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ファクタリング契約時の注意点は?契約書の内容・確認ポイントを徹底解説

ファクタリング契約時の注意点は?契約書の内容・確認ポイントを徹底解説

ファクタリングの基礎知識

「ファクタリングの契約って何?」
「ファクタリングで契約書の内容がよく分からない」

このようにファクタリングの利用を考えているものの、契約とはどういうもので、自分にとって不利な内容ではないかが判断できないという人も多いでしょう。

ファクタリング契約とは

結論から言うと、ファクタリングの契約とは、商品やサービスを提供したものの、未回収の状態にある売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に買い取ってもらう際に結ぶ売買契約の一種です。

 ファクタリング契約のまとめ
 契約に関わる人物 ① ファクタリング会社  売掛金を有償で買い取る業者
 ② ファクタリング利用者 売掛金を売って資金調達したい企業
 ③ 売掛先
(※売掛先も加えた契約を結ぶ場合のみ)
 売却される売掛金の債務者
(ファクタリング利用者から商品やサービスを購入している仕事を発注する側の企業)
契約の役割・ファクタリング利用における取り決めをして、契約時のトラブルを回避する
・悪質な業者を見抜く手段
 契約の効力 ・ファクタリング取引について法的な拘束力が生じ、契約を締結したことの証明になる
 罰則

 ・契約違反があると次のような罰則を受ける可能性がある

○損害賠償
○違約金
○強制的な契約の解除

ファクタリングを利用する場合は、「①ファクタリング会社」と「②ファクタリング利用者」の2者間もしくは、それらに「③売掛先」を加えた3者間で契約を締結する必要があります。

契約締結の際に、法的効力のある契約書を作成するのが一般的ですが、契約書の内容を正しく理解できていなければ、契約内容の見解の相違によるトラブルや偽装ファクタリングに騙されやすくなります。

そのため、トラブルを回避したいのであれば、ファクタリングの契約や契約書の見方についても知っておくことが大事です。

そこで本記事では、

• ファクタリングの契約は誰と誰が結ぶものか
• ファクタリングにおける契約書の役割
• 契約時に必要になりやすいコスト
• ファクタリング契約の一般的な流れ
• ファクタリング契約書の確認ポイント

• 2者間ファクタリングにおける業務委託契約の内容
• ファクタリング契約の注意点
• ファクタリング契約締結後の流れ

これらの内容について詳しく解説します。

本記事を読めば、ファクタリング契約についての理解が深まり、契約書の内容を正しく読み取って、より有益な形で契約できるようになるはずです。

また、ファクタリング契約や、その後の手続きをスムーズに進められるでしょう。

ファクタリングの契約について知りたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

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目次

1.ファクタリング契約とは

ファクタリング契約とは、企業や個人事業主が保有する売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に譲渡する契約のことです。

売掛債権譲渡(売掛債権買取)契約を結び、売掛債権を譲渡することで、必要な資金を早期に調達することができます。

ファクタリングについて詳しくは「【図解】ファクタリングとは?仕組みや種類・注意点を簡単に解説!」の記事をご覧ください。

一般的なファクタリングの流れ

そこでこの章では、

  • 誰がファクタリング契約を取り交わすのか
  • 契約における役割
  • 契約書の内容
  • 契約時に必要となりやすい費用

このようなファクタリングの基本について解説します。

ファクタリング契約の必要性が分からない人や契約にかかる費用を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

