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医療ファクタリングとは?資金調達の仕組みやメリット・注意点などを解説

医療ファクタリングとは?資金調達の仕組みやメリット・注意点などを解説

ファクタリングの基礎知識

医療ファクタリングとは、医療機関や調剤薬局、介護事業者などの医療関係者が利用できるファクタリングサービスの1つで、資金調達の方法として利用されています。診療報酬債権等を早期に資金化できるため、資金繰りを改善したい場合などにも活用しやすい方法です。

本記事では、医療ファクタリングの仕組みやメリット、注意点などを詳しく解説します。融資と比べた場合のメリットや注意点もわかるため、医療ファクタリングの利用を検討している方はぜひ参考にしてください。

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1.医療ファクタリングとは?利用して資金調達する仕組みを解説!

診察する医者の男性

そもそもファクタリングは、企業が売掛金(売掛債権)を譲渡して資金調達する方法として利用されてきました。医療ファクタリングもファクタリングの一種ですが、通常のファクタリングとは少し仕組みが異なります。

ここでは、医療ファクタリングの概要や詳しい仕組み、医療ファクタリングを利用した場合の資金調達の流れを解説します。

ファクタリングについて詳しくは「【図解】ファクタリングとは?仕組みや種類・注意点を簡単に解説!」をご覧ください。

1-1. 医療ファクタリングとは?

医療ファクタリングとは、医療機関の社会保険診療報酬支払基金(社保)や国民健康保険団体連合会(国保連)への診療報酬(レセプト報酬)債権等をファクタリング会社に買い取ってもらい、早期に資金化する資金調達方法です。

医療ファクタリングは通常のファクタリングサービスとは異なり、病院やクリニック、調剤薬局などの医療機関のみが利用できます。また、医療ファクタリングは、契約者(医療機関)・ファクタリング会社・社保または国保連の3者間で契約を交わします。

1-2. 医療ファクタリングの仕組み

医療機関などでは、保険適用となる診療やサービスの提供を行った場合、公費負担分の診療報酬等を国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金に対して請求します。そのため、診療などのサービス提供から診療報酬等を実際に受け取るまでにタイムラグが発生します。

診療から診療報酬等の請求、受け取りまでは、2~3か月程度かかるのが一般的です。そのため、医療機関などでは、診療報酬等を受け取るまでの間に資金繰りが苦しくなるケースも少なくありません。

医療ファクタリングは、実際の診療から診療報酬等を受け取る前に資金化する手段として利用することが可能です。経営に必要な資金を調達し、資金繰りを改善するのに役立てられます。

医療ファクタリングは一般的に利用者となる医療機関などとファクタリング会社、国保連・社保の3者が関わるため、仕組みとしては3者間ファクタリングに近いと言えるでしょう。

医療ファクタリングの仕組み

3者間ファクタリングについて詳しくは、「3者間ファクタリングとは?メリット・デメリットやおすすめの相談先、利用手順を解説」の記事をご覧ください。

1-3. 医療ファクタリングを利用する際の流れ

医療ファクタリングを利用する際には、しっかりと利用の流れを把握しておきましょう。ここでは、医療ファクタリングを利用した場合の大まかな流れを解説します。

1.利用者(医療機関等)がファクタリングを申し込む
2.診療報酬債権等をファクタリング会社に譲渡する
3.国保連・社保へ診療報酬債権等の譲渡を通知する
4.ファクタリング会社から利用者(医療機関等)へ譲渡代金が入金される
5.国保連・社保からファクタリング会社へ診療報酬等が入金される

医療ファクタリングを利用する際の具体的なステップについて詳しくは、「診療報酬ファクタリングとは?仕組みを図解で徹底解説」の記事をご覧ください。

2.医療ファクタリングの3つの種類

聴診器、注射器、電卓、カプセルの薬

医療ファクタリングは、以下の3つの種類に分けられます。

・診療報酬ファクタリング
・介護報酬ファクタリング
・調剤報酬ファクタリング

このように、診療報酬だけではなく介護報酬や調剤報酬も対象となります。それぞれの医療ファクタリングの特徴についてみていきましょう。

2-1. 診療報酬ファクタリング

診療報酬ファクタリングとは、病院や診療所、歯科クリニックなどの診療サービスを提供する医療機関を対象としたファクタリングサービスです。前述したとおり、国保連や社保に対して自院が持っている診療報酬債権を譲渡して、資金調達する方法です。

診療報酬ファクタリングを利用することで早期に資金化できるため、設備を刷新したい、高額な機器を導入したい、人件費の支払いに充てたいなど、できるだけ早く資金が必要な場合に活用できます。

診療報酬ファクタリングについて詳しくは「診療報酬ファクタリングとは?仕組みを図解で徹底解説」の記事をご覧ください。

2-2. 介護報酬ファクタリング

介護報酬ファクタリングとは、介護施設や福祉施設などの介護サービスを提供する介護事業者を対象としたファクタリングサービスです。診療報酬ファクタリングと同様に、介護事業者・ファクタリング会社・国保連または社保の3者間でファクタリング契約をして、早期に資金化する資金調達方法になります。

