
「運送業の資金繰りについて知りたい」
「運送業の資金繰りってどうなんだろう?」
運送業の資金繰りについてこのように悩んでいませんか?
結論から言うと、運送業は資金繰りの安定が難しい業種になります。

なぜなら、売掛金が振り込まれるまで時間がかかり、その間に燃料費などの経費を支払わなければいけないことがほとんどなためです。
そのため、手元の資金不足に陥りやすくなっています。
また、その他のさまざまな要因によって資金不足が起こります。
運送業の資金繰りが悪化する原因は以下の通りです。
運送業の資金繰りが悪化する原因 |
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・支払サイトが長い ・事故や車両故障による出費が発生しやすい ・燃料費の高騰 ・人材不足 |
原因と改善方法を知っていると悪化する前に未然に防げるようになるだけでなく、悪化しても早急に対応できるようになります。

反対に悪化する原因や改善方法を知らなければ、運送業を経営するうえで資金繰りの悪化に繋がりやすくなるため、注意が必要です。
そこで、この記事では以下の内容をご紹介します。
▼本記事で分かること |
◎運送業の資金繰りの現状 ◎運送業の資金繰りが悪化する原因 ◎運送業の資金繰りを改善する方法 |
この記事を最後まで読むことで、運送業の資金繰りが悪化した場合に正しく判断し、行動できるようになります。
ぜひ、最後までご覧ください。

目次
1.まずは運送業の資金繰りについて知ろう

まず、運送業の資金繰りについて以下の点について知っておきましょう。
・運送業の資金繰りは売上が増加すると悪化しやすくなる特徴がある
・運送業の需要は伸び続けている
現状について正しく知ることができ、きちんとした対策を取れるようになるので、まずはここを詳しく解説していきます。
1-1.運送業の資金繰りは売上が増加すると悪化しやすくなる特徴がある

運送業の資金繰りの特徴は、売上が増加すると資金繰りが悪化しやすくなるということです。
運送業は掛取引が主流で、支払サイトが長いのが特徴。
そのため、売掛金を回収するまでに燃料費や人件費といったコストを自社で負担することが多い業種です。
また、運送業は売上の変動が大きくなります。
たとえば引っ越しやお歳暮、クリスマスのようなイベントや行事があると売上が大きく増加します。
売上が増加すると資金繰りもよくなるイメージがありますが、掛取引の場合はそうではありません。
運送業の場合、売上が増加すると配送量が増え、燃料費や人件費といった経費がかかります。
さらに売掛金を回収するまで自社でコストを負担しなければいけません。
そのため、資金不足に陥りやすく、資金調達ができずにショートしてしまうと最悪の場合、黒字倒産ということが引き起こされてしまいます。
このように運送業の資金繰りは非常に厳しい業種です。
1-2.近年の配達需要の増加により無理な受注を行いやすい
運送業の配達需要が伸び続けていることで自社の供給キャパシティに合わない受注を受けて資金ショートしてしまうということも考えられます。
ECサイトなど通販の利用者が増加しており、通販市場は拡大し続けています。 実際に宅配便の取り扱い数は年々増加しており、平成28年は40億個、平成30年では43億個まで増加し続けているという現状です。

配達の需要は増加し続けているため、ついたくさんの仕事を受けすぎてしまいます。
しかし支払サイトの長さによる手元資金の不足により、資金繰りがだんだんと厳しくなってしまうのです。
仕事が増加すると売掛金も増加するので、急激に仕事を増やしすぎると手元のキャッシュ不足による黒字倒産の危険性が高まります。
2.運送業の資金繰りが悪化する4つの原因