2.ファクタリングの契約形態とそれぞれの注意点

電卓とペンとfactoringと書いてあるカード

ファクタリング契約の契約形態は2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの2種類があります。

ここでは、それぞれの契約方法と注意点を解説します。

2-1. 2者間ファクタリング

2者間ファクタリングは、ファクタリング会社とファクタリング利用者の2者間で取り引きするファクタリングサービスです。

この方式では、売掛先の承認を得ずともファクタリング契約の締結ができるため、必要な手続きが少なく、取引がスムーズです。

条件によって即日入金もできることから、2者間ファクタリングは主に売掛先に知られずに資金調達をしたいケースや、早く資金化したい企業などに利用されています。

一方、2者間ファクタリングでは債権譲渡登記が行われることが多く、3者間ファクタリングよりも手数料が高くなるのが一般的です。

業者によっては高額の手数料を請求するところもあるため、契約前に手数料がいくらになるのか、よく確認することが大切です。

2者間ファクタリングについて詳しくは、「2者間ファクタリングとは?メリット・デメリットとやり方・注意点を解説」をご覧ください。

2-2.3者間ファクタリング

3者間ファクタリングは、ファクタリング会社・利用者・売掛先の3者間で契約をする方式です。

債権者が売掛先に承諾を得ることでファクタリングが成立し、支払期日が訪れると売掛先からファクタリング会社へ直接入金が行われます。

ファクタリング会社にとっては2者間ファクタリングに比べてリスクが低い契約なので、手数料が2者間ファクタリングよりも安くなります。

また、2者間ファクタリングで必要とされていた債権譲渡登記も、3者間ファクタリングでは不要です。

一方、売掛先が契約に加わるため、ファクタリングの利用を売掛先に伝えなければなりません。契約にも時間を要する可能性があります。

したがって、入金までの時間は2者間ファクタリングよりも長くなる点に注意が必要です。

3者間ファクタリングについて詳しくは、「3者間ファクタリングとは?メリット・デメリットやおすすめの相談先、利用手順を解説」をご覧ください。

3.ファクタリング契約における契約の役割は2つある

女性がピースしている

ファクタリングの契約には、2つの役割があります。

3-1. トラブルを回避する

これは通常の取引における契約の役割と同じです。

ファクタリングの取引金額は数十万円~数千万円と高額になるケースもあります。口約束では非常にリスクがあるため、契約書を取り交わすことで契約内容を確認できるようにしておかなければなりません。

万が一、当事者間に何らかの問題が生じた場合に備えて、対象となる債権や金額、契約解除の条件などを決め、それらを書面にまとめて契約書を取り交わすのが一般的です。

ファクタリングの契約はお互いに了承した上で締結しますが、「契約書の必要性やその内容を正しく理解していない」「契約書の確認を怠る」という状況では、トラブルの原因となります。

例えば、次のようなトラブルです。

◆契約内容の見解を間違えていて催告連絡がきた
利用者が売掛金の請求・回収をしてファクタリング会社に振り込む必要があるタイプの2者間ファクタリング契約をしていたが、売掛金の回収はファクタリング会社が行ってくれると思い込み、売掛金を回収したにもかかわらず、それに気付かず他の支払いに使ってしまい、売掛金の引き渡しに関する催告連絡が来てしまった。

一部、契約書ではなく覚書で契約を進めるケースがありますが、内容はほぼ同じです。

双方が納得した上で、契約を結ぶようにしましょう。

3-2.悪質な業者を見抜く

ファクタリングの契約は、双方の条件などを取り決めたものです。

そのため、契約書の内容を理解することで悪質な業者を見抜く手段のひとつになります。

例えば、次のようなケースです。

◆契約書の内容を理解しておらず偽装ファクタリングに引っかかった
一刻も早く資金化したいという思いから、長文の契約書にざっと目を通しただけで契約をしてしまった。
その結果、相場よりもはるかに高い手数料を取られた。
また、契約書にファクタリング業者が回収リスクを負わないということが書かれてあり、最終的に債権回収ができず、買戻しをさせられた。

このような事態は、契約内容を正しく把握することで防ぐことができるため、どのような内容が書かれているかを理解しておくようにしましょう。

悪徳業者について詳しくは「ファクタリング会社に悪徳業者はいる?手口の事例や見分け方を解説」の記事をご覧ください。

4.ファクタリング契約書の主な記載内容

ファクタリングの契約書の内容ですが、主に契約の対象となる取引や契約期間、違反事項、解除方法などが記されています。

国税庁の「売掛債権譲渡契約書」の雛形を例に、ファクタリング契約書の主な記載項目について見ていきましょう。

売掛債権譲渡契約書

出典:国税庁「売掛債権譲渡契約書

上はあくまでもイメージです。

文面は、協議の上、変更になることもあるため、参考程度にしておきましょう。

 譲渡対象の債権譲渡の対象となる債権について書かれた項目
 債権譲渡通知の有無 売掛先に対して売掛債権(売掛金)を譲渡することを通知するかどうかを記した項目
 ファクタリング契約の解除 ファクタリング契約を解除される条件が書かれた項目
 損害賠償・違約金 契約書に記された内容において、何らかの違反をして契約が解除された場合の損害賠償金について記した項目
 ファクタリング契約の有効期間 ファクタリング契約の有効期間や契約終了の条件などが記された項目

