自社の売掛金を専門のファクタリング会社に買い取ってもらうことで、支払期日より前倒しで資金を得ることができる「ファクタリング」。
適切に利用するためには、専門用語の理解が必要不可欠です。
本記事では、ファクタリングに関連する用語、全32種類を五十音順に紹介・解説します。
目次
1.ファクタリング関連用語:あ行
ファクタリング関連の専門用語のうち、「あ行」のものを解説します。
1-1.アセットファイナンス
アセットファイナンスとは、売掛金をはじめとする資産(=アセット)を売却することで資金を調達する方法を指します。
手数料がかかる一方で、資産売却による資金調達であるため返済義務がないなどのメリットがあります。
アセットファイナンスには、ファクタリングや手形割引などが該当します。
アセットファイナンスについて詳しくは「アセットファイナンスとは?導入ケースやメリットを分かりやすく解説」の記事をご覧ください。
1-2.売掛金
売掛金とは、商品・サービスを提供した後に将来的に受け取る予定の金銭(代金)のことで、売掛金を受け取る権利は「売掛債権」と呼ばれています。
売掛金は商品・サービスを提供した1か月〜2か月後に支払われるのが一般的です。
1-3.運転資金
運転資金とは、事業を継続的に運営するために必要となる資金の総称です。
具体的には、人件費や家賃、水道光熱費、仕入れ代金などが該当します。
1-4.エクイティファイナンス
エクイティファイナンスとは、金融機関からの借り入れなどではなく、自己資本を増やして資金を調達する方法のことです。
自己資本比率が上がることで信用力が増す一方で、事業者の自由度が下がるケースもあります。
なお、自己資本を増やす方法の具体体としては、新株発行・第三者割当増資・公募増資などが挙げられます。
1-5.オフバランス
オフバランスとは、貸借対照表に記載する項目を減らしスリム化することで、資産効率や企業価値を高める効果が期待できます。
たとえば、保有する売掛金をファクタリング会社に売却して資金を調達すると、普通預金が増加しますが、普通預金から借入金を返済すると見た目上の負債を減らすことができます。
オフバランスについて詳しくは「ファクタリングによるオフバランス化の要件・仕組みを解説!メリット・注意点とは」の記事をご覧ください。
2.ファクタリング関連用語:か行
ファクタリング関連の専門用語のうち、「か行」のものを解説します。
2-1.買掛金
買掛金とは、商品やサービスを購入したことによって生じた未払いの代金であり、「代金を後払いする義務(買掛債務)」とも言い換えられます。
買掛金の反対は売掛金であり、立場によって呼び方が異なります。
商品やサービスを購入した側からすると「後払いする代金=買掛金」、提供・販売した側からすると「後で回収する代金=売掛金」となります。
なお、買掛金は商品・サービスを購入した1か月〜2か月後に支払うことが一般的です。
2-2.介護報酬ファクタリング
介護報酬ファクタリングとは、介護事業者が国民健康保険団体連合会(国保連)に請求する介護報酬債権を、ファクタリング会社に売却することで早期に資金化(現金化)できるファクタリングサービスの一つです。
介護報酬ファクタリングは売掛先が支払いの信用力が高い国保連のため審査に通りやすく、低手数料で利用できることが特徴です。
介護ファクタリングについて詳しくは「介護報酬ファクタリングとは!メリットとおすすめな会社を比較」の記事をご覧ください。
2-3.買取ファクタリング
買取ファクタリングとは、資金調達を目的とした一般的なファクタリングの別称として使われています。
融資とは異なる資金調達方法のため負債が増えず、回収前に売掛先が倒産などに陥ったとしても、自社が弁済する必要がない点がメリットです。
買取ファクタリングについて詳しくは「買取ファクタリングとは?保証ファクタリングとの違いやメリットを解説」の記事をご覧ください。
2-4.掛け目
掛け目にはさまざまな意味がありますが、ファクタリングにおいては「売掛金における買取率」を指します。
売掛金の未回収リスクが高いほど掛け目が低くなり、未回収リスクが低くなるほど掛け目が高くなるのが一般的です。
2-5.給与ファクタリング
給与ファクタリングとは、個人が給与を受け取る権利を債権として専門業者に債権を譲渡し、本来の給料日よりも早く資金調達する方法です。
給与ファクタリングは貸付の一種であるという認識が示されており、貸金業の届出をしていないファクタリング業者が行う場合は違法となるため注意が必要です。
給与ファクタリングについて詳しくは「個人で利用できる給与ファクタリングとは?おすすめの選び方や注意点を解説」の記事をご覧ください。
2-6.黒字倒産
黒字倒産とは、帳簿上は利益が出ているものの、仕入れなどの支払いに必要な手元の資金が足りずに倒産してしまうことです。
たとえば、売掛先の入金遅れが原因で仕入れ代金が支払えず、そのまま倒産に至ってしまうケースなどが該当します。
黒字倒産について詳しくは「黒字倒産とは?5つの原因と回避する方法を分かりやすく解説!」の記事をご覧ください。
2-7.国際ファクタリング
