「キャッシュフロー(CF)」とは、会社における現金の流れのことです。
現金の流れには、大きく「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」などの種類があります。
また、現金の流れを重視して経営の安定化へ向けた判断を行う手法のことを「キャッシュフロー経営」と呼びます。
会社のキャッシュフロー改善は、黒字倒産を避けたり、資金繰りに余裕を持たせたりと、安定した経営のために欠かせない重要な取り組みです。
「キャッシュフロー改善って、どうしたらいいんだろう?」
「キャッシュフロー改善した方がいいのは分かるけど、なにをどうしたらいいのか…」
こんな風に資金繰りに悩んでいる経営者の方は、本記事を読んでキャッシュフロー改善の方法を理解し、実践すると良いでしょう。
この記事では、キャッシュフローの改善方法や、キャッシュフローが悪化する原因、継続的にキャッシュフローを改善するメリットなどの基礎知識を解説します。
ぜひ最後まで読んで自社の現状を分析し、キャッシュフロー改善の実現を目指しましょう。
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目次
- 1.キャッシュフロー改善の4大原則
- 2.キャッシュフローを改善する主な方法
- 3.キャッシュフロー改善方法(1) インを多くする
- 4.キャッシュフロー改善方法(2) インを早くする
- 5.キャッシュフロー改善方法(3) アウトを少なくする
- 6.キャッシュフロー改善方法(4) アウトを遅くする
- 7.キャッシュフロー改善方法(5) 4大原則以外の改善方法
- 8.キャッシュフローが悪くなる6つの原因
- 9.キャッシュフローの状態を判断するキャッシュフロー計算書
- 10.継続的にキャッシュフローを改善するメリット
- 11.インを早くするならファクタリングもおすすめ
- 12.ファクタリングをするならビートレーディングがおすすめ
- 13.キャッシュフロー改善に関するよくある質問
- 14.まとめ
1.キャッシュフロー改善の4大原則

はじめに、キャッシュフロー改善のための具体的な方法から紹介していきます。
キャッシュフローを改善するには、基本となる4大原則「インは多く」「インは早く」「アウトは少なく」「アウトは遅く」を理解しましょう。
ここで言う「イン」とは収入のことを意味しており、「アウト」は支出のことを指しています。
つまり、収入はできるだけ増やし、できるだけ早くすること。支出はできるだけ減らし、できるだけ遅くすることが、キャッシュフローを改善する大原則です。
キャッシュフロー改善のためには、これが全ての基本となります。
1-1.キャッシュフロー改善の基本はインを早く多く、アウトは遅く少なく
キャッシュフロー改善の基本となる4大原則は、会社の回転資金を十分に確保するための方法として考えられています。
キャッシュ(現金)が枯渇すると、支払いや返済ができなくなり、会社は倒産してしまいます。
倒産を避け、安定した経営を行うために、十分なキャッシュを確保しなければなりません。
しかし、実際はなかなか思う通りにいかないので、キャッシュフロー改善の4大原則が生まれました。
インを多くするために、売上を増やすとしましょう。
そのためには商品を仕入れ、倉庫で管理し、商品を販売する人件費がかかります。
インを多くしようとすると、一緒にアウトも多くなってしまうのです。
これは決しておかしなことではなく、一般的で当然のことです。
日本では掛取引が多く、売上が売掛金(売掛債権)で処理されることもよくあります。
もし売掛金が回収できる前に、仕入れた商品の支払日を迎えてしまったら、どうでしょうか。
これはインが遅く、アウトが早い状態です。こちらも特に珍しくもなく、よくあることに思えますが、最悪の場合は資金ショートや倒産を引き起こす要因のひとつです。
まさか、と思うかもしれませんが、実際日本では毎年7,000社以上が倒産しています。
このように、取引の現実の取引の多くは、必ずしも4大原則通りにはいきません。どんな企業でも、自然と4大原則からは外れてしまうのです。
そのため、常日頃から4大原則を意識する心がけが重要となります。
1-2.インが遅く、アウトが早くなると資金ショートや倒産を引き起こしてしまう
万が一、売掛金(売掛債権)を回収する前に仕入れた商品の支払日を迎えてしまった場合は、インが遅く、アウトが早くなってしまいます。
このような状態に陥ると、債権回収の遅れによって資金ショートや倒産のリスクがあるため注意が必要です。
日本の商習慣では、売上を売掛金として処理するケースが多いため、インが遅く、アウトが早くなる傾向にあります。
そのため、キャッシュフロー改善へ向けて常日頃から4大原則を意識する心がけが重要です。
2.キャッシュフローを改善する主な方法
キャッシュフローを改善する方法として、主に以下の4つの方向性が考えられます。
| (1)インを多くする (2)インを早くする (3)アウトを少なくする (4)アウトを遅くする |
このほかに、「資金繰り表を作成する」「自己資本を増やす」「減価償却費の範囲内で設備投資する」といった方法もあるでしょう。
事業を健全な状態で運営していくためにも、キャッシュフローの改善が欠かせません。
以降の見出しでは、キャッシュフローを改善する4つの方法やその他の方法について、それぞれ解説していきます。
なお、資金繰りについて詳しくは「資金繰りを改善する6つの方法|原因と効果的な実践方法を徹底解説!」をご覧ください。
3.キャッシュフロー改善方法(1) インを多くする

まずはイン(収入)を多くする具体例を紹介します。
【インを多くする方法】
①利益を増やす
②遊休固定資産を活用する
③資金調達を行う
④補助金・助成金を活用する
⑤大口顧客と適正な関係で付き合う
3-1.①利益を増やす
インを多くするには、利益を増やすことが第一となります。
利益を増やせば、当然、イン(収入)を増やすことができますよね。
利益を増やすには、値上げする、売上を増やす、といった方法のほかに、費用・コストを下げることで相対的に利益を増やすことができます。
【利益を増やす例】
・値上げする
・売上を増やす
・新規顧客を開拓する
・リピート率を上げる
・費用・コストを下げる
これらの方法は、手っ取り早く利益を増やすことができますが、実際に踏み切るとなると、難しいことも多いでしょう。