各項目ごとの確認ポイントについては、後ほど「7. ファクタリングの契約書における確認ポイント」で解説するので、見方が分からないという人はそちらも併せて確認してください。

5.ファクタリング契約の際にかかる費用一覧

ファクタリング契約において、知っておくべきことがもう1つあります。

それは、ファクタリング契約にかかる費用です。

契約の際の手数料が必要ということを知っている人は多いですが、それ以外にも次のような諸費用を請求されることがあります。

 主な諸費用 概要 費用相場
 提出書類の発行費用「登記謄本」や「印鑑証明」などの必要書類を発行する際に必要になる費用各書類ごとに数百円
印紙代 契約時にかかる税金数百円~数千円(売掛金による)
 債権譲渡登記費用 売掛債権を譲渡したことを証明するための手続きにかかる費用

7,500円または15,000円(登録免許税)
50,000円前後(司法書士への報酬)

 交通費(出張費)  ファクタリング契約の際に、来訪してもらう場合に必要になる費用実費相当
 振込手数料 資金調達した際の振込みにかかる手数料 銀行による
審査・事務手数料 ファクタリングの審査や書類作成などにかかる費用~30,000円前後
登記抹消費用登記の抹消手続きを行う際にかかる費用 ~10,000円前後

諸費用の相場を見ていただくと分かる通り、全ての費用がかかった場合、契約の際に基本手数料とは別に10万円近くの諸費用が必要になる可能性があります。

諸費用を抑えるコツ
● 基本手数料以外の費用は一切不要としているファクタリング会社を選ぶこと
● オンライン上で契約を締結する

ファクタリング会社の中には、諸費用がかからないもしくはオンライン上で締結することで諸費用を抑えられるケースがあります。

例えば、印紙代は書面の場合には必要ですが、オンラインで締結すれば不要です。

基本手数料が安くても、諸費用が高ければ有益な契約とは言えません。

できるだけ諸費用がかからないファクタリング会社を選ぶようにしましょう。

6.ファクタリング契約の一般的な流れ

STARTとGOALが書かれた積み木

この章では、よりスムーズに契約を進められるよう、ファクタリング契約の一般的な流れについて紹介しながら、手順ごとにやるべきことを紹介します。

ファクタリング契約の一般的な流れ

ひとつずつ確認していきましょう。

6-1. 申し込み前の準備

申し込み前の準備として行うべきことは、次の2つです。

申し込み前の準備におけるポイント
事前相談をして金額や利用可否の見込みを知る
契約に必要な書類を確認し、事前に準備する

ひとつずつ解説します。

6-1-1. 事前相談をしてファクタリング会社を絞る

まずは、利用者が保有する売掛金の買取が可能か、どれくらいの資金調達ができるかを知るために、ファクタリング会社へ事前相談を行い、利用するファクタリング会社を厳選します。

この際、複数のファクタリング会社へ事前相談することがポイントです。

  • より条件の良いファクタリング会社を選べる
  • 資金の見通しを立てることができる
  • 本契約が短時間で終わる

事前相談にはこのようなメリットがあり、ファクタリング会社選びでの失敗を防ぐことができます。

事前相談は無料のファクタリング会社が多く、条件や希望に合わない金額であれば、断ることも可能です。

そのため、気になっているファクタリング会社があれば、無料の事前相談を活用しましょう。

ファクタリング会社の選び方については、「【即日対応可能】おすすめのファクタリング会社15選!利用先の選び方を解説」で紹介しています。

ぜひ参考にしてください。

6-1-2. 契約に必要な書類を確認し、事前に準備する

ファクタリングの申し込みの際には、必要な書類を準備して提出する必要があります。

そのため、事前相談の際に、本申込で必要になる書類を確認し、準備しましょう。

事前に把握しておくことで、手続きの際の書類不足による不備を防ぎ、スムーズな資金調達ができるからです。

必要な書類とは、具体的には次のようなものがあげられます。

 主な必要書類  備考
通帳売掛先からの入金が確認できるもの2~6か月程度(原本またはコピー)
成因証書請求書・納品書・発注書・契約書など売掛債権を認識できるもの
登記簿謄本法人の場合に必要 (法務局で取得できる)
印鑑証明書

