ファクタリングでは、買取型のファクタリングの場合には手数料、保証型のファクタリングの場合には保証料を利用者(利用会社)から得ることで、ファクタリング会社が儲かる仕組みになっています。
ファクタリングでは実際にどの程度の手数料や保証料がかかるのでしょうか。
本記事では、ファクタリング会社が儲かる仕組みを解説した上で、ファクタリング会社を選ぶ際の注意点や選び方のポイントなどを解説します。
中には高額な手数料を請求する悪質な業者も存在するので、ファクタリングを利用する際には注意しましょう。
ファクタリングの仕組み・注意点もわかる「ファクタリング」の基礎知識の記事も併せてご覧ください。
目次
1.ファクタリング会社は儲かるのか
買取型のファクタリングを利用する場合、売却した売掛金の額面がそのまま入金されるわけではありません。
実際には、売却した売掛金から手数料が差し引かれた金額が入金されます。
ファクタリング会社は、この手数料を支払ってもらうことで利益を得るという仕組みになっているのです。
ファクタリング会社は売掛金の金額から手数料を差し引いて利用者に送金するため、売掛金が回収できて初めて利益が得られます。
つまり、売掛金の回収ができなかった場合、ファクタリング会社は利益を得られず損をするということです。
そのため、ファクタリング会社が負うリスクの度合いによって手数料が決められるのが一般的です。
例えば、2者間ファクタリングは、利用者(利用会社)とファクタリング会社の2者間の契約なので、売掛金が実際に存在するのかを売掛先に直接確認できません。
ファクタリング会社にとってはリスクが高い取引になるため、一般的に3者間ファクタリングよりも手数料が高くなります。
2.ファクタリング会社が儲かる理由:手数料
前述したように、ファクタリング会社は手数料・保証料収入によって利益を得ています。
ここでは、買取型のファクタリング利用時に発生する手数料を2者間ファクタリングと3者間ファクタリングに分けて解説します。
2-1.2者間ファクタリングの手数料
ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社が負うリスクの度合いに応じて設定されます。
また、事務手続きにかかる実費分の手数料が含まれているケースもあります。
前述したように、2者間ファクタリングは売掛先に売掛金の存在を確認できないため、ファクタリング会社にとってはリスクの高い取引です。
そのため、手数料は高めに設定されています。
2者間ファクタリングの手数料はファクタリング会社や売掛先の信用力などによって異なりますが、8%~18%程度が相場です。
例えば、ファクタリングを利用して1,000万円の売掛金を資金化(現金化)するとしましょう。
その場合は、80万円~180万円程度の手数料が差し引かれるため、実際に入金されるのは820万円~920万円になります。
2-2.3者間ファクタリングの手数料
3者間ファクタリングとは、利用者(利用会社)と売掛先の会社、ファクタリング会社の3者間で契約を結ぶ方法です。
3者間ファクタリングでは、売掛先への通知もしくは承諾が必要となるため、直接売掛先の存在を確かめられます。
そのため、売掛金が未回収になるリスクが低い取引です。
3者間ファクタリングは売掛先からファクタリング会社に直接売掛金が入金されるので売掛金の回収もスムーズです。
このように、ファクタリング会社にとっては比較的リスクが低い取引のため、手数料も低めに設定されています。
3者間ファクタリングの手数料相場は2%~9%程度となっており、1,000万円の売掛金を資金化(現金化)する場合は20万円~90万円が手数料として差し引かれて入金されます。
3.ファクタリング会社が儲かる理由:保証料
ファクタリングには売掛金を売却して資金化(現金化)する買取型のファクタリングだけでなく、売掛金の回収を保証する保証型のファクタリングがあります。
保証ファクタリングを利用する場合は、保証する売掛金の額面に対して保証料がかかるという仕組みです。
長期の売掛金などに対する保険のようなものと考えると良いでしょう。
保証料は、売掛先の信用度や保証期間に応じて決められます。
一般的には、売掛先の信用度が低かったり保証期間が長かったりする場合は、売掛金の未回収リスクが高まります。
