は2点のみでオンライン完結で利用することもできるため、資料の準備や出張の手間などがかからず、全国どこからでもご利用いただけます。
無料で見積りをご提示することも可能ですので、早期に資金調達が必要な場合は、ぜひお問い合わせください。
筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者