介護報酬の申請から受け取りまで待つ必要がないため、新しく設備投資をしたい場合や経費を支払うために急ぎで資金を調達する必要がある場合にも便利です。

介護報酬ファクタリングについて詳しくは「介護報酬ファクタリングとは!メリットとおすすめな会社を比較」の記事をご覧ください。

2-3. 調剤報酬ファクタリング

調剤報酬ファクタリングとは、調剤薬局が持っている調剤報酬債権を対象としたファクタリングサービスです。調剤報酬も診療報酬同様に、申請から受け取りまで2~3か月程度の期間がかかります。そこで、調剤報酬をファクタリング会社に譲渡して、早期に資金化する方法として調剤報酬ファクタリングが使われています。

調剤報酬ファクタリングを利用すれば早期の資金化を実現できるため、新しい機器の導入や医薬品の共同購入など、さまざまな用途で利用が可能です。

3. 資金調達に医療ファクタリングを活用するメリット

メリット

医療ファクタリングを活用することで得られるメリットは以下の6つです。

・早期に資金化できる
・開業時でも利用できる
・負債を増やさない
・売掛先へ通知しても影響がない
・資金繰りを改善できる
・資金の使用用途が自由

以下では、それぞれのメリットについて詳しくみていきましょう。

3-1. 早期に資金化できる

医療ファクタリングを活用することで、早期に資金化できる点は大きなメリットです。保険適用となる診療などを行った際の診療報酬は、通常申請から受け取りまで2~3か月かかります。しかし、医療ファクタリングを利用すれば支払日よりも前に資金調達できます。

また、銀行融資などと比較すると審査機関が短いこともポイントです。複雑な手続きもなく簡単に契約できるため、できるだけ早く資金調達をしたいなどの事情がある場合にも利用しやすいでしょう。

3-2. 開業時でも利用できる

医療ファクタリングは開業したばかりでも利用できます。ファクタリングは銀行融資などとは異なり、審査の際に売掛先の信用力が重視されます。医療ファクタリングの場合には、売掛先は国保連・社保のため一般企業よりも信用力が高く、審査に通りやすいため、開業時でも利用しやすい資金調達法です。

開業したばかりで融資が受けにくいといった場合でも利用できるので、開業直後の資金繰りに不安があるときに検討しましょう。

3-3. 負債を増やさない

ファクタリングは融資ではないため、調達した資金は借入金には当たりません。そのため、負債が増える心配をせずに資金調達できるというメリットがあります。負債を増やすことなく資金を調達できるため、決算書に与える影響が少なくて済むでしょう。

金融機関から融資を受ける際には、財務状況も重視されます。しかし、医療ファクタリングなら財務状況を悪化させる心配も少ないため、将来的に融資を検討しているという場合にも利用しやすいでしょう。

ファクタリングと融資の違いについて詳しくは「ファクタリングと融資の違いを解説!比較してわかるメリット・デメリット」の記事をご覧ください。

3-4. 売掛先へ通知しても影響がない

医療ファクタリングは通常、3者間ファクタリングになるため売掛先へファクタリング利用を通知する必要があります。通常のファクタリングの場合、売掛先は民間企業です。そのため、ファクタリング利用を知られることで信用力が低下するなどのリスクがありました。

しかし、医療ファクタリングでは売掛先が社保や国保連といった国の機関なので、ファクタリング利用を通知しても信用力低下などの心配をする必要がありません。

3-5. 資金繰りを改善できる

患者の減少による減収や人件費の増加などによって、一時的に資金繰りが悪化するケースもあるでしょう。医療機関では、サービスの提供から診療報酬などの受け取りまでタイムラグがあるため、資金繰りが難しくなる場合もあります。

しかし、医療ファクタリングを活用することによって支払日まで待つ必要がなく、早期に資金化できます。必要な時に資金調達ができるため、資金繰りの改善につながる可能性が高いでしょう。

3-6. 資金の使用用途が自由

銀行から融資を受ける場合には、審査の際に資金使途を確認されます。基本的に、利益につながるような資金使途でなければ融資の審査に通らない可能性があるため、運転資金の調達にはあまり向いていません。

一方、ファクタリングは融資ではないため、資金の使用用途は自由です。例えば、家賃や人件費の支払いなどにも問題なく使えます。そのため、銀行融資を断られた場合の資金調達法として利用しやすいでしょう。

4. 医療ファクタリングの利用に向いているケース

資金調達を考えるビジネスマン

医療ファクタリングの利用に向いているケースとは、どのような場合なのでしょうか。ここでは、医療ファクタリングの利用が向いているケースを3つ紹介します。医療ファクタリング利用を検討している場合は、参考にしてください。

4-1. 資金繰りが厳しい

資金繰りが厳しくなった場合は、医療ファクタリングの利用が向いています。例えば、一時的に患者数が減って減収になった、スタッフが増えて人件費が増加したなど、資金繰りが厳しくなることもあるでしょう。

