「通帳なしでもファクタリングは利用できる?」
「通帳なしで利用する場合、何かデメリットはある?」
ファクタリングの利用を検討している人のなかには、このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ファクタリングを利用する際に通帳が必要な理由や、通帳なしで利用できるファクタリングのデメリットなどを解説します。
また通帳以外に提出を求められる可能性がある書類なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ファクタリングの必要書類や利用の流れについては「ファクタリング」の基礎知識の記事をご覧ください。
目次
1. 結論:通帳なしでファクタリングを利用することは難しい
結論、通帳なしでファクタリングを利用することは現実的に難しいでしょう。
ほとんどのファクタリング会社で、通帳の提出を求められるためです。
ファクタリングの利用には審査があり、通帳から得られる情報などを元に利用者の売掛金を買い取るかどうかを総合的に判断します。
通帳なしで利用できるファクタリング会社はわずかに存在するものの、他の書類の提出を求められたり、他のファクタリング会社よりも不利な条件を提示されたりする可能性があるため注意が必要です。
1-1. 事業に関係する通帳は必要
法人がファクタリングサービスを利用する場合、事業に関係する(取引に使用している)通帳の提出が必要になります。
ファクタリング会社は、買い取る売掛金に関する情報を得るために通帳の提出を求めているため、事業に無関係な個人通帳は提出不要です。
一方、個人事業主がファクタリングサービスを利用する場合で、なおかつ個人通帳を事業で利用している場合は、個人通帳の提出が必要になります。
2. なぜファクタリングに通帳が必要なのか
ファクタリングサービスの審査に通帳が必要な理由を3つ解説します。
2-1. 理由1:売掛金が実在することを確認するため
ファクタリング会社は、買い取ろうとしようとしている売掛金が確かに実在するものかどうかを確認するために通帳の提出を求めています。
というのも、ファクタリングの利用者のなかには、架空債権を持ち込んで買い取らせようとする悪質な利用者や詐欺が存在するためです。
売掛先との契約書や請求書などはその気になれば偽造できてしまいますが、通帳の偽造は容易ではありません。
万が一、実在しない債権を買い取ってしまうと、期日になってもお金を回収できず、大きな損害を被ってしまいます。
そのようなリスクを未然に防ぐために、利用者の通帳を確認しているのです。
2-2. 理由2:支払履歴を確認するため
ファクタリング会社は、通帳への入金履歴 も確認しようとしています。
売掛先と継続的な取引があれば、通帳で入金履歴を確認できるためです。
入金履歴は売掛先との継続的な取引実績があることを意味します。
ファクタリング会社からすると、その売掛先は入金の遅延や未払いが起きにくく、未回収リスクが低いと判断できます。
また、問題なく取引が続けられている期間が長ければ長いほど、売掛先の経営状況が健全である可能性が高いといえるでしょう。
ファクタリング会社は売掛金を回収できてはじめて商売が成り立つため、利用者よりも売掛先の支払能力を確認したいと考えています。
2-3. 理由3:売掛先の信用度を確認するため
ファクタリング会社は、利用者の通帳から売掛先の信用度も確認したいと考えています。
継続的に取引が行われていた場合、通帳を見れば売掛金が期日までに正常に支払われていたかどうかを確認できます。
もし過去に支払遅延を起こしていたことが判明した場合、その売掛先は信用度が低いと判断するでしょう。
逆に、利用者との間で安定した取引が行われていれば、リスクの低い優良な売掛先と考えられます。
売掛先の信用度はファクタリング会社のリスクと直結するため、審査の成否だけではなく、手数料額を決定する判断材料にもなります。
3. 通帳なしで利用できるファクタリングも存在する
少数ながら、通帳なしで利用できるファクタリング会社も存在します。ただし、決して条件が良いとはいえないため注意が必要です。
たとえば、相場(2者間:8%~18%、3者間:2%~9%)よりもかなり高い手数料を設定していたり、償還請求権ありの契約内容を提示されたりする可能性があります。
条件が悪いから悪徳業者であるとは限りませんが、ファクタリング会社にとってリスクの高い契約になるため、相応の条件を提示する必要があるのです。
いずれにせよ、不利な契約条件を提示される可能性が高いことは理解しておきましょう。
4. 通帳なしで利用できるファクタリングのデメリットを解説
通帳なしで利用できるファクタリングのデメリットを3つ紹介します。
4-1. 審査の難易度が高くなる
通帳がない分、審査の難易度が高くなる傾向にあります。