国際ファクタリングとは、日本の企業が海外に商品を輸出する際に利用できるファクタリングです。
商品やサービスの代金をより確実に回収するために、世界各国のファクタリング会社が連携し、販売先の信用調査や信用リスクの保証などをしてもらうことができます。
3.ファクタリング関連用語:さ行
ファクタリング関連の専門用語のうち、「さ行」のものを解説します。
3-1.債権譲渡通知
債権譲渡通知とは、債権者が変更された際にその事実を債権者に知らせることです。
債務者が新たな債権者を認識できること、債務者が二重弁済などの被害に遭わないことを目的として、確定日付のある証書(内容証明郵便)で通知するのが一般的です。
債権譲渡通知について詳しくは「ファクタリングにおける債権譲渡登記や債権譲渡通知の目的・必要性とは?」の記事をご覧ください。
3-2.債権譲渡登記
債権譲渡登記とは、債権譲渡を行った事実を登記することであり、債権者以外の第三者に対抗するために必要な手続きです。
ファクタリングにおいては、売掛債権(売掛金)がいつ、誰から誰に譲渡されたかを公的に証明できるため、二重譲渡やトラブルの防止に役立ちます。
債権譲渡登記について詳しくは「ファクタリングにおける債権譲渡登記は必須?登記不要なケースを解説」の記事をご覧ください。
3-3.債務超過
債務超過とは、資産よりも負債が多く、自己資本がマイナスになっている状態を指します。
債務超過に陥ると、信用力が低下することで融資を受けにくくなり、最悪の場合はそのまま倒産に至るケースもあります。
3-4.債務不履行
債務不履行とは、約束した義務を果たさないことで、履行遅延・履行不能・不完全履行などがあります。
ファクタリングにおける債務不履行は、回収した売掛金を期日までに支払えなかったり、支払い自体を行わなかったりするケースなどが該当します。
3-5.3者間ファクタリング
3者間ファクタリングとは、自社・売掛先・ファクタリング会社の3者で取引を行うファクタリングのことです。
売掛金を売却するにあたって売掛先からの承諾を得る必要がありますが、2者間ファクタリングよりも手数料が抑えられる傾向にあります。
3者間ファクタリングについて詳しくは「3者間ファクタリングとは?メリット・デメリットやおすすめの相談先、利用手順を解説」の記事をご覧ください。
3-6.資金繰り
資金繰りとは、資金の調達や運用などによって収支の過不足を調整することです。
一般的に「資金繰りが苦しい」というのは、必要な資金を用意できないこと、またはそのような状態を意味します。
3-7.資金調達
資金調達とは、会社が事業を運営するために外部から必要な資金を取得・調達することです。
資金調達の代表例として「融資」が挙げられますが、ファクタリングも資金調達方法のひとつとして近年注目されています。
3-8.支払いサイト
支払いサイトとは、取引の締め日から実際に代金が支払われるまでの期間のことです。
たとえば、「月末締め翌月末払い」の場合、支払いサイトは約1か月となり、「30日サイト」とも呼ばれます。
支払いサイトが長ければ長いほど、資金繰りが悪化する原因になり得るため注意が必要です。
支払いサイトについて詳しくは「支払いサイトとは?120日サイトの売掛金をファクタリングする場合の注意点」の記事をご覧ください。
3-9.償還請求権
償還請求権とは、何らかの理由で売掛先から売掛金が支払われない場合に、元の債権者(=債権の売却元)に遡って資金の返還を求めることができる権利のことです。
ファクタリングの場合、償還請求権がないケースが一般的ですが、トラブルを防止する意味でも申し込みの前にしっかり確認する必要があります。
償還請求権について詳しくは「償還請求権とは?ファクタリングにおける重要性や注意点をわかりやすく解説」の記事をご覧ください。
3-10.診療報酬ファクタリング
診療報酬ファクタリングとは、医療機関の診療報酬債権を資金化(現金化)するファクタリングのサービスの一つです。
診療報酬ファクタリングを利用した場合、実際の診療報酬額から手数料を差し引いた金額が医療機関に支払われます。
診療報酬ファクタリングについて詳しくは「診療報酬ファクタリングとは?仕組みを図解で徹底解説」の記事をご覧ください。
4.ファクタリング関連用語:た行
ファクタリング関連の専門用語のうち、「た行」のものを解説します。
4-1.注文書ファクタリング
注文書ファクタリングとは、受注した時点で受け取る注文書(将来債権)を売却し、資金化(現金化)するファクタリングサービスです。
注文書ファクタリングは、その時点では売上として確定していない「将来債権」を対象としています。
そのため、仕事が完了する前の仕入れや設備投資など資金が必要になるタイミングで資金調達ができ、支払いサイトも3か月~6か月ほど短縮することができます。
注文書ファクタリングについて詳しくは「注文書ファクタリング(注文書買取)とは?仕組みやメリット、利用事例をご紹介」の記事をご覧ください。
4-2.手数料
ファクタリングにおける手数料とは、売掛金を売却する際にファクタリング会社に支払う手数料を指します。
2者間ファクタリングの場合は8%~18%、 3者間ファクタリングの場合は2%~9%が手数料の相場といわれています。
