
「スタートアップ企業の資金調達はどうすればいいの」
「スタートアップ企業は銀行からの融資は受けられないというのは本当?」
と、資金調達で行き詰まりを感じている人も多いのではないでしょうか?
しかし、実際にはスタートアップ企業でも利用できる資金調達方法はいくつかあり、大きく分けて8つあります。
スタートアップが利用できる8つ資金調達方法
資金調達方法 | ①自己資産を利用する【不動産売却】 1-1へ | ②銀行・ノンバンクからの融資【不動産ローン】 1-2へ | ③日本政策金融公庫【新創業融資制度】 1-3へ | ④地方自治体・機関からの制度融資【創業融資】 1-4へ | ⑤親戚知人からの借入 1-5へ | ⑥エンジェル投資家からの出資 1-6へ | ⑦ベンチャーキャピタルからの出資 1-7へ | ⑧クラウドファンディングを利用する 1-8へ |
向いている人 | ・資産がある人 ・資金調達まで時間的余裕がある人 | ・担保にできる資産がある人 ・多額の資金調達をしたい人 | ・借入金額の10%の自己資金が準備できる人 | ・会社の所在する自治体に創業融資制度がある人 ・自己資金が準備できる人 | ・応援してくれる親戚や知人がいる人 | ・成功した経営者などからアドバイスが欲しい人 ・経営に関与されてもいい人 | ・経営に関するアドバイスや支援が欲しい人 ・経営に関与されてもいい人 | ・機関などに頼らずネットで資金調達をしたい人 ・自分の事業を広くアピールしたい人 |
メリット | ・計画段階や創業したてでも資金調達ができる ・資金を自由に使える ・返済の必要がない ・まとまった資金調達ができる | ・資産を手放す必要がない ・金利が低い ・借入限度額が大きい ・長期間低金利で融資を受けることができる | ・無担保、無保証で融資が可能 ・最大3,000万円までの融資が可能 ・金利が低い | ・日本政策金融公庫よりも審査が甘い傾向がある ・金利が低い | ・自己資本比率が高くなる ・返済期間や利率については融通が効く | ・返済義務がない ・経営サポートや支援を受けることができる ・素早い資金調達が可能 | ・返済義務がない ・経営サポートや支援を受けられる ・高額の資金調達が可能 | ・事業の計画段階から資金調達ができる ・インターネットで手続きが完了する ・多くの人に事業内容やサービスを知ってもらえる |
デメリット | ・資産がない人は利用できない ・資産以上の資金調達はできない ・時間がかかる | ・手数料がかかる ・返済不能の場合、担保を手放すことになる | ・借入の10%の自己資金が必要 ・審査が厳しい | ・融資までに時間がかかる ・自己資金が必要 ・審査が厳しい | ・問題が生じた時、関係が悪化することも | ・出資金額が少ない ・株式を出資者に保有される ・経営に口を出されることもある | ・株式を出資者に保有される ・経営に口出しをされることもある ・手続きが複雑な場合もある | ・必ずしも資金調達ができるわけではない ・資金調達までに時間がかかる ・アイデアが盗まれる可能性がある |
この記事ではスタートアップ企業が利用できるこれら8つの資金調達について次のことを解説しています。
・スタートアップ企業の8つ資金調達方法のメリット・デメリットと向いている人
・資金調達に必要な書類と資金調達方法
・スタートアップ企業が陥りやすい失敗と対処法
この記事を読むことで、スタートアップの準備段階でも資金調達できる方法がわかります。
また、さまざまな資金調達方法のメリット・デメリットを知ることで、資金調達のリスクが少なくなります。勢いのあるスタートアップを切るためにも、ぜひ最後までお読みください。


目次
- 1.スタートアップ企業の資金調達には8つの方法がある
- 2.資金調達する流れと準備する書類一覧
- 3.スタートアップ企業が陥りやすい失敗と、失敗しないための対策
- 4.まとめ
1.スタートアップ企業の資金調達には8つの方法がある

一般的にスタートアップ企業は銀行などからの融資は難しいとされていますが、実際には8つの資金調達方法があります。冒頭でもお伝えしましたが、スタートアップ企業が利用できる資金調達方法は以下のとおりです。
スタートアップ企業が利用できる8つの資金調達方法
資金調達方法 | ①自己資産を利用する【不動産売却】 1-1へ | ②銀行・ノンバンクからの融資【不動産ローン】 1-2へ | ③日本政策金融公庫【新創業融資制度】 1-3へ | ④地方自治体・機関からの制度融資【創業融資】 1-4へ | ⑤親戚知人からの借入 1-5へ | ⑥エンジェル投資家からの出資 1-6へ | ⑦ベンチャーキャピタルからの出資 1-7へ | ⑧クラウドファンディングを利用する 1-8へ |
利用限度額 | 所有する不動産による | 所有する不動産による | 最大3,000万円 | 2,500万円〜3,500万円が多い | 親戚、知人による | 数百万円〜数千万円 | 数百万円〜数億円 | 相場150万前後 |
資金調達日数 | 約半年 | 約1か月 | 約1か月 | 2〜3か月 | 親戚、知人による | 1日〜1か月程度 | 約1 か月 | 約4か月 |
金利 | ー | 2.9%〜9.5% | 0.61%〜3.1% | 1.7%〜2.3% | 親戚、知人による | ー | ー | ー |
向いている人 | ・資産がある人 ・資金調達まで時間的余裕がある人 | ・担保にできる資産がある人 ・多額の資金調達をしたい人 | ・借入金額の10%の自己資金が準備できる人 | ・会社の所在する自治体に創業融資制度がある人 ・自己資金が準備できる人 | ・応援してくれる親戚や知人がいる人 | ・成功した経営者などからアドバイスが欲しい人 ・経営に関与されてもいい人 | ・経営に関するアドバイスや支援が欲しい人 ・経営に関与されてもいい人 | ・機関などに頼らずネットで資金調達をしたい人 ・自分の事業を広くアピールしたい人 |
メリット | ・計画段階や創業したてでも資金調達ができる ・資金を自由に使える ・返済の必要がない ・まとまった資金調達ができる | ・資産を手放す必要がない ・金利が低い ・借入限度額が大きい ・長期間低金利で融資を受けることができる | ・無担保、無保証で融資が可能 ・最大3,000万円までの融資が可能 ・金利が低い | ・日本政策金融公庫よりも審査が甘い傾向がある ・金利が低い | ・自己資本比率が高くなる ・返済期間や利率については融通が効く | ・返済義務がない ・経営サポートや支援を受けることができる ・素早い資金調達が可能 | ・返済義務がない ・経営サポートや支援を受けられる ・高額の資金調達が可能 | ・事業の計画段階から資金調達ができる ・インターネットで手続きが完了する ・多くの人に事業内容やサービスを知ってもらえる |
デメリット | ・資産がない人は利用できない ・資産以上の資金調達はできない ・時間がかかる | ・手数料がかかる ・返済不能の場合、担保を手放すことになる | ・借入の10%の自己資金が必要 ・審査が厳しい | ・融資までに時間がかかる ・自己資金が必要 ・審査が厳しい | ・問題が生じた時、関係が悪化することも | ・出資金額が少ない ・株式を出資者に保有される ・経営に口を出されることもある | ・株式を出資者に保有される ・経営に口出しをされることもある ・手続きが複雑な場合もある | ・必ずしも資金調達ができるわけではない ・資金調達までに時間がかかる ・アイデアが盗まれる可能性がある |
この章では、スタートアップ企業が利用可能な8つの資金調達方法の特徴と、メリット・デメリット、そして利用に向いている人について解説していきます。
資金調達方法の分類
【アセットファイナンス】:所有する資産を売却するなどして活用する資金調達方法
返済の必要がなく、まとまった資金調達ができるのが特徴です。
・不動産売却
・ファクタリング など
アセットファイナンスについて詳しくはこちら
「アセットファイナンスとは?導入ケースやメリットを分かりやすく解説」
【デットファイナンス】:金融機関からの借入を行って資金調達とする方法
基本的に利子が発生し、返済義務があります。
・不動産などの資産を担保にして借入
・日本政策金融公庫の「新創業融資制度」
・地方自治体の「創業融資」
・親戚・知人からの融資
デットファイナンスについて詳しくはこちら
「デットファイナンスとは?種類やメリット・デメリットまで詳しく解説 」
【エクイティファイナンス】:第三者から投資を受ける資金調達方法
返済の義務がなく、スタートアップ企業も利用しやすい方法です。
・エンジェル投資家からの出資
・ベンチャーキャピタルからの出資
・クラウドファンディング
創業当初はまとまった金額が必要になるので、これらの方法を組み合わせて利用することも可能です。
返済の義務の有無など、それぞれの特徴を考えながらバランス良く利用することで、リスクが低くなります。
1-1.自己資産を利用する【不動産売却】
経営者や会社が自己資産を利用して資金調達する方法です。