新規開拓やリピート率向上のために広告を打てば、その分支出が増えてしまいます。
値上げをすれば、その分、顧客が離れてしまうかもしれません。
キャッシュフロー改善のためには、ただ闇雲に利益を増やそうとせず、様々な観点からバランスよく判断していくことが大切です。
利益を増やすために、もっともよい形を模索することが、最終的には安定経営につながります。
3-2.②遊休固定資産を活用する
遊休固定資産とは、事業のために取得したもののうち、今はもう使っていないものです。これを再び活用することで、インを多くすることにつながります。
遊休固定資産には、数年前に工作用の機械を買ったが、壊れてしまって今は使っていない場合や、新店舗立ち上げのために土地を買ったが、結局手つかずのまま放置している場合、などが含まれます。
壊れてしまった機械を修理して再び使えるようにしたり、空いている土地に新たな店舗を建設したりすることで、結果的に収入を増やすことができます。
遊休固定資産に心当たりがある方は、活用について検討しましょう。
3-3.③資金調達を行う
資金調達をすることで、インを多くすることができます。
しかし実際にはハードルが高く、無理だと思っている方も多いのではないでしょうか。
金融機関から融資を受けたり、出資者を募ったりなどの資金調達を行うと、後に返済すべき新たなコスト・支出を増やしてしまいます。
もし可能なら自己資金を投入するか、国や地方自治体等による返済不要な補助金・給付金を利用できないかどうか、調べてみましょう。
【資金調達でインを多くする方法】
・自己資金を投入する
・補助金・給付金を利用する
・出資者を募る
・金融機関からの融資を受ける
近年ではクラウドファンディングや、創業支援融資など、起業したての会社でも資金調達しやすい手段が増えています。
色々な方法をよく調べて、ご自身の会社にふさわしい資金調達を選択しましょう。
資金調達の方法について詳しくは「知っておくべき15の資金調達方法|あなたが選ぶべき方法が分かる」をご覧ください。
3-4.④補助金・助成金を活用する
補助金・助成金とは、国や自治体が実施している支援制度のことです。
一般的な融資とは異なり返済が不要な資金であることから、補助金・助成金の活用によってインを多くできます。
制度を利用する場合は申請手続きに時間がかかる可能性があるものの、キャッシュフローの改善に役立てられる一つの手段として押さえておきましょう。
3-5.⑤大口顧客と適正な関係で付き合う
インを多くするには、大口顧客と適正な関係で付き合うのが重要です。
大口顧客とは、販売時の数量・金額が大きい顧客や、全売上に占める割合が大きい顧客を指します。
つまり大口顧客は、経営に与える影響が大きいのです。
大口顧客からのインが多くなれば、その分、ほかの顧客からのインが少なくても、安定した経営が可能になります。
【大口顧客と適正な関係で付き合う方法】
・大口の注文は適切な値段または高めの値段に設定にする
・入金まで確実にコミュニケーションを取る
・信用調査をする
一般に、大量注文には値段を低く設定する、割引をする、などのイメージがあると思います。
しかしキャッシュフロー改善の観点から言うと、おすすめできません。
可能なら「入金を早くしてくれるなら割引します」と条件をつけるのがおすすめです。
このほか、入金前に顧客と連絡が取れないといった状況を避けるため、注文から入金までコンスタントに連絡を取り続ける、有効的・円滑な関係を保つ、などの努力も大切です。
初めての取引相手から大口の注文が入った、などのケースでは、相手が大口取引をするにふさわしいかどうか、見極めることもポイントとなります。
場合によっては信用調査をする必要があるかもしれません。
大口の顧客と適正に付き合うことで、確実にインを多くしましょう。
4.キャッシュフロー改善方法(2) インを早くする

続いては、イン(収入)を早くする具体例をご紹介します。
【インを早くする方法】
⑥売掛金を売却する(ファクタリングを利用する)
⑦入金を早めてもらう
⑧売掛金の回収を徹底する
⑨資金繰り改善金融サービスを利用する
⑩売上は前払いで契約する
詳しく見ていきましょう。
4-1.⑥売掛金を売却する(ファクタリングを利用する)
自社が持っている売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に買い取ってもらう「ファクタリング」を検討すると良いでしょう。
ファクタリングは法人・個人事業主が資金調達手段として活用できる方法です。
売掛金を一定の手数料を支払って売却することで、ファクタリング会社から速やかに入金され、支払いサイトの短縮が期待できます。
資金調達の手段として活用できるのはもちろん、キャッシュフローの改善にも有効な方法として注目されています。
4-2.⑦入金を早めてもらう
具体的には、次のような方法が挙げられます。
【入金を早めてもらう方法の例】
・前払いにしてもらう
・分割払いにしてもらう
・着手金・前金・保証金を利用する
・毎月固定で料金が発生する形態にする
・支払いが早い顧客・現金払いの顧客には割引する
・支払いが遅い顧客には値上げする
分割払いにしたり、着手金・申込金・前金・保証金などの制度を利用したりすることで、後でまとめて一括で入金してもらうよりも、インを早めることが可能です。
また、分割にすることで、顧客側にも「途中まで払ったのだから、最後まで払わないと」という意識が芽生えます。
ただしインを早めてもらうためには、信頼度の高さも重要です。
信用のない会社にお金を前払いしよう、とは誰も思いません。
普段から誠実な対応を心がけ、インを早めてもらえるような信頼度の高い会社にしていきましょう。
毎月固定で料金が発生する形態にすることで、インを早くすることができます。
ただし毎月固定ということは、それ以上に収入が増えることもありません。この場合は新規顧客の開拓が重要になるでしょう。
いろんな部分のバランスを見ながら、最適な方法を選択してください。
4-3.⑧売掛金の回収を徹底する
売掛金(売掛債権)の回収を徹底することで、インを早くすることができます。
日本では未だに掛取引が多く、そのせいで黒字倒産 してしまう企業も少なくありません。
売掛金の支払いが一日遅れたら、すぐに督促状を送るなど、売掛金の回収を徹底することが、キャッシュフロー改善につながるのです。
このほか、売掛金の回収を徹底する方法を挙げます。