また、医療機関ではさまざまなコストがかかります。医薬品や医療用の材料、消耗品、医療器具などの仕入れにかかるコストも多いのが実情でしょう。このような仕入代金の支払いなどにも、医療ファクタリングは利用できます。

ファクタリングで資金化した資金を元手にして内装をリフォームしたり、広告宣伝に活用したりすれば新規の患者を獲得しやすくなる可能性もあります。新規の患者が増えれば、結果として資金繰りの改善につながるかもしれません。

4-2. 開業して間もない

開業して間もない医療機関も、医療ファクタリングの利用がおすすめです。医療機関などを経営していくには、家賃や水道光熱費、人件費などのランニングコストがかかります。開業して間もない時期は患者が集まりにくいなど、収益が安定しにくいというケースも多いでしょう。そのため、運転資金が不足してしまうおそれもあります。

金融機関からの融資は信用力が重要になるため、融資を受けられないケースもあるでしょう。しかし、ファクタリングは開業後でも売掛金があれば利用できるため、開業時でも利用しやすい資金調達方法です。ファクタリングを活用して資金調達することで、開業して間もない場合でも安定した経営を維持しやすくなります。預貯金を減らしたり借入を増やしたりせずに経営を継続できるため、財務状態の健全化にもつながります。

4-3. 設備投資にまとまった資金が必要

設備投資をしたい場合にも、ファクタリングの活用が向いています。医療機関などでは、定期的に最新の設備やデジタルツールなどの導入が必要になることが少なくありません。このような設備の導入にはまとまった資金が必要になるため、資金調達が課題になります。また、医療機関は衛生環境も重要になるため、古くなった設備の補修や交換が必要になる場合も多いでしょう。

ファクタリングを利用することで早期に資金を確保できるため、設備投資もしやすくなります。最新の設備を導入したり衛生環境を整えたりすることは、患者にとっても大きなメリットです。患者に選ばれやすくなり、患者数が増加することが期待できます。設備投資をすることで、収益が増加する可能性もあるでしょう。

5. 医療ファクタリングの注意点

注意喚起

医療ファクタリングにはデメリットもあります。そのため、医療ファクタリングの利用を検討する際には、事前にデメリットを把握しておくことが大切です。ここでは、医療ファクタリングの3つの注意点を解説します。

5-1. 受け取れる報酬額が少なくなる

医療ファクタリングを利用する際には、手数料や諸経費がかかります。報酬額から手数料などを差し引いた額が振り込まれることになるため、受け取れる報酬額が少なくなる点には注意しましょう。

医療ファクタリングは、通常のファクタリングよりも手数料が安めに設定されているケースもあります。しかし、手数料がかかることに変わりはないため、複数のファクタリング会社を比較して、手数料ができるだけ安いところを選ぶと良いでしょう。

ファクタリングの手数料について詳しくは「ファクタリング手数料相場は?高くなる理由と手数料の決まり方」の記事をご覧ください。

5-2. 計画的に利用する必要がある

医療ファクタリングを利用すると、診療報酬などを前倒しで受け取ることができます。ただし、もとの支払日よりも早く資金を受け取るということは、次の診療報酬などを受け取るまでに期間が空いてしまうということでもあります。

そのため、医療ファクタリングを利用して資金化した後、次の診療報酬などを受け取るまでに資金繰りが苦しくなってしまい、再度医療ファクタリングを利用するというケースも珍しくありません。

医療ファクタリングの利用には手数料がかかるため、長期的に利用することで資金繰りの悪化を招くリスクが高くなります。無計画に利用するのではなく、財務状況などを考慮しながら計画性を持って利用しましょう。

5-3. 資金調達できる金額には限界がある

医療ファクタリングで受け取れる報酬額は、70%~90%の掛目が設定されます。つまり、最初の振込時に全額を受け取れるわけではありません。また、診療報酬債権等は最大でも2か月分しか請求できないため、資金調達できる金額には限界があるのです。

当然、売掛金となっている金額以上の資金調達もできません。一方、融資の場合は審査状況によっては多額の資金を調達できる可能性があります。設備投資などに多額の資金調達が必要な場合には、融資と併用するなど工夫が必要です。

6.まとめ

医療ファクタリングとは、病院やクリニック、介護施設や調剤薬局などの資金調達に活用できるファクタリングサービスです。通常のファクタリングよりも審査に通りやすく手数料も安く抑えられているため、利用しやすくなっています。また、使用用途も限定されておらず、さまざまな用途に利用できるため、開業後の運転資金や設備投資などに幅広く利用可能です。

ビートレーディングでは、診療報酬ファクタリング・調剤報酬ファクタリング・介護報酬ファクタリングの3つの医療ファクタリングを提供しています。Webフォームや電話、LINEでの無料見積りなど多くの方法に対応しているので、医療ファクタリングを検討している方はぜひご利用ください。

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監修者

株式会社ビートレーディング 編集部編集長

筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。

<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者