ファクタリングの利用を検討しているものの、リスクが気になるという人も多いのではないでしょうか。
ファクタリングを利用することで高額な手数料によりかえって資金繰りが悪化したり、悪徳業者に騙されたりするリスクがあるので注意しなければなりません。
一方で、ファクタリングを利用することで回避できるリスクもあります。
正しい知識を持った上で信頼できるファクタリング会社を選べば、最小限のリスクで売掛先との関係を保ちながら資金繰りを改善できるでしょう。
本記事では、ファクタリングにおけるリスクやその回避方法、ファクタリング会社を装った悪徳業者の見分け方などを解説します。
リスクを回避するために重要なファクタリング会社選びのポイントも解説するので、ファクタリングを安全かつ効果的に活用するために、ぜひお役立てください。
ファクタリングについて詳しくは「ファクタリングとは?仕組みや種類・意味・注意点を簡単に解説! 」の記事をご覧ください。
目次
1. ファクタリングを利用する際のリスクと注意点
ファクタリングのリスクとして、高い手数料の請求と資金繰りの悪化、売掛先に対する自社の印象悪化などが挙げられます。
また、ファクタリング会社を選定する際は、債権譲渡登記の必要性と会社の信頼性に注意しなくてはいけません。
以下では、ファクタリングを利用する際のリスクと注意点について詳しく解説します。
1-1. 高い手数料が設定される可能性がある
ファクタリングを利用する際、相場よりも高い手数料が設定される可能性があります。
手数料はファクタリング会社や取引形態によって異なり、各社が自由に設定できるためです。
2者間ファクタリングの相場は8%~18%、 3者間ファクタリングの相場は2%~9%が一般的です。
これらの相場を基準に、設定されている手数料が適正かどうかを判断すると良いでしょう。
ファクタリングでは売掛金の金額(売却した金額)から手数料が引かれた金額が振り込まれるため、高い手数料を設定されてしまうと、調達できる金額が減ってしまいます。
また、相場よりもかなり高い手数料を設定されている場合、悪徳業者の可能性もあるため、注意が必要です。
ファクタリングの手数料の相場について詳しくは「ファクタリングの手数料はどれくらい?相場や抑える6つの方法を解説! 」の記事をご覧ください。
1-2. 多用すると資金繰りが悪化する恐れがある
ファクタリングは、多用すると資金繰りが悪化する恐れがあります。
ファクタリングを利用する際は売掛金の金額から手数料が差し引かれた金額しか調達することはできません。
手数料という形ではあるものの、自社の利益が目減りすることには変わりありません。
そのため、無計画に繰り返し利用し続けるとかえって資金繰りが悪化するリスクがあります。
一時的な資金調達方法としては有効ですが、使い所を見極めて計画的に利用することが大切です。
ファクタリングを利用するべきタイミングについて詳しくは「ファクタリングを利用するタイミングとは?向いていないケースも解説」の記事をご覧ください。
1-3. 売掛先からマイナスな印象を持たれる場合がある
ファクタリングを利用することで、売掛先からマイナスな印象を持たれる可能性がある点にも注意が必要です。
3者間ファクタリングの場合、利用する際に売掛先から承諾を得る必要があります。
ファクタリングを利用すること自体は何ら問題ないものの、「資金繰りが悪化しているのではないか」と考えられるケースもあり、将来の取引に影響が出る可能性があります。
1-4. 債権譲渡登記が必要になるケースがある
ファクタリングを利用する際は債権譲渡登記が必要な場合がある点もリスクといえます。
債権譲渡登記とは、ファクタリングの取引によって利用者からファクタリング会社に債権が譲渡されたことを登記簿に記載することです。
特に2者間ファクタリングでは債務者に利用の承諾を得ず契約するため対抗要件を備えるために債権譲渡登記を求められる場合があります。
譲渡を受けた側にはメリットがあるものの、利用者側は登記の費用負担が発生することや売掛先が債権譲渡の事実を知る可能性など、複数のデメリット、リスクが存在します。
債権譲渡登記をせず利用できるファクタリング会社もあるため、会社選定の際に確認しましょう。
1-5. 悪徳業者と関わってしまう恐れがある
ファクタリングサービスを利用するつもりが、ファクタリング会社を装った悪徳業者と関わってしまうケースも少なからず存在します。
