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法人向け融資方法8つ|最適な選び方や利用手順を徹底解説

法人向け融資方法8つ|最適な選び方や利用手順を徹底解説

資金調達の方法

「新たな事業を始めたいが、資金に余裕がない」
「働く環境を整備するため、雇用条件や設備の一新を考えている」

企業が何かアクションを起こす際には、資金が必要です。法人が資金を調達する方法のひとつとして、融資がありますが、融資を受けたいと思っていてもどのような選択肢があるのか分からないという人もいるでしょう。

結論から言うと、法人は、主に次の8つの融資を受けることができます。

法人向け融資方法8つ|最適な選び方や利用手順を徹底解説

公的融資とは、政府関連機関や自治体を通して受けられる融資です。民間融資は、一般的な銀行や信用金庫などの金融機関のほか、クレジットカード会社や消費者金融などのノンバンクからの融資です。

本記事では、法人が融資を受ける際の基礎知識から各融資のメリット・デメリットや向いている企業について紹介しているので、

「融資の種類を知りたい」
「自分に合う融資を見つけたい」

このような人は、本記事を最後まで読むと、法人融資の基本を理解した上で、自社に合う負担の少ない融資を見つけることができ、無理なく返済しながら事業拡大や働く環境の改善を実現できるでしょう。

\本記事の見どころ/

 • 法人が融資をする際の基本的な流れが分かります
・法人融資の際に必要な書類を把握できます
・法人が金融機関から融資を受けるための条件が分かります
・法人が利用できる融資の種類とメリット・デメリットが分かります
・自社に向いている融資を判断できます
・法人融資の成功率を高めるポイントが分かります

目次

1.法人融資を受けるための基礎知識

法人融資を受けるための基礎知識

まずこの章では、法人が融資を受ける基本知識として、次の2つについて詳しく解説します。

• 法人融資の一般的な流れにおけるポイント
•融資を受けるための条件

「法人融資を受ける基本的な流れややるべきことを理解している」

「どこで融資が受けられるのかを知りたい」

このような人は、「2.法人融資の依頼先は8種類」へお進みください。

1-1. 法人が融資を受ける際の一般的な流れ

法人向けの融資ですが、意外とその手続きの流れについて把握されていない人も多いと思います。

法人向けの融資には複数の方法がありますが、基本的な流れは共通する部分が多いので、まずは全体的な流れをつかみながら、やるべきことを整理していきましょう。

▼法人融資の一般的な流れ (相談から融資まで約3週間)

法人融資の一般的な流れ (相談から融資まで約3週間)

事前相談を行ってから、融資の実行までにかかる期間は「3週間が一般的」です。ただし、融資の種類によっては、即日~2か月程度かかることもあるため、融資スピードにも注目して選ぶようにしましょう。

1-2. 法人が金融機関から融資を受けるための条件

法人融資を受けられる企業の条件は、以下です。

▼法人が金融機関から融資を受けるための条件

•金融機関独自の格付けにおいて「②要注意先(非要管理先)」以上の債務者区分であること

申込をしたら誰でも融資を受けられるわけではありません。先ほどもお話しした通り、申込後、各金融機関の独自基準に沿って審査が行われ、「融資をしても大丈夫か」「(融資可能と判断した場合)いくら融資できるのか」が検討されます。 この金融機関が融資するかどうかを検討する際に判断基準となるのが「格付け」です。

格付けとは、金融機関が申込者の企業業績や財務内容などを分析し、債務の支払能力や信用力を等級で表示(ランク付け)したものです。金融庁の「金融検査マニュアル」にある債務者区分をもとに、各金融機関で独自の判断基準を作成しています。

具体的には、決算書から分かる会社の経営状況(安全性)、資金繰り、収益力、成長性などから返済能力を判断し、以下5つの債務者区分のいずれかに振り分けられます。

 債務者区分 融資を受けられる可能性 当てはまる企業の主な特徴 金利
 ①正常先 高い ・業績が良く、財務状況も問題がない企業 低金利
 ②要注意先 非要管理先 低い ・業績の低調・不調が見られ、財務内容に問題がある企業
・返済に延滞が生じている企業
 高金利
 要管理先 ×・融資の全部または一部が融資要管理債権(延滞3か月以上など)である企業
 ③破綻懸念先 × ・融資の返済が滞っており、今後経営破綻に陥る可能性がある企業 ー
 ④実質破綻先 × 深刻な経営難で、融資の返済が長期間滞っており、実質的な経営破綻状態にある企業 ー
 ⑤破綻先 × 倒産や破産宣告、民事再生法、会社更生法を適用する法的・形式的に破綻している状態にある企業 ー

要注意先(要管理先)以下のランクでは、融資を受けられない可能性が高い状況です。そのため、融資を受けたいのであれば最低でも「要注意先(非要管理先)」良い条件で融資を受けるためには「正常先」に分類されなければなりません。

法人向け融資の審査通過率を高めるポイントとして、「6-1. 格付け(会社としての支払い能力の指標)を高める」で格付けの改善方法を紹介しているので、そちらも併せてご確認ください。

2.法人が利用できる融資は8種類

法人が利用できる融資は8種類

ここまで法人融資を受ける際の基礎知識として、実際に融資が実行されるまでの流れについて紹介してきましたが、実際に融資を受けたい場合「どこから融資を受ければいいの?」と悩む人も多いでしょう。

法人向け融資は「公的融資」と「民間融資」があり、細かく分けると次の8つの種類に大別できます。

 融資の種類 借入先を選ぶ際の主な基準 向いている企業
 金利の安さ (相場) 審査の 通りやすさ 融資 スピード 融資限度額の目安
 公
 的
 融
 資

 ①政府系 金融機 関からの融資

3-1へ

 ◎ (1.0%~3.0%) △ △ (3週間~1か月) 7億円程度・融資コストを抑えたい企業
・起業したばかりの企業
・多額の融資を希望している
 ②地方自治体による制度融資