【売掛金の回収を徹底する方法の例】
・入金予定日を過ぎたらすぐに督促状を送る
・売掛金リストを作る
・相手先企業の都合に合わせて請求書を送付する
・遅延損害金を請求する
督促状や請求書を急ぐ体制を整えるには、売掛金リストを作っておくのがおすすめです。
売掛金の管理をしやすいよう、専用の担当者を設けておくのもいい方法ですね。
請求に際しては、相手先企業の都合に合わせるのも大切です。
「毎月10日~20日の間に請求書を送って欲しい」と言われているのに5日に着いてしまったら、請求書が紛失してしまうといった可能性も考えられます。
いつごろ請求書を送付するのがよいか、あらかじめ先方の都合を確認しておくのも良いでしょう。
前もって「入金が遅れた場合は遅延損害金を請求する」と伝えることで、顧客側は早く入金する意識を持ちます。
売掛金の回収を徹底し、インを早めるための一つの方法として、検討しましょう。
4-4.⑨資金繰り改善金融サービスを利用する
ファクタリング以外にも、資金繰りを改善できる金融サービスがあります。
例えば、「トランザクションレンディング」や「サプライチェーンファイナンス」などです。
トランザクションレンディングとは、売上や決済に関する取引データを用いて速やかに融資の判断を行う手法を指します。
一般的な金融機関が提供する融資サービスと比べて金利が高い傾向にあるものの、取引データ(トランザクション)に基づいた迅速な融資が期待できます。
一方、サプライチェーンファイナンスとは、企業のサプライチェーンで商品を提供するために必要になるものの購入代金を立て替え払いするためのサービスのことです。
支払期日より早い段階で売掛金(売掛債権)を現金化(資金化)し、インを早くすることにつながります。
サプライチェーンファイナンスについて詳しくは「サプライチェーンファイナンスとは?ファクタリングとの違いやメリット・デメリット」をご覧ください。
4-5.⑩売上は前払いで契約する
取引先と契約する際、売上を前払いで支払ってもらうよう交渉したうえで契約を締結する方法です。
あるいは、支払いを後払いにしてもらうよう交渉して契約を締結する方法もあります。
そもそもキャッシュフロー改善の4大原則では、キャッシュインを早く・キャッシュアウトを遅くが理想とされています。
売上をできるだけ早く入金してもらい、支払いをできるだけ遅くしてもらうことで、キャッシュフローの改善が期待できるでしょう。
5.キャッシュフロー改善方法(3) アウトを少なくする

続いては、アウト(支出)を少なくしてキャッシュフローを改善する具体例をご紹介します。
【アウトを少なくする方法】
⑪ムダな経費を削減する
⑫相場を調べて仕入価格を交渉する
⑬バーター取引を行う
⑭在庫を売却する
⑮遊休固定資産を処分する
⑯採算が取れない事業を売却する
⑰投資計画を見直す
⑱節税する
一つずつ解説していきます。
5-1.⑪ムダな経費を削減する
ムダな経費を削減すると、アウトを少なくすることができます。
経費削減は社外への影響が比較的少ないので、値上げや新規開拓よりも実施しやすいという利点があります。
まずは普段何気なく行っている業務を細かく仕分けすることから始めましょう。
隠れていたムダを洗い出すことができたら、担当者を変えたり、優先順位を変えたりするなどのちょっとした工夫で、ムダがそぎ落とせるものです。
もし固定費が発生する業務があるなら、思い切って外部へ委託することで、変動費にすることも可能です。
変動費であれば、資金繰りが難しくなる時期に発注を減らすなどの対応で、アウトを減らすことができます。
このほか経費削減には、次のような方法が考えられます。
【経費削減の具体例】
・業務を見直してムダをそぎ落とす
・固定費がかかる業務を外部委託する
・業務の標準化・最適化・マニュアル化
・新設備・新システムを導入する
・広告の出し方を見直す
正社員やベテラン社員が行っている業務を標準化・最適化・マニュアル化することができれば、アルバイトやパート社員も同等の技術を使いこなせるようになります。
その方が人件費を安く抑えることが可能なので、アウトを少なくすることができるでしょう。
近年はAI技術やIT技術の進化により、業務を効率化する新設備や新システムがどんどん進化しています。
たとえば電話自動化ツールを導入することで、月数千円の費用で電話番が不要になり、社員へ実施していた電話研修も不要になる、といった効果が挙げられます。
経費削減には、ほかにも様々なアイディアがありますので、一度ゆっくり検討してみると良いでしょう。
5-2.⑫相場を調べて仕入価格を交渉する
近年ではインターネット検索で相場を調べることが容易になりました。
適正価格を調べたうえで価格交渉すれば、仕入価格を下げ、アウトを少なくできるかもしれません。
いつも言い値で取引している、という方はぜひ一度相場をチェックしてみましょう。
5-3.⑬バーター取引を行う
ここで言う「バーター取引」とは、売掛金(売掛債権)と買掛金、または貸出金と借入金などを互いに相殺することです。
現金を払い出す必要がなくなるので、アウトを少なくできます。
バーター取引は効果絶大ですが、互いに掛取引をしていないと使うことができません。
ただし、アウトは減りますが、インも減ることには注意が必要です。
5-4.⑭在庫を売却する
在庫を売却することで、アウトを少なくすることができます。
保管していた在庫の管理費がなくなるからです。
もしさばき切れないほど大量の在庫を抱えてしまったときは、不良在庫を専門に取り扱う業者に相談するのがよいでしょう。
あまり時間が経つと、専門業者でも取り扱いができなくなり、廃棄するしかありません。
こうなると仕入れにかかった費用がそのまま損失となってしまいます。
なるべく早期に在庫を売却して、アウトを少なくしましょう。
5-5.⑮遊休固定資産を処分する
遊休固定資産を売却したり処分したりすると、アウトを少なくできます。
これは、持っているだけで固定資産税が発生してしまうからです。
古いパソコンや車検が切れた社用車など、使うに使えない遊休固定資産は、処分してアウトを少なくしましょう。
5-6.⑯採算が取れない事業を売却する
不採算部門とは、収入よりも支出の方が多くなっている部門や事業を指し、売却や撤退することで、アウトを少なくできます。
ただし廃止やクローズといった完全撤退となると、現在その事業に携わっている社員のその後を考える必要があります。急に仕事を取り上げるような無責任な判断は避けましょう。