悪徳業者と気付かずに契約を締結すると、相場よりも高額な手数料を取られたり、入金日に入金されなかったりといったトラブルに巻き込まれる可能性があります。
その他にも契約内容が償還請求権ありの契約(リコース)になっていたり、分割払いが可能と謳っている場合は偽装ファクタリングの可能性が高く、実質融資に該当するため貸金業登録がない業者が行うと違法となります。
金融庁からも注意喚起がなされているため、十分注意しましょう。
2.ファクタリングのリスクを回避する6つ の方法
ファクタリングにおけるリスクを回避する方法は以下の6つです。
- 複数社で見積りをとってから検討する
- 経営が安定している売掛先を選ぶ
- 2者間ファクタリングを利用する
- 債権譲渡登記が不要なファクタリング会社を選ぶ
- 契約内容を確認する
- 悪徳業者の特徴を知っておく
2-1. 複数社で見積りをとってから検討する
ファクタリングのリスクを回避するためには、複数社で見積りをとって検討する方法が有効です。
複数の選択肢を比較してみることで、手数料の相場やサービス内容の違いを把握できるためです。
比較検討することで違和感に気付きやすく、自身に不利な契約や悪徳業者と関わるリスクを大幅に抑えられるでしょう。
2-2. 経営が安定している売掛先を選ぶ
売却する売掛金は、経営が安定している売掛先の売掛金を選ぶことも大切です。
ファクタリングの審査では、売掛先の支払能力や信用力などが重視されます。
ファクタリング会社からすると、売掛先の経営が安定していれば、買い取る売掛金の未回収リスクは低いと判断でき、ファクタリングの手数料が低くなる可能性もあります。
ファクタリングを利用する・しないに関わらず、売掛先の経営状況や信用力にも注目してみると良いでしょう。
2-3. 2者間ファクタリングを利用する
2者間ファクタリングであれば、売掛先との今後の取引に影響が出るリスクを回避しつつ、利用できます。
2者間ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の2者間で行うファクタリングのことで、売掛先の承諾を得る必要がないのが特徴です。
2者間で取引が完結するため、売掛先にマイナスなイメージを持たれる心配がないのです。
2-4. 債権譲渡登記が不要なファクタリング会社を選ぶ
債権譲渡登記が不要なファクタリング会社を選ぶのもポイントです。
債権譲渡登記が必要な契約では、登記費用が発生するなどの可能性があります。
債権譲渡登記が不要な会社を選べば、これらのリスクを回避できるうえ、個人事業主でも利用可能です。
ファクタリングの債権譲渡登記について詳しくは「ファクタリングにおける債権譲渡登記は必須?登記不要なケースを解説 」の記事をご覧ください。
2-5. 契約内容を確認する
ファクタリングのリスクを回避するためには、契約内容をよく確認することも重要です。
たとえば、一般的なファクタリングはノンリコース契約となっています。
ノンリコース契約は「償還請求権なしの契約」の意味で、万が一売掛金が未回収になった場合でも、売掛金を売却した利用者にその責任が及びません。
また、契約内容を確認する際は、見積りの内容と相違ないかどうかもしっかり確認しましょう。
ファクタリングについて詳しくは「ファクタリングのノンリコースを解説!ウィズリコースとの違いやメリット・デメリットを解説 」の記事をご覧ください。
2-6. 悪徳業者の特徴を知っておく
ファクタリングの悪徳業者は大きく分けて2種類存在しています。
一つは優良な会社にくらべ悪質な条件を提示してくるファクタリング会社で、もう一つはファクタリング会社を装って貸金に該当するサービスを提供してくる偽装ファクタリング会社です。
悪徳業者の特徴を知っておくことで、ファクタリング会社を選ぶ際に判断でき、そのような業者と関わるリスクを大幅に軽減できます。
悪徳業者の具体的な特徴は次章で解説します。
ファクタリングの悪徳業者について詳しくは「ファクタリング会社に悪徳業者はいる?手口の事例や見分け方を解説 」の記事をご覧ください。
3. 悪徳業者の特徴を押さえてリスクを回避
ファクタリング会社を装った悪徳業者には共通する特徴があります。
ここでは悪徳業者によく見られる5つの特徴を解説します。
3-1. 見積書などの書類を提示しない
悪徳業者は、見積書などの書類を提示しない傾向にあります。
取引の履歴や証拠を残したくないと考えているためです。
利用者側が要求しても書類を提示せずに、口頭だけで説明して契約を締結させようとしてきます。