運送業の資金繰りが悪化する原因は以下の4つです。

悪化する原因をしっかり知って運送業の資金繰りについて理解を深めましょう。
2-1.支払サイトが長い
運送業の資金繰りが悪化する原因は、支払サイトが長いという点です。
支払サイトとは、サービスを提供し、取引をした締め日から売上が支払われる(回収できる)日までの猶予期間を指します。
たとえば月末締め翌月払いだと、約30日の猶予期間があり、この場合の支払サイトは「30日」となります。
運送業の場合、支払サイトが2〜3か月と長めに設定されていることが珍しくありません。
実際にサービスを提供し、取引をした日から売掛先の支払日までが長いと、稼働する上で必要な費用を売掛金が入るまで立て替えることになります。
運送業で必要になる費用は以下の通りです。
▼運送業で必要な費用の一例
・燃料代
・人件費
・交通費
・車輌設備代
基本的に仕事が大規模になればなるほど先に立て替えなければいけない費用が多くなります。
そうすると売掛金が入金されるまでの間に手元のキャッシュがなくなり、売上があったとしても支払いに対応できずに資金繰りが悪化するのです。
このように支払サイトが長い(入金までの日数が長い)と資金繰りの悪化に繋がる原因になります。
2-2.事故や車両故障による出費が発生しやすい
運送業は、事故や車両故障といったトラブルによる出費が発生しやすいのも資金繰りが悪化する原因の1つ。
運送業は必然的に車に乗る時間が長くなり、事故が起きる可能性も0%とは言えません。
事故を起こすと相手方に対する賠償や積載の弁済、車両の修理に高額な費用がかかります。
また、車に乗っているとエンジントラブルやタイヤの劣化などの故障も起こるため、安全に業務をするには修理やメンテナンスも必要です。
このように事故や故障などのトラブルが重なってしまうと多額の出費により資金繰りの悪化に繋がってしまいます。
2-3.燃料費の高騰
運送業の資金繰りが悪化する原因として、燃料費の高騰が挙げられます。
運送業では軽油やガソリンといった燃料費がかかせません。
燃料費は日々変動するため、高騰すればするほど利益を圧迫し、経営をする上で負担となります。

上記は東京都のガソリン1Lあたりの価格推移ですが、このように燃料費は総合的に見ると高騰傾向にあります。
しかし、燃料費は継続的に上がり続けているわけではなく、日々上下しており、数か月高騰していてもその数か月後には価格が元通りになることも。
仮にガソリン価格が大幅に高騰し、それと共に運送価格を上げてしまうと最悪の場合、もとのガソリン価格に戻ってしまった際に契約を解除されてしまう恐れがあります。
そのため、燃料費が高騰した場合でも運送価格を上げるのが難しく、資金繰りが悪化する原因に。
このように燃料費の高騰により、資金繰りが大幅に悪化する恐れがあります。
2-4.人材不足
運送業の資金繰り悪化の原因には人材不足もあります。
まず、人材がいないと運送ができないため、売上をあげることすらできません。
2018年の国土交通省の調査では有効求人倍率が以下のようになっています。

有効求人倍率が全職種1.46倍に対し、運送業は2.73倍とほぼ倍です。
有効求人倍率が多いほど人材不足ということが分かります。
さらに常に人材不足だと、ドライバーにかかる負担が大きくなり、長時間労働といった過酷な労働状況になりやすい傾向があります。
このように人手が不足していると過酷な労働になるだけでなく、仕事を思うように獲得できないため、資金繰りの悪化に繋がるでしょう。
3.運送業の資金繰り改善する5つの方法