そのため、保証料も高めに設定されるケースが多いようです。
保証型のファクタリングでは保証料がファクタリング会社の利益となりますが、売掛金が回収できなかった場合はファクタリング会社が保証限度額の範囲内で補償を行います。
保証ファクタリングについて詳しくは「保証ファクタリングとは?買取型との違いやメリット・デメリットを解説」の記事をご覧ください。
4.ファクタリングの有効な活用方法
ファクタリングは、ファクタリング会社が儲かる仕組みになっています。
しかし、ファクタリングの利用者にとってもメリットがあるため、上手に使うことが大切です。
ここでは、ファクタリングはどのようなことに活用できるのかを解説します。
4-1.売掛金の早期資金化
ファクタリングを利用することで、売掛金を支払い期日よりも前に資金化(現金化)できます。
売掛金は通常、請求書を発行してから入金まで数か月程度かかるケースが多いでしょう。
そのため、実際に資金化できるまでに時間がかかります。
ファクタリングを利用すれば支払い期日を待たずに売掛金を資金化できるため、手元の資金を増やすことができ、各種支払いや設備投資などに充てることが可能です。
特に、2者間ファクタリングは売掛先への通知や承諾がいらないため、比較的スムーズに資金化できます。
ファクタリング会社によっては即日資金化できるケースも少なくありません。
手数料はかかりますが、急いで資金が必要になった場合などに有効活用できます。
4-2.貸し倒れリスクの軽減
ファクタリングを利用することで、貸し倒れリスクに備えられる点は大きなメリットです。
ファクタリングは基本的に償還請求権なしの契約(ノンリコース)です。
償還請求権とは、売掛金が回収できなくなった場合に元の債権者に支払いを請求できる権利を指します。
ファクタリングは償還請求権なしが原則となっているため、万が一売掛先の倒産などにより売掛金の回収が困難になった場合でも、利用者(利用会社)が売掛金を支払う義務がありません。
ファクタリングの利用で売掛金を早期に資金化(現金化)できるだけでなく、貸し倒れのリスクに備えられるため、売掛金の回収に不安がある場合にも活用できるでしょう。
手数料はかかりますが、貸し倒れになった場合に負担する金額を考えると、手数料を支払ってでも利用するメリットがあるといえます。
ノンリコースのファクタリングについて詳しくは「ファクタリングのノンリコースを解説!ウィズリコースとの違いやメリット・デメリットを解説」の記事をご覧ください。
4-3.貸借対照表のスリム化
資金調達の方法として、融資を利用するケースも多いでしょう。
しかし、融資を利用すると貸借対照表上の負債が増えてしまいます。
ファクタリングは融資とは異なり、負債として計上されることはありません。
そのため、負債を増やさずに資金調達できます。
調達した資金を返済に使えば、貸借対照表のスリム化にもつながるでしょう。
貸借対照表のスリム化はオフバランス化と呼ばれています。
オフバランス化を実現することでROA(準資金利益率)を向上させられるため、企業としての評価を高めることにもつながります。
また、貸借対照表のスリム化によって企業評価が高まれば、金融機関からの融資も受けやすくなるため、資金繰りも容易になるといったメリットがあります。
ファクタリングによるオフバランス化について詳しくは「ファクタリングによるオフバランス化の要件・仕組みを解説!メリット・注意点とは」の記事をご覧ください。
4-4.融資以外での資金調達
ファクタリングは融資以外の資金調達方法として活用できます。
ファクタリングは融資ではないため、審査基準も融資とは異なります。
融資の審査では、利用者(利用会社)の経営状況や財務状況などを重視することが一般的です。
一方、ファクタリングは利用者(利用会社)の経営状況はあまり重視されません。
主に売掛先の信用力が重視される傾向にあるため、自社の経営状況が芳しくないという場合でも審査に通る可能性があるでしょう。
そのため、融資の審査に落ちた場合でも利用しやすい資金調達方法です。
また、融資の場合は審査に時間がかかるため、資金が必要なタイミングで資金調達できないこともあります。