法人の場合:法務局
個人事業主の場合:市区町村の役所

身分証明書パスポートや免許証などの顔写真付きのもの

ファクタリング会社や利用サービスによって、提出を求められる書類や求められるタイミングが違ってきます。

登記簿謄本や印鑑証明書などは、公的機関での発行となるため、休日は受け付けていないこともあります。

必要なタイミングにすぐに提出できるよう、事前相談の際に確認しておきましょう。

ファクタリングの必要書類については「ファクタリングに必要な書類一覧|最短利用の流れまで徹底解説」をご覧ください。

6-2. 申し込み

事前相談をして利用するファクタリング会社を選んだら、次は申し込みをします。

申し込みにおけるポイントは、次の通りです。

申し込みにおけるポイント
自社に合った申し込み方法を選ぶ

ファクタリング契約をする会社選びにおいて、何を重要視しているかで申し込み方法は異なります。

申し込み方法は、大きく分けると次の4つです。

ファクタリングの申し込み方法

それぞれにメリット・デメリットがあります。

  電話 窓口(来訪・往訪) 郵送 オンライン
 メリット・直接話せる
・質問しやすい

・直接話せる
・質問しやすい
・担当者や会社の雰囲気が分かる

・遠方でも利用しやすい
・しっかりと内容を確認しながら手続きを進められる
・スピーディーに手続きができる
・遠方でも利用しやすい
デメリット ・営業時間内の対応しかできない
・電話と営業の担当が違う可能性がある
・日程調整が必要で、時間がかかりやすい
・来訪してもらう場合、出張費などが必要なケースがある
・時間がかかる
・不備などがあった場合に手間がかかる
・書類を紛失する可能性がある
・ITスキルがない人にとっては操作が難しい場合がある
 おすすめな人 ・非対面での取引がしたい人
・相談しながら手続きを進めたい人
・ファクタリング契約が初めての人
・契約時のトラブルを防ぎたい人
・しっかりと内容を理解した上で契約したい人・早く資金化したい人
・一定のITスキルがある人

各申し込み方法の特徴や向いている人・おすすめな人を見ていきましょう。

6-2-1. 電話

電話は、ファクタリング会社の窓口担当や営業担当者などと直接話すことができます。

一部、24時間電話受付を行っているファクタリング会社もありますが、多くの会社は営業時間内の対応です。

そのため、対応してもらえる時間が限られていますが、非対面での取引が可能で、分からないことも相談しながら進められます。

ただし、電話で話した担当者と営業の担当者が違うというケースがあります。

1人の担当者に対応してもらいたいという場合は、電話申し込み時に希望を伝えるようにしましょう。

6-2-2. 窓口(来訪・往訪)

窓口での対応も、直接担当者と会って分からないことを聞いたりできるため、理解の相違によるトラブルなどを防ぎたい人におすすめです。

分からないことを聞きやすいため、初めてファクタリング契約をする人にも向いています。

自分が事務所へ行けば会社の雰囲気を知ることができるため、会社選びの参考にもなりますが、遠方でなかなか行けないということもありますよね。

そのような人は、全国どこでも出張にて来訪してくれるファクタリング会社を利用すると良いでしょう。

ただし、対面での手続きとなるため、ファクタリング会社の担当者と日程を調整する必要があります。

手続きが完了するまでに時間がかかりやすいため、急いでいる場合には、ほかの手段を選ぶことをおすすめします。

また、来訪してもらう場合、「5.ファクタリング契約の際にかかる費用一覧」でも触れた通り、距離や移動手段に応じた出張費を請求されることもあります。

基本手数料以外の費用がかかる可能性があるため、慎重な判断が必要です。

6-2-3. 郵送

郵送は、紙ベースでやり取りできるため、遠方でも利用しやすく、しっかりと内容を確認しながら手続きを進められるのがメリットです。

契約は慎重に行いたいという人に向いています。

ただし、書類のやり取りには時間もコストもかかります。

万が一不備があれば、その分手間もかかりますし、紛失してしまうリスクもあるため、時間的な余裕を持って行うようにしましょう。

6-2-4. オンライン

オンラインは、遠方でも利用しやすく、手続きがスムーズに進むため、早く資金を調達したい人に向いています。

申し込みから契約までオンラインのみのファクタリング会社もあるので、選択肢の幅も広がるでしょう。

ただし、必要書類の提出などもオンライン上で行わなければならないケースが多く、一定以上のITスキルがなければ、手続きに手間取ってしまう可能性がある点については注意が必要です。