3-2へ

 ◎ (1.5%~2.5%) △ × (1~2か月) 2億4,000万円

・起業したばかりの企業
・経営を安定化させたい企業

 民
 間
 融
 資
 ③信用保証協会の保証付き融資

4-1へ

 ◎ (1.5%〜2.5%) △ × (1~2か月) 2億8,000万円※無担保 8,000万円 ・中小企業や小規模事業者
・長期借入を考えている企業
・信用保証協会の保証なしでは融資が受けられない企業
 ④プロパー融資 

4-2へ

 ◎ (1.0%~3.0%) × △ (3週間~1か月) 上限なし ・コストをかけずに融資を受けたい企業
・銀行内の格付けが高い企業
・多額の融資を考えている企業
・業歴がしっかりとしている企業
 <⑤動産・債権担保融資(ABL)

4-3へ

 △ (5.0%~15.0%) 〇 〇 (1週間~1か月) 100万円~ 1億円前後 ・早く融資を受けたい企業 ・担保にする不動産がない企業 ・業務上、多くの在庫を抱える企業 ・キャッシュフローを安定化させたい企業
 ⑥不動産担保融資 4-4へ 〇 (2.5%~9.5%) ◎ 〇 (1週間~1か月) 100万円~ 1億円前後 ・早く融資を受けたい企業 ・開業資金に対する融資を考えている企業 ・複数のローンを1本化したい企業
 ⑦ビジネスローン 4-5へ △ (3.0%~18.0%) △ ◎ (即日~) 10万円~ 1,000万円前後 ・今すぐ資金が必要な企業 ・1~2か月程度で返済できる程度の資金調達を考えている企業 ・事業資金が必要だが、実績が乏しく、銀行からの融資を受けられない企業
 ⑧法人カードローン 4-6へ × (6.0%~18.0%) 〇 ◎ (即日~) 100万円~900万円程度 ・今すぐ資金が必要な企業 ・事業計画に応じて、必要な分だけ融資を受けたい企業

※数値は、目安です。利用する機関や融資制度の内容により、異なる場合があります。

融資にかかるコストを抑えたいのでれば、金利が低い公的融資が向いています。融資メニューも豊富で、高額な融資にも対応していますが、融資の実行までに時間がかかりやすいという面には注意が必要です。

早く融資を受けたいという場合は、民間融資が向いていますが、融資の種類によって融資限度額もさまざまで、融資スピードを重視すると金利が高くなる傾向があります。1つの項目に注目するのではなく、各項目を比較し、自社に合う法人融資を選ぶことが大切です。

3.公的融資は2種類

公的融資は2種類

まずは、公的融資から見ていきましょう。

公的融資は、国や地方自治体を通して融資を受ける資金調達方法です。融資スピードは遅いですが、公的融資が利用できる状況なら、まずは金利や返済負担が少ない公的融資を優先しましょう。

3-1. <公的融資>①政府系金融機関からの融資

公的融資
融資の種類①政府系金融機関からの融資
メリット• さまざまな融資に幅広く対応
• 起業融資や創業融資が豊富
• 低金利や保証人不要などの好条件で融資を受けやすい
• 企業が事業規模に関係なく、融資を受けやすい
デメリット• 種類が多く、自社に合った融資メニューを見つけにくい
金利の相場1.0%~3.0%
審査期間3週間~1か月
審査の難易度
主な必要書類• 申込書
• 決算書
• 試算表
• 登記簿謄本
• 本人確認書類
• 企業概要書または創業計画書
融資限度額融資メニューによる

政府系金融機関とは、「株式会社日本政策金融公庫」や「株式会社商工組合中央金庫」といった、政府が出資する金融機関のことです。

3-1-1. 政府系金融機関からの融資におけるメリット

政府系金融機関からの融資におけるメリット

政府系金融機関からの融資を受けるメリットは、さまざまな融資に幅広く対応していることです。融資メニューが豊富で、特に起業融資や創業融資の取り扱いも多く、企業や事業の規模に関係なく融資を受けることができます

政府系金融機関は、営利目的ではなく、民間の金融機関の補完や、支援が届かないような経営者の資金調達サポートを行うことを目的とした運用をしているため、「低金利」「保証人不要」といった条件面でのメリットが多く、民間融資と比べると比較的少ない負担で利用できるのもメリットです。

創業融資について詳しくは「創業融資とは?初歩的な知識と申請方法・審査を乗り切る重要ポイント」の記事をご覧ください。

3-1-2. 政府系金融機関からの融資におけるデメリット

政府系金融機関からの融資におけるデメリット

政府系金融機関からの融資におけるデメリットは、融資メニューが豊富な分、内容によって細かく分けられているため、自社に合った融資がどれなのか迷うケースが少なくないということです。

もし、自社に合った融資メニューが分からないときは、お近くの政府系金融機関の相談窓口へ問い合わせましょう。どのような事業に対して融資が必要かを伝えることで、自社に合った融資メニューを紹介してもらえます。

財務省「政府関係金融機関」一覧を確認する

3-1-3. 政府系金融機関からの融資が向いている企業

以上のメリット・デメリットを踏まえると、政府系金融機関からの融資は、次のような企業に向いています。

政府系金融機関からの融資が向いている企業

デメリットが少なく、幅広い人が利用できるため、法人で融資をお考えの場合は、まず政府系金融機関からの融資を検討しましょう。

3-2. <公的融資>②地方自治体による融資制度

公的融資
融資の種類②制度融資
メリット• 融資メニューが豊富
• 融資を受けやすい
• 保証人不要のメニューが多い
デメリット• 自治体によって融資内容に差がある
• 信用保証料が必要
金利の相場1.5%~2.5%(※1)
審査期間1~2か月
審査の難易度中~高
主な必要書類申込書
印鑑証明書
登記簿謄本
決算書
納税証明書(※1)
融資限度額2億8,000万円(※1)