具体的には、経営者や会社が保有している不動産などを売却して現金化します。預貯金などの現金がなくても資金調達が可能です。
自己資産を利用する資金調達方法【不動産売却】の特徴
調達可能額 | 所有する不動産による |
調達期間 | 約半年 |
金利 | なし |
向いている人 | ・資産がある人 ・資金調達まで時間的余裕がある人 |
メリット | ・計画段階や創業したてでも資金調達ができる ・資金を自由に使える ・返済の必要がない ・まとまった資金調達ができる |
デメリット | ・資産がない人は利用できない ・資産以上の資金調達はできない ・時間がかかる |
一般的に「資金調達」というと、銀行などの金融機関から借入をすることが思い浮かびますが、創業の準備段階や創業して間もない頃は信用がないので、融資を受けることができません。
しかし、不動産などの資産を売却すれば、まとまった現金を調達することができます。貯金などの現金がなくても、不動産などの資産がある場合には利用する価値があるでしょう。
では、メリット・デメリット、そして向いている人について見ていきましょう。
1-1-1.自己資産を利用するメリット
・計画段階や創業したてでも資金調達ができる
・返済の必要がない
・まとまった資金調達ができる
自己資産を利用するメリットは次のようになります。
・計画段階でも資金調達ができる
一番のメリットは、金融機関などから融資を受けることができないスタートアップ企業でも、まとまった現金を得ることができるという点です。
売却できる資産さえあれば、会社に実績がなくても利用できるので、起業を計画した時点でも資金調達が可能です。
・資金を自由に使える
資金を自由に使える点は大きいでしょう。
たとえば他の資金調達方法なら、事業内容や使用用途、会社の財務状況を詳しく説明しなければなりません。
また、多くの場合、申請した用途以外に使うことは禁止されているため、会社が軌道に乗るまでの生活費などに充てることができません。
その点、自分の資産なので、細かい用途に気にせず自由に使うことができます。
・返済の必要がない
アセットファイナンスでは、自己資金を利用するので返済の必要はありません。
たとえば、融資を受けた場合、毎月の返済や金利を支払うだけでも財政状況を圧迫することもありますが、アセットファイナンスならそういったことが起こりません。
・まとまった資金調達ができる
不動産などの資産を売却する場合、まとまった資金を一度に調達することができます。他の資金調達方法では、制限や上限がある場合がほとんどですが、最初からまとまった資金を自由に使うことができます。
1-1-2.自己資産を利用するデメリット
・資産がない人は利用できない
・資産以上の資金調達はできない
・時間がかかる
自己資産を利用するデメリットは次のようになります。
・資産がない場合は利用できない
アセットファイナンスは資産がないと利用することができません。資産がない場合は、後で紹介するエクイティファイナンスなどを利用するとよいでしょう。
・資産以上の資金調達はできない
アセットファイナンスは自分の資産を売却した金額以上の資金調達はできません。
・資金調達まで日本時間がかかる
不動産売却には早くても4か月ほどかかります。不動産が売れない場合には、さらに時間がかかることもあるので、時間的余裕がない場合は利用を避けた方が良いでしょう。
資本以上の資金調達をしたい場合は、資本を担保に入れて金融機関からお金を借りるデットファイナンスや、事業に対して支援をしてもらうエクイティファイナンスなどと併用することを考えます。
1-1-3.自己資産の利用に向いている人
自己資産の利用に向いている人は、不動産などの資産を持っている人です。
資産がない場合には利用することができません。
また、時間的な余裕がある人に向いています。
1-2.②銀行・ノンバンクからの融資 ※担保がある場合
経営者や会社に不動産などの資産がある場合、不動産を担保にしてローンなどで借入を行うことができます。
銀行・ノンバンクからの融資【不動産担保ローン】の特徴
調達可能額 | 所有する不動産による |
調達期間 | 約1か月 |
金利 | 2.9%〜9.5% |
向いている人 | ・担保にできる資産がある人 ・多額の資金調達をしたい人 |
メリット | ・資産を手放す必要がない ・金利が低い ・借入限度額が大きい ・長期間低金利で融資を受けることができる |
デメリット | ・手数料がかかる ・返済不能の場合、担保を手放すことになる |
通常、銀行などの金融機関では融資をする際に、2期分の決算書や確定申告が必要となるため、創業の準備段階や創業間もないスタートアップ企業が融資を受けることはできません。
しかし、経営者や会社に資産がある場合は、それを担保に融資(ローン)を受けることができます。
【担保にできる資産】
資産がない場合には利用することができません。
不動産:土地・やビル、家屋など
工場・機械設備・車両
有価証券・為替手形
知的財産権:商標登録・特許
資産がある場合は2-1.自己資産を利用する【不動産売却】で解説したように売却することも可能です。ただし、資産の売却は、現金化するまで数か月かかる場合もあり、すぐに現金化することはできません。
では、メリット・デメリットと向いている人をみていきましょう。
1-2-1.銀行・ノンバンクからの融資メリット【担保がある場合】
・資産を手放す必要がない
・金利が低い
・借入限度額が大きい
・長期間低金利で融資を受けることができる
不動産担保でローン(融資)を受ける際のメリットは次のようになります。
・資産を手放さなくてもよい
不動産などを担保にして融資を受ける場合、資産が手元に残ります。
たとえば、不動産などを売却する場合、その不動産を売却してしまうため手元に残りません。
不動産担保の融資なら、住居している土地や建物を担保にした場合でも、そのまま住み続けることが可能です。
・金利が低い
不動産などを担保にした場合、他の借入と比べて低金利で融資してもらうことができます。金融機関は貸倒れなどのリスクが高いと金利が高くなる傾向がありますが、担保があることで信用度が増し、金利を抑えることができるのです。
たとえば一般的なビジネスローンでは金利が4%〜18%であるのに対し、不動産を担保にしたローンの金利は2.9%〜9.5%と低い水準となっています。
金利が安い分、返済総額も安くなります。
・借入限度額が大きい
担保とする資産にもよりますが、資産が大きいほど融資を受ける金額も大きくなります。
貸倒れのリスクが低いことから、スタートアップ企業でも1億円以上の融資を受けることも可能です。
・長期間融資を受けることができる
担保がある融資では、借入期間を長く設定することができます。借入期間を長く設定すると、月々の返済額が少なくなることから、スタートアップ企業にとって資金繰りに苦しむことが少なくなり、毎月使える資金が多くなります。
1-2-2.銀行・ノンバンクからの融資デメリット【担保がある場合】
・手数料がかかる
・返済不能の場合、担保を手放すことになる
デメリットを見ていきましょう。
・手数料がかかる
不動産などを担保にする融資では、無担保の融資の場合には発生しない手数料や費用が複数かかります。
【不動産を担保にして融資を受ける場合、必要になる費用一例】
•不動産鑑定費用
•抵当権、根抵当権の登記費用
•印紙代
•その他、事務手数料など。
これらを合わせると数十万円かかる場合もあり、借入総額が小さい場合はかなりの痛手となります。
・返済不能の場合、担保を手放すことになる
毎月の返済が滞った場合、担保としていたものを手放す(処分)ことになります。不動産については、担保とする際に「抵当権」などの登記を行っています。
そのため、金融機関が返済不可と判断した場合は、担保を売却し、売却金から融資した資金と利息を回収します。住居している土地や建物を担保に入れている場合は、退居することになります。
1-2-3.向いている人
銀行・ノンバンクからの不動産融資に向いている人は、担保にできる不動産などを持っており、その不動産を手放したくない人です。
また、一度に多額の資金を調達したい人にも向いています。
1-3.③日本政策金融公庫(新創業融資制度)からの融資
日本政策金融公庫【新創業融資制度】は、起業の計画段階や創業間もない企業でも利用のできる国の融資制度です。
日本政策金融公庫【新創業融資制度】の特徴
調達限度額 | 最大3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
資金調達期間 | 1か月程度 |
金利 | 0.61%〜3.1% |
向いている人 | 借入金額の10%の自己資金が準備できる人 |
メリット | ・無担保、無保証で融資が可能 ・最大3,000万円までの融資が可能 ・金利が低い |
デメリット | ・借入の10%の自己資金が必要 ・審査が厳しい |
日本政策金融公庫は、国が100%出資する公的金融機関で、日本経済成長や地域経済発展や、事業・産業の振興のため広く事業支援を行っています。銀行などの金融機関よりも金利が安く、安心・安全に融資を受けることができる反面、審査が厳しくなりますが、申し込みを行う価値はあるでしょう。