6-3. 審査

申し込みが完了すると、ファクタリング会社による審査が行われます。

提出書類をもとに審査が行われますが、ファクタリング会社によっては、書類では確認できないことを電話や面談などで質問されます。

特に次の項目は、よく聞かれやすい内容です。

・自社の事業内容・取引の状況
・売掛先の事業内容・取引の状況
・ファクタリングを利用して資金を調達する理由

審査をスムーズに通過し、資金調達ができるよう準備しておきましょう。

ファクタリングの審査のポイントについて詳しくは「ファクタリングの審査に通らない原因は?審査に通る5つのポイント」をご覧ください。

6-4. 契約

審査が終わり、条件に納得したら契約を締結します。

契約書はこのタイミングで発行されるため、必ず全ての項目に目を通し、双方が納得できる形での締結を目指しましょう。

契約書は2通作成し、利用者とファクタリング会社それぞれが1通ずつ保管します。

印紙代を節約するためなどという理由から1通しか作成しないファクタリング会社もありますが、「5. ファクタリング契約の際にかかる費用一覧」で紹介した通り、印紙代は契約金額1万円以上で200円です。

その費用を惜しんで契約書を発行しないほうが、万が一の際の損失やダメージが大きいため、必ず同じ内容を2通作成し、1通を受け取るようにしましょう。

1通しか作成しない場合は必ず写しをもらうようにしましょう。

なお、次章で契約書の各項目におけるポイントを紹介しています。

契約書の見方が分からないという人は、そちらも併せて確認してください。

6-5. 入金

契約が完了したら、ファクタリング会社から手数料などの諸費用を引いた金額が支払われます。

契約書の期日や内容通りに振り込まれているかを確認しましょう。

7. ファクタリングの契約書における確認ポイント

ファクタリングの契約書における確認ポイント

ファクタリング契約について、どのような点に注意し、どのような流れで手続きして行くのかがお分かりいただけたと思います。

ここではもう一歩踏み込み、国税庁のテンプレートをもとに、ファクタリングの契約書の見方について紹介していきます。

売掛債権譲渡契約書

出典:国税庁「売掛債権譲渡契約書

押さえるべきポイントが分かっていれば、内容も理解しやすく、自分にとって不利な条件ではないかを判断できるようになるでしょう。

7-1. 譲渡対象の債権(第1条部分)

ファクタリングでは、原則として商品の納品や検品が完了し、売掛金が支払われることが確定している確定債権が譲渡対象です。

「いつ販売された」「いくらの商品」が譲渡対象となるのかが契約書に記されます。

譲渡対象の債権の情報(金額や日付など)に誤りがないかを確認しましょう。

【チェックポイント】
・譲渡対象の債権の情報(金額や日付など)

7-2. 債権譲渡通知(第2条部分)

債権譲渡通知とは、売掛債権を譲渡することを売掛先に通知するかどうかを記した項目です。

【3者間ファクタリングの場合】

利用者・売掛先・ファクタリング会社で契約を進める3者間ファクタリングの場合、売掛先に売掛債権をファクタリング会社へ譲渡することを伝える必要があります。

そのため、契約書にもあらかじめ債権譲渡通知に関する項目が含まれています。

通知が必要な場合、あらかじめ売掛先に連絡して債権譲渡について承諾を得ておくとスムーズです。

【2者間ファクタリングの場合】

利用者とファクタリング会社で契約を進める2者間ファクタリングの場合は、原則として債権譲渡通知が不要です。

ただし、何もなければ債権譲渡通知は不要というだけで、ファクタリング会社はファクタリング利用者を代理して債権譲渡通知を発送できることになっている(債権譲渡通知を留保している)ことがほとんどです。