それでは、運送業の資金繰りを改善する方法について見ていきましょう。
改善方法は以下の4点です。

運送業の資金繰り改善方法を知ると、正しい判断や行動が行いやすくなります。
それでは、それぞれについて見ていきましょう。
3-1.小口の取引を増やす
資金繰りを改善するには、小口の取引先を増やすのがポイントです。
なぜ小口なのかというと、こまめに売掛金を回収できるからです。結果的に同じ売上をあげる場合でも大口ではなく、小口の売掛先を増やすと資金繰りが楽になります。
「どういうことなのか?」と思う方に向けて、以下の例を見ていきましょう。
<例> ①売上が300万円×(入金が3か月の売掛先)1社=300万円 ②売上が30万×(入金が1~3か月の売掛先)10社=300万円 |
①の場合は3か月に一度、300万円が入金されます。しかし、その間に手元のキャッシュが不足し、資金繰りが厳しくなる可能性も。また、売掛先が1社に絞られている場合、売掛先が倒産すると連鎖倒産の危険も伴います。
②の場合、3か月の間に30万円が10回こまめに入ってくるため、資金繰りが厳しくなるリスクを軽減できます。また、1社が倒産しても9社の売上は入ってくるため、連鎖倒産のリスクを軽減でき、安心です。
このように小口の取引を増やすと資金繰りの改善に繋がります。特に売上の回収が数か月先になるような運送業の資金繰り改善におすすめです。
3-2.支払サイトを短縮する
運送業の資金繰りを改善させるには、支払サイトを短縮しましょう。
支払サイトを短縮することで売上が入ってくるまでの期間が早くなります。
そのため、資金繰りに余裕が生まれます。
運送業では入金まで2~3か月かかることが多いため、まずは売掛金の支払サイトが3か月以上の売掛先があるかどうかをチェックしましょう。
そして期限を早められないか交渉する際は、早くしてもらう代わりに運送価格を割引するといった売掛先に有利な条件を提示すると成功しやすくなります。
また、価格や納期など売掛先の要望に応じた際に支払サイトを短縮できないか交渉するのも有効です。
▼支払サイトを短縮するための方法(一例) ・支払サイトが3か月以上の売掛先があるかどうかをチェックし、売掛先に有利な条件で交渉する ・価格や納期など売掛先の要望に応じた際、支払サイトを短縮できないか交渉する |
3-3.ファクタリングの活用
運送業の資金繰り改善方法として有効なのがファクタリングです。
ファクタリングは売掛金をファクタリング会社に売却し、早期資金化するサービスを指します。
運送業では燃料費や交通費、人件費がかかるため、手元の資金が不足しがちです。
そのため、売掛金の支払サイトが長い運送業にはファクタリングは最適です。
またファクタリングでは即日で資金調達ができるため手元に資金がなく、突然の仕事を受けられない機会損失を防ぎ、資金繰りの改善に一役買ってくれます。
このように資金繰りを改善したい場合はファクタリングの活用をしましょう。
3-4.デジタコで業務の効率化をはかる
デジタコ(デジタルタコメーター)を使用すると運送業の資金繰り改善に繋がります。
その理由としては、デジタコでは業務の効率化をはかるためのデータを得られ、改善することでよりよい経営ができるようになるからです。
デジタコでは「GPSの位置情報」「急加速・急減速」「エンジンの回転数」「アイドリング」「ドアの開閉」といったデータが記録されます。
データから分かるのは以下のことです。
▼デジタコのデータから分かること ・法廷速度を守った運転をしているか ・長時間労働していないか ・配送経路 |
これにより労働環境の把握ができます。
その結果、人件費の削減や事故の防止に繋がり、業務の効率化をはかれます。
このようにデジタコで業務の効率化をはかると運送業の資金繰り改善に繋がります。
4.運送業の資金繰りはファクタリングを活用するのがおすすめ