※1:東京都産業労働局「東京都中小企業制度融資」の場合

地方自治体による制度融資は、主に各都道府県の自治体と信用保証協会、民間の金融機関の三者が連携することで成り立っている融資制度です。

\一般的な融資とココが違う!/
地方自治体による制度融資の手続きの流れ

制度融資の手続きは、「1-1. 法人が融資を受ける際の一般的な流れ」で紹介した順序と大きな違いはありませんが、「申込・審査・面談」のフェーズで、信用保証協会の審査が加わります。

信用保証協会の審査が加わる分、申込から融資の実行までの期間が長くなり、必要書類の不足などがあると2か月ほどかかる可能性もあるので、融資を急ぐ場合は、早めに行動するか、別の融資を検討しましょう。

3-2-1. 地方自治体による制度融資のメリット

地方自治体による制度融資のメリット

地方自治体による融資制度のメリットは、自治体を介して民間の金融機関から融資を受けることになるため、直接、金融機関へ依頼するよりも融資を受けやすいという特徴があります。

政府系金融機関から融資と同じで、融資が豊富にそろっており、保証人不要や低金利など、条件面でもメリットが多い融資です。

3-2-2. 地方自治体による制度融資のデメリット

地方自治体による制度融資のデメリット

地方自治体による制度融資のデメリットは、自治体によって要件が大きく異なる点です。本記事では、東京都の制度融資を紹介しましたが、融資メニューや金利、融資限度額は、自治体・受ける融資によって変わってきます。必ずお近くの自治体へ確認しましょう。

また、信用保証協会が保証を承諾すると、所定の信用保証料がかかります。信用保証料は、経営状況を考慮して決定されるのが一般的であるため、ケースによって異なりますが、融資を受けた金額(借入額)の0.3%~2.2%程度が相場です。

低金利であっても信用保証料分だけ、融資にコストがかかる点には注意しましょう。

3-2-3. 地方自治体による制度融資が向いている企業

ここまでお話しした、地方自治体による制度融資のメリット・デメリットを踏まえると、次のような企業が向いていると言えます。

地方自治体による制度融資が向いている企業

「信用保証料にコストをかけたくない」「自社の条件に合う制度融資がない」という場合は、信用保証協会の保証付き融資以外の方法を検討しましょう。

4.民間融資は6種類

民間融資は6種類

ここからは、民間融資について紹介していきます。

民間融資は、銀行や信用金庫といった金融機関やそれ以外の消費者金融といったノンバンクなどから融資を受ける資金の調達方法です。

金利が高く、返済負担も大きいため、公的融資が使えないケースや事情がある場合の一時的融資として利用することをおすすめします。

4-1. <民間融資>③信用保証協会の保証付き融資

民間融資
融資の種類③信用保証協会の保証付き融資
メリット• 中小企業でも融資を受けやすい
• 返済期間の長い融資を受けやすい
• 創業または事業を開始して間もない企業も利用しやすい
デメリット• 審査が厳しい
• 信用保証料が必要
金利の相場1.5%〜2.5%
審査期間1~2か月
審査の難易度中~高
主な必要書類• 申込書
• 企業概要書
• 信用保証依頼書
• 決算書
• 登記簿謄本
• 印鑑証明書
融資限度額(無担保)8,000万円
(担保あり)2億8,000万円
※借入先により異なる

信用保証協会の保証付き融資は、「融資の申込者(借主)が万が一返済できなくなった場合、借主に代わって信用保証協会が金融機関に対し借入金を弁償する」ということを保証している融資です。

\一般的な融資とココが違う!/
信用保証協会の保証付き融資の手続きの流れ

信用保証協会の保証付き融資も、地方自治体の制度融資の手続きと同じで、「申込・審査・面談」のフェーズに、信用保証協会の審査が加わります。

信用保証協会の保証の可否がはっきりしないと融資を受けられないため、必要書類の不足や不備などがあると、融資の実行まで2か月ほどかかる可能性もあります。融資を急ぐ場合は、早めの行動を心がけましょう。

4-1-1. 信用保証協会の保証付き融資のメリット

信用保証協会の保証付き融資のメリット

信用保証協会の保証付き融資のメリットは、中小企業でも融資を受けやすいという点です。信用保証協会は、中小企業や小規模事業者が円滑に資金調達ができるよう設立された公的機関であるため、創業または事業を開始して間もない企業や中小企業も融資を受けやすくなっています。

金利も比較的低く、「信用保証」により会社の信用度が高まり、資金調達がしやすくなっているという点もメリットです。返済期間も長く、融資を受けた後の返済も無理なく行いやすいため、初めて融資を受ける企業にもおすすめです。

4-1-2. 信用保証協会の保証付き融資のデメリット

信用保証協会の保証付き融資のデメリット

信用保証協会の保証付き融資のデメリットは、審査が厳しいがあげられます。万が一の際に、信用保証協会が弁済することになるため、審査が厳しくなっており、融資限度額も設けられています。

また、信用保証協会が保証を承諾すると、金融機関による融資を受けられますが、その際に信用保証協会へ所定の信用保証料(借入額の0.3%~2.2%が相場)を支払う必要があります。そのため、融資を受ける際のコストがかかりやすい点はデメリットと言えるでしょう。

4-1-3. 信用保証協会の保証付き融資が向いている企業

信用保証協会の保証付き融資は、次のような企業におすすめです。

信用保証協会の保証付き融資が向いている企業

ただし、地方自治体による制度融資と同じで、信用保証料分のコストがかかります。信用保証協会の保証がないと融資を受けられないのであれば、できる限り金利や信用保証料が安い融資元を探すようにしましょう。

4-2. <民間融資>④プロパー融資

民間融資
融資の種類④プロパー融資
メリット• 融資限度額がない
• 民間融資において金利が比較的低め
• 信用力が高まる
デメリット• 審査が厳しい
• 提出書類が多い
• 返済期間が短いケースが多く、返済額負担が大きい
金利の相場1.0%~3.0%
審査期間3週間~1か月
審査の難易度高~高+
主な必要書類• 申込書
• 登記簿謄本
• 決算書
• 試算表
• 貸借対照表
• 納税証明書
融資限度額上限なし(銀行の判断)