契約する前に必ずファクタリング会社に項目を設けた意図を確認し、債権譲渡通知の項目のない契約をすることをおすすめします。

【チェックポイント】
・債権譲渡通知を発送するのか、留保するのか(3者間ファクタリングか2者間ファクタリングか)

債権譲渡通知について詳しくは「ファクタリングにおける債権譲渡登記や債権譲渡通知の目的・必要性とは?」の記事をご覧ください。

7-3. ファクタリング契約の解除(第3条部分)

どういう条件でファクタリングの契約が解除になるかが記されています。

義務違反の内容は、契約ごとに異なるケースがあるため、解除の条件や違反した場合の資金返還などを確認しておきましょう。

【チェックポイント】
・解除の条件
・違反した場合の資金返還

7-4. 損害賠償・違約金(第4条部分)

2者間ファクタリングの契約をすると、ファクタリング会社だけでなく、利用者にも支払義務が生じます。

 利用者ファクタリング会社へ、回収した売掛金を支払う義務
 ファクタリング会社 利用者に対して、手数料を差し引いた分の買取金額を支払う義務

利用者が回収した売掛金を期日までに振り込まなかった場合、ファクタリング会社から損害賠償や違約金を請求される可能性があります。

  • 期日までの期間は妥当か
  • 自分だけが損害賠償を支払う状況になっていないか

などに注目しながら、確認しましょう。

【チェックポイント】
・支払期日までの期間
・損害賠償や違約金がファクタリング会社と利用者で平等な設定になっているか

7-5. ファクタリング契約の有効期間(第5条部分)

ファクタリング契約は、対象の債権を譲渡して資金化するため、通常1回で終了します。

そのため、ファクタリング会社が売掛金を回収したら契約が終了するのが一般的です。

しかし、ファクタリング会社の中には、契約期間を設定しているケースもあり、放っておくと自動更新され、毎月手数料を請求するという悪質な契約をするファクタリング会社もいます。

毎月の資金調達として、継続的に売掛金をファクタリングするケースであれば、契約期間を設ける場合もありますが、継続的な契約でなければ、

  • 売掛金が支払われた後も何らかの義務が残る契約ではないか
  • どのような条件で解約となるのか
  • 解約に手続きは必要なのか

などを確認しておきましょう。

【チェックポイント】
・ファクタリング契約の期間
・ファクタリング契約の解約条件
・ファクタリングの解約時に手続きが必要か

7-6. その他の項目

国税庁のテンプレートにはありませんが、以下のような項目が記載されていることもあるため、確認のポイントを解説します。

これらの項目は、悪質なファクタリング業者と優良なファクタリング会社を見極めるポイントにもなるので、ぜひ知っておいてください。

7-6-1.償還請求権の有無

償還請求権とは、売掛金が回収できない場合にファクタリング会社から利用者へ売掛金相当額を請求する権利のことです。

例えば、売掛先の倒産などで売掛金が回収できない場合に、償還請求権「あり」の契約になっていると、ファクタリング会社は売掛先に代わって利用者に売掛金相当額の支払いを請求できます。