日本政策金融公庫の融資事業にはいくつか種類がありますが、ここではスタートアップ企業でも資金調達が可能である「新創業融資制度」について解説します。
日本政策金融公庫(新創業融資制度)を利用できる人
利用できる人 | 次のすべての要件に該当する方 ・新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を1期、または2期終えていない方 |
目的 | ・新たに事業を始めるため ・事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
参照:日本政策金融公庫 新創業融資制度より
この新創業融資制度は、無担保・無保証人での借入を希望することも可能ですが、創業に必要な資金のうち10分の1を自己資金として準備することが条件となります。
ではメリットやデメリットを見ていきましょう。
1-3-1.日本政策金融公庫(新創業融資制度)を利用するメリット
・無担保、無保証で融資が可能
・最大3,000万円までの融資が可能
・金利が低い
日本政策金融公庫(新創業融資制度)を利用する主なメリットは次のようになります。
・スタートアップ企業でも利用することができる
この新創業融資制度の大きなメリットとして、スタートアップの計画時や創業間もない企業でも利用することができるという点です。
一般の金融機関では、貸倒れのリスクを防ぐため、創業前や創業間もない企業への融資は行いません。
しかし、この新創業融資制度では、政府系の金融機関として、未来の日本を支えるべく新しい産業の育成を目的としているので、スタートアップ企業でも融資が行われる可能性が高いのです。
・無担保、無保証で融資が可能
この新創業融資制度では、無担保無保証で資金調達をすることができます。
スタートアップ企業にとって、保証人を探すのも大変な場合もあります。
この制度なら、経営者本人も連帯保証人としてのサインが必要ないことから、心理的負担も軽いといえるでしょう。
・最大3000万円までの融資が可能
事業内容にもよりますが、最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)までの融資が可能です。
ノンバンクなどの融資では最高でも1,000万円程度なので、かなり有利に資金調達ができると言えるでしょう。
・金利が低い
何と言っても金利が安いことが魅力的でしょう。一般的なビジネスローンでは金利が4%〜18%であるのに対し、この制度では0.61%〜3.1%です。同じ金額を借りた場合、総額でかなりの金額をセーブすることが可能です。
1-3-2.日本政策金融公庫(新創業融資制度)を利用するデメリット
・借入の10%の自己資金が必要
・審査が厳しい
日本政策金融公庫(新創業融資制度)を利用するデメリットは次のようになります。
・借入金額の10%の自己資金が必要
創業前にも融資をしてくれる制度ですが、融資額の10%の自己資金が必要なので、準備できない場合は利用することができません。
・審査が厳しい
新たに事業を始める人に対して融資を行ってくれるのですが、その分審査が厳しくなります。
税金を使っているため、どのような事業でも融資を行うのではなく、本当に事業が成立するのか、その事業内容や計画、返済予定などが厳しく精査されます。どんなに意義のある事業だったとしても、きちんと説明することができなければ審査に落ちてしまうでしょう。
あらかじめ必要書類をキチンと揃える、説明が十分にできるなどの準備が必要です。
1-3-3.向いている人
借入金額の10%を準備できる人なら、ほとんどのスタートアップ企業に向いているといえます。 500万円必要なら自己資金50万円を準備すれば、低金利で資金調達ができるので、利用しない手はないでしょう。
1-4.④地方自治体・機関からの制度融資【創業融資】
地方自治体・機関からの制度融資(創業融資)は、起業の計画段階や創業間もない企業でも利用のできる融資制度で、会社が所在している自治体で受けられます。
地方自治体・機関からの制度融資【創業融資】の特徴
調達限度額 | 自治体による 2,500万円〜3,500万円が多い |
資金調達期間 | 2〜3か月 |
金利 | 1.7%〜2.3%(自治体による) |
向いている人 | ・会社の所在する自治体に創業融資制度がある人 ・自己資金が準備できる人 |
メリット | ・日本政策金融公庫よりも審査が甘い傾向がある ・金利が低い |
デメリット | ・融資までに時間がかかる ・自己資金が必要 ・審査が厳しい |
創業融資は、地元の起業を育て、地域の発展に貢献することが目的なので、日本政策金融公庫【新創業融資制度】と比べて審査が通りやすい傾向にあります。
地方自治体や機関によって、独自の創業融資を行っており、金融機関と保証協会、自治体が協力して創業間もない企業などを支えています。
ただし、会社が所在する自治体限定の場合がほとんどで、条件なども自治体によって異なります。
たとえば、東京商工会議所の「創業支援融資保証制度」では次のようになっています。
東京商工会議所「創業支援融資保証制度」
利用できる人 | 【創業前の利用ができる人】 ・まだ事業を行っていない個人 ・この融資と同額以上の自己資金がある人 ・1か月以内に新たに個人で、又は2か月以内に新たに法人を設立して都内で創業しようとする具体的な計画がある人 ・原則として事業に必要な許認可等を受けている人 【創業後の場合】 |
資金用途 | 運転・設備資金 |
融資機関 | ・運転資金7年以内(据置期間1年以内) ・設備資金10年以内(据置期間1年以内) |
貸付利率 | 【責任共有利率】 3年以内・・・1.7%以内 3年超5年以内・・・1.9%以内 5年超7年以内・・・2.1%以内 7年超・・・2.3%以内 【全部保証利率】 |
他にも、名古屋市のスタートアップ企業支援補助金や、大阪府制度融資開業サポート資金など、自治体によって特色のある制度が利用できます。
まずは、会社の所在する自治体の創業融資を調べてみると良いでしょう。
調べ方は、インターネットで「創業融資➕都道府県・または自治体名」で検索します。
1-4-1.自治体の創業融資を利用するメリット
・日本政策金融公庫よりも審査に通過しやすい傾向がある
・金利が低い
自治体の創業融資を利用するメリットを解説します。
・日本政策金融公庫よりも審査に通過しやすい傾向がある
自治体の創業融資はその地域経済活性化の目的もあり、その土地で創業しようとしている企業を応援する意味で審査に通過しやすい傾向があります。
・金利が低い
自治体の制度融資では、金利が他の金融機関と比べると、格段に低くなります。
借入金利の一部を自治体が負担してくれる場合もあるので、お得に融資を受けることができます。
1-4-2.自治体の創業融資を利用するデメリット
・日本政策金融公庫にくらべ、融資までに時間がかかる
・自己資金が必要
・審査が厳しい
デメリットは次のようになります。
・日本政策金融公庫にくらべ、融資までに時間がかかる
日本政策金融公庫の新創業融資制度では、融資までに1か月程度かかりますが、自治体の創業融資では2か月〜3か月かかるケースがあります。
これは自治体や保証会社、金融機関の3者が関わっていることもあり、審査や手続きが複雑化しているためです。
時間的余裕がある場合の利用がおすすめです。
・自己資金が必要
自治体の創業融資では、自己資金が必要となるケースが多くなります。
多い場合は、融資額の2分の1もの自己資金が必要となる場合があるので、自己資金がない場合は利用することができない場合もあります。
・審査が厳しい
日本政策金融公庫と比べると審査に通過しやすいとはいえ、審査自体は厳しいといえます。
どのような事業でも融資を行うのではなく、本当に事業が成立するのか、その事業内容や計画、返済予定などを精査します。
どんなに意義のある事業だったとしても、きちんと説明することができなければ審査に落ちてしまうでしょう。あらかじめ、きちんとした準備が必要です。
1-4-3.向いている人
スタートアップなど創業の計画がある人、創業間もない人は利用する価値があります。 会社の所在地に利用できる創業融資が存在しており、ある程度の自己資金がある人は向いています。
創業融資については「創業融資とは?初歩的な知識と申請方法・審査を乗り切る重要ポイント」の記事も参考にしてみてください。
1-5.⑤親戚・知人からの借入
親戚や知人からの借入も資金調達の一つです。親族や知人から資金調達を受けた場合は、返却期間や利子についても融通が効きます。
親戚や知人からの借入をした場合の特徴
調達限度額 | 親戚・知人による |
資金調達期間 | 親戚・知人による |
金利 | 親戚・知人による |
向いている人 | 応援してくれる親戚や知人がいる人 |
メリット | ・自己資本比率が高くなる ・返済期間や利率について融通が効く |
デメリット | 問題が生じた時、関係が悪化することも |