書類がないと後から異変に気付いても確認する術がないうえ、言った・言わないのトラブルに発展する可能性も高まります。
見積書や契約書などの書類を提示しない、用意したがらない業者は悪徳業者の可能性が高いため、そのような会社との契約は避けるのが無難です。
3-2. 担当者が不審な対応をとる
担当者が対面のやり取りを避けるなど、不審な対応をとる場合も要注意です。
完全オンライン完結のサービスを除き、ファクタリングは対面やオンラインでの面談やヒアリングを通じて審査・契約を行うのが一般的ですが、悪徳業者は顔を見られることを避ける傾向にあるためです。
また、業者自体が以下に当てはまる場合も悪徳業者である可能性が高いため、関わらないようにしましょう。
・ 会社のホームページがない
・ 会社の固定番号がない
・ 所在地がない、虚偽の住所が記載されている
3-3. 利用料金の基準があいまい
利用料金の基準があいまいな点も、悪徳業者にありがちな特徴です。
具体的には以下のような状況が挙げられます。
・ 最初に提示された手数料よりも高い手数料を請求する
・手数料を上乗せしようとする
・手付金や審査手数料などの理由をつけて不当な請求をする
2者間ファクタリングの手数料は8%〜18%、 3者間ファクタリングは2%〜9%が相場のため、この範囲を超えている場合は高くても安くても警戒すべきでしょう。
また優良なファクタリング会社は買取金額や手数料など契約前に説明があり、質問にもきちんと回答してくれるため、契約前の説明や不明点の確認がなくすぐ契約をさせようとしてくる場合は注意が必要です。
3-4. 融資に該当する契約内容になっている
契約内容が融資に該当する内容になっている場合も、悪徳業者の疑いがあります。
ファクタリングは償還請求権のないノンリコース契約で、売掛金の未回収リスクはファクタリング会社が負うのが一般的です。
そのため、利用者が未回収リスクを負う契約(リコース契約)になっていたりする場合は要注意です。
また、「分割払い可」や、「金銭消費貸借契約」と表記されている場合も融資に該当し、通常のファクタリング契約とは異なるため注意が必要です。
貸金業登録がない業者が融資に該当するサービスを提供することは違法であり、偽装ファクタリング会社が逮捕された事例もあります。
ファクタリングは違法なサービスではないため、優良なファクタリング会社を利用し、トラブルに巻き込まれないように見分けられるようにしましょう。
ファクタリングで違法となった判例については「ファクタリングは違法ではない!安全性の法律的根拠と違法業者を解説! 」の記事をご覧ください。
3-5. 通帳なし・審査なしで利用できる
通帳なし、審査なしで利用できると謳っている場合も悪徳業者の可能性が高いといえます。
ほとんどのファクタリング会社で審査の際、通帳のコピーが必要書類として提出を求められ、通帳から得られる情報は審査に大きく影響します。
たとえば、通帳を確認することで実在する売掛金かどうか、売掛先と継続的な取引実績があるかどうかなどを確認します。
少数ながら通帳なしで利用できるファクタリング会社も存在しますが、審査の難易度が上がり、相場よりも高い手数料を設定している傾向にあります。
また、ファクタリングの審査ではファクタリング会社が売掛金を回収できるかどうかが重要になるため、ファクタリングで審査をしない場合はファクタリング会社のリスクが高くなります。
そのため、審査なしを謳っているファクタリング会社はファクタリングではないサービスを提供している悪徳業者の可能性が高いです。
ファクタリングを審査なしで利用できない理由や優良な会社について詳しくは「審査なし・即日入金のファクタリング会社はある?優良な会社の選び方 」の記事をご覧ください。
4. ファクタリングの利用で回避できるリスクもある
ファクタリングの仕組みやリスクの回避方法をよく理解して計画的に利用すれば、自社の資金繰りを素早く改善できる有効な方法になり得るでしょう。
この章ではファクタリングを適切に活用することで回避できる、以下の3つのリスクについて解説します。
・資金繰り悪化のリスク
・信用情報に影響するリスク
・売掛金の未回収リスク
4-1.資金繰り悪化のリスクを回避する
ファクタリングをうまく活用すると、資金繰り悪化のリスクを回避できます。
売掛金には、「取引代金の締め日から実際に代金を支払うまでの期間」を示す、支払いサイトが設定されています。
支払いサイトが長く手元に資金がない場合、案件を受けるための材料費や人件費、固定費の支払いなどが滞り、資金繰りが悪化するリスクもあります。