売却や撤退により他の部門への影響が最小限になるよう、配慮も必要です。
もし採算が取れない事業を運営している場合は、今一度経営について見直してみてください。
5-7.⑰投資計画を見直す
無計画な投資を避ける、膨大な投資 を控えるなど、投資計画を見直すことで、アウトを少なくすることができます。
キャッシュフロー改善の観点から言うと、投資を全くしないのもおすすめできません。
事業投資がなければ、将来性が損なわれ、会社の拡大成長や利益増大のチャンスが失われてしまいます。
投資計画を実行した当初は問題なくても、時間が経てば経済状況や周囲の環境が変化します。
定期的に投資計画を見直すことも重要です。
5-8.⑱節税する
会社の規模に合わせた節税を行うことで、アウトを少なくすることができます。
たとえば決算期を1か月ずらすだけで、利益を少なく申告することができ、法人税の節税につながります。
もし赤字が出やすい時期があるなら、その時期に決算期を設定するのもよいでしょう。
このほか、節税方法をいくつかご紹介します。
【節税方法の例】
・利益が少ない時期で決算を締める
・資本金や資本金等を見直して課税金額・課税率を減らす
・消費税の納税義務がなくなるよう、売上をセーブする
・含み損がある資産を売却する
・評価損を計上する
ここに挙げた節税方法に際しては、会社の規模によっては採用できないものもあります。
また、節税はできてもアウトが多くなる方法や、インが少なくなる方法では、キャッシュフローの悪化につながってしまいます。
「節税」のつもりが「脱税」と疑われてしまう例もありますので、顧問税理士とよく相談するのがおすすめです。
6.キャッシュフロー改善方法(4) アウトを遅くする

ここでは、アウトを遅くする具体例をご紹介します。
【アウトを遅くする方法】
⑲支払いは後払いで契約する
⑳クレジットカードを活用する
㉑給料の支払方法の変更や、立替金制度を導入する
㉒税金の分割払いを活用する
㉓リースにできないか検討する
㉔役員報酬の支払い時期を柔軟にずらせるよう調整しておく
詳しく解説していきます。
6-1.⑲支払いは後払いで契約する
できるだけアウトを遅くするために、買掛金の支払いを後払いとする契約を締結すると良いでしょう。
買掛金とは、取引先の商品・サービスが提供された段階で、まだ支払われていない代金のことを指します。
取引先と契約を締結する際は、できるだけ支払いを後に延ばしてもらうよう交渉することをおすすめします。
6-2.⑳クレジットカードを活用する
事業用のクレジットカードを活用すると、実質的にキャッシュアウトを遅らせることが可能です。
支払方法を現金からクレジットカード決済に切り替えるだけで、キャッシュフロー改善の効果が期待できるでしょう。
さらに、クレジットカード払いでは取引先と支払いに関する交渉を行うことなく、支払いまでの猶予を延ばせるようになります。
6-3.㉑給料の支払方法の変更や、立替金制度を導入する
「従業員の給料を当月締め・当月末支払から当月締め・翌月末支払などに変更する」「出張や外出にかかる費用を前払い・仮払いせず立替金制にする」という方法で、アウトを遅くすることができます。
なるべく後払いにして、アウトを遅くする工夫を考えると、キャッシュフローが改善されます。
ただし、従業員の待遇が悪化する変更は雇用に影響が出る可能性があるため注意が必要です。
6-4.㉒税金の分割払いを活用する
基本的に税金の支払いは一括払いが原則となっていますが、分割払いすることができれば、アウトを遅くすることが可能です。
ただし、税金を分割払いするには税務署や県税事務所へ相談が必要になるのに加えて、延滞料金が加算されてしまいます。
延滞料金が加算されると、結果的にアウトが多くなってしまい、資金繰りが悪化してしまうかもしれません。
どうしても他に方法がないときなどに検討するのがいいでしょう。
6-5.㉓リースにできないか検討する
会社の設備や機械などを購入するときは、リースにできないか検討しましょう。
購入するとなると、一度に出る費用が大きくなってしまいますが、リースにすることで費用を小さくし、少しずつ支払うことができます。
一般に、リース料には利息や租税公課が含まれており、割高だと考えている方も多いでしょう。
しかし結果的にリース会社と長く付き合うことになるため、割引や取引先紹介といった便宜をはかってもらえる可能性もあります。ぜひ一度検討してみてください。
6-6.㉔役員報酬の支払時期を柔軟にずらせるよう調整しておく
役員報酬を支払うときに、会社の経営状態に応じて柔軟な状態にしておくことで、アウトを遅くすることができます。
たとえば、予期せず売上が急激に伸びた場合、納税額も増えてしまいます。
納税と役員報酬の時期が重なると、資金繰りが難しくなることもあるでしょう。
役員報酬の時期をずらすなど、あらかじめ柔軟な支払いにできるよう、準備しておくのがおすすめです。
7.キャッシュフロー改善方法(5) 4大原則以外の改善方法
ここまで、キャッシュフロー改善の4大原則について解説しました。
4大原則以外の方法でも、キャッシュフローを改善できる可能性があります。
【4大原則以外の改善方法】
㉕資金繰り表を作成する
㉖自己資本を増やす
㉗減価償却費の範囲内で設備投資を行う
これらの対策を講じて、キャッシュフロー改善を目指しましょう。
7-1.㉕資金繰り表を作成する
「資金繰り表」とは、一定期間における収入や支出を表の形式にしたものです。
表には実際に入金したお金と出金したお金のデータを記録していきます。
月の収入・支出・預金残高を確認することで、資金不足が懸念されるタイミングをあらかじめ把握できるようになります。
7-2.㉖自己資本を増やす
「減価償却費」とは、固定資産の購入額を耐用年数に合わせて分割し、その期ごとに費用として計上するための勘定科目のことです。
減価償却費は実際に現金が流出する費用ではないため、キャッシュフロー計算書においてプラスで計上されます。
そのため、減価償却費を活用して設備投資を行うことが可能です。
例えば、年間の減価償却費が1,000万円の場合、この範囲内で800万円の設備投資を行うのであれば、キャッシュフローのバランスを保ちやすいと考えられます。
8.キャッシュフローが悪くなる6つの原因

キャッシュフロー改善ができる具体的な方法や考え方を解説してきました。
ですが、そもそもなぜキャッシュフローは悪化してしまうのでしょうか?