他の資金調達方法に比べて用意する書類も格段に少なく、借入の条件や期間についても寛容である場合が多いでしょう。
両親からの場合など、ついつい甘えて無利子で借入を行う場合もありますが、きちんと利子をつけることでケジメがつき、キチンと返すモチベーションにもなります。
親戚・知人から借入をおこなうメリットやデメリットについては次のとおりです。
1-5-1.親族や知人の場合からの借入メリット
・自己資本比率が高くなる
・返済期間や利率について融通が効く
・自己資本比率が高くなる
自己資金比率が高くなると、会社としての信用が増します。
自己資本比率が高いと会社が軌道に乗った場合、金融機関から融資が受けやすくなります。
・返済期間や利子について融通が効く
たとえ利子をつけた場合でも、資金繰りが厳しい場合などに融通が効きます。
返済が遅れた場合、他の金融機関なら会社としての信用が落ちる場合がありますが、知り合いだと返済日を待ってくれることもあるでしょう。
1-5-2.親族や知人の場合からの借入デメリット
・問題が生じた時、関係が悪化することも
・問題が生じた時、関係が悪化する場合がある
親戚や知人からの借入だと、ついつい甘えが生じやすく、トラブルが生じた際に関係性が壊れる可能性もあります。
どんなに親しい中でも、きちんとした借用書などを作成し、返済などの約束を守ることが重要となります。
1-5-3.向いている人
事業を応援してくれる親戚や知人がいる場合は借入を申し入れるといいでしょう。
ただし、断りにくい人もいるので、融資に積極的でない人には無理をいわないようにします。
1-6.⑥エンジェル投資家から出資を受ける
エンジェル投資家とは、事業計画の段階や創業間もない企業に対して、個人の資金を提供してくれる個人投資家で、起業の計画段階から出資を受けることができます。
エンジェル投資家から出資を受ける場合の特徴
調達限度額 | 数百万円〜数千万円 |
資金調達期間 | 1日〜1か月程度 |
金利 | ー |
向いている人 | ・成功した経営者などからアドバイスが欲しい人 ・経営に関与されてもいい人 ・積極的にコミュニケーションが取れる人 |
メリット | ・返済義務がない ・経営サポートや支援を受けることができる ・素早い資金調達が可能 |
デメリット | ・出資金額が少ない ・株式を出資者に保有される ・経営に口を出されることもある |
エンジェル投資家は、個人の判断で数百万円から数千万円の出資を行っており、起業家にとって天使のような存在であることからこの名がついています。
エンジェル投資家が出資するには、起業家を応援したいという目的の他にも、最終的には金銭的な利益を上げるという目的があります。
まだ、市場価値のないスタートアップ企業やベンチャー企業などに投資することで、その企業が急成長した場合に大きなリターンが返ってくるからです。
成長しきった企業に向けての出資よりもリスクが高い分、大きな利益を得ることが可能というわけです。
そんな、エンジェル投資家から融資を受けるメリット・デメリットは何でしょうか。
1-6-1.エンジェル投資家から出資を受けるメリット
・返済義務がない
・経営サポートや支援を受けることができる
・素早い資金調達が可能
エンジェル投資家から出資を受けるメリットを解説します。
・返済義務がない
投資は融資と違い、出資で得た資金に返済義務はありません。
毎月返済することもないので、資金を事業に集中して使うことができます。
万が一事業が失敗しても、金銭的な損失は少ないといえます。
・経営サポートや支援を受けることができる
エンジェル投資家の多くが経済的な成功者が多いので、経営サポートやアドバイスなどを受けることができます。
ただ資金の提供者だけではなく、メンターのような役割をする場合もあり、細かい相談なども気軽にすることができます。
・素早い資金調達が可能
基本的に個人の資金なので、エンジェル投資家の意向によっては素早い融資が可能になります。
出資を受けるための型式などがないので、簡単なプレゼンテーションで投資をしてくれる場合もあります。
1-6-2.エンジェル投資家から出資を受けるデメリット
・出資金額が少ない
・株式を出資者に保有される
・経営に口を出されることもある
エンジェル投資家から出資を受けるデメリットは次の通りです。
・出資金額が少ない
エンジェル投資家は個人なので、出資規模は数百万〜数千万円程度になります。
調達したい資金が多い場合には、投資家が集まっているベンチャーキャピタルを利用すると良いでしょう。
・株式を出資者に保有される
エンジェル投資家からの資金調達の場合、出資をしてもらう代わりに株式を譲渡することになります。
つまり、決議権の半分を譲渡してしまうと、最悪な場合、経営権を失う可能性もあります。
そのため、1株あたりの株価の価値を上げて発行部数を少なくする、最低でも株式の3分の2以上は保有しておくようにするなどの対策が必要です。
・経営に口を出されることもある
メリットで解説したように、経済的な成功者が多いため、経営に対してアドバイス以上の「口出し」をされる可能性もあります。
もちろん、貴重なアドバイスはキチンと受け止めるようにするべきですが、ある程度経営の勉強をして、必要以上に経営の舵を取られないようにすることも大切です。
1-6-3.向いている人
成功した経営者などからアドバイスが欲しい人は向いているといえます。
また、エンジェル投資家は個人なので、積極的なコミュニケーションができる人も向いているでしょう。
1-7.⑦ベンチャーキャピタルからの出資
ベンチャーキャピタルとは、将来有望である企業や事業に対して出資を行う機関や投資会社をさし、スタートアップ企業にも積極的に出資を行っています。
ベンチャーキャピタルからの出資の特徴
調達限度額 | 数百万円〜数億円 |
資金調達期間 | 1か月程度 |
金利 | ー |
向いている人 | ・経営に関するアドバイスや支援が欲しい人 ・経営に関与されてもいい人 |
メリット | ・返済義務がない ・経営サポートや支援を受けられる ・高額の資金調達が可能 ・時間がかかる |
デメリット | ・株式を出資者に保有される ・経営に口出しをされることもある |
投資の目的はエンジェル投資家と同じように、起業家の支援と金銭的な利益のためですが、何人もの投資家の資金を運用しているので、エンジェル投資家よりも多くの資金を調達することも可能です。
1-7-1.ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリット
・返済義務がない
・経営サポートや支援を受けられる
・高額の資金調達が可能
ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリットを解説していきましょう。
・ベンチャーキャピタルからの支援を受けられる
ベンチャーキャピタルはただ出資してくれるだけではなく、さまざまな支援を行ってくれます。
たとえば、出資先の企業に対し、戦略立案から実行まで関与し、投資先の成長を促します。
つまり、経営に対してのアドバイスやコンサルを行ってくれるのです。
事業内容には精通していても、会社の経営は初めてという人にはありがたい支援といえるでしょう。
・返済する必要がない
投資は融資と違い、返済義務はありません。
万が一事業が失敗しても、ベンチャーキャピタルからの取り立てのようなものもないので、金銭的な損失は少ないといえます。
・高額な資金調達が可能
ベンチャーキャピタルは投資家が集まった機関や投資会社なので、エンジェル投資家に比べて規模が大きく、億単位の高額な資金調達も可能です。
1-7-2.ベンチャーキャピタルから出資を受けるデメリット
・株式を出資者に保有される
・経営に口出しをされることもある
・手続きが複雑な場合もある
ベンチャーキャピタルから出資を受けるデメリットは次のようになります。
・株式を出資者に保有される
ベンチャーキャピタルからの資金調達の場合、出資をしてもらう代わりに株式を譲渡することになります。
つまり、決議権の半分を譲渡してしまうと、最悪な場合、経営権を失う可能性もあります。
そのため、1株あたりの株価の価値を上げて発行部数を少なくする、最低でも株式の3分の2以上は保有しておくようにするなどの対策が必要です。
・経営に口を出されることもある
メリットで解説したように、出資者は経済的な成功者が多いため、経営に対してアドバイス以上の「口出し」をされる可能性もあります。
もちろん、貴重なアドバイスはキチンと受け止めるようにするべきですが、ある程度経営の勉強をして、必要以上に経営の舵を取られないようにすることも大切です。
・手続きが複雑な場合もある
資金調達で事業内容が具体化されていない場合、手続きが複雑になります。既存の事業や会社なら、売上や経営状況などで信用を得ることもできます。
しかし計画段階や創業間もない頃は、出資を納得させられるだけの合理的な説明や理由づけが必要となります。