審査において、通帳から得られるはずの多くの情報が得られないためです。
通帳がなければ審査すらしてもらえないファクタリング会社が多いのはこのためです。
通常であれば審査に通る状況であっても、通帳がないことが原因で審査に落ちる可能性も十分に考えられます。
審査以前に、通帳を提出できない場合はファクタリングの利用自体が難しいと考えて良いでしょう。
4-2. 通常よりも審査に時間がかかりやすくなる
通帳なしでファクタリングを利用する際は、通帳ありの場合に比べて審査に時間がかかる可能性があります。
通帳を見ればすぐに確認できる情報も、通帳がないことで別ルートからの確認が必要になるためです。
通帳ありで2者間ファクタリングを利用する場合、最短即日で入金してくれる会社は珍しくありません。
しかし、通帳がないとこのようなスピーディーな取引は難しいため、いち早く資金を得たいと考えている場合は注意が必要です。
4-3. 別の書類提出が必要になる可能性がある
通帳なしの場合は、ファクタリング会社から他の書類の提出を求められる可能性があります。
通帳の有無に関わらず、ファクタリング会社が確認したい情報は変わらないためです。
すぐに準備できるものであれば良いですが、別途準備するのに手間や時間がかかる書類を求められるケースもあります。
スピーディーに取引したい場合は、通帳の代替書類の用意に手間取る可能性があることは念頭に置いておきましょう。
5. 通帳以外にファクタリングの審査で必要になる書類とは
ファクタリングの審査において、通帳以外に提出を求められる可能性のある書類を6つ紹介します。
5-1. 本人確認書類
多くのファクタリング会社で提出を求められるのが本人確認書類です。
法人の場合は代表者、個人事業主の場合は本人の身分証が必要になります。
身分証として認められる書類は、免許証・パスポート・マイナンバーカードなどです。
5-2. 売掛金の存在を裏付ける書類
多くのファクタリング会社では、架空債権でないことを確認するための裏付け書類も求められます。
具体的には、請求書・発注書・納品書・個別契約書などが挙げられ、これらは「成因資料」とも呼ばれています。
5-3. 基本契約書
売掛先との取引の証明として、基本契約書の提出を求められる場合があります。
双方で署名捺印した契約書があれば、取引ならびに売掛金の存在を証明する一助になるためです。
基本契約書は、成因資料とセットで提出を求められる傾向にあります。
5-4. 決算書・試算表
審査が厳しめのファクタリング会社であれば、決算書・試算表の提出を求められる場合があります。
試算表は決算表の元になる書類のため、決算書を提出できる場合は不要になるケースがほとんどです。
5-5. 商業登記簿謄本
法人の場合、企業の存在を確認するために、商業登記簿謄本が必要になる場合があります。
商業登記簿謄本とは、企業の基本情報が記載されている登記簿を書き写した書類であり、法務局で取得する必要があります。
5-6. 印鑑証明書
ファクタリング契約に実印を用いる場合は、その印鑑が本物の実印であることを証明するために、印鑑証明書が必要になる場合があります。
法人の場合は法務局で、個人事業主の場合は各市町村の役所で取得できます。
6. 通帳なしでファクタリングを利用する方法を解説
通帳なしでファクタリングを利用したい場合、通帳なしでも対応してくれることに加えて、審査に影響しないファクタリング会社を探してみましょう。
少ないながらも、元々通帳以外の方法で審査を行っているファクタリング会社が存在するためです。
ただし、条件の悪い会社や悪徳業者を避けるために、手数料は相場と比較する、サービスとしての実績がどの程度あるかなどはしっかり確認しましょう。
必要書類が少なく、審査に比較的通りやすいファクタリング会社について詳しくは「ファクタリングで審査が甘い・即日資金調達が可能な会社を10社選定! 」の記事をご覧ください。
7. 通帳なしで利用できるファクタリング会社に注意
一方で、通帳なしで利用できるファクタリング会社には注意も必要です。
その理由を2点解説します。
7-1. 相場よりも手数料が高い可能性がある
通帳なしで利用できるファクタリングは、相場(2者間:8%~18%、3者間:2%~9%)よりも高い手数料を提示してくる可能性があります。
「手数料が高い=怪しい」というわけではなく、ファクタリング会社にとっては確認できる情報が少ない、リスクの高い売掛金を買い取ることになるためです。
手数料が高くなると利用者が受け取れる金額も少なくなるため、利用することでかえって資金繰りが悪化する可能性もある点には注意が必要です。
7-2. 償還請求権ありの契約になる可能性がある
通帳なしで利用できるファクタリング会社は、償還請求権ありの契約になる可能性があります。
償還請求権とは、売却した売掛金が回収できなかった場合、金銭債権を遡って利用者に請求する権利です。