ファクタリングは、融資ではなく売掛債権の譲渡であるため、基本的に売掛金の回収リスクはファクタリング会社が負うことになります。

したがって、基本的には償還請求権「なし」の契約になるはずです。

しかし一部には、契約書に償還請求権がある旨が記載されているケースもあります。

こうした契約は利用者にとって不利になるため、償還請求権の有無を契約前の段階で確認する必要があるでしょう。

【チェックポイント】
・償還請求権が「なし」とされているか

償還請求権について詳しくは「償還請求権とは?ファクタリングにおける重要性や注意点をわかりやすく解説」の記事をご覧ください。

7-6-2.債権譲渡登記

債権譲渡登記とは、第三者に対抗する手段として、債権の譲渡があった旨を登記することです。

2者間ファクタリングの場合、債権譲渡について売掛先に承諾を得ないため、悪質な利用者が1つの債権を複数のファクタリング会社に売却するかもしれません。

複数のファクタリング会社に売却が行われた場合も、売掛先からは債権1つ分しか資金が支払われないため、ファクタリング会社は資金の回収ができなくなってしまいます。

こうした状況を防ぐため、ファクタリング会社では債権譲渡が行われた事実を登記して法的根拠をもたせることが多いのです。

契約書に債権譲渡登記の記載がある場合は、登記にかかる費用も発生します。

【チェックポイント】
・債権譲渡登記を行う旨の記載があるか

債権譲渡登記について詳しくは「ファクタリングにおける債権譲渡登記とは?目的や手続きの方法などを解説」の記事をご覧ください。

7-6-3.報告義務

報告義務とは、利用者がファクタリング会社に対して売掛先の状況を報告する義務のことです。

売掛先の経営状況が悪化していることを利用者が知った場合は、ファクタリング会社へ報告する必要があります。

売掛先に何らかの不穏な動きがあると知ったにも関わらず利用者がファクタリング会社へ通知をせず、例えば売掛先が倒産してしまった場合などは、ファクタリング会社は対策をとる機会なく損失を出してしまうでしょう。

この場合、契約書に報告義務があれば、ファクタリング会社から契約違反として損害賠償請求が行われます。

義務違反にならないように、報告義務の範囲をよく確認しておくことが大切です。

【チェックポイント】
・報告義務があるかどうか
・ある場合、どの範囲を報告すべきか

7-6-4.手数料

ファクタリング契約書に記載されている手数料が、相場と著しくかけ離れていないかを確認する必要があります。

ファクタリングの手数料相場は、2者間ファクタリングで8%~18%、3者間ファクタリングで2%~9%程度です。

また、手数料以外にも諸経費が発生する場合があります。

2者間ファクタリングの場合に手数料が上がりやすいのは、ファクタリング会社にとって未回収リスクが高いためです。

この場合、債権譲渡登記ありの契約ではリスクが下がるため、手数料も下げられる可能性がある一方、債権譲渡登記の手数料がかかります。

そのほかに、契約書に記載されている諸経費は振込手数料などが含まれる場合もあるため、必ずチェックしましょう。

【チェックポイント】
・手数料は何%か
・手数料以外の諸経費は何に、いくらかかるか

手数料について詳しくは「ファクタリング手数料相場は?高くなる理由と手数料の決まり方」の記事をご覧ください。

8.2者間ファクタリングにおける業務委託契約とは

2者間ファクタリングでは、売掛債権譲渡契約以外に業務委託契約も必要になります。

2者間ファクタリングにおいては売掛金の回収を利用者が行い、ファクタリング会社へ送金する仕組みになっているためです。

売掛金が支払われる段階では、債権はファクタリング会社のものですが、ファクタリング会社と売掛先とは契約を結んでいないため、債権の回収自体は利用者が行わなければなりません。

ファクタリング会社の立場から見ると、本来はファクタリング会社が回収を行うべきものを、利用者にやってもらう形です。

つまり、利用者が債権の回収業務をファクタリング会社から委託される形になるため、ファクタリング契約とは別に業務委託契約を締結する必要があります。

9.ファクタリング契約を締結する際の注意点

ノートとペンと注意のマーク

ファクタリング契約を締結するにあたり、契約書を精査し注意したいポイントがいくつかあります。

ファクタリング契約を締結する際の注意点を解説します。

9-1.事前に提示された手数料と相違はないか

ファクタリング契約を締結する前に、ファクタリング会社には手数料の見積りを提示してもらうことが一般的です。

しかし、いざ契約を締結する段階になって、契約書に見積りと違う手数料が記載されていることもゼロではありません。

契約書に記載された手数料が見積りと異なる場合は、その理由を説明してもらう必要があります。

前述のとおり、手数料以外にも諸経費がかかることがあるため、契約締結前に手数料以外の費用がいくらかかるのかを問い合わせておくことも大切です。

また、手数料以外の費用についても、契約書に正しく記載されているかを確認しましょう。

手数料が見積り金額と著しく異なる場合は、悪徳業者の可能性もあるため注意が必要です。

9-2.契約期間は希望通りになっているか

前述のとおり、ファクタリング契約は通常1回で終了するものです。

しかし、継続してファクタリングを利用する場合は、契約期間が設定されることもあります。

契約期間が設定されている場合は、契約書に記載された契約期間が希望通りの期間になっているかを確認しなければなりません。

場合によっては、一度きりの契約のつもりだったのに、契約書に継続と記載されているケースや、自動更新の契約を提示されるケースもあります。

継続の契約では、利用者が希望しなくても契約期間は継続して契約しなければならないなどと言われる可能性もあるため、必要以上に継続されないよう、契約書をよく確認しましょう。