評価を得るには事業計画書やエクイティストーリーなどを綿密に準備し(準備する書類については3-7.ベンチャーキャピタルの資金調達の流れを参照ください)、その後面接や効果的なプレゼンテーションを行うことが求められます。
そのようなことを経て、初めて資金調達の審査が可能になるのです。
ただし、十分な準備さえできていれば、資金調達は迅速に行われます。
1-7-3.向いている人
ベンチャーキャピタルは、会社や事業の今の状況ではなく将来の成長を期待しているため、計画段階や創業して間もない企業を支援してくれるので、どんな人でも向いているといえます。
ただし、経営などに関与が深くなるので、会社経営に口出しをしてほしくない人は向いていないといえます。
1-8.⑧クラウドファンディングからの出資
クラウドファンディングは、実現させたい事業やプロジェクトなどをインターネット上で公開し、応援したい人から資金や支援を集める方法で、スタートアップ企業向きの資金調達方法です。
クラウドファンディングからの出資の特徴
調達限度額 | 相場150万前後(数千万円規模のものもある) |
資金調達期間 | 約4か月(申し込みから資金入金まで) |
金利 | ー |
向いている人 | ・機関などに頼らずネットで資金調達をしたい人 ・自分の事業を広くアピールしたい人 |
メリット | ・事業の計画段階から資金調達ができる ・インターネットで手続きが完了する ・多くの人に事業内容やサービスを知ってもらえる |
デメリット | ・必ずしも資金調達ができるわけではない ・資金調達までに時間がかかる ・アイデアが盗まれる可能性がある ・手数料が必要 |
クラウドファンディングは、ネットを通じて少額から資金提供ができるため、不特定多数の人から支援を受けることができます。
【クラウドファンディングは不特定多数の人から支援を受けることができる】
たとえば、「地方の空き家を民泊にし、ネットワーク化することで利用を活性化し、空き家問題を解決したい」という計画があった場合、個人で実現するのは不可能です。
しかし、クラウドファンディングで多くの人に訴えることで、その計画に共感した人や企業が資金を援助してくれるだけではなく、物質面や労働力で応援してくれる人が集まる可能性もあります。
事業内容やプロジェクトの内容によっては、共感されない場合もありますし、そもそも上手くプレゼンテーションが出来ていないと注目を集めることができません。
また、芸能人など有名な人ほど注目を集めやすい傾向があります。
クラウドファンディングは2022年の時点で25を超える媒体があり、それぞれの特徴や得意分野があります。
たとえば、地域創生に特化しているものや、エンタメが中心のもの、ものづくりが中心の媒体などがあり、自分の事業内容にあったものを選ぶことで、支援者の目に止まりやすくなります。
また、媒体によって手数料も10%〜20%と違ってくるので、プランや手数料などは必ず確認するようにします
1-8-1.クラウドファンディングのメリット
・事業の計画段階から資金調達ができる
・インターネットで手続きが完了する
・多くの人に事業内容やサービスを知ってもらえる
・計画段階から資金調達ができる
起業の計画段階や創業間もない会社でも資金調達ができることは大きなメリットです。
金融機関の多くは、創業から2年以上たっていることが融資条件であることが多いため、事業を始めたばかりでは資金調達はできません。
しかし、クラウドファンディングなら計画段階から資金調達ができるため、早い段階から研究や開発費を賄うことができます。
・インターネットで手続きが完了する
クラウドファンディングの利用や、実際の募集などは全てインターネット上で完結します。
支援者に向けてわかりやすいプレゼンなどを作る必要はありますが、面接などをしたり、無理に顔出しする必要もなく、インターネット上で全てが完結します。
ネットですぐに資金調達状況が確認できるのも便利です。
・多くの人に事業内容やサービスを知ってもらえる
クラウドファンディングは不特定数の人に、事業やサービスをプレゼンするので、多くの人に事業内容を知ってもらうことができます。
たとえ、目標額に達することができなくても、その反応がマーケティングに繋がり、より良いものを提供できるきっかけともなります。
宣伝効果やマーケティングとしても活用できるということです。
1-8-2.クラウドファンディングのデメリット
・必ずしも資金調達ができるわけではない
・資金調達までに時間がかかる
・アイデアが盗まれる可能性がある
・手数料が必要
・必ずしも資金調達ができるわけではない
クラウドファンディングは不特定多数の人に支援を依頼するのですが、目標とする資金が必ず調達できるわけではありません。
多くの人が興味を持たなかったり、支援したいと思わなかったりした場合には、資金調達ができないこともあります。
・資金調達までに時間がかかる
クラウドファンディングは、申し込みをしてから実際に資金が振り込まれるまで3週間〜数か月かかる可能性があります。
そのため、クラウドファンディングで資金調達を考えた場合、資金が必要となる時期とプロジェクト終了時間を十分に考慮しながら進めるようにしましょう。
・アイデアが盗まれる可能性がある
クラウドファンディングはアイデアが盗まれるリスクがあります。
クラウドファンディングでは支援を募るため、事業内容や商品・サービスを公開することになりますが、今までになかったアイデアの場合、盗用されることがあります。
それを防ぐためにも、自分のアイデアについては特許を出願しておくことが重要です。クラウドファンディングは何度でも挑戦することができます。プロジェクトが失敗した場合でも、次のクラウドファンディングの準備として活用すれば良いでしょう。
1-8-3.向いている人
クラウドファンディングは、機関などに頼らずネットで資金調達をしたい人や自分の事業を広くアピールしたい人などに向いているでしょう。
2.資金調達する流れと準備する書類一覧

※利用する機関によっては流れや書類は異なります。
2-1.自己資産を利用する資金調達の流れ(不動産売却)
ここでは、自己資金(不動産)を売却して資金調達する場合の流れと必要書類について解説します。不動産売却の流れは複雑ですが、簡単にまとめると次のようになります。
【不動産売却での資金調達の流れ】
①不動産会社へ不動産の売却の相談をする
不動産の現況や履歴、近隣の状況を確認できる書類が必要
(土地・建物登記済証(権利証)または登記識別情報、建物図面、登記簿謄本など)
※不動産の種類によっては、会社に得意不得意があるので、必ず複数の会社で相談や見積りをとる
②契約を結ぶ
ここで本人確認や登記関係の書類の提出を行う
ただし、流れの中で必要となる書類が異なるので、不動産会社の指示に従う
③販売活動が始まる
(不動産会社が行う)
④売却が決まれば、売買契約を締結する
⑤契約後の引き渡しと同時に決済を行う(振り込みされる)
不動産の売却の場合、複数の会社に見積りを依頼するとお得に売却することができます。
次に必要な書類をみていきましょう。
2-1-2.必要書類
売却する不動産の種類や、売却先によって異なる場合もありますが、一般的に必要な書類は次のようなものになります。
【不動産売却の際の必要書類】
・本人確認書類
・土地・建物登記済証(権利証)または登記識別情報
・実印
・印鑑証明書
・固定資産税・都市計画税納税通知書
・建築確認通知書・検査済証
・測量図・建物図面など
・物件状況等報告書
・設備表
・印紙、または印紙代
・仲介手数料
まずは、売却依頼する不動産会社などに詳しく相談してから準備すると不備がなくなります。
不動産会社や仲介を依頼する会社によっても異なりますので、かならず最初に相談することをおすすめします。
2-2.銀行・ノンバンクからの資金調達の流れ【不動産担保がある場合】
不動産担保を使って銀行やノンバンクから資金調達をする場合の流れと必要な書類について解説します。
不動産担保は契約する会社によって利率や借入可能金額などが異なりますので、銀行やノンバンクなど、複数の会社で見積りをとることをお勧めします。
不動産担保による資金調達の流れは次のようになります。
2-2-1.不動産担保での融資の流れ
不動産を担保にいれて融資を受ける場合の流れは次のようになります。
【不動産担保での融資の流れ】
①利用する金融機関に申し込みをする
②必要書類の提出
ここで本人確認や不動産の登記関係の書類を提出
提出する書類やタイミングなどは、金融機関の指示に従う
③融資の審査が行われる
④審査が通れば融資の契約をする
⑤融資が実行される(振り込みされる)
次に必要な書類を見ていきましょう。
2-2-2.必要書類
資金を調達する会社によって異なりますが、一般的に必要な書類は次のようになります。
・本人確認書類
・収入確認書類
・担保不動産関係書類
・担保不動産のローン残高確認書類
・未納税金がないことを確認できる書類
【不動産を担保に資金調達する際の必要書類】
必要な書類は不動産の状態や会社によって異なる可能性がありますので、調達する会社に相談してから揃えると不備がなく安心です。
2-3.日本政策金融公庫【新創業融資制度】の資金調達の流れ