4-3.デットファイナンス
デットファイナンスとは、負債を増やして資金を調達する方法のことで、融資や社債などが代表的です。
経営権に影響せず、利息を損金計上できる一方で、返済義務や利息が発生する特長があります。
デッドファイナンスについて詳しくは「デットファイナンスとは?種類やメリット・デメリットまで詳しく解説」の記事をご覧ください。
4-4.電子記録債権
電子記録債権とは、電子債権ネットワーク(通称でんさいネット)が取り扱う電子記録債権のことです。
手形と異なり印紙税がかからない点がメリットですが、取引先も電子債権ネットワークを利用していないと電子記録債権が使えない点はデメリットといえます。
電子記録債権について詳しくは「電子記録債権(でんさい)とファクタリングの違い|でんさいファクタリングとは」の記事をご覧ください。
5.ファクタリング関連用語:な行
ファクタリング関連の専門用語のうち、「な行」のものを解説します。
5-1.2者間ファクタリング
2者間ファクタリングとは、自社とファクタリング会社の2者間で取引するファクタリングのことです。
売掛先に債権譲渡の承諾を得る必要がなくスピーディーに資金化(現金化)できる一方で、3者間ファクタリングよりも手数料が高くなる傾向にあります。
2者間ファクタリングについて詳しくは「 2者間ファクタリングとは?メリット・デメリットとやり方・注意点を解説」の記事をご覧ください。
5-2.二重譲渡
ファクタリングにおける二重譲渡とは、同一の売掛金を複数のファクタリング会社に売却する行為を指します。
二重譲渡は犯罪行為にあたり、利用者は詐欺罪に問われる可能性があるため十分注意が必要です。
ファクタリングの二重譲渡について詳しくは「ファクタリングで二重譲渡をしたら犯罪!?発覚したときの最悪のケースは?」の記事をご覧ください。
5-3.ノンリコース
ノンリコースとは、償還請求権がない契約のことです。
ノンリコースでは、売掛金の売却後に何らかの理由で売掛先から売掛金を回収できなかった場合でも、ファクタリングの利用者(=元の債権者)がファクタリング会社に売掛金を弁済する義務はありません。
なお、ノンリコースの対義語はウィズリコースであり、償還請求権がある契約であることを意味します。
ファクタリングのノンリコースについて詳しくは「ファクタリングのノンリコースを解説!ウィズリコースとの違いやメリット・デメリットを解説」の記事をご覧ください。
6.ファクタリング関連用語:は行
ファクタリング関連の専門用語のうち、「は行」のものを解説します。
6-1.ファクタリング
ファクタリングとは、保有している売掛金を売却することで売掛金を資金化(現金化)する資金調達手法です。
経済産業省も推奨する資金調達方法の一つで、近年利用者が増加しています。
融資に比べスピーディーに資金調達ができ、売掛金が未回収になるリスクも軽減できることが特徴です。
ファクタリングについて詳しくは「ファクタリングとは?仕組みや種類・意味・注意点を簡単に解説!」の記事をご覧ください。
6-2.保証ファクタリング
保証ファクタリングとは、保証料を支払うことでファクタリング会社に保証してもらう取引のことです。
何らかの理由で売掛先から売掛金が回収できない状態に陥った場合、ファクタリング会社が保証してくれるため、事業に支障をきたさずに済むメリットがあります。
保証ファクタリングについて詳しくは「保証ファクタリングとは?買取型との違いやメリット・デメリットを解説」の記事をご覧ください。
7.ファクタリング関連用語:ま行
ファクタリング関連の専門用語のうち、「ま行」のものを解説します。
7-1.未回収リスク
ファクタリングにおける未回収リスクとは、売掛先の倒産などの理由により、売掛金を回収できなくなるリスクのことです。
償還請求権がない契約(ノンリコース)のファクタリングであれば、債権者は本来の未回収リスクを軽減できるメリットがあります。
8.まとめ
売掛金を売却して早期の資金化(現金化)を実現するファクタリング。
適切に利用するためには、取引前後のやり取りや契約によく出てくる用語を正しく理解しておくことが重要です。
また、ファクタリングを利用する際はどのファクタリング会社を利用するかも重要です。
ファクタリングについての知識があり、丁寧に説明してくれるかどうかや
実績がどれくらいあるか確認し、複数社見積りを取って比較することをおすすめします。
ビートレーディングは、累計取扱高1,300億円以上、累計取扱件数5.8万社以上の実績があるファクタリング会社です(2024年3月時点)。
お申込みから資金調達まで最短2時間とスピーディーなファクタリングサービスを提供していますので、ファクタリングの利用を検討している方は気軽にご相談ください。
筑波大学大学院修士課程修了後、上場企業に勤務。不動産ファンドの運用・法務を担当した後、中小企業の事業再生や資金繰り支援を経験。その後弊社代表から直々の誘いを受け、株式会社ビートレーディングに入社。現在はマーケティング・法務・審査など会社の業務に幅広く携わる。
<保有資格>宅地建物取引士/貸金業務取扱主任者