キャッシュフローが悪化する主な原因は次の6つです。
【キャッシュフローが悪くなる6つの原因】
1. 取引相手を精査していない
2. 支払時期が回収時期よりも先になっている
3. 売上に急激な変動があったとき
4. 不良在庫を抱えている時
5. 利益配分のバランスがよくない
6. スタートアップ時
これらの原因に心当たりがある場合は、早めにキャッシュフローを改善・見直しするのがおすすめです。
それぞれ分かりやすく解説しましょう。
8-1.取引相手を精査していない
取引相手が信頼できるかどうか精査できていないと、売掛金(売掛債権)の貸し倒れリスクが高くなってしまいます。
売掛金の貸し倒れは、キャッシュフロー悪化の大きな原因です。
特に初めて取引をするときは、これまでの実績がないので、慎重な判断が必要です。
前払いしてもらうなどの対策や、他の企業との付き合い方をチェックするなど、審査を行うのも重要になります。
いつも取引している相手でも、支払い方法を現金から売掛金へ、というような変更があったときは、注意が必要です。
背景に経営状況の悪化が隠れている可能性があります。
貸し倒れリスクを回避しつつ資金調達するならファクタリングの利用がおすすめです。
ファクタリングを利用することは売掛先の与信管理につながるからです。
ファクタリングの審査では売掛先の信用力が重視されることから、審査に通れば信用力のある売掛先と判断できるでしょう。
この方法なら、ファクタリングを利用して審査を受けるたびに売掛先の与信情報がアップデートされ、与信管理の強化が期待できます。
8-2.支払時期が回収時期よりも先になっている
可能なら商品やサービスの代金を回収した後、仕入代金を支払うのが理想的です。
これが、先に仕入代金や従業員の給料を支払い、納品後に売上金が回収されるような形だと、キャッシュフローが悪化します。
支払時期が回収時期よりも後になるような方法を考えましょう。
8-3.売上の急激な変動
売上が急激に変動すると、キャッシュフローが悪化することがあります。
これは、売上の急激な減少で家賃や人件費など固定費の支払いが難しくなるからです。
反対に売上が急激に増えると、仕入コストや管理販売費などの経費が増加し、やはりキャッシュフローに影響します。
売上の減少に対しては、給付金や一時金、金融機関からの融資などによる資金調達を行うのが一般的です。
後ほど詳しく解説するファクタリングという方法も効果的です。
人件費を削減するために雇用整理を行うことも多いですが、その後需要が回復しても、再度人を増やすのは難しく、教育コストも発生します。
将来的なリスクをよく検討した上で、判断が必要です。
経費の増加を抑えるために、あえて販売をストップして製品が一定数揃うのを待ち、それから販売再開する対策も取られます。
繁忙期があって時期により売上が変動しやすい業態なら、前もってインを多くしておくなど、キャッシュフローが悪化しないような対策を講じるとよいでしょう。
【売上が急激に変動したら?】
・一次的にキャッシュを用意する(資金調達やファクタリングほか)
・あえて販売を休止し、製品が十分準備できてから販売再開する
・経費を削減する
近年ではコロナ禍の状況により緊急事態宣言やまん延防止措置がたびたび導入され、そのたびに資金繰りが難しくなる企業が増加しました。
このような予期せぬ事態にも対応できるように、将来を予測しながら経営するのがおすすめです。
売上の変動に限らず、どんなピンチが訪れても回避できるよう、4大原則を意識した経営を行いましょう。
8-4.不良在庫を抱えている
不良在庫を抱えている時は、キャッシュフローが悪化しています。
これは、管理費などのコストが発生するほか、他の在庫へ悪影響を与えるなど、損失を生み出してしまうからです。
【不良在庫の例】
・賞味期限が切れた食品
・ブームが去った売れ残り商品
・すでに新製品が発売された型落ち商品
・初期不良が見られる欠陥商品
・他の在庫に悪影響を与える商品
・今後売り切れる可能性が低い商品
・売却しても赤字が出る可能性が高い商品
早めに在庫売却か廃棄処分を行い、キャッシュフローを改善しましょう。
8-5.利益配分のバランスが良くない
利益に見合わない役員報酬や株主配当などは、キャッシュフローを悪化させる重大な要因です。
利益配分を見直すことで、アウトを少なくし、インを多くすることもできるので、適切な水準を目指しましょう。
なお、令和2年度における資本金2,000万円未満の企業では、役員報酬の平均が580万円程度となっています。
同業他社と同水準であることが好ましく、社員との差が大きくなり過ぎると不満が生じやすくなると言われています。
株主配当は、配当性向20%~30%程度が適切です。
| 配当性向 = 配当金支払総額 ÷ 当期純利益 ×100 |
ただし、非上場企業では基本的に配当を出していないことが多く、何年かに一度まとめて株主還元を行ったり、記念配当を行ったりすることもあるでしょう。
こうしたケースでは一時的にキャッシュフローが悪化することもありますが、明確な理由があり、自然と改善されるものなので、慌てて対処する必要はありません。
8-6.スタートアップ時
新規開業時や、新たに店舗を立ち上げた時などのスタートアップ時には、キャッシュフローが悪化しやすくなります。
これは、どうしても開店資金などの投資(アウト)が先に立ち、回収(イン)が遅れてしまうためです。
できるだけ早くキャッシュフロー改善をするには、開店記念セールや、期間限定で割引を行うなど、インを多く・インを早くする対策が取られます。
スタートアップを控えているときは、一時的なキャッシュフローの悪化は仕方ありません。
できるだけ早期に改善できるよう、プランを立てておきましょう。
9.キャッシュフローの状態を判断するキャッシュフロー計算書

ではここで、現在のキャッシュフローは改善が必要なのかどうか、チェックしてみましょう。
そのために「キャッシュフロー計算書」を作ります。
キャッシュフロー計算書とは、キャッシュフローの状態が一目で分かるよう、表にまとめたものです。
ここでは、以下のような順でキャッシュフローの状態を判断していきます。
1. キャッシュフロー計算書の作り方
2. キャッシュフローの分類