日本政策金融公庫新創業融資制度を利用する流れと必要な書類について解説します。
2-3-1.資金調達の流れ
資金調達の流れは次のようになります。
【日本政策金融公庫(新創業融資制度)の資金調達の流れ】
①日本政策金融公庫のホームページから申し込みをする
その際、必要書類などを添付
②後日公庫から面談日時の連絡がメールでくる
③公庫の支店で面談をする
④公庫から融資のついての可否の連絡がくる
⑤融資が決まれば振り込みで完了
申し込みの前に、日本政策金融公庫の支店に直接出向いて、相談をすることができます。
融資が通るために必要なアドバイスなども聞けるので、利用すると良いでしょう。
また、電話でも相談ができます。
日本政策金融公庫のホームページで、支店の一覧を見ることができますので、参考にしてください。
3-3-2.必要書類
制度を利用するための必要書類は次のようになります。
【新創業融資制度を申し込む際の必要書類】
・本人確認書類
・借入申込書
・創業計画書※
・資金繰り計画書
・履歴事項全部証明書の原本(申込人が法人の場合)
※創業計画書とは
事業を興す際にどのような計画を立てているかを説明する書類です。
創業計画書は、信用がまだない企業や個人に融資をしてもいいのかどうかの判断材料になります。
そのため、具体的な創業の動機や商品、サービスの説明、資金の使用用途、事業の見通しなどをしっかりと書き込むことが重要です。
創業計画書は日本政策金融公庫のホームページからダウンロードできます。書き方の見本もあるので参考にすると良いでしょう。
これらの書類の他に、事業内容によって必要となる書類があります。
面談の際に必要になりますが、面談時に説明があります。
2-4.地方自治体・機関【創業資金】からの資金調達の流れ
地方自治体【創業資金】からの資金調達は、基本的に日本金融公庫【新創業融資制度】と同じようなものになります。
会社の所在する自治体の創業融資はインターネットで調べることが可能ですが、実施していない自治体もあります。
調べ方は「創業融資➕都道府県・または自治体名」で検索することができます。
資金調達の流れも、日本金融公庫【新創業融資制度】と同じ流れになります。
2-4-1.資金調達の流れ
地方自治体などの創業資金の資金調達の流れは次のようになります。
【地方自治体・機関の(創業資金)からの資金調達の流れ】
①または利用したい自治体のホームページから申し込みをする
(自治体によっては、電話やメールでの相談が必要になる場合がある)
その際、必要書類などを添付
②後日、自治体の機関から面談日時の連絡がメールでくる
③自治体の機関で面談をする
④自治体の機関から融資のついての可否の連絡がくる
⑤融資が決まれば振り込みで完了
この制度は、金利を自治体が負担してくれるなど、有利な点が多いのですが、融資が開始されるまでに2か月〜3か月かかる場合もあります。余裕をもって申請しましょう。
では、必要な書類について見ていきましょう。
2-4-2.必要書類
自治体や機関によって異なる場合もありますが、必要な書類は次のようなものです。
【新創業融資制度を申し込む際の必要書類】
・本人確認書類
・借入申込書
・創業計画書※
・資金繰り計画書
・履歴事項全部証明書の原本(申込人が法人の場合)
他にも、事業内容を詳しく解説するための書類などが必要になる場合があります。
2-5.親戚・知人からの資金調達の流れ
親戚や知人からの資金調達方法は、特に型式はありません。
しかし、ケジメをつけたり、後のトラブルで関係性が悪化しないように、「借用書」を作成することをお勧めします。
借用書の書き方や注意点などはインターネットで「借用書➕テンプレート」で検索するとたくさん出てくるので、使いやすいものを利用すると良いでしょう。
2-6.エンジェル投資家からの資金調達の流れ
エンジェル投資家は個人で投資をしているので、資金調達の決まった方法などはありません。
ここでは、そんなエンジェル投資家を見つけるための方法と、必要な書類について解説します。
2-6-2.エンジェル投資家を見つける方法
エンジェル投資家に出会うには次のような方法があります。
【エンジェル投資家を見つける方法】
①知人からの紹介
②SNSやブログ経由で直接コンタクトをとる
③イベントや交流会、パーティーなどに参加する
④マッチングサービスを利用する
ここでは、それぞれの方法についてくわしく解説します。
①知人からの紹介
エンジェル投資家と出会うのに最もよい方法は、知人からの紹介です。
エンジェル投資家は基本的に多忙なため、知らない人とのコンタクトを避ける傾向にあります。
知人からの紹介だと、信頼性も高いため、話を聞いてくれる確率も高くなります。
②SNSやブログ経由で直接コンタクトをとる
エンジェル投資家の多くは、SNSやブログなどで情報発信しています。お問い合わせ先や相談窓口がある場合はそれを利用します。
また、SNSやブログをチェックして、直接コンタクトを取る方法もあります。
しかし、エンジェル投資家は毎日多くのコンタクトがあるため、スルーされてしまう可能性もあります。
失礼のない程度に熱心さをアピールすることで、目に留めてもらいやすくなります。
③イベントや交流会、パーティーなどに参加する
起業交流会などのイベントやパーティーにエンジェル投資家が参加している場合があります。
エンジェル投資家も、投資の対象となる起業家を見つけたいと考えている可能性が高いので、積極的に交流するとよいでしょう。
また、ピッチコンテストといって、スタートアップ起業家を対象としたプレゼンテーションコンテストもあります。
最近では感染症対策として、オンラインでイベントを開催している場合もあり、地方在住でイベント会場が遠い場合でも、気軽に参加することができます。
ただし、オンラインではなかなか目立つことが難しいので、興味をそそるような自己紹介や目をひくプレゼンテーションの準備などは必須でしょう。
④マッチングサービスを利用する
インターネット上には、起業家とエンジェル投資家が出会うためのマッチングサイトがあります。
マッチングサイトで代表的なものに次のようなサイトがあります。
【人気のマッチングサイト】
Founder
日本最大級の経営者&投資家マッチングサイト
Founderは、資金調達をしたい経営者や創業10期目・年商10億円程度のベテラン経営者の方も利用する人気のマッチングサイトです。
NGEL PORT
スタートアップ起業家とエンジェル投資家をつなぐコミュニティサイト。 エンジェル投資家の紹介や理念を掲載し、直接メッセージを送ることができます。
良いエンジェル投資家と巡り合うことで、事業が飛躍的に伸びることが可能になります。
いずれにしても、エンジェル投資家も人間ですので、失礼のないコミュニケーションをとることを心がけましょう。
次に、投資を受けるために必要な書類を見ていきましょう。
2-6-2.必要書類
エンジェル投資家は、個人の判断で投資を行うので、決まった型式などはありません。
しかし、次のようなものは準備しておくと良いでしょう。
【エンジェル投資家からの資金調達に必要な書類】
・事業計画書
・エクイティストーリー※
※エクイティストーリーとは
投資家に向けて事業内容の魅力や成長戦略を伝えるためのストーリーをまとめたもの。
企業価値を高め、投資家が納得し、投資するに値する事業であることを伝えることが目的となります。
「なぜ、調達予定資金が必要なのか、何のために、どのように使うのか」を具体的に伝えることが資金調達の実現性が高くなるポイントです。
投資を受ける際に投資家に向けてプレゼンをおこなう際に必要となります。
作成に決まった型式などはありませんが、投資家目線で「投資したくなる事業である」ことを意識して作ることが重要です。
詳しい内容については、経済産業省が発行した「スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス」を参照してください。
投資家によっては、軽く話をしただけで投資を行ってくれる場合もありますが、詳しい資料やきちんとしたプレセンテーションが必要な場合もあります。
まずはコンタクトをとり、話し合いの中で意向を聞けばよいでしょう。
2-7.ベンチャーキャピタルの資金調達の流れ
ベンチャーキャピタルもエンジェル投資家同様、起業の計画段階からの出資を行ってくれます。
資金調達の流れはベンチャーキャピタルによって異なりますので、投資を受けたいベンチャーキャピタルが決まったら問い合わせるようにしてください。
ここでは、そのベンチャーキャピタルをどうやって見つけるのかを解説しましょう。
これも、基本的にはエンジェル投資家と同じようになります。
2-7-1.ベンチャーキャピタルへのアプローチを行う方法
ベンチャーキャピタルへのアプローチを行う方法として3つあります。
【ベンチャーキャピタルへのアプローチを行う方法】
①知人からの紹介
②ホームページ経由で直接コンタクトをとる
③イベントや交流会、コンテストなどに参加する
それぞれについて解説していきます。
①知人からの紹介