プロパー融資とは、銀行から直接融資を受けるタイプの資金調達方法です。

4-2-1. プロパー融資のメリット

プロパー融資のメリット

プロパー融資のメリットは、融資限度額がないことです。審査は必要ですが、経営状態が良く、銀行が納得できる融資の使い道や返済計画を提示できれば、いくらでも借りられます

また、プロパー融資は、信用度が高い企業しか融資を受けられません。一般的に、信用度が高いと融資の金利は低くなるため、プロパー融資は民間融資の中でも比較的低い金利で融資を受けられます。「プロパー融資を受けている」というだけで、企業の信用度も格段にアップするため、取引先からの信用も高まり、契約やその他の融資を受ける際も有利に働く可能性があります。

4-2-2. プロパー融資のデメリット

プロパー融資のデメリット

プロパー融資における最大のデメリットとしては、審査が厳しいことがあげられます。万が一、申込企業の業績悪化や倒産などで融資の返済が滞ったり、返済できない状態に陥ったりすると、銀行が貸し倒れのリスクを負い、残債分だけ損をすることになるからです。

そのため、信用できる企業かどうかを見極める意味で、申込の際の必要書類も他の融資と比べると多めで、返済期間も短く設定されることが多くなっています。返済期間が短いということは、毎月の返済の負担が大きいということなので、プロパー融資を利用する場合は、「短期間でしっかり返済できる額」を見極めることが大事です。

4-2-3. プロパー融資が向いている企業

プロパー融資のメリット・デメリットを踏まえると、次のような企業に向いていると言えるでしょう。

プロパー融資が向いている企業

ただし、本記事で紹介している融資の中で、最も審査が厳しい融資です。信用度が低いと融資を受けられない可能性が高いため、「確実に融資を受けたい企業」には向いていません

また、格付けに不安がある企業も融資を受けられる可能性が低いため、まずは「4-1. <民間融資>③信用保証協会の保証付き融資」からはじめ、信用度を高めてからプロパー融資へチャレンジすることをおすすめします。

プロパー融資について詳しくは「銀行融資とは?仕組みや審査に通らないケース・申し込みの流れを解説」の記事をご覧ください。

4-3. <民間融資>⑤動産・債権担保融資(ABL)

民間融資
融資の種類⑤動産・債権担保融資(ABL)
メリット• 固定資産がなくても動産や売掛債権を担保に融資を受けられる
• 審査のハードルが低め
• 長期間の契約が可能
デメリット• 一定額以上の売り上げが必要
• 取引先との契約によっては利用できない
• 担保にした資産について定期的に報告する必要がある
金利の相場5.0%~15.0%
審査期間1週間~1か月
審査の難易度低~中
主な必要書類• 申込書
• 本人確認書類
• 決算書
• 納税証明書
• 事業計画書
• 売掛債権を確認できる書類(請求書や契約書など)
融資限度額100万円~1億円前後 (金融機関により異なる)

動産・債権担保融資(ABL)とは、売掛債権(商品やサービスの対価を支払ってもらう権利)や動産、在庫などを担保にして資金を調達できる融資です。

似た資金調達方法として「ファクタリング」がありますが、ファクタリングは売掛債権を譲渡して資金化する仕組みとなっており、融資とは異なります

ファクタリングについて詳しくは「【図解】ファクタリングとは?仕組みや種類・注意点を簡単に解説!」の記事をご覧ください。

4-3-1. 動産・債権担保融資(ABL)のメリット

動産・債権担保融資(ABL)のメリット

動産・債権担保融資(ABL)のメリットは、不動産などの担保がない企業も、車や機械、売掛債権(商品やサービスの対価を支払ってもらう権利)などを担保に融資を受けることができることです。

担保があるため、審査も比較的ハードルが低く、長期間の契約もしやすいのもメリットと言えます。

4-3-2. 動産・債権担保融資(ABL)のデメリット

動産・債権担保融資(ABL)のデメリット

動産・債権担保融資(ABL)のデメリットは、一定額以上の売り上げを維持する必要があることです。例えば、売掛債権を担保にしている場合、売上が下がってしまうと担保価値も下がるため、一部弁済を求められる可能性があります。

そうならないために、契約した金融機関に対して、担保にした資産の状況などを定期的に報告する必要もあり、他の融資と比べると融資を受けた後も少し手間がかかります

また、取引先との契約に「債権譲渡禁止特約」などがある場合、売掛債権を担保にした融資が受けられない可能性があります。動産・債権担保融資(ABL)を利用しようとしている企業は、必ず取引先との契約内容を確認してから融資の申し込みを行いましょう

4-3-3. 動産・債権担保融資(ABL)が向いている企業

以上のメリット・デメリットを踏まえると、動産・債権担保融資(ABL)は以下のような企業に向いています。

動産・債権担保融資(ABL)が向いている企業

安定した資金を得られるのはメリットですが、一定額以上の売り上げや定期的な報告といったデメリットもあります。自社の資金調達ニーズと資産状況のバランスを適切に見極め、売掛債権担保融資を利用すべきかどうかを判断しましょう。

ABLについて詳しくは「ABLとファクタリングの違いとは?メリット・デメリットや選び方を紹介」の記事をご覧ください。

4-4. <民間融資>⑥不動産担保融資

民間融資
融資の種類⑥不動産担保融資
メリット• 少額から高額まで幅広い借入額に対応
• 資金の使い道に対する制限がない
• 無担保よりも低金利
• 審査に通りやすい
• 融資期間が長い
デメリット• 返済できなくなった時のリスクが大きい
• 価値が低い不動産の場合、担保にできない
金利の相場2.5%~9.5%
審査期間1週間~1か月
審査の難易度
主な必要書類• 申込書
• 本人確認書類
• 不動産の登記情報
• 不動産関連書類(物件の売買契約書、物件概要書など)
• 納税証明書
• 固定資産課税台帳
融資限度額100万円~1億円程度(借入先により異なる)