しかし、2者間ファクタリングならスムーズに審査が進み、即日で資金化(現金化)できるケースも少なくありません。
早期に資金調達したい場合にはファクタリングの利用が向いているでしょう。
5.ファクタリングを利用する際の注意点
ファクタリングを利用する際には、手数料や契約内容などをよく確認して、納得した上で利用することが大切です。
ここでは、ファクタリングを利用する際に注意したいポイントを4つ紹介します。
ファクタリングの利用を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
5-1.複数のファクタリング会社から見積りを取る
ファクタリングを利用する際には、1社だけではなく複数のファクタリング会社から見積りを取りましょう。
ファクタリング会社は数多くあるため、複数社から見積りを取って手数料の相場を把握することが大切です。
また、同じ売掛金であってもファクタリング会社によって手数料は異なります。
手数料には明確な決まりがなく、ファクタリング会社によって審査基準なども異なります。
そのため、見積りを取って相場を確認した上で、なるべく手数料の安いファクタリング会社を選ぶと良いでしょう。
ただし、手数料以外に諸経費がかかるケースもあります。
そのため、必ず手数料の内訳も確認しておく必要があります。
同条件で見積りを取らないと比較が難しくなるため、同じ条件で見積依頼をすることが大切です。
5-2.ファクタリングを装った融資に注意する
ファクタリングを装って融資契約をさせようとする悪質な業者もいるため注意が必要です。
また、闇金業者がファクタリングを装って上限金利を超える金利で融資を持ちかけてくることもあります。
ファクタリングは原則として償還請求権のない契約(ノンリコース)です。
そのため、償還請求権ありの契約になっている場合は、ファクタリングではなく融資の可能性が高いでしょう。
また、分割払いが可能となっているものや、給与ファクタリングも融資に該当します。
ファクタリングは融資にあたらないため、貸金業者の登録は不要ですが、融資の場合は貸金業者の登録が必要です。
貸金業者の登録がないのに、ファクタリングを装って融資を持ちかけてくるような業者は違法業者のため、契約しないように注意しましょう。
ファクタリング会社を装った闇金について詳しくは「【事例あり】ファクタリング会社は闇金?違法なサービスを見極めるコツとは」の記事をご覧ください。
5-3.怪しいファクタリング会社は利用しない
優良なファクタリング会社は数多くありますが、中にはファクタリング会社を装った悪徳業者や闇金業者も存在します。
そのため、ファクタリング会社を選ぶ際には、優良な会社かどうかの見極めが必要です。
例えば、インターネットで検索しても公式ホームページがない場合は注意しましょう。
また、ホームページはあっても、会社の所在地や会社概要が記載されていない、連絡先が携帯番号のみなど、不審な点がある場合には利用を避けたほうが安全です。
そのほか、手数料の内訳が曖昧だったり、契約書がなかったりする場合も注意が必要です。
対面や訪問を拒む、対応や言葉遣いが雑、利用を執拗に迫ってくるなど対応に不審点がある場合も避けましょう。
悪徳業者を利用すると、後から高額な手数料を請求されるおそれもあります。
悪徳業者の見分け方について詳しくは「ファクタリング会社に悪徳業者はいる?手口の事例や見分け方を解説」の記事をご覧ください。
5-4.計画的に利用する
ファクタリングは、早期に売掛金を資金化(現金化)できるというメリットがある一方、手数料がかかるというデメリットがあります。
ファクタリングを利用する際は、売掛金から手数料が差し引かれて入金されます。
本来受け取れる金額よりも少なくなってしまうため、利用する際には慎重な判断が必要です。
継続して利用していると手数料がかさんでしまい、逆に資金繰りが悪化してしまうというリスクもあります。
特に、手数料が高いファクタリング会社を繰り返し利用していると、手数料が積み重なって経営を圧迫してしまう可能性があるでしょう。
そのため、ファクタリングを利用する際は複数社から見積りを取って、なるべく手数料の安いところを利用することや、計画性を持って利用することが重要です。
6.安心して利用できるファクタリング会社を選ぶポイント