ベンチャーキャピタルのアプローチに最もよい方法は、知人からの紹介です。
ベンチャーキャピタルの中でも投資の意思決定権がある人は基本的に多忙なため、コンタクトを取りづらい傾向にありますが、知人からの紹介だと、話を聞いてくれる確率も高くなります。
②ホームページ経由で直接コンタクトをとる
まずは相談したいということであれば、まずはコーポレートサイトの問い合わせフォームから問い合わせてみましょう。
また、SNSやブログをチェックして、直接コンタクトを取る方法もあります。
毎日多くのコンタクトがあるため、スルーされてしまう可能性もありますが、失礼のない程度に熱心さをアピールすることで、目に留めてもらいやすくなります。
③イベントや交流会、パーティーなどに参加する
起業交流会などのイベントやパーティーに参加するのもよいでしょう。
また、起業したてのスタートアップ企業を対象としたピッチコンテスト(プレゼンテーション大会)が開催されることもあります。
最近では日本でもスタートアップ起業が注目されていることもあり、ピッチコンテストなどは頻繁に開催されています。ピッチコンテストはOPENVENTURESの「全国のピッチコンテスト・イベント一覧」で検索することができます。
積極的に参加してみると良いでしょう。
では、ベンチャーキャピタルから出資を受ける際に準備しておくべきものを見ていきましょう。
2-7-2.必要書類
ベンチャーキャピタルから資金調達を行う際に、必要な書類は次の通りです。
【ベンチャーキャピタルからの資金調達に必要な書類】
・事業計画書
・エクイティストーリー※
※エクイティストーリーとは
投資家に向けて事業内容の魅力や成長戦略を伝えるためのストーリーをまとめたもの。
企業価値を高め、投資家が納得し、投資するに値する事業であることを伝えることが目的となります。
「なぜ、調達予定資金が必要なのか、何のために、どのように使うのか」を具体的に伝えることが資金調達の実現性が高くなるポイントです。
投資を受ける際に投資家に向けてプレゼンをおこなう際に必要となります。
作成に決まった型式などはありませんが、投資家目線で「投資したくなる事業である」ことを意識して作ることが重要です。
詳しい内容については、経済産業省が発行した「スタートアップの成長に向けたファイナンスに関するガイダンス」を参照してください。
2-8.クラウドファンディングの資金調達の流れ
クラウドファンディングは、基本的に事業内容(プロジェクト)に賛同してくれた人たちが支援してくれる制度です。
実施方法や必要書類についてはクラウドファンディングによって異なるので、必ず確認するようにしましょう。
2-8-1.クラウドファンディング実施の流れ
クラウドファンディング実施の流れは次のようになります。
① プロジェクトの計画を立てる
まずは、事業内容などを明確にし、応援してもらえるようなプロジェクト(事業内容)の計画を立てます。
また、集められた資金をどのように使うのかも具体的に示す必要もあります。
どんなに有意義な事業であっても、支援者からの共感を得ることができなければ、思うような資金を集めることはできません。
内容、期間、資金の流れなどを明確にすることで、信用性も増し、支援者が増えます。
② クラウドファンディングの媒体を選び、プロジェクトを登録する
クラウドファンディンの媒体を選び、登録します。
上記でも述べましたが、媒体によって得意分野や手数料も異なるので、じっくりと検討してから登録しましょう。
なお、大きな資金が関わることなので、ほとんどの媒体では登録の前に「相談」ができるようになっています。
わからないことなどは必ず相談し、不明点を無くしてから本登録するようにすると、登録審査に通りやすくなる上、金銭的なトラブルなどを未然に防ぐことができます。
③ クラウドファンディングのサイトの審査を受ける
クラウドファンディングには審査があります。
難易度は媒体によって変わりますが、本登録前に媒体に相談しておくと審査が通りやすくなります。
問い合わせから掲載までには約2〜3週間ほどかかります。
⑤ 審査が通ったら、プロジェクトの情報発信する
審査が通ったら、積極的にプロジェクトの情報発信をしましょう。
プロジェクトの進行具合や、集まった支援金の額など、途中経過を伝えます。
これをすることで、支援してくれた人がさらに応援したくなったり、どうしようか迷っている人にもアピールしたりすることができあます。
⑥ SNSや情報媒体などを使って積極的に情報発信する
媒体ではその媒体を見ている人しか集めることができないので、SNSや情報媒体などを使って積極的に情報発信します。
多くの人の目に触れることで、支援者が増えて目標金額に早く達することが可能になります。
⑦ プロジェクトを終了する
設定した期間が終了すれば、プロジェクトは終了です。
集まった資金の中から、クラウドファンディングの媒体に手数料を支払います。
プロジェクトの掲載ページに、支援してくれた人に向けて感謝の気持ちを伝えましょう。
仮に目標金額が集まらなかったとしても、この事業を見直すきっかけやマーケティング材料として活用できます。
次に、クラウドファンディングを行うために必要なものを見ていきましょう。
2-8-2.必要書類
クラウドファンディングを申し込む際に、本人確認や詳しい事業内容の説明などは必要ですが、特に型式があるわけではありません。
その媒体にもよりますが、書類よりは事業内容を魅力的に見せるためのプレゼンができるように準備しておいた方が良いでしょう。
3.スタートアップ企業が陥りやすい失敗と、失敗しないための対策

スタートアップ企業は商品やサービスの前例がないケースも多く、参考となるビジネスモデルや販売の仕組みが出来上がっていないため、陥りやすい失敗がいくつかあります。
【スタートアップ企業が陥りがちな失敗】
•資金調達の計画が甘い
•想定以上に会社が軌道に乗るまで時間がかかる
•一つの資金調達方法だけに頼ってしまう
それぞれどのようなリスクがあるのでしょうか。
この章では、スタートアップ企業でありがちな失敗と、失敗を防ぐ対策について解説していきます。
3-1.スタートアップ企業が陥りやすい資金調達の失敗
スタートアップ企業が陥りやすい失敗には次のようなものがあります。
3-1-1.資金調達の計画が甘い
会社の経営経験値が低い場合が多く、資金調達計画の見通しが甘くなる傾向があります。
融資などの場合は金利があるため、必要最低額を借入したくなりますが、それによって十分な設備が整わなかったり、事業が進展しない可能性も出てきます。
逆に、必要以上に融資を受けた場合、返済や金利の返済のために、資金の流れがかえって悪くなることもあります。
【対策】適正な金額の資金調達をする
資金調達をする際は、本当に必要な額を算出するようにします。
会社を運営するのに考えられる経費は次のようになります。
スタートアップ企業が必要となる費用
【スタートアップするための資金】
・研究開発費
・施設などの投資
【会社運営費】
・会社(オフィス)の家賃
・光熱費
・経営者、社員の給与
・福利厚生費
事業を始めたばかりの頃は、研究開発費や設備などに目が行きがちですが、経営者の給与を含め、会社を維持する費用などもきちんと計算する必要があります。
十分な設備を整えるとともに、その間の生活資金なども十分に考慮することで、事業に専念することが可能になります。
何にどのくらいの資金が必要なのか、毎月どのくらい必要なのかなど、適正な金額を出すことが大切です。
3-1-2.想定以上に会社が軌道に乗るまでに時間がかかる
スタートアップ企業は経営に不慣れな場合が多く、今までにない製品やサービスである場合も多いため、試行錯誤する時間が長くなり、市場に受け入れられるまで赤字が続くことがあります。
調達した資金が尽きてしまうと、その間の収入がないため生活費に困窮する場合や、資金がないため研究開発が思うように進まず、計画が頓挫してしまうことも考えられます。
【対策】積極的にアドバイスをしてもらう
経営に不安がある場合や事業に専念したい場合には、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの投資を積極的に考えましょう。
ある程度のコミュニケーションが必要ですが、経済的な成功者からの助言はとても有益です。
投資家も「損」はしたくないので、積極的にアドバイスや支援をしてくれます。
また、クラウドファンディングなら市場での反応や評価がわかりやすく、事業の参考になることも多いでしょう。
3-1-3.一つの資金調達方法だけに頼ってしまう
一つの資金調達方法に頼るのは危険です。
資金の調達は自分の資産を売却する方法以外は、他人からの融資や投資になります。
何かしらのトラブルが発生した場合、一気に資金が消失することも考えられます。
たとえば、融資の場合は、想定以上に少ない金額しか調達ができなかったり、投資の場合は、相手との関係性の悪化で投資が中止になるケースもあります。
クラウドファンディングの種類によっては、目標金額まで達成できない場合、全額返金しなければならないという媒体もあります。