また融資は利用者の経営状況など審査し、信用力がなければ資金調達ができないため、資金調達ができなかった場合、資金繰りは改善できず、より悪化する可能性があります。
しかし、ファクタリングで支払期日前に売掛金を現金化(資金化)することで、支払いサイトを短縮でき、資金が必要なタイミングで資金調達ができるため資金繰りが悪化するリスクを回避することができます。
また、ファクタリングは融資とは異なり、ファクタリングの審査では利用者(利用会社)の経営状態よりも、売掛先の信用力が重視されます。
そのため、従来の融資審査では承認が得られなかった場合でも、ファクタリングでは資金調達できる可能性があり、資金調達によって資金繰りの悪化を回避することができます。
最短即日での資金調達が可能なため、急ぎ資金が必要な場合にもおすすめです。
4-2.信用情報に影響するリスクを回避する
ファクタリングで資金調達すると、信用情報に影響するリスクを回避できます。
ファクタリングは融資とは異なるサービスなので、貸し付けには該当せず、貸借対照表上の負債は増えません。
そのため、会社の信用情報に影響がないことがメリットの一つです。
また、ファクタリングの利用によって売掛金が減少し、現金や普通預金が増加すると、企業の財務状態が改善し、結果として企業評価が向上する可能性も考えられます。
このように、信用情報へ悪影響を避けつつ資金を調達できるファクタリングは、財務管理において重要な選択肢の1つといえるでしょう。
ファクタリングと融資の違いについて詳しくは「ファクタリングと融資の違いとは?比較してわかるメリット・デメリットを解説!」の記事をご覧ください。
4-3.売掛金の未回収リスクを回避する
ファクタリングを活用すると、売掛金の未回収リスクを回避できます。
売掛金(売掛債権)を譲渡することでファクタリング会社が債権回収の責任を担うため、利用者は貸し倒れなどによる売掛金の未回収リスクから解放されます。
なお、前述のようにファクタリングにはノンリコース契約が採用され、売掛先が支払不能に陥ったとしても利用者はファクタリング会社に売掛金を支払う義務を負いません。
支払いサイトが長期化するほど、売掛先の財務状況悪化のリスクが高まります。
万一売掛金を回収できなければ、企業の資金繰りが悪化し、最悪の場合、経営破綻につながるかもしれません。
ファクタリングを活用して売掛金の未回収リスクを軽減すると、支払いサイトが長期になりがちな状況でも、より安定した事業運営が可能になります。
5. リスク回避のためにはファクタリング会社選びが重要!
ファクタリングを利用する際のリスクを軽減するためには、優良なファクタリング会社の選択が重要です。
豊富な実績を持つ会社を選び、手数料の妥当性や入金・契約のプロセスを詳細に確認することで、予期せぬリスクを回避しやすくなります。
一見、簡単に利用できそうに感じても、審査なしや極端に審査基準が甘いファクタリング会社は、悪徳業者の可能性があるため注意が必要です。
少しでも疑問や不安を感じた場合は、そのファクタリング会社との契約を避け、別の選択肢を検討しましょう。
6.まとめ
自社の経営状況を適切に評価した上で計画的に利用すれば、ファクタリングは効果的な資金調達手段となり得ます。
一方、知識がない状態で無計画に利用するとさまざまなリスクにさらされてしまいます。
ファクタリングにおけるリスクを回避するためには、複数社で相見積りを取る、契約内容をよく確認する、悪徳業者の特徴を理解することなどが重要です。
ファクタリングを効果的に活用すれば、事業を円滑に進められます。
取引するファクタリング会社を選ぶ際は、悪徳業者ではないかを注意深く見極めましょう。
悪徳業者には、見積書などの書類を提示しない、担当者が不審な対応をとるなどの特徴があります。
豊富な実績を持つ企業を選び、手数料の妥当性や入金・契約のプロセスを詳細に確認することで、優良なファクタリング会社を選びやすくなります。
ビートレーディングは、2012年からファクタリングサービスを提供しており、累計取引社数は5.8万社と多くのお客様に選ばれているファクタリング会社です。
お申し込みから資金調達まで最短2時間で現金化(資金化)を実現するファクタリングサービスを提供しておりますので、ファクタリングの利用を検討している方は気軽にご相談ください。
筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者