運送業の資金繰りでファクタリングの利用がおすすめな理由は以下のとおりです。

本章を読むと、より納得してファクタリングの利用を検討できるようになります。
4-1.簡単に資金調達が可能
運送業のファクタリングは忙しい人でも簡単に資金調達が可能なため、おすすめです。
資金繰りの改善方法ではいくつか方法をご紹介しましたが、企業によっては小口の取引を増やしたり、支払サイトを短縮するために交渉するといった手段が取れないこともあるでしょう。
そこで役立つのがファクタリングです。
ファタリングでは基本的に創業時期や経営状態に関係なく、売掛金を持っている法人・個人事業主(売掛先が法人の場合のみ)であれば利用することができます。
さらに手続きもオンラインで手軽に済ませられるものも多いため、面倒な手続きは不要です。
このように、基本的に売掛金があれば資金調達が可能なため、ファクタリングは運送業の資金繰り改善におすすめなサービスです。
4-2.予期せぬトラブルもスピーディーに対応できる
ファクタリングを利用すると予期せぬトラブルや突然の仕事もスピーディーに対応できるのでおすすめです。
なぜならファクタリングは最短即日で売掛金を資金化できるサービスであり、急な仕事やトラブルで資金が必要になってもすぐ対応できるようになるからです。
たとえば車両の故障により、思わぬ出費が発生し、手元の資金だけでは足りなくなったとしましょう。
その際、ファクタリングを利用すると最短即日で売掛金が振り込まれるため、手元の資金不足を解消し、修理費に回せるようになります。
このように予期せぬトラブルが起きてもスピーディーに対応できるため、ファクタリングはおすすめです。
▼ファクタリングを活用すべき人 ・突発の依頼を受けたくても手元の資金が足りない人 ・燃料費の高騰により、手元の資金が不足している人 ・車両の故障など早急に資金が必要な人 |
5.運送業の資金繰りでファクタリングする際の2つの注意点

運送業の資金繰り改善に便利なファクタリングですが、ファクタリングを利用するときに注意しなければいけない点が2つあります。
・ファクタリングでは手数料がかかる
・運送業の資金繰りでファクタリングを使う場合、相見積りを取る
順に解説していきます。
5-1.ファクタリングでは手数料がかかる
運送業の資金繰り改善にファクタリングをする際は手数料に気を付けましょう。
なぜなら、ファクタリングでは売掛金を早期資金化できますが、利用するには手数料がかかるからです。
手数料はファクタリング会社によってそれぞれ異なります。
▼ファクタリング会社の手数料一例
ファクタリング会社 | 2者間ファクタリングの手数料 | 3者間ファクタリングの手数料 |
ビートレーディング | 4%~12% | 2%~9% |
OLTA(オルタ) | 2%~9% | ー |
QuQuMo(ククモ) | 1%~14.8% | ー |
トップ・マネジメント | 10%~30% | 1%~10% |
(※2022年5月時点)
たとえば200万円の売掛金でファクタリングの手数料が5%の場合、10万円が手数料になるということです。
なお、手数料が高ければ高いほど利益が減ります。
そのため、資金不足だからと何も気にせずにファクタリングを利用すると、資金繰りの改善に繋がらない場合があるので気を付けましょう。
5-2.運送業の資金繰りでファクタリングを使う場合、相見積りを取る
運送業の資金繰りでファクタリングを使う際は相見積りを取りましょう。
相見積りというのは、複数の会社に見積りを取って比較することを指します。 なぜなら、相見積りでは以下の判断が可能になるからです。
▼相見積りで判断できること ・手数料を見比べられる ・手数料が手頃で対応の良いファクタリング会社を選べる ・見積りにおかしな項目がないか見ることができるため、悪質な会社を見抜きやすくなる |
相見積りをする際は、最低3社は取りましょう。
そうすると、手数料を見比べることができ、自身の経営状態に見合ったファクタリング業者を選べます。
また見積りを見比べて、以下の点も確認してください。
▼相見積りで確認すべきこと ・手数料が明らかに高すぎる ・安すぎないか? ・明細の内容が曖昧でないか? ・担当者の対応は丁寧か? |
少しでも不明点がある場合はファクタリング業者に問い合わせをしてください。
そして、納得のいくまでしっかりと説明をしてくるファクタリング会社を選びましょう。
ファクタリング会社について詳しく知りたい方はこちら
【2022最新】ファクタリング会社10選|目的別におすすめを紹介
6.まとめ
本記事では運送業の資金繰りについて解説しました。
運送業の資金繰りの現状について知ったうえで原因を知るとより理解が深まります。

そして原因を知り、改善方法を知ると悪化を未然に防げ、万が一資金繰りが悪化した場合でも早急に対処できるようになります。

運送業の資金繰りについて悩んでいる方の参考になりますと幸いです。