通常(通帳あり)のファクタリングでは償還請求権なしの契約となるのが一般的で、仮に売掛先が倒産するなどして貸し倒れが起きた場合でも、利用者は売掛金回収の責任を負う必要がありません。
この責任を利用者が負うということは、せっかくファクタリングで得た資金をファクタリング会社に返金しなければならない可能性があることを意味するため、十分に注意しましょう。
償還請求権について詳しくは「償還請求権とは?ファクタリングにおける重要性や注意点をわかりやすく解説」の記事をご覧ください。
8. 必要書類が少ないファクタリング会社に相談する方法がおすすめ
もし「通帳なしでファクタリングを利用したい」という考えが「必要書類を少なく済ませたい」という気持ちから来ているのであれば、必要書類が少ないファクタリング会社に相談するのがおすすめです。
ここからは必要書類が少ない3つのファクタリング会社を紹介します。
8-1. ビートレーディング
ビートレーディング | |
---|---|
最短入金スピード | 2時間 |
手数料 | 2%~ |
利用可能額 | 下限上限なし |
主な契約の種類 | 2者間/3者間 |
個人事業主 | 〇 |
主な必要書類 | ①売掛債権に関する資料(契約書・発注書・請求書など) ②通帳のコピー(2か月分) |
サポート対応 | (お問い合わせフォーム)24時間受付 (電話)平日9:30~18:00 |
運営会社 | 株式会社ビートレーディング |
公式HP | 詳しく見る |
ビートレーディングは、累計買取額1,300億円を突破しており、資金調達の取引は5.8万社以上(2024年3月時点)の実績があるファクタリング会社です。
通帳は必要ですが、必要書類はわずか2点という手軽さと、最短2時間での資金化というスピード感が受け入れられ、月間約1,000件の利用実績を実現しています。
8-2. 日本中小企業金融サポート機構
日本中小企業金融サポート機構 | |
---|---|
最短入金スピード | 3時間 |
手数料 | 1.5%~ |
利用可能額 | 下限上限なし |
主な契約の種類 | 2者間/3者間 |
個人事業主 | 〇 |
主な必要書類 | ① 通帳のコピー(表紙付き、3か月分) ② 売掛金に関する資料(請求書・契約書など) |
サポート対応 | (メール) 24時間受付 (電話)平日9:30~18:00 |
運営会社 | 一般社団法人日本中小企業金融サポート機構 |
日本中小企業金融サポート機構は、通常のファクタリング会社とは異なり、関東財務局長及び関東経済産業局長が認定する経営革新等支援機関です。
非営利性の一般社団法人ならではの信頼性と手数料の低さが魅力で、必要書類も2点だけとなっています。
8-3. QuQuMo
QuQuMo | |
---|---|
最短入金スピード | 2時間 |
手数料 | 1%~ |
利用可能額 | 上限なし |
主な契約の種類 | 2者間 |
個人事業主 | 〇 |
主な必要書類 | ①請求書 ②通帳 |
サポート対応 | (メール) 24時間受付 (電話)平日9:00~19:00 |
運営会社 | 株式会社アクティブサポート |
QuQuMoは、スマートフォンやPCからオンラインで手続きを完結できるファクタリングサービスです。
契約は弁護士ドットコムが運営する電子契約サービス「クラウドサイン」を利用しているため、安全性も担保されています。
必要書類は2点のみ、審査や手続きを簡略化することで、業界最安水準の手数料と、入金まで最短2時間というスピード感を実現しています。
9. まとめ
通帳なしでのファクタリング利用は難しく、諸々の事情を踏まえると通帳はあるに越したことはありません。
ファクタリング利用に通帳が必要な理由は3つです。
- 売掛金が実在することを確認するため
- 支払履歴を確認するため
- 売掛先の信用度を確認するため
また、通帳なしで利用できるファクタリング会社も少なからず存在しますが、下記のデメリットがあることは理解しておく必要があります。
- 審査の難易度が高くなる
- 通常よりも審査に時間がかかりやすくなる
- 別の書類提出が必要なる可能性がある
通帳なしでファクタリングを利用する場合は注意点が2つあります。
- 相場よりも手数料が高い可能性がある
- 償還請求権ありの契約になる可能性がある
通帳を用意できない、見せたくないのではなく、必要書類を最小限に抑えたいとお考えの場合は通帳と売掛債権に関する資料の2点だけで審査可能なビートレーディングがおすすめです。
累計買取額は1,300億円以上、資金調達の取引は5.8万社以上(2024年3月時点)と確かな実績があるため、安心してご利用いただけます。
筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者