不動産担保融資は、名前の通り、不動産を担保に融資を受ける方法です。企業が保有する建物や土地を担保にできます。

4-4-1. 不動産担保融資のメリット

不動産担保融資のメリット

不動産担保融資におけるメリットは、100万円~1億円程度まで、少額から高額まで幅広い借入額に対応できることです。融資を受けたお金の使い道も自由で、さまざまな資金に使うことができます。

また、一般的に無担保の融資よりも金利が低く、審査にも通りやすいため、「審査落ちで融資が受けられないが、担保となる不動産を所有している」という企業におすすめです。

融資期間も長く、無理なく返済できるという点もメリットと言えるでしょう。

4-4-2. 不動産担保融資のデメリット

不動産担保融資のデメリット

メリットの多い不動産担保融資ですが、返済できなくなった際に不動産を差し押さえられてしまうというのは大きなデメリットです。

また、不動産があっても価値の低い不動産の場合、担保にできない可能性もあるため、不動産があれば必ず融資を受けられるというわけではない点には注意しましょう。

4-4-3. 不動産担保融資が向いている企業

ここまでの内容をまとめると、不動産担保融資は次のような企業におすすめです。

不動産担保融資が向いている企業

一般的な融資は、収益の見通しが不明瞭だと融資を受けづらいです。しかし、不動産担保融資であれば、申込者の信用情報や不動産の資産としての価値に加え、企業や事業の将来性を考慮して判断してもらえるので、融資を受けやすい状況です。

また、資金使途に制限のない不動産担保融資で支払いをまとめれば、金利を下げられる可能性があります。

ただし、返済できなくなった場合のリスクも高いため、事業の収益性や返済計画に不安がある場合は、他の融資を検討することをおすすめします。

アセットファイナンスについて詳しくは「アセットファイナンスとは?導入ケースやメリットを分かりやすく解説」の記事をご覧ください。

4-5. <民間融資>⑦ビジネスローン

民間融資
融資の種類⑦ビジネスローン
メリット• 融資実行までのスピードが速い
• 原則無担保、無保証人で利用できる
• 一時的な赤字があっても融資が受けられる可能性がある
デメリット• 金利が高い
• 借入可能額が低い
• 将来、別の銀行融資を受ける場合の審査に影響しやすい
金利の相場3.0%~18.0%
審査期間最短即日~
審査の難易度
主な必要書類• 申込書
• 本人確認書類
• 登記簿謄本
• 印鑑証明書
• 事業計画書
• 決算書
• 試算表
融資限度額10万円~1,000万円程度(借入先により異なる)

ビジネスローンは、銀行やノンバンク(消費者金融や信販会社など)が取り扱う、主に中小企業を対象とした事業資金専用のローンです。法人ローンなどとも言われています。

4-5-1. ビジネスローンのメリット

ビジネスローンのメリット

ビジネスローンのメリットは、申込から融資を受けるまでのスピードが速いことです。最短即日対応が可能なケースも多く、急な入用の際にも利用しやすくなっています。

原則、無担保、無保証人で利用できるのもメリットです。比較的審査も通りやすく、例えば、一時的な赤字があったとしても将来的に赤字の解消が見込めるのであれば、融資が受けられる可能性があります

4-5-2. ビジネスローンのデメリット

ビジネスローンのデメリット

早くて、無担保・無保証人で利用できる半面、金利が高く設定されているのはビジネスローンのデメリットです。借入可能な金額も、他の融資と比べると、比較的少額となっています。実際、借入先にもよりますが、ビジネスローンは借入可能額が10万円~1,000万円未満が多い状況です。

また、ビジネスローンの借入をすると、決算書に借入先を記入することになり、ビジネスローンを利用したという記録が残ります。その状態で近い将来に、別の公的機関や銀行から融資を受けると、審査に影響する可能性があるため、今後の資金調達についても考慮して利用するかどうかを決定しましょう。

4-5-3. ビジネスローンが向いている企業

メリット・デメリットから、ビジネスローンは次のような企業におすすめと言えます。

ビジネスローンが向いている企業

スピーディーに事業資金の融資を受けられますが、ビジネスローンは金利が割高で、将来の融資への影響が懸念されるため、

「どこからも融資が受けられないが、取引先から支払いがあったらすぐに返済する予定」
「一時的な事業資金のつなぎとして利用するつもり」

上のような利息の負担を軽減する工夫ができなければ、利用しないほうがよいでしょう。

ビジネスローンについて詳しくは「よく分からないビジネスローンを簡単解説!他のローンと何が違うの?」の記事をご覧ください。

4-6. <民間融資>⑧法人カードローン

民間融資
融資の種類⑧法人カードローン
メリット• 契約する利用限度額で金利が変わる
• 返済期間が長期化しやすい
• 将来、別の銀行融資を受ける場合の審査に影響しやすい
デメリット• 金利が高い
• 借入可能額が低い
• 将来、別の銀行融資を受ける場合の審査に影響しやすい
金利の相場6.0%~18.0%
審査期間最短即日~
審査の難易度低~中
主な必要書類• 申込書
• 本人確認書類
• 決算書
• 商業登記簿謄本
融資限度額100~900万円程度
(借入先により異なる)

法人カードローンとは、簡単に言うと金融機関やノンバンクが取り扱うローン商品です。事業資金として利用する場合、法人専用のカードを用意して融資を受けます。

\一般的な融資とココが違う!/
法人カードローンによる融資手続きの流れ

法人カードローンの場合、ATMでローンカードを使って借入することができます。そのため、他の融資と少し利用の手順が異なります。

「即日対応を希望する場合」や「ローンカードが手元に届くまでに融資を受けたいという場合」には、銀行振込による即日対応をしてもらえるケースもあるため、急ぐ場合は、銀行振込が可能か確認しておくと安心です。