3. キャッシュフローが良い状態の例
4. キャッシュフローが悪い状態の例
5. キャッシュフロー計算書を見ても判断ができない場合のポイント
それでは、さっそく解説していきましょう。
9-1.キャッシュフロー計算書の作り方
キャッシュフロー計算書と聞くと難しそうに思えますが、中小企業庁で公開している『キャッシュフロー計算書自動作成表』を使うと、とても簡単に作ることができます。

こちらの表に貸借対照表や損益計算書の数値を入力していくだけで、自動的にキャッシュフロー計算書が完成するようになっています。
この表ができると、営業活動・投資活動・財務活動と、3種類のキャッシュフローに分けながら、経営状態を詳細に理解することができるので、ぜひ試してください。
9-2.キャッシュフローの分類
キャッシュフローには、
- 営業活動によるキャッシュフロー
- 投資活動によるキャッシュフロー
- 財務活動によるキャッシュフロー
の3種類のキャッシュフローがあります。
このうち、資金繰りを安定させ、黒字倒産を避けるには、営業活動によるキャッシュフローを見ます。もしこれがマイナスの場合は、資金が不足している状態です。
設備投資などは投資活動によるキャッシュフロー、資金調達などは財務活動によるキャッシュフローに当てはまります。
健全な企業であれば投資活動によるキャッシュフローはマイナスになっているのが普通です。
| 営業活動によるキャッシュフロー | 資金繰りを安定させる、黒字倒産を避けるために見る項目 マイナスだと資金が不足している状態 |
| 投資活動によるキャッシュフロー | 設備投資などが当てはまる項目 通常は将来への投資をしているため、マイナスになっている |
| 財務活動によるキャッシュフロー | プラスの時は資金調達を行っている状態 マイナスの時は借入金を返済している状態 |
また、営業活動によるキャッシュフローと、投資活動によるキャッシュフローを合計したものをフリーキャッシュフローと言い、企業が自由に使える資金の量を示します。
フリーキャッシュフローが多いほど、優良企業であると判断されます。
これは、フリーキャッシュフローを借入金の返済や株主への還元、事業への投資など、会社の拡大成長に利用できるからです。
| フリーキャッシュフロー | 営業活動によるキャッシュフロー + 投資活動によるキャッシュフロー 借入金返済・利益配分・投資に回すことができる資金量 多いほど優良企業と言える |
9-3.キャッシュフローが良い状態の例
キャッシュフローが良い状態とは、利益が支出よりも多く、将来への投資や利益配分できる資金がある状態を言います。
具体的には次のような例が当てはまります。
| 営業活動によるキャッシュフロー | • 当期純利益がプラス • 諸引当金がプラス • 前受金がプラス • 流動負債がマイナス • 利益処分による役員賞与の支払いがマイナス |
| 投資活動によるキャッシュフロー | • 短期貸付金がプラスか、プラスマイナスゼロ • 減価償却資産がプラス • 建設仮勘定がプラス • 無形固定資産がプラス • 長期貸付金がプラスか、プラスマイナスゼロ |
| 財務活動によるキャッシュフロー | • 短期借入金がマイナスか、ゼロ • 長期借入金がマイナス • 社債がマイナス • 増資がプラス • 剰余金の配当の支払いがマイナス |
当期純利益がプラスで、借入金を返済して、さらに役員賞与や剰余金といった利益配分ができている状態です。
潤沢な資金があり、将来への投資も出来ている様子がイメージできるのではないでしょうか。
貸し倒れや売り上げ減少などのリスクに備えた準備も出来ています。
9-4.キャッシュフローが悪い状態の例
キャッシュフローが悪い状態とは、資金繰りが厳しく、黒字倒産へのリスクが高まっている状態です。将来への投資が難しくなっています。
| 営業活動によるキャッシュフロー | • 当期純利益がマイナス • 諸引当金がマイナス • 受取手形がマイナス • 売掛金がマイナス • 棚卸資産がマイナス • 前受金がマイナス • 流動負債がプラス • 固定負債がプラス |
| 投資活動によるキャッシュフロー | • 短期貸付金がマイナス • 無形固定資産がプラスか、ゼロ • 長期貸付金がマイナス • その他の固定資産がマイナス |
| 財務活動によるキャッシュフロー | • 短期借入金がプラス • 長期借入金がプラス • 社債がプラス • 剰余金の配当の支払いがゼロ |
余裕がなく、支払いに追われている状況がイメージできるのではないでしょうか。
将来への投資ができず、リスクに備える準備が後回しになってしまっています。
キャッシュフロー計算書にこうした項目を見つけたら、着手しやすい部分からキャッシュフロー改善に取り組みましょう。
9-5.キャッシュフロー計算書を見ても判断できない場合のポイント
キャッシュフロー計算書を見ても判断が難しいときは、次のようなポイントをチェックしてみてください。
一般に、企業は創業期、発展期、成熟期、衰退期という成長プロセスをたどり、それぞれの時期で以下のようなキャッシュフローバランスを示します。
| 営業活動による キャッシュフロー | 投資活動による キャッシュフロー | 財務活動による キャッシュフロー | |
| ①創業期 | - | - | + |
| ②発展期 | + | - | + |
| ※転換期 | ± | ± | ± |
| ③成熟期 | + | - | - |
| ④衰退期 | - | + | - |
発展期と成熟期の間には「転換期」が発生することがあり、転換期からすぐに衰退期へ移行することもあります。
もし衰退期のパターンが見られたときは、注意が必要です。会社の経営が不安定になっていることを意味しています。
キャッシュフロー改善に取り組み、必要であれば創業期のようなパターンに作り直し、事業の立て直しを行いましょう。できるだけ早期に発展期や成熟期のパターンを目指してください。
10.継続的にキャッシュフローを改善するメリット

キャッシュフローの状態が自分で判断できるようになったら、後は適宜調整を入れることで、柔軟な経営が可能になります。
このように継続的にキャッシュフローを改善することはキャッシュフロー経営と言われます。