ファクタリングを利用する場合は、優良なファクタリング会社を選ぶことが重要です。
ここでは、安心して利用できるファクタリング会社を選ぶポイントを紹介するので、ファクタリング会社選びの参考にしてください。
6-1.適正な手数料を提示している
見積りや契約内容の手数料が適正かを確認することが大切です。
手数料はファクタリング会社の利益となるため、ファクタリングを利用する際には必ず発生します。
しかし、過度に高額な手数料を提示してくれるファクタリング会社は悪質な業者である可能性もあるため、避けたほうが良いでしょう。
ファクタリング会社を選ぶ際には、手数料の相場を把握することも大切です。
複数社から見積りを取って手数料の相場をある程度把握した上で、適正な手数料を提示しているファクタリング会社を選ぶと安心です。
また、ファクタリング会社の中には審査不要と謳っているところもありますが、審査がなければ適正な手数料を提示できません。
そのため、審査不要というファクタリング会社も避けたほうが無難です。
ファクタリングが審査なしで利用できない理由について詳しくは「審査なし・即日入金のファクタリング会社はある?優良な会社の選び方」の記事をご覧ください。
6-2.対面での相談にも応じてくれる
ファクタリング会社を初めて利用する場合には、対面での相談に応じてくれるところを選ぶと良いでしょう。
対面不要、オンライン完結というファクタリング会社も多くあります。
すべての手続きがオンラインで完結するため手軽に利用できます。
しかし、初めての場合は疑問点や不安なことも多いため、対面での相談にも応じてくれる会社を選んだほうが安心でしょう。
対面の場合、訪問の手間はかかりますが、実際に対面で相談することで優良なファクタリング会社かどうか確認しやすくなるというメリットもあります。
また、対面で相談することで、審査や手数料についての交渉もしやすくなるため、審査などに不安がある場合にも良いでしょう。
訪問が難しい場合、ファクタリング会社によっては来社して相談や契約できるため、対面を希望する場合は対応方法も確認しましょう。
6-3.契約内容を丁寧に説明してくれる
契約内容についてしっかりと説明してくれるファクタリング会社を選ぶこともポイントです。
特に、初めてファクタリングを利用する人にとっては、契約内容や手数料などについて丁寧に説明してくれるファクタリング会社のほうが安心でしょう。
ファクタリングの仕組みや流れ、手数料といった契約内容についてきちんと説明してもらうことで、内容を理解しやすくなります。
そのため、納得した上で契約するかどうかを検討できます。
また、口頭での契約ではなく、契約書をしっかりと作成して契約を交わしてくれるかどうかもポイントです。
契約書を交わすことで契約内容を確認できますし、後からでも確認できるためトラブル防止にもつながります。
6-4.実績が豊富
ファクタリング会社を選ぶ場合は、これまでの取引実績を確認しておくと良いでしょう。
実績が豊富なファクタリング会社は、それだけ利用者(利用会社)が多く、評価も高いということになります。
そのため、初めて利用する場合でも安心です。
ファクタリング会社の実績は、公式ホームページで公開していることがあります。
各社のホームページをチェックして、実績を公開しているか、どの程度の実績があるのかを確認してみましょう。
7.まとめ
ファクタリングでは、手数料や保証料がファクタリング会社の利益となります。
ただし、買取型の場合は売掛金が回収できて初めて利益になるため、回収できないとファクタリング会社は損をしてしまいます。
一方、ファクタリングの利用者(利用会社)は手数料や保証料を払うことで、売掛金の早期資金化(現金化)や貸し倒れリスクの軽減が可能です。
しかし、手数料が高いファクタリング会社を継続して利用すると、手数料が経営を圧迫する可能性があるため注意しましょう。
ファクタリングを利用する場合は、手数料をよく確認した上で安心して利用できる優良なファクタリング会社を選ぶことが大切です。
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筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者