4-6-1. 法人カードローンのメリット

法人カードローンのメリット

法人カードローンのメリットは、基本的に使い道が自由で、利用限度額の範囲であれば、何度でも借入ができることです。一部使い道を限定するケースもありますが、多くの場合制限がありません。

また、必要書類が少なく、最短即日で融資を受けられるため、急な利用もしやすい状況です。特に、少額の融資を短期間で受けたい場合の利用に向いています。

4-6-2. 法人カードローンのデメリット

法人カードローンのデメリット

法人カードローンのデメリットは、利用限度額で金利が変わることです。限度額が高いほど金利は低めですが、全体的に高めの金利設定となっているため、長期的な利用には向いていません

法人カードローンの中には、返済金額を定額化できるケースがあり、月々の返済負担を減らすことができますが、その分翌月以降に繰り越されるため、返済期間が長期化しやすいのもデメリットです。

また、ビジネスローンと同じで、法人カードローンの借入履歴が残るため、別の公的機関や銀行から融資を受ける際の審査に影響を与える可能性があります。

そのため、

「売上を回収できる見込みがあるが、今すぐ融資が必要」
「一時的に不足している分の少額を利用するだけ」

上のように返済の目途が立っており、利用金額も少額という場合以外は利用しないのがベターです。

4-6-3. 法人カードローンが向いている企業

では、法人カードローンは、どのような企業に向いているのでしょうか。具体的には、次の2つがあげられます。

法人カードローンが向いている企業

ATMから簡単に借入と返済ができるため、必要な時に必要な分だけ利用するのであれば、法人カードローンが向いています。

しかし、何度も言うように金利が高く、将来的な融資への影響など、リスクの大きい融資です。別の融資が受けられないなどの事情がない限りは、法人カードローン以外の融資を検討することをおすすめします。

5.自社に合う融資の種類を選んだ後に行う手続きの進め方

自社に合う法人融資を選んだら、次の流れに沿って手続きを進めていきましょう。

自社に合う融資の種類を選んだ後に行う手続きの進め方

以下で詳しく解説します。

5-1. 事前相談(借入先の決定)

融資を受ける際、はじめにするべきことは「事前相談」です。

融資を行う機関は、政府系金融機関と銀行を代表とする民間金融機関の2つがあり、融資元それぞれにメリット・デメリットがあります。業種によっては、利用できないケースもあるので、どの融資を利用するか決めたら、いくつかの金融機関で相談をしましょう。

事前相談の方法は、次の3つの方法があります。

方法①来店による相談各機関の融資相談窓口へ直接出向く方法
方法②電話による相談融資・事業資金相談ダイヤルなどへ電話をする方法
方法③オンラインによる相談インターネットを活用した相談方法

「現時点で自社が融資を受けられるのか」「融資を受けるためにはどのような準備が必要か」などは、各金融機関によって異なります。

いきなり融資の申込をするのではなく、まずはいくつかの金融機関へ相談をしてから、自社に合った借入先の検討・決定をしましょう。

▼事前相談の際に確認すべきこと

• 融資の対象業種(業種によって融資できないなどの制限があるか)
•審査から融資実行までにかかる期間の確認
•申込や審査に必要な書類の確認

5-2. 必要書類の準備

事前相談を利用し、借入先を決定したら「必要な書類を準備し、申込の手続き」を進めます。

必要書類は、融資を受けようとする金融機関によって違うため注意が必要です。主な必要書類を見ていきましょう。

▼【企業歴別】融資を受ける際に必要になりやすい書類一覧

書類名開業間もない企業法人化から1年以上
経過している企業
備考
借入申込書金融機関側でテンプレートを用意しているケースがほとんど
通帳コピー公共料金の引き落としや現預金、借り入れの状況を確認するのに利用される
※直近6か月分が必要になるケースが多い
本人確認書類コピー別人の名前や住所を使った融資を防ぐため、顔写真入りの本人確認書類の提出を求められるケースが多い
印鑑証明書
登記簿謄本
(商業登記簿謄本/履歴事項全部証明書)
以下の事項が記載された登記簿謄本の提出を求められることが多い
 
<項目>
・氏名
・住所
・本店所在地
・商号
・会社法人番号(12桁)
企業概要書(創業計画書)経営状況や今後の見通し、会社の強みなどをアピールするのに非常に重要な役割がある
売上を確認できる
書類
請求書や受注書、見積書など
決算書1期~3期分程度が必要
納税証明書法人税や事業税、消費税などの納付領収書
※納税している税金分のみでOK
試算表直近の損益計算書(収益・費用・利益が記載された書類)や貸借対照表(企業の資産状況を示す書類)など

上の表を見ていただくと分かる通り、「開業後すぐに融資を受ける場合」と「開業から1年以上経過して融資を受ける場合」では、必要書類が異なります。

▼状況によって個別で必要になるその他の書類一覧

設備・工事の見積書
工事請負契約書
設備投資を行う場合のみ必要(工事の概要が分かる資料)
営業許可書(資格・免許など)業種によって必要な場合あり
関連企業の確定申告書と決算書別会社を経営されている人のみ必要
資金繰り表一定期間のお金の流れを記した表
銀行取引一覧表取引のある銀行の預金や借入額などをまとめた表

また、融資の内容や事業内容、企業の経営状況によって、個別で必要になる書類もあるため、借入先を決めたら、必ず自社の企業歴に応じた必要書類はどれなのかを確認するようにしましょう。

▼必要書類の準備の際に確認すべきこと

•自社で用意すべき書類はどれか
•どれくらいの期間分の書類が必要か
•いつまでに準備をするのか
•必要書類が不足している場合は、どのようにすべきか
•申込や審査に必要な書類の確認