キャッシュフロー経営を取り入れることで、得られる3つのメリットを紹介します。
【継続的にキャッシュフローを改善する3つのメリット】
1. 安定した経営ができる
2. 信用力・魅力が高まる
3. 投資の選択肢が増える
それでは、詳しく解説しましょう。
10-1.安定した経営ができる
継続的にキャッシュフローを改善する最大のメリットは、安定した余裕のある経営ができることです。
仕入れや給与の支払い、借入金返済、税金納付など、運転資金を支出するときに、支払いに苦慮することがなくなります。
普段から継続的にキャッシュフロー改善をしていれば、大口の取引先が倒産した場合など、万が一の事態を想定し、あらかじめ資金調達をしておくなど、早めの対応をすることもできます。
継続的にキャッシュフローを意識するので、投資の際にも、どの分野にどれくらいの投資が必要で、現在どれくらいの資金を使うことができる、といった判断ができるようになります。
資金に余裕を持たせた安全な投資が可能になり、安定して会社を成長させることができるでしょう。
10-2.信用力・魅力が高まる
継続的にキャッシュフロー改善を行うと、金融機関や投資家、取引先からの信用力が上がります。
支払いや返済が遅滞しないからです。
加えて、資金の豊富さは借り入れに依存しないことを示しており、安全性が高いと言えます。
さらに豊富な資金を投資に回すことができるので、成長性も高い企業と言えるでしょう。
したがって魅力的な投資対象、融資対象として判断されるのです。
このほか、仕入代金の支払いも滞ることがなくなるので、取引先とも良好な関係を保つことができます。
10-3.投資の選択肢が増える
継続的にキャッシュフローを改善することで、資金が潤沢になり、設備投資や人員増加、研究開発など、様々な投資上の選択肢が増えることになります。
豊富な選択肢の中から、自由に経営判断を下すことができるのも、資金に十分な余裕があるからです。
もし会社を拡大成長させたいときに、資金力が乏しい場合、希望通りに意思決定を下せません。
継続的にキャッシュフローを改善するからこそ、会社を大きくしていくことが可能になるのです。
【注意!キャッシュフロー経営を意識しすぎると機会損失を招くことも】
キャッシュフロー改善を意識しすぎると、時に機会損失が発生することもあります。
なぜならキャッシュフローのみで経営判断をすると、市場で大きな流れやチャンスがあったとしても「手元資金が足りないから」と、大事な機会を見逃してしまう可能性があるからです。
キャッシュフロー経営は、手元資金を重視しており、その範囲内での投資を行うのが基本となっています。
しかし、これはあくまでも安定経営を行ったり、資金ショートや黒字倒産を避けたりするためです。
キャッシュフロー改善にとらわれて重要なチャンスを逃さないよう、バランスのよい経営判断をしましょう。
11.インを早くするならファクタリングもおすすめ
インを早くするなら、ファクタリングの利用をおすすめします。
特に売掛金(売掛債権)の多い業種・業態や、掛取引が大部分を占めるような企業におすすめしたい手法です。
ファクタリングについて分かりやすくお伝えするために、以下のような順で解説していきます。
1. ファクタリングとは
2. ファクタリングのメリット
3. ファクタリングのデメリット
これらの3点を考慮した上で、ファクタリングをするかどうか、判断していただきたいと思います。
11-1.ファクタリングとは
ファクタリングとは、売掛金(売掛債権)をファクタリング会社へ売却し、資金調達する手法です。
この際、一定の手数料を差し引かれることになりますが、ファクタリングを活用するとインを早くすることができるので、キャッシュフロー改善に役立てることができます。
資金を受け取った後、売掛先が倒産した場合も、返済の義務はありません。
もし売掛金が多くてキャッシュフローが悪化しているときは、ファクタリングを検討してみましょう。
キャッシュフローを改善する方法の1つ「ファクタリングとは?」の記事をご覧ください。
11-2.ファクタリングのメリット
ファクタリングには以下のようなメリットがあります。
・支払期日まで待つ必要がない
・最短即日で資金調達が可能
・売掛金の未回収リスクを軽減できる
・返済義務がない
・借金ではないので、信用力に影響しない
・融資より審査が簡単
・節税効果がある
・2者間取引の場合、相手にファクタリングを知られることがない
ファクタリングは、売掛金の回収が間に合わず、支払いが遅れそうなときに利用すると、資金として活用することができます。
金融機関からの融資を受けるよりも審査や手続きが簡単で、時間をかけずに資金調達できるのが大きなメリットと言えるでしょう。
ファクタリングのメリットについて、より詳しく知りたい方は、「ファクタリングのメリット・デメリットとは?適したケースや注意点も解説」の記事で解説していますので、こちらをご覧ください。
11-3.ファクタリングのデメリット
ファクタリングには、以下のようなデメリットがあります。
・手数料がかかる
・売掛先の業績によっては現金化(資金化)できない
・3者間ファクタリングの場合、売掛先の承諾が必要
・売掛金の範囲内でしか現金化できない
・分割して支払うことができない
・資金繰りが悪いと思われる可能性がある
ファクタリングでは、調達できる資金が売掛金の金額範囲内になってしまうのに加えて、ファクタリング会社で手数料を差し引くので、インが少なくなってしまいます。
このほか、3者間での取引となる場合は売掛先の承諾が必要となります。
2者間であれば売掛先にファクタリングを知られる心配はありませんが、3者間ファクタリングを行う場合は、売掛先との契約や調整が発生するかもしれません。
また、ファクタリングにも一定の審査があるため、売掛先の業績が悪いと現金化できない可能性もあります。
ファクタリングについてより詳しく知りたい方は以下の記事もチェックしましょう。
2者間ファクタリングとは?メリット・デメリットとやり方・注意点を解説
3者間ファクタリングとは?メリット・デメリットやおすすめの相談先、利用手順を解説
ファクタリングは違法な手段でない!安全に利用できる根拠を解説
ファクタリングの手数料はどれくらい?相場と抑えるコツ、よくある疑問も解説!