資金調達を一つの方法に頼ると、このようなリスクも生じます。
【対策】複数の資金調達方を利用する
一つの方法で全ての資金を調達するのではなく、分散して調達することをお勧めします。
トラブルが起きた際にリスクが分散するので、影響が最小限になります。
また、一度資金調達に失敗しても、クラウドファンディングなら何度も挑戦することができますし、日本政策金融公庫では「再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)」という制度もあります。
スタートアップを失敗せずに順調に進めるために、以上のようなことを考慮すると良いでしょう。
4.まとめ
ここまで記事をお読みになった人は、スタートアップ企業の資金調達方法についてご理解いただけたと思います。
ここでは、スタートアップ企業の利用できる資金調達方法について簡単にまとめていきます。
◎資金調達方法について
スタートアップの資金調達方法には次のように8つの方法があります。
スタートアップの8つの資金調達方法
資金調達方法 | ①自己資産を利用する【不動産売却】 1-1へ | ②銀行・ノンバンクからの融資【不動産ローン】 1-2へ | ③日本政策金融公庫【新創業融資制度】 1-3へ | ④地方自治体・機関からの制度融資【創業融資】 1-4へ | ⑤親戚知人からの借入 1-5へ | ⑥エンジェル投資家からの出資 1-6へ | ⑦ベンチャーキャピタルからの出資 1-7へ | ⑧クラウドファンディングを利用する 1-8へ |
利用限度額 | 所有する不動産による | 所有する不動産による | 最大3,000万円 | 2,500万円〜3,500万円が多い | 親戚、知人による | 数百万円〜数千万円 | 数百万円〜数億円 | 相場150万前後 |
資金調達日数 | 約半年 | 約1か月 | 約1か月 | 2〜3か月 | 親戚、知人による | 1日〜1か月程度 | 約1 か月 | 約4か月 |
金利 | ー | 2.9%〜9.5% | 0.61%〜3.1% | 1.7%〜2.3% | 親戚、知人による | ー | ー | ー |
向いている人 | ・資産がある人 ・資金調達まで時間的余裕がある人 | ・担保にできる資産がある人 ・多額の資金調達をしたい人 | ・借入金額の10%の自己資金が準備できる人 | ・会社の所在する自治体に創業融資制度がある人 ・自己資金が準備できる人 | ・応援してくれる親戚や知人がいる人 | ・成功した経営者などからアドバイスが欲しい人 ・経営に関与されてもいい人 | ・経営に関するアドバイスや支援が欲しい人 ・経営に関与されてもいい人 | ・機関などに頼らずネットで資金調達をしたい人 ・自分の事業を広くアピールしたい人 |
メリット | ・計画段階や創業したてでも資金調達ができる ・資金を自由に使える ・返済の必要がない ・まとまった資金調達ができる | ・資産を手放す必要がない ・金利が低い ・借入限度額が大きい ・長期間低金利で融資を受けることができる | ・無担保、無保証で融資が可能 ・最大3,000万円までの融資が可能 ・金利が低い | ・日本政策金融公庫よりも審査が甘い傾向がある ・金利が低い | ・自己資本比率が高くなる ・返済期間や利率については融通が効く | ・返済義務がない ・経営サポートや支援を受けることができる ・素早い資金調達が可能 | ・返済義務がない ・経営サポートや支援を受けられる ・高額の資金調達が可能 | ・事業の計画段階から資金調達ができる ・インターネットで手続きが完了する ・多くの人に事業内容やサービスを知ってもらえる |
デメリット | ・資産がない人は利用できない ・資産以上の資金調達はできない ・時間がかかる | ・手数料がかかる ・返済不能の場合、担保を手放すことになる | ・借入の10%の自己資金が必要 ・審査が厳しい | ・融資までに時間がかかる ・自己資金が必要 ・審査が厳しい | ・問題が生じた時、関係が悪化することも | ・出資金額が少ない ・株式を出資者に保有される ・経営に口を出されることもある | ・株式を出資者に保有される ・経営に口出しをされることもある ・手続きが複雑な場合もある | ・必ずしも資金調達ができるわけではない ・資金調達までに時間がかかる ・アイデアが盗まれる可能性がある |
①自己資産を利用する【不動産売却】
経営者や会社が自己資産を利用する方法は、預貯金がなくても資金調達が可能です。
具体的には、経営者や会社が保有している不動産などを売却して現金化することです。
貯金などの現金がなくても、不動産などの資産がある場合には利用する価値があるでしょう。
②銀行・ノンバンクからの融資※担保がある場合
経営者や会社に不動産などの資産がある場合、不動産を担保にしてローンなどで借入を行うことができます。
③日本政策金融公庫(新創業融資制度)からの融資
日本政策金融公庫【新創業融資制度】は、起業の計画段階や創業間もない企業でも利用のできる国の融資制度です。
銀行などの金融機関よりも金利が安く、安心・安全に融資を受けることができる反面、審査が厳しくなりますが、申し込みを行う価値はあるでしょう。
④地方自治体・機関からの制度融資【創業融資】
地方自治体・機関からの制度融資(創業融資)は、起業の計画段階や創業間もない企業でも利用のできる融資制度で、会社が所在している自治体で受けられます。
地元の起業を育て、地域の発展に貢献することが目的なので、日本政策金融公庫【新創業融資制度】と比べて審査が通りやすい傾向にあります。
ただし、会社が所在する自治体限定の場合がほとんどで、条件なども自治体によって異なります。
⑤親戚・知人からの借入
親戚や知人からの借入も資金調達の一つです。
親族や知人から資金調達を受けた場合は、返却期間や利子についても融通が効きます。
他の資金調達方法に比べて用意する書類も格段に少なく、借入の条件や期間についても寛容である場合が多いでしょう。
両親からの場合など、ついつい甘えて無利子で借入を行う場合もありますが、きちんと利子をつけることでケジメがつき、キチンと返すモチベーションにもなります。
⑥エンジェル投資家から出資を受ける
エンジェル投資家とは、事業計画の段階や創業間もない企業に対して、個人の資金を提供してくれる個人投資家で、スタートアップの計画段階から出資を受けることができます。
エンジェル投資家が出資するには、起業家を応援したいという目的の他にも、最終的には金銭的な利益を上げるという目的があります。
まだ、市場価値のないスタートアップやベンチャー起業などに投資することで、その企業が急成長した場合に大きなリターンが返ってくるからです。
⑦ベンチャーキャピタルからの出資
ベンチャーキャピタルとは、将来有望である企業や事業に対して出資を行う機関や投資会社をさし、スタートアップ企業にも積極的に出資を行っています。
何人もの投資家の資金を運用しているので、エンジェル投資家よりも多くの資金を調達することも可能です。
⑧クラウドファンディングからの出資
クラウドファンディングは、実現させたい事業やプロジェクトなどをインターネット上で公開し、応援したい人から資金や支援を集める方法で、スタートアップ企業向きの資金調達方法です。
クラウドファンディングは、ネットを通じて少額から資金提供ができるため、不特定多数の人から支援を受けることができます。自分の事業内容にあった媒体を選ぶことで、支援者の目に止まりやすくなります。
◎スタートアップ企業が陥りやすい失敗について
スタートアップ企業は次のような失敗に陥りやすいといわれています。
- 資金調達の計画が甘い
- 想定以上に会社が軌道に乗るまで時間がかかる
- 一つの資金調達方法だけに頼ってしまう
これらを防ぐためには次のことを心がけましょう。
適正な金額の資金調達をする
資金調達をする際は、本当に必要な額を算出するようにします。
十分な設備を整えるとともに、その間の生活資金なども十分に考慮することで、事業に専念することが可能になります。
何にどのくらいの資金が必要なのか、毎月どのくらい必要なのかなど、適正な金額を出すことが大切です。
複数の資金調達方を利用する
一つの方法だけで大金を資金調達するのではなく、分散することをお勧めします。
トラブルが起きた際にリスクが分散するので、影響が最小限になります。
積極的に投資をしてもらう
経営に不安がある場合や事業に専念したい場合には、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの投資を積極的に考えましょう。
ある程度のコミュニケーションが必要ですが、経済的な成功者からの助言はとても有益です。
投資家も「損」はしたくないので、積極的にアドバイスや支援をしてくれます。
この記事を読んでいただくことで、十分な資金調達が可能となり、スタートアップ企業として成長するきっかけとなりましたら幸いです。

【監修】株式会社ビートレーディング編集部編集長
筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者