また、継続して利用する場合でも、ファクタリング契約を解除する場合の条件を確認しておくことが大切です。

9-3.契約書の控えを渡してくれるか

ファクタリング契約を書面で交わす場合、通常は2通作成し、利用者とファクタリング会社で1通ずつ保管します。

契約内容をいつでも確認できるように、契約書の控えは必ず受け取っておきましょう。

悪徳業者の場合は、契約書の控えを渡さないケースもあるため注意が必要です。

悪徳業者にとっては、契約書の控えを利用者に渡してしまうと、その内容を元に後で不利な点や不正な点を指摘されてしまう可能性があるため、契約書の控えを渡さないと考えられます。

通常、何においても契約を交わした場合、契約書は契約者が双方で保管します。

最近は電子契約を導入しているファクタリング会社も多いため、電子契約の場合はPDFを保存するようにしましょう。

契約手続きを進める中で不審な点があるファクタリング業者との契約は、白紙に戻し別の業者を見つけましょう。

10.ファクタリング契約締結後の流れ

4つのステップが書かれた紙と付箋とペン

ファクタリング契約が締結されたら、利用者は何をすれば良いのでしょうか。

ファクタリング契約締結後の流れを解説します。

10-1.入金確認をする

ファクタリング契約締結後、ファクタリング会社から指定の口座へ資金が入金されます。

契約通りの金額が入金されているか確認し、入金されていない場合や金額が異なる場合はファクタリング会社へ問い合わせましょう。

ファクタリング会社からの入金額は、売却した債権の額面から、ファクタリング会社の手数料や、諸経費を引いた金額となります。

あらかじめ契約書で手数料等を確認し、債権の金額と付き合わせて、入金額がいくらになるかを確認しておくとスムーズです。

10-2.売掛金を送金する

2者間ファクタリングの場合は、支払期日に売掛先から利用者へ売掛金が入金されます。

売掛先からの入金を確認したら、回収した資金を迅速に、ファクタリング会社へ送金しましょう。

入金があったからといって、その資金を他の支払いに回したりすると、ファクタリング会社への支払いができず債務不履行に陥ってしまいます。

また、ファクタリング会社への支払いが遅れると横領罪に問われるケースもあるため注意してください。

10-3.債権譲渡登記を抹消する

2者間ファクタリングで債権譲渡登記をした場合は、取引が終了した後に債権譲渡登記を抹消する手続きをする必要があります。

抹消を司法書士に依頼する場合は、司法書士への報酬と登録免許税などの実費分の費用が発生することを覚えておくと良いでしょう。

契約終了後は必ず抹消の手続きを行ってください。

11.まとめ

ファクタリングの契約を結ぶ理由や契約書の大切さ、確認すべきポイントについてご理解いただけたと思います。

最後に本記事のポイントをまとめました。

ファクタリングの契約におけるポイント
・ファクタリングの契約にはトラブルを回避する役割がある
・契約書は、双方が納得できる内容をまとめた書類
・契約の際には手数料以外に諸費用がかかる
・一般的な流れを理解し、必要な書類の準備や契約書の受け取りをする
・契約書の内容をよく読み、不利な条件や項目は再検討する
・契約書の内容が事前の見積りと相違ないかを確認する
・契約後、実際にかかった手数料や諸費用、入金金額が契約書の内容と相違ないかを確認する
・契約終了後、債権譲渡登記がある場合は抹消する

時間に余裕がない時や、契約書に書かれた内容が難しくて理解できない時に、きちんと確認せずファクタリング契約をしてしまう人がいますが、お金のやり取りが発生する以上、正しく理解して契約することが大事です。

契約書における確認ポイントと照らし合わせながら、ファクタリング契約における失敗を防ぎ、安心・安全にファクタリングを活用しましょう。

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監修者

株式会社ビートレーディング 編集部編集長

筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。

<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者