5-3. 申込・審査(・面談)

必要書類を揃えたら「融資の申込」を行います。「金融機関の窓口」もしくは「郵送」での申込が可能です。金融機関によっては、オンラインで申込できるところもあります。

ただし、申込書や必要書類の提出をしたら終わりではありません。申込後、提出された書類をもとにさまざまな角度から審査が行われ、企業の実態や経営状況を調査した上で融資を行うかどうかを判断されます。審査の中で疑問点が出ると、追加で資料提出を求められることがあるため、その際は、速やかに書類を準備するようにしましょう。

借入先によっては、金融機関の窓口や申込者の会社・自宅などで面談を行うことがあります。面談では、追加の資料提出や提出された書類からは判断できない内容を質問されることがあるため、自社の事業計画だけでなく、業界の動向などについても答えられるようにしておくとよいでしょう。

なお、審査の結果は、多くの場合1週間程度で通知されます。

▼申込・審査(・面談)の際に確認すべきこと

•申込方法の確認(窓口、郵送、オンラインなど)
•面談の日程や場所の確認
•面談時に追加で必要な提出書類はあるか

5-4. 契約・融資の実行

無事に審査を通過したら、「金融機関と融資を受けるための契約」を交わします。

金融機関(貸主:貸した側)と申込者(借主:借りた側)の両者の署名・捺印をした金銭消費貸借契約書(借用証書)を作成し、手続きが終わると指定の口座に融資金が送金・入金されます。

この際、担保や連帯保証人の有無など、契約内容によっては、印鑑証明書などの提出を求められることもあるため、融資の実行時に必要な書類があるかも確認しておくようにしましょう。

▼契約・融資の実行の際に確認すべきこと

•契約や融資の実行時に必要な書類の有無とその枚数

6.法人融資の成功確率を高める3つのポイント

法人融資の成功確率を高める3つのポイント

法人が受けられる融資の種類について見てきましたが、融資は返済してもらうことを前提にお金を貸してくれる仕組みであるため、審査がつきものです。つまり、審査に通過できなければ、融資が受けられません

そこでこの章では、法人融資の審査を少しでも有利に進めるためのポイントとして、次の3つを紹介します。

法人融資の成功確率を高める3つのポイント

早速、確認していきましょう。

6-1. 「格付け(会社としての支払い能力の指標)」を高める

1-2. 法人が金融機関から融資を受けるための条件」でもお話しした通り、金融機関から融資を受ける場合には「格付け(信用格付け)」が重要となります。なぜなら、格付けが融資を受けられるかを左右するもので、いくら融資を受けられるかという借入金額にも影響を与えるからです。

格付けを高めるには、次の2つを抑えることが大事です。

▼格付けを高めるためにするべきこと

• 格付けを高めることが有効な理由を理解する
•「格付け」を高める2つのポイントを押さえておく

以下で詳しく説明します。

6-1-1. 格付けを高めることが有効な理由を理解する

金融機関は、融資を行う際に融資先を独自の格付け基準に沿って区分しています。

その際に重要になるのが、「定量的評価」と「定性的評価」です。以下をご覧ください。

 評価の種類 定量的評価 定性的評価
 説明 企業の財務指数を評価したものです。一般的に直近2~3期分程度の決算書の数値を見て判断されます。 数字で表せない経営方針や市場動向、経営者の姿勢などを数値化して評価したものです。
 主な判断基準 安全性 ・企業全体の資本力 自己資本比率=自己資本÷総資産
・即現金化できる資金の有無 (流動比率=流動資産÷流動負債)
 • 販売力
 •市場の将来性・成長性
 •経営計画力
 •技術力
 •製品(商品・サービス)の魅力
 •経営者の能力
 •業歴
 収益性 ・何期連続で黒字か (収益フロー)
・売上に対しての経常利益率
(売上高経常利益率=経常利益÷当期売上高)
 成長性 ・前期と比較した際の成長率
(経常利益増加率=⦅当期経常利益-前期経常利益⦆÷前期経常利益)
・売上高
 返済能力 ・融資した資金を返済できるか
(キャッシュフロー額=営業利益÷当期減価償却実施額)
・借入額を何年で返せるか
(債務償還年数=有利子負債÷償却前営業利益)

格付けの際、金融機関は財務リスクと事業リスクの両方を分析しています。財務リスクは主に定量的評価、事業リスクは主に定性的評価から分析し、総合的な評価で格付けしているため、どちらもバランスよく評価を得る必要があります。

6-1-2. 「格付け」を高める2つのポイントを押さえておく

では、具体的に、どのようにして格付けを高めればいいのでしょうか。主要なポイントとしては、次の2つがあります。

試算表を毎月作成しておく
(定量的評価に影響)
たとえ赤字でも、損益の状況をまとめた試算表で「前期は赤字だったが、今期は黒字に回復した」という場合には、格付けの評価にプラスとなる可能性があります。
 
1-1-2. 必要書類の準備」でも紹介した通り、損益をまとめた試算表は、法人の融資で必要になりやすい書類です。日ごろから損益を把握するためにも、毎月試算表を作成し、財務状況をしっかりと伝えられるように準備しておきましょう。
事業計画書を作成する
(定性的評価に影響)
事業計画書は、ビジョンや計画を実現するためにどのようなアクションをして利益を上げていくのかを可視化した資料です。事業計画書を添付することで、融資元も定性的評価の利用として役立てることができ、よい評価につながる可能性があります。
 
特に、赤字続きなど、決算書の内容が悪い場合のおすすめです。事業計画書で事業がうまくいっていない理由と対策の説明や、これから利益が上がるという根拠を示すことで、評価を高められる可能性があります。

試算表の作成方法が分からない時は「専門家である税理士に依頼」、事業計画書の書き方が分からない時は株式会社日本政策金融公庫の各種書式ダウンロードページにある「事業計画書の記入例」を参考にしましょう。

