ファクタリングを活用して節税したいと考えている人もいるでしょう。
たしかにファクタリングを利用すれば節税になりますが、他のメリットも多くあります。
この記事では、ファクタリングによる節税対策について説明したうえで、他のさまざまなメリットについて解説します。
ファクタリングを利用するうえでの注意点にも触れるので、ぜひ参考にしてください。
節税にもつながる「ファクタリング」の仕組みやメリットなど基礎知識はこちらの記事で解説しています。
目次
1.ファクタリングを活用すれば節税できる
ファクタリングを行うと、売掛金を売却して手数料を差し引いた金額を調達できます。
ファクタリングの手数料は、会計上で売上債権売却損として計上可能です。
損失を計上すると利益の圧縮につながるため、結果として節税につながります。
例えば、売掛金300万円についてファクタリングを行った場合について考えてみましょう。
手数料は30万円とします。
まず、売掛金が発生したタイミングで以下の仕訳を行います。
借方:売掛金300万円 貸方:売上300万円
ファクタリング会社と契約してもその時点ですぐに現金が入金されるわけではないため、以下のとおり未収入金として仕訳をします。
借方:未収入金300万円 貸方:売掛金300万円
ファクタリング会社から現金が入金された際の仕訳は以下のとおりです。
借方:普通預金270万円・売上債権売却損30万円 貸方:未収入金300万円
このような仕訳を経て、手数料の30万円分について節税効果が発生します。
1-1.優先して実施すべき節税対策ではない
ファクタリングを行うと手数料は損失として計上できるため、結果として節税になります。
ただし、節税対策という目的でのファクタリングは、積極的に行うべきではないでしょう。
ファクタリングは、資産の保有やサービスの利用といったプラスの経費ではないためです。
ファクタリングによる節税は、やむを得ない状況のみ利用するのが無難です。
具体的には、他の節税対策を活用できない場合やなるべく手っ取り早い方法で利益を圧縮したい場合などが該当します。
2.ファクタリングで節税する前に「貸倒引当金」を理解しよう
ファクタリングの利用を希望するなら、事前に貸倒引当金について理解しておきましょう。
貸倒引当金とは、売上代金が未回収となるリスクに備えるため、事前に損失を予測して貸借対照表に反映する金額です。
売掛金にも貸倒引当金を設定できます。
また、貸付金や未収入金なども貸倒引当金を設定できるため、状況に応じて活用しましょう。
2-1.貸倒引当金の面倒な会計処理がいらなくなる
貸倒引当金は売上代金の未回収に備えるために有効な方法ですが、会計処理が面倒です。
例えば、事前に計上していた貸倒引当金以上に損失が発生すれば、差額分についても改めて計上しなければなりません。
また、予想に反して売掛金を回収できた際は、貸倒引当金戻入益を計上する必要があります。
状況に応じて必要な対応が異なり、手間がかかります。
ファクタリングにより売掛金を売却すると、このような面倒な会計処理は必要ありません。
ファクタリングの手続きのタイミングに合わせて一定の会計処理を行うだけで済みます。
貸倒引当金について詳しくは「貸倒引当金のリスクはファクタリングで解消できる?対象の債権を解説」の記事をご覧ください。
3.節税以外にもある!ファクタリングを利用するメリットとは
ファクタリングには、節税以外にもさまざまなメリットがあります。
ここでは、ファクタリングを利用するメリットについて解説します。
3-1.未回収リスクが低減する
ファクタリングを利用すれば、売掛金の未回収リスクを低減できます。
未回収リスクとは、売掛先に何らかの問題が発生し、売掛金を回収できなくなることです。
ファクタリングを利用すると支払期日より前に売掛金を資金化(現金化)できます。
そのため、例えば、支払期日より前に売掛先が仮に倒産しても、売掛金を回収できないという事態には陥りません。
ファクタリングでは手数料が損失になりますが、万が一の事態と比較すれば損失を小さく抑えられます。
3-2.スピーディーに資金化できる
すでに触れたとおり、ファクタリングを利用すると支払期日よりも前に売掛金を資金化(現金化)できます。
支払期日が先の場合も、売掛金を早いタイミングで資金として活用することが可能です。
例えば、急な出費が必要になった際も、売掛金についてファクタリングを行うとスピーディーな資金化を実現できます。
ファクタリング会社にもよりますが、なかには最短即日で資金化できるところもあります。
3-3.オフバランス化が可能
ファクタリングは、貸借対照表のオフバランス化もできます。
オフバランス化とは、貸借対照表から資産や負債を外すことです。