ファクタリングの審査に落ちる理由・通らない原因は?断られた場合の対処法も解説!
12.ファクタリングをするならビートレーディングがおすすめ

株式会社ビートレーディングは、2012年に設立したファクタリング会社です。
全国に5拠点を持ち、これまでに1,550億円を超える売掛金(売掛債権)の買い取りを行っています。
12-1.最短2時間のオンライン完結で資金調達ができる
ビートレーディングでは手続きを徹底的に簡略化することで、最短2時間での資金調達が可能になっています。
オンライン契約を採用しているので、PCやスマホからの申し込みで全てが完結します。
必要になる審査用の書類は、
・口座の入出金明細(直近2か月分)
・売掛金に関する書類(契約書・発注書・請求書など)
の2点だけです。
この2点をスマホのカメラで撮影して提出すれば、すぐに申し込みができ、さらに最短30分以内に審査結果を出してくれます。
ビートレーディングでは、原則即日の資金振込を心がけており、土日を挟んでも3日後には資金調達が完了する仕組みです。
ただしビートレーディングでは支払期日が過ぎてしまった不良債権の買い取りは行っていません。
見積りは無料なので、もし手元に売掛金(売掛債権)をお持ちなら、一度試してみるのも良いですね。
12-2.注文書ファクタリングができる
ビートレーディングでは、同業他社に先駆けて注文書ファクタリングを開始しています。
一般的な取引では、仕事を受注した後、製品やサービスを納品し、その後請求書を発行する、というのが基本的な流れです。
納品時に代金引き換えでなければ、売掛金(売掛債権)として処理します。
ビートレーディングが始めた注文書ファクタリングは、仕事を受注した時の注文書を買い取りすることで現金化(資金化)が可能です。
仕事を納品するためには運転資金が必要となることも多く、こうしたニーズに応えた画期的なサービスと言えるでしょう。
注文書ファクタリング(注文書買取)とは?仕組みやメリット、利用事例をご紹介
ビートレーディングでは、ファクタリングに関する詳細な説明や相談などを無料で承っています。
まずはキャッシュフロー改善のために、ファクタリングが有効かどうか、相談してみましょう。
13.キャッシュフロー改善に関するよくある質問
最後に、キャッシュフロー改善に関するよくある質問とその回答をご紹介します。
キャッシュフローについて気になる疑問を解消しておきましょう。
13-1.Q1.キャッシュフロー経営と普通の経営の違いはなに?
一般的な経営では、利益率や資金の積み上げを優先し、売上増加を狙います。
それに対してキャッシュフロー経営では、手持ちの現金を増やすことを優先する点が主な違いです。
キャッシュフロー経営には、キャッシュフローを増やすことに重きを置き、経営の安定化へ向けた判断を行うという特徴があります。
13-2.Q2.キャッシュフローが良い企業とはどのような状態?
「キャッシュフローが良い企業」とは、収入と支出のバランスが取れており、現金が安定的に手元にある状態の企業を指します。
具体的には、営業活動によって得られるキャッシュ(営業キャッシュフロー)がプラスになっている状態です。
こうした企業は、日々の仕入れ・人件費・家賃などの支払いを十分にまかなえており、健全な経営が可能となります。
また、売掛金(売掛債権)の回収がスムーズにできており、回収の遅れがないことも大切なポイントです。
14.まとめ
ここまで、キャッシュフローの改善方法や、キャッシュフローが悪化する原因、継続的にキャッシュフローを改善するメリットなどを解説しました。
キャッシュフローを改善する一つの方法として、インを早くするために「売掛金を売却する(ファクタリングを利用する)」という選択肢があります。
特に売掛金(売掛債権)が多い企業の場合は、ファクタリングによる資金調達で以下のような多くのメリットが期待できるでしょう。
・支払期日まで待つ必要がない
・最短即日で資金調達が可能
・売掛金の未回収リスクを軽減できる
・返済義務がない
・借金ではないので、信用力に影響しない
・融資より審査が簡単
・節税効果がある
・2者間取引の場合、相手にファクタリングを知られることがない
ぜひファクタリングを活用してキャッシュフローの改善を図りましょう。
ビートレーディングは、累計取引者数7.1万社、累計買取額1,550億円(※2025年3月時点)のファクタリング会社です。
キャッシュフロー改善の目的で多くの法人・個人事業主の方にご利用いただいています。
お問い合わせから振り込みまで最短2時間で、即日入金可能な点が魅力です。
お問い合わせフォーム・LINE・電話・ポータルサイトからお気軽にお問い合わせください。
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筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者