6-2. 資金の使い道と返済能力を説明できるよう準備しておく

融資元にとって最も重要なのが、正しく使われ、借入金をきちんと返済してもらえるのかということです。そのため、融資するかどうかを判断する上で「資金の使い道」と「返済能力」は注目されやすい項目と言えます。

融資元が知りたい「借りた資金を使ってどのような経営を行い、どのように利益をあげていくのか」は、事業計画書などの書類で伝えるだけでなく、口頭でもしっかりとビジョンや目的などを伝えられるように準備しておきましょう。

6-3. 認定支援機関を通じて融資を受ける

株式会社日本政策金融公庫で融資を受ける場合、認定支援機関(認定経営革新等支援機関)を通じて融資を受けるのがおすすめです。

認定支援機関とは、法人や中小企業、個人などが経営について相談できる相談先として、国の認定を受けている支援機関のことです。

「税務や金融・企業財務に関する専門的知識」「支援の実務経験」が一定レベル以上にある商工会・商工会議所や金融機関、税理士、公認会計士、中小企業診断士などの選ばれた専門家が、専門家が書類の作成や最終確認、面談の調整などのサポートを行ってくれます。これにより、自分自身で手続きを行うよりも、より確実な書類の準備や面談対策ができます。

認定支援機関は、中小企業庁の「認定経営革新等支援機関 検索システム」から検索できます。検索結果画面では、実際に行った支援実績も表示されているため、その数値を参考に、融資の目的や内容に合う実績豊富な認定支援機関を探すこともできます。

「そもそも融資を受けられるの?」といった軽い相談も無料でできる認定支援機関もあるので、初めて融資を受ける人や融資を受けるにあたって不安がある人は、専門家の力を借りてみてはいかがでしょうか?

まとめ

法人が融資を受ける方法について見てきました。事業の拡大や働く環境の整備などをしていく上で、資金繰りに困り、融資を利用するケースは少なくありませんが、簡単に融資してくれるわけではありません

最後にもう一度おさらいをして、法人融資を成功に結び付けましょう。

◎法人融資は、一般的に次のような流れで手続きを進めていきます。

法人融資

融資によって、流れが若干異なるケースもありますが、事前相談から申込・審査・面談までの流れは共通しています。早く融資を受けたい場合は、不備なく必要な書類を用意することです。書類によっては、市役所でしか発行できないものもあるため、融資を受けたい場合は、早めの対応を心がけましょう。

金融機関から融資を受ける場合、条件を満たす必要があります。

金融機関では、融資先にお金を貸した後、きちんと返済してくれるのかという審査が行われます。その際、銀行独自の基準で融資先の信用度を評価し、大きく5つにランク分けしています。それを「格付け(信用格付け)」と言います。

信用力のない企業にはお金を貸してくれないため、融資を受けたい場合、最低でも「要注意先(非要管理先)」、良い条件で融資を受けるには「正常先」に格付けされなければなりません。

1-2. 法人が金融機関から融資を受けるための条件」と「6-1. 「格付け(会社としての支払い能力の指標)」を高める」で、格付けについて詳しく紹介しているので、分からないことがあれば再確認しておきましょう。

◎法人が利用できる融資については、主に8つの方法があります。

 融資の種類 借入先を選ぶ際の主な基準 向いている企業
 金利の安さ (相場) 審査の 通りやすさ 融資 スピード 融資限度額の目安
 公
 的
 融
 資

 ①政府系 金融機 関からの融資

3-1へ

 ◎ (1.0%~3.0%) △ △ (3週間~1か月) 7億円程度・融資コストを抑えたい企業
・起業したばかりの企業
・多額の融資を希望している
 ②地方自治体による制度融資

3-2へ

 ◎ (1.5%~2.5%) △ × (1~2か月) 2億4,000万円

・起業したばかりの企業
・経営を安定化させたい企業

 民
 間
 融
 資
 ③信用保証協会の保証付き融資

4-1へ

 ◎ (1.5%〜2.5%) △ × (1~2か月) 2億8,000万円※無担保 8,000万円 ・中小企業や小規模事業者
・長期借入を考えている企業
・信用保証協会の保証なしでは融資が受けられない企業
 ④プロパー融資 

4-2へ

 ◎ (1.0%~3.0%) × △ (3週間~1か月) 上限なし ・コストをかけずに融資を受けたい企業
・銀行内の格付けが高い企業
・多額の融資を考えている企業
・業歴がしっかりとしている企業
 <⑤動産・債権担保融資(ABL)

4-3へ

 △ (5.0%~15.0%) 〇 〇 (1週間~1か月) 100万円~ 1億円前後 ・早く融資を受けたい企業 ・担保にする不動産がない企業 ・業務上、多くの在庫を抱える企業 ・キャッシュフローを安定化させたい企業
 ⑥不動産担保融資 4-4へ 〇 (2.5%~9.5%) ◎ 〇 (1週間~1か月) 100万円~ 1億円前後 ・早く融資を受けたい企業 ・開業資金に対する融資を考えている企業 ・複数のローンを1本化したい企業
 ⑦ビジネスローン 4-5へ △ (3.0%~18.0%) △ ◎ (即日~) 10万円~ 1,000万円前後 ・今すぐ資金が必要な企業 ・1~2か月程度で返済できる程度の資金調達を考えている企業 ・事業資金が必要だが、実績が乏しく、銀行からの融資を受けられない企業
 ⑧法人カードローン 4-6へ × (6.0%~18.0%) 〇 ◎ (即日~) 100万円~900万円程度 ・今すぐ資金が必要な企業 ・事業計画に応じて、必要な分だけ融資を受けたい企業

融資を申し込む際は公的融資を優先し、利用できない場合は、一時的な融資として民間融資を受けるのが理想です。必要な書類を準備して、金融機関に対して正しい情報を提供し、信用力を高めながら、自社の条件に合う融資を実現させましょう。

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監修者

株式会社ビートレーディング 編集部編集長

筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。

<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者