例えば、ファクタリングを利用すると貸借対照表の売掛金が減少し、現金が増加します。
オフバランス化は総資産利益率(ROA)の向上にもつながるため、融資を受ける際の評価も高くなります。
少ない資本で効率よく利益を生み出していると判断できるからです。
オフバランス化について詳しくは「ファクタリングによるオフバランス化の要件・仕組みを解説!メリット・注意点とは」の記事をご覧ください。
3-4.信用情報に傷がつかない
ファクタリングは融資とは異なり、借り入れではありません。
このため、信用情報にも傷をつけずに済みます。
信用情報とは、過去の借り入れの支払状況です。
返済が遅延するとその情報も記録されるため、信用情報に傷がついた状態になります。
信用情報に傷がつくと、融資の審査で不利になる可能性が高いです。
ファクタリングはそもそも借り入れではなく信用情報に傷がつくリスクがないため、安心して利用できます。
ファクタリングと融資の違いについて詳しくは「ファクタリングと融資の違いを解説!比較してわかるメリット・デメリット」の記事をご覧ください。
4.ファクタリングの利用をおすすめするケースとは
ファクタリングでは最短即日で資金調達できる場合もあるため、できるだけ早く資金を確保したい場合におすすめです。
また、何らかの理由により金融機関の融資の審査に通過するのが難しい状況でも、ファクタリングなら利用できる可能性があります。
ファクタリングの審査で重視されるのは売掛先の情報だからです。
他にも、つなぎ資金や設備投資が必要な場合なども、ファクタリングを利用すればスピーディーに資金を確保できるでしょう。
5.ファクタリングで節税する前に知っておきたい注意点とは
ファクタリングによる節税を行う場合、事前に確認しておきたいことがあります。
注意点について詳しくまとめます。
5-1.手数料が相場の範囲であるか確認する
ファクタリングには手数料がかかるため、相場と比較して適切かどうか判断しましょう。
ファクタリングの手数料の相場は、2者間ファクタリングなら8%~18%、 3者間ファクタリングなら2%~9%です。
手数料が低すぎたり高すぎたりする場合、悪徳業者の可能性もあります。
後からトラブルに発展するリスクがあるため、注意が必要です。
手数料以外の情報も確認し、問題がありそうなら契約しないようにしてください。
5-2.買取可能な金額であるかチェックする
ファクタリング会社によって、買取可能金額はそれぞれ異なります。
希望する買取金額がファクタリング会社の下限より低い場合や上限より高い場合は、ファクタリングを利用できません。
ファクタリングを利用するうえでは、ファクタリング会社の買取可能金額を事前にチェックしておきましょう。
ファクタリング会社によっては少額または高額に対応しているところもあるため、自社が希望する買取金額に対応可能なところを選ぶ必要があります。
5-3.償還請求権が設定されていないか確認する
償還請求権とは、売掛先から売掛金が支払われなかった場合、ファクタリングの利用者に対して資金の返還を要求できる権利です。
償還請求権が設定されていると、ファクタリングの利用後、売掛先に万が一の事態が発生すればファクタリング会社へ資金を返還しなければなりません。
償還請求権がない(ノンリコース)ファクタリングが一般的なため、そのようなファクタリングを利用したほうが不安を減らせます。
ファクタリングのノンリコースについて詳しくは「ファクタリングのノンリコースを解説!ウィズリコースとの違いやメリット・デメリットを解説」の記事をご覧ください。
5-4.契約書の控えは必ずもらう
ファクタリングの契約をしたら、契約書の控えを必ずもらいましょう。
契約書は契約内容を証明するための重要な書類であり、ファクタリングの利用に関する詳しい取り決めが記載されています。
契約書の控えがあれば、後から問題が起きてもファクタリング会社に確認できます。
ファクタリング会社が契約書の控えを渡そうとしない場合、悪徳業者の可能性があるので要注意です。
6.まとめ
ファクタリングを利用すると節税になります。
ファクタリングには節税以外にもさまざまなメリットがあり、すぐに資金が必要になった場合や負債を増やさずに資金調達したい場合に向いています。
ファクタリングを利用する際は、手数料の相場や各ファクタリング会社の買取可能金額などについても確認しましょう。
ビートレーディングは、最短2時間で資金調達が可能なファクタリング会社です。
豊富な取引実績があり、毎月の契約数は約1,000件以上にのぼります。
安心してスピーディーにファクタリングを利用できるので、ぜひ相